著者
小野 智恵
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.57-65, 2014-12-20

1960年代後半から1970 年代初頭は, アメリカ商業映画にとって空前のズーム隆盛期であったといえる. しかし, TV を中心に用いられる新しい手法であり低コストであるズーム・ショットは, 当時も現在も, 映画のための歴史ある手法であり膨大なコストを費やしてなされるドリー・ショットの代役としての扱いに甘んじてきた. 本稿は, 旧来のドリー・ショット(とその代役としてのズーム・ショット) を媒介とした観客とアメリカ商業映画との間にある「約束事」に着目し, ロバート・アルトマン監督の『ギャンブラー』に見られるあるズーム・ショットがドリー・ショットにはない独自性を持つことを明らかにする. それは, 伝統的なアメリカ主流映画がその実現を希求してやまなかった「奥行き」という概念を, 平面上の外面描写において無効にするだけでなく, 主人公の内面描写においても無効にしてしまうものである.
著者
本多 照幸 小野 剛 塚本 篤 松野 弘貴
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.139-139, 2011

本研究では、東京近郊の川崎市郊外(西部)を中心とした事故後の大気及び土壌試料におけるγ線核種(131I、134Cs、137Cs、95Nb、129Te等)の解析結果について報告する。大気試料は粒子状物質(APM)と降下物であり、何れも都市大原研(川崎市西部)で採取した。土壌試料は、同研究所のほか多摩川河川敷等で深度方向に採取し、U8容器に充填した。γ線の測定にはGe半導体検出器を用い、10000~80000秒測定した。
著者
小野 尚明 高畑 瑠璃 坂部 中 押野 結花
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.135-137, 2013-03-13

プロジェクトを進めていく過程では日々様々な不測の問題が発生しており,プロジェクトメンバはそれら問題に対して優先度を付け都度対応していかなければならない.一方で対策に用いることのできる人的,時間的,金銭的資源には制約があることが多く,特に経験知が少ない若手においては解決できない問題に直面することが往々にしてある.本稿では,すごろくを利用した経験知を共有する手法を提案するとともに,その効果を検証した.
著者
石川 雅典 小野澤 章子
出版者
秋田桂城短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本プロジェクトは、季節労働の供給変化と規定要因、ならびに供給変化と送出地域の社会経済構造との関係について、北海道内の沿岸漁業地域である椴法華村(現在の函館市椴法華地区)を対象として追究したものである。対象地における季節労働、とりわけ出稼ぎ労働の調査研究に基づいて知見を整理すると次のようになる。1.供給変化(減少)は、需要側における採用条件の厳格化が直接の要因であった。かつて供給側で広範にみられたグループ就労は小規模化・個人化がすすみ、地縁関係を契機とした社会空間とネットワーク形成の変容が示唆された。2.一方、需給のミスマッチが生じていて、供給側における送出母体の衰微がもう一つの要因として指摘できる。母体の衰微は対象地の基幹産業であり、戦後の送出母体であった沿岸漁業のあり方と深い関係がある。つくり育てる漁業が進展する中で、漁業資源の限界性と動力船の所有/非所有を境界とした漁業層の階層化とが一層顕著になり、沿岸漁業の縮小化がすすんでいる。在村する若年世代はほとんど漁業に就業しておらず、生活スタイルや地域への関心という点でも他の世代との差異が著しい。対象地は、沿岸漁業を中心とする多様で異質な地域へと移りつつある。3.筆者らはかつて漁業と出稼ぎとによる職業分化の状況を見出した。対象地の生活と地域はこれによって維持されてきた。しかし今日、対象地では職業分化とは次元の異なる局面を迎えつつある。この局面は展開次第によってはかなり以前より予測できたことではあったが、供給変化とともにあらわれた新たな局面は従来の枠組みによる漁業の存続や局地的地域社会の維持が困難になりつつあることを意味している。
著者
小林 政広 小野寺 真一 加藤 正樹
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.287-294, 2000-08-16
参考文献数
22
被引用文献数
6

年間を通じて地下水面が存在する平地林において, ヒノキ樹幹近傍の土層中のマトリックポテンシャルの測定を行い, 雨水浸透過程における樹木の存在の影響を, 土壌の乾湿条件と降雨条件との関係から検討した。湿潤な先行水分条件下では, 樹幹流として供給された多量の雨水が鉛直下方へ集中的に浸透し, この雨水は樹幹直下の地下水をかん養した。乾燥した先行水分条件下では, 樹幹流による集中的な雨水インプットが生じても, 雨水の大部分は樹木根系の吸水による土湿不足を解消することに消費され, 樹幹直下における集中的な浸透は発生せず, 樹幹から離れた部分でのみ地下水がかん養された。また, 湿潤時, 乾燥時ともに特定の場所においてバイパス流の発生によると考えられる局所的なマトリックポテンシャルの上昇が観測された。このようなバイパス流は, 総降水量が多く強度の強い降雨イベントで発生しやすい傾向が認められた。しかし, 土層が乾燥しているときには, より少ない雨で発生する傾向が認められ, これは表層土壌の撥水性のためと考えられる。
著者
佐藤 文俊 森本 玲 岩倉 芳倫 小野 美澄 松田 謙 祢津 昌広 尾股 慧 工藤 正孝 伊藤 貞嘉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.4, pp.886-894, 2014-04-10 (Released:2015-04-10)
参考文献数
12

原発性アルドステロン症は臓器障害の可能性の高さと頻度の多さからスクリーニングの重要性が提唱され,血漿アルドステロン濃度/血漿レニン活性比を用いて疑う.低カリウム血症を伴う(ARB・ACE阻害薬の内服患者では正常低値も),比較的若年者,血圧コントロール不良,グレードII(160/100 mmHg)以上の高血圧患者等は当然診断対象だが,特に手術で治癒が可能な腺腫病変は早期診断・治療が望まれる.薬物治療ではミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を含んだ十分な降圧を行うことが肝要である.
著者
及川 和美 荒金 圭太 倉藤 利早 斎藤 辰哉 松本 希 高木 祐介 河野 寛 藤原 有子 白 優覧 小野寺 昇
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.453-456, 2011

本研究は,「水中だるまさんがころんだ」運動時の心拍数と酸素摂取量の変化から水中運動としての「だるまさんがころんだ」の特性を明らかにすることを目的とした.被験者は,健康成人男性8名(年齢 : 21±2歳,)とした.被験者は,鬼が「だるまさんがころんだ」と発声している時に最大努力で水中を移動し,声が止んだ時に静止した.鬼までの距離を20mとした.鬼に到着するまでを1セットとし,3セット繰り返した.セット間には,3分間水中立位安静を行った.測定項目は,心拍数と酸素摂取量とした.運動後の心拍数および酸素摂取量は,1セット目の運動時と比較して,1セット目以降の運動時が,同等あるいはそれ以上の値を示した.水中でも陸上の「だるまさんがころんだ」と同様にインターバルトレーニング様の心拍数と酸素摂取量変化を示した.運動生理学的な分析から「水中だるまさんがころんだ」が身体トレーニングの要素を持つことが明らかになった.

3 0 0 0 OA 政治学大綱

著者
小野塚喜平次 著
出版者
博文館
巻号頁・発行日
vol.下, 1903
著者
保谷 徹 松井 洋子 柴山 守 谷本 晃久 岡 美穂子 五百籏頭 薫 原 正一郎 原山 浩介 須田 牧子 小野 将 山田 太造 横山 伊徳 佐藤 雄介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

本研究では、東京大学史料編纂所の海外史料マイクロフィルム約150万コマ等をデジタルアーカイヴ化し、国内採訪史料とともに学術資源として閲覧公開をはかる。また、在外日本関係史料の調査・収集を進め、マルチリンガル、マルチアーカイヴァルなプロジェクト研究を推進する。①デジタルアーカイヴ構築の面ではマイクロフィルム全2739本からのデジタル画像データのサーバ登録を完了し、このうち約85%については簡易目録ベースでの公開を開始している。今年度は新規収集分を含めて約38万コマを公開データに追加し、累計185万コマとなった。②社会連携・地域連携の試みとして、英国外務省文書FO46(TNA原蔵)に続き、横浜開港資料館所蔵FO262(英国外務省駐日公館文書)マイクロフィルム(約20万コマ)をデジタル化した。史料編纂所と開港資料館でのFO262全体(28万コマ)の検索・閲覧を実現する。③ロシア国立歴史文書館長らを招聘した「日露関係史料をめぐる国際研究集会」をした(5月、東京本郷、日本学士院・東京大学史料編纂所で共催)をはじめ、計3回の国際研究集会を実施して研究成果を発表・発信した。④『ロシア国立海軍文書館所蔵日本関係史料解説目録2』を刊行し、ロシア国立歴史文書館所蔵東アジア三国関係史料解説目録の作成・提供を受けた。⑤各重点プロジェクトで日本関係史料調査と目録研究を実施し、とくに、ロシア両文書館での継続的な史料収集やロシア国立サンクトペテルブルク図書館での史料画像データ収集、ハワイ州立文書館での新規撮影約3500コマなど、さらに古写真史料集『高精細画像で甦る幕末・明治初期日本―ブルガー&モーザーのガラス原板写真コレクション―』(洋泉社)の刊行などの成果があった。⑥前項の海外史料調査・収集の成果に対する社会的反響は大きく、今年度も毎日新聞・読売新聞・朝日新聞・NHK報道などで大きく取り上げられた。
著者
小野寺 秀博 阿部 太一 下野 昌人 小山 敏幸
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.100, no.10, pp.1207-1219, 2014 (Released:2014-09-30)
参考文献数
116
被引用文献数
2 3

Computational materials science is an exciting field which holds much future potential. In this article, at first, the dramatic advances of the computational methodologies are briefly summarized at scales from the atomistic to macroscopic levels. Then, each coauthor introduces the three research fields in detail, (1) CALPHAD modeling supported by key experiments and first-principles calculation, (2) Studies on the phase transformation in alloys based on the MD simulations, and (3) Predictions of the microstructure evolution and the mechanical properties based on the phase-field method, where remarkable progresses have been attained.
著者
小野 英哲 河田 秋澄 宮木 宗和 川村 清志 小西 敏正 三上 貴正 橋田 浩 吉岡 丹
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.346, pp.1-8, 1984-12-30
被引用文献数
33

This paper presents the process of the development of the new slipperiness tester and the performance of it. Based on the concept of a new slipperiness tester reported in part 2, a tester (DRAG TYPE) of which details remained changeable and could be adjusted by the result of the later experiments was first developed. The result of measurement of many surfaces, namely, the pulling load-time curves were analysed to find the physical value which can indicate the degree of slipperiness, and coefficient of slip resistance (C.S.R.) was finally found. C.S.R is defined as Pmax/W; where Pmax is the maximum pulling load, W is the loading weight. Then, the each specification of the tester was able to determined in a certain way as C.S.R corresponds smoothly enough to the subjective slipperiness value on the sensory scale obtained in part 1. Moreover, even in matters of the test on powdery and oily surfaces which were similar to actual dusty and muddy wet ones, the smooth correspondence was also recognized. These results made clear that the newly developed tester can be regarded as appropriate for measuring the slipperiness of actual floors.
著者
小野真由美 井上創造 星子奈美
出版者
社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.109, pp.43-51, 2007-11-08

九州大学学術情報リポジトリ(略称 QIR)とは,学内で生産された知的生産物を収集・蓄積・保存し,インターネットを通じて無償で配布するシステムである.QIR と研究者情報の連携は,各システムのユーザビリティの向上を目指すものであり,連携により,研究者情報の業績一覧からワンクリックで対応する文献の閲覧を可能にし,さらに研究者情報のデータを流用した QIR のデータ登録も実現している.本論文では,システム連携に関する課題から設計・実装方法を説明し,最後にデータの解析について述べる.
著者
小野原 教子
出版者
兵庫県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

現代の日本において「服」というとき、それは「洋服」を指すのが自然である。日本人の身体を表現するのにふさわしい、民族衣装ともいえる「和服」は、もはやナショナリティを表現するだけに留まらず、そのナショナリティを「遊ぶ」メディアとなっているのではないか。高度情報社会でもある現代資本主義社会においては、身体は社会のなかで衣服という情報を介して行き交い、コミュニケーションを行っている。つまり、衣服を着るという行為は、創造的表現行為の場であったとしても、それは同時に消費され情報化されるファッションというシステムと身体の戦いの場でもあるのだ。現代日本における「着物」(和服)は、伝統や過去を示すその位置づけが雑誌などを中心としたファッション業界で死守されることで、ひとつのコスチューム・プレイのようにも着用される衣装スタイルになっている。それはモチーフとしての「日本」であり、外国人の目で眺めた着物の表現ともいえる。新しい「着物」の着用ともいえる、本来のデザインの解体や素材の変革、また洋服とのコンビネーションなども、新しさや珍しさとをもったひとつのスタイルとして、ファッションというシステムにひとつの語彙として回収されていく。これは、現代日本のファッションにおいてポピュラーな、古典的な英国スタイルを再解釈した「ゴシックロリータスタイル」にも窺うことのできる現象である。そのスタイル「ゴスロリ」(通称)は、18世紀や19世紀のイギリスのファッションを、衣装だけでなく文化や芸術なども学習しながら、その「イギリスらしい」デザインをまったく新しい日本のファッションスタイルへと変形してしまう。(イギリスというナショナリティについては、15年度にすでに論じた)試合の勝敗に加えて、その衣装で観客を魅了できるかどうかが、レスラーの身体表現にとっては死活問題であり、機能や合理さえファッション化/記号化を免れ得ないことを女子レスラーの衣装分析でも明らかにした(16年度)。身体とは、衣服を通して表現される幾つもののアイデンティティの集合体である。本研究の成果として「ナショナリティ」というアイデンティティが、現代日本のファッション現象を読み解くうえで重要な鍵概念であることが示された。
著者
エバンズベンジャミンルカ 棟方 渚 小野 哲雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.11, pp.1-4, 2014-05-30

作曲者は何か意図をもって作曲する.その前提のもと,我々はリスナーが楽曲に対して抱く印象と,楽曲の作曲者が持つ意図とを比較し,それらの印象について調査してきた.リスナーは一般に作曲者の意図と似た印象を抱くものの,音楽の知識や経験などのリスナーの特性に応じて,異なる思考を持って楽曲を聴いていると考えられる.そこで本稿では,リスナーの音楽経験が楽曲印象に与える影響に着目し,リスナー特性ごとに,その楽曲印象を作曲者意図と比較した.作曲者とリスナーそれぞれが楽曲を聴いている際の生体信号(皮膚温,皮膚電気抵抗)計測データや,アンケート調査の結果を比べ,考察を行った.Composers composer with specific intentions in mind. Based on this assumption, we have conducted research, comparing the impressions listeners feel towards music they listen to and the intentions composers have behind those songs. We have seen, in general, listeners have similar impressions to the intentions of composers. However, we believe listeners listen to music in different ways based on their characteristics (e.g. musical experience,) which would result in a difference of impression within listener groups. In this paper, we have focused on the difference of listener impressions caused by difference in musical experience, and have compared those impressions with composer intentions. We discuss different findings we have made from the physiological data (skin conductance response, skin conductance level and fingertip temperature) and survey data obtained from our experiment.