著者
柴崎 秀子 時本 真吾 小野 雄一 井上 次夫
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.101-120, 2015-02-28 (Released:2015-04-16)
参考文献数
56

本研究では日本人高校生用の日英両語のリーディングスパンテスト(RST)を開発し,集団による短時間での実施が可能であるかどうか試行した.その結果,本研究で開発したRSTの信頼性係数は日本語(α=.864),英語(α=.875)ともに高く,得点分布に正規性が示され,RSTを集団で行うことが可能であることが示された.このテストを用いて,高校2年生を対象に日英語RST得点の相関を分析したところ,英語習熟度の高い群の相関係数は.677,低い群は.531であった.英語専攻の大学生を対象にした先行研究では日英語RST得点の相関係数は.84と報告されている.これらの結果は,第二言語の習熟が進んだ学習者は未熟な学習者よりも日英語RSTの相関係数が高いことを示し,その理由として,第二言語に熟達した読み手は第二言語読解を母語読解に近い形で行うことができるからではないかと推測される.
著者
小野 耕二 ONO Koji
出版者
名古屋大学大学院法学研究科
雑誌
名古屋大学法政論集 (ISSN:04395905)
巻号頁・発行日
vol.276, pp.63-95, 2018-03-25

本稿は、平成27年度から29年度にかけて支給されている以下の科学研究費による成果の一部である。課題番号15K03272、科学研究費基盤研究(C)、研究課題「『たちの悪い問題』への適用可能性の検討を通じた『ガバナンス形成』理論の研究」。本稿の一部はまた、次の科学研究費に基づく共同研究の成果ともなっている。課題番号26284014、科学研究費基盤研究(B)、研究代表者:安藤隆穂、研究期間:平成26年度~29年度、研究課題「自由主義と自由の制度化の多元性と相互作用:思想史の東西融合と学際的展開に向けて」。
著者
林 孝一 馬場 亮太 御園 秀一 小野 健太 小原 康裕 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.6_39-6_48, 2014-03-31 (Released:2014-06-10)
参考文献数
25

60年近い歴史をもつ東京モーターショーに出展されたショーカーはそれぞれの時代の社会変化を鋭く反映してきた。本研究は各ショーカーの訴求ポイントをグループ化し、そのコンセプトを、「性能」、「社会対応」、「サイズ」、「付加価値」の4カテゴリーに分類し考察を加えた。その結果、日本の自動車産業とデザインの変遷は7つの時代に分類して精査していくことが適切であるとわかった。さらにその時代ごとのデザインへの期待や役割の変化が以下の4つに区分される事も判明した。1954~70年:欧米のライフスタイルに追従するドリームデザイン、1971~84年:機能とデザインの融合により意味と独自性があるデザインの創生、1985~2008年:製品多様化と市場の飽和を背景とした新規性コンセプトの探求とデザイン領域の拡大、2009年~現在: 環境問題や高齢化を反映した車の次世代モビリティーとしての再構築である。この様に社会情勢の変化に応じたデザインへの期待、役割の変化を明らかにした。
著者
小野 悠
巻号頁・発行日
2016-03-24 (Released:2017-10-23)

学位の種別: 課程博士 審査委員会委員 : (主査)東京大学准教授 城所 哲夫, 東京大学教授 浅見 泰司, 東京大学教授 小泉 秀樹, 東京大学准教授 瀬田 史彦, 東京大学教授 大月 敏雄
著者
中村 覚 佐久間 淳 小林 重信 小野 功
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第22回全国大会(2008)
巻号頁・発行日
pp.83, 2008 (Released:2009-07-31)

本論文では,クォートドリブン市場におけるマーケットメーカー(MM)の戦略獲得問題を,MMの利益および約定率の観点から多目的最適化問題として定式化し,多目的遺伝的アルゴリズムにより戦略の最適化を行う手法を提案する.
著者
小野寺 敦子 青木 紀久代 小山 真弓
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.121-130, 1998-07-30
被引用文献数
15

はじめて父親になる男性がどのような心理的過程を経て父親になっていくのか, そして親になる以前からいだいていた「親になる意識」は, 実際, 父親になってからのわが子に対する養育態度とどのように関連しているのかを中心に検討を行った。まず, 父親になる夫に特徴的だったのは, 一家を支えて行くのは自分であるという責任感と自分はよい父親になれるという自信の強さであった。そして父親になる意識として「制約感」「人間的成長・分身感」「生まれてくる子どもの心配・不安」「父親になる実感・心の準備」「父親になる喜び」「父親になる自信」の6因子が明らかになった。親和性と自律性が共に高い男性は, 親になる意識のこれらの側面の内, 「父親になる実感・心の準備」「父親になる自信」が高いが「制約感」が低く, 父親になることに肯定的な傾向がみられた。また, これらの「親になる意識」が実際に父親になってからの養育態度にどのように関違しているかを検討した。その結果, 「制約感」が高かった男性は, 親になってから子どもと一緒に遊ぶのが苦手である, 子どもの気持ちをうまく理解できないと感じており, 父親としての自信も低い傾向がみられた。さらにこれらの男性は, 自分の感情の変化や自己に対する関心が高い傾向が明らかになった。
著者
小野 英志
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-10, 1998
参考文献数
58

スタンリ・モリスンは, ゴランツ書店の斬新なブック・ジャケットによって知られるデザイナーあるいはアート・ディレクターであると同時に, 印刷・出版の歴史に関する深い学殖を備えた研究者でもある。1932年に発表され, 現在では最もポピュラーなローマン書体とも見做すことのできるタイムズ・ニュー・ローマンの開発経緯を例として, 彼の書体開発態度を, その著作を通じて検討した。その結果, 書体開発における彼の態度は, ブック・ジャケットのデザインのような場合とは異なり, たいへん慎重かつ保守的であり, そのことがまた彼の書体観ないし書体史観の反映であることが了解された。モリスンにおいてこうした態度を支えているものは, 文字の歴史に関する該博な知識と, それが差し示す書体の正統的形態を尊重する姿勢である。
著者
市川 裕 佐藤 研 桑原 久男 細田 あや子 高井 啓介 月本 昭男 高橋 英海 菊地 達也 長谷川 修一 葛西 康徳 江添 誠 牧野 久実 小堀 馨子 鎌田 繁 中西 恭子 土居 由美 嶋田 英晴 志田 雅宏 櫻井 丈 小野 塚拓造 山野 貴彦 アヴィアム モルデハイ
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ユダヤ教の歴史を調べていくと、のちに出現する二つの一神教、キリスト教とイスラーム、を生み出す基盤になっていることがわかる。宗教学の歴史は信仰を基盤とする西欧のキリスト教を宗教の一般モデルとしたため、このモデルから外れる諸要素は関心から外れた。しかし、イスラームとラビ・ユダヤ教はそれぞれ、シャリーアとハラハーを特徴とする啓示法の宗教であり、預言者に啓示された神の意志は、日常生活の行動様式を詳細に規定している。これら一神教の二つの異なる類型がともに古代ユダヤ社会に起源を有することを示して、一神教の歴史全体を動態的に理解する道筋を示すことは、人類の宗教史を考察する上で文明史的意義を持つものである。
著者
小野 直亮 横山 直己 黄 銘 Md. Altuf-Ul Amin 中本 雅俊 太田 大策
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
Journal of Computer Aided Chemistry (ISSN:13458647)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.110-116, 2017 (Released:2017-08-01)
参考文献数
16

マイクロアレイや次世代シーケンサーを用いた網羅的発現変動解析において、多数の実験条件の組み合わせの中から有意に細胞の表現型に影響を与えているものを見つけ出す必要があり、そのためには分散分析(ANOVA)を始めとする多変量解析のための統計分析手法が必要となる。本研究ではRNA-seqを用いたユーグレナ(Euglena gracilis)の発現解析のデータをもとに、Bayes ANOVAを用いた発現変動解析により代謝経路のなかで有意に変動している遺伝子を抽出するアプローチを紹介する。培養条件の変化(好気環境から嫌気・微好気への変化)及び、増殖フェイズの変化(指数増殖期から定常期への変化)に応答して発現の変動した遺伝子を解析した。置換検定にもとづいてベイズ因子の分布を計算することにより、一般には検出の基準が不明瞭なベイズ因子によるモデル比較に対し、有意水準やFDRによる定量的な検出の基準を与えることを可能にしている。
著者
工藤 豊 小野 良平 伊藤 弘 下村 彰男
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.369-372, 2007-03-30 (Released:2009-03-31)
参考文献数
35
被引用文献数
3

Kaki is one of the most familiar fruit trees in Japan and a landscape with kaki tend to be connected with a nostalgic image of an autumn rural landscape. In this respect, a landscape with kaki can be seen as a Japanese “prototype-landscape.” The point we have to focus on here is that common image and feeling about kaki are shared among the Japanese. It is due to our “landscape viewpoints”, a common “way of seeing” shared in a specific social group. This study considers how our landscape viewpoints have been changed by analyzing the representation (waka, haiku and painting) of kaki as an expression of landscape. Kaki might have been one of the most familiar fruits in Japan throughout the history. It was, however, after the latter half of the 17th century, when haiku had been established and spread, that a landscape with kaki started to be expressed positively. This can be explained that our “landscape viewpoints” had been turned from the traditional one, in which waka played the most important part, into the modernized one, through some new cultural activities which began in the Edo era. New landscape discovered by new culture in the Edo era had been combined with rural landscape, and have been regarded as Japanese prototype-landscape.
著者
小野 良平
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.409-412, 1997-03-28
参考文献数
41

東京の上野公園は, 明治初期に内務省の主導の下, 博物館事業や内国勧業博覧会を推進する国家的公園として開設された。本稿では, 明治期の国家的イベントとして最も重要である天皇が臨幸した儀礼的行為に着目し, たびたびその会場となった上野公園を対象に明治期の公園の空間構造の形成に及ぼした影響について考察した。現在に至る空間の骨格は明治初期に形成され, はじめに上野に国家的性格を与える儀礼が行われ, つづいて天皇を視覚化して国民に示すという政治的要請が, 公園の空間的特性を規定する一要因となったこと等が明らかになった。
著者
深山 覚 中妻 啓 酒向 慎司 西本 卓也 小野 順貴 嵯峨山 茂樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.1709-1720, 2013-05-15

日本語歌詞からユーザの意向を反映して多様な歌唱旋律を生成するための自動 作曲法があれば,歌のプレゼント,メールの歌い上げ,非専門家の創作支援な どが行える.本論文では初めに,自動作曲される旋律の多様性向上と音楽性の 保持の両立が難しいこ とを議論し,特に日本語歌詞から歌唱旋律を生成する際には,(1)音符数の変化 にかかわらず同じ印象を持つリズムの生成法と,(2)ユーザの意向,歌詞の韻律 と古典的な作曲法に基づ く制約条件を満たす音高列の生成法が必要であることを論じる.(1)については リズム木構造仮説に基づく方法,(2)については,動的計画法を用いた確率最大の音高系列 の探索により解決できることを示す.様々な制約条件のもと自動作曲した結果について専門家による評価を行ったと ころ,本手法によって古典的な歌唱旋律の作曲法からの逸脱の少ない旋律が生 成されることが示され,ユーザの意向を反映して多様な旋律を歌詞から生成す る方法として有効であることが分かった.
著者
小野田 元
出版者
Society of Advanced Science
雑誌
Journal of Advanced Science (ISSN:09155651)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.f1-f4, 2000-04-30 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5
著者
二宮 隆次 小野 浩幸 高橋 幸司 野田 博行
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.93-104, 2016 (Released:2016-07-07)

本研究では、産学官連携の現場の諸活動について、大量の質的(定性的)データを基に計量的分析を実施し、可視化した情報として提供することを試みた。具体的には、日経産業新聞の連載記事「ベンチャー仕掛け人」を、テキストマイニング手法「KH Coder」を用いて分析した。その結果、①大学の共同研究センター等を中心とした産学官連携活動、②インキュベート施設を中核とした活動、③資金に関するベンチャーキャピタルや金融機関を中心とした活動、のそれぞれの活動において、出現する言葉に特徴があることが明らかになった。また、特徴的な3つのグループにプロットされた語から特定語を選択して共起分析した結果、①の「産学」による分析では、研究、開発、技術および連携の4つ語が強く共起関係を結び、加えてそれぞれの語がほかの関連語とネットワークを結び、産学官連携の活動パターンを形成していることが確認できた。②の「施設」と「入居」による分析では、主たる活動は起業、事業を育成することであることが見て取れた。施設と入居の語の共起分析から、施設には入居タイプと入居がないものがあり、入居は技術、経営の語の共起関係が比較的高く、施設は、地域、開発および相談が高いことがわかった。③の「上場」と「ファンド」による分析では、起業・研究フェーズでの事業の元手となる出資やベンチャーキャピタル、実用化・会社設立フェーズでのファンド・株式、事業経営の維持・拡大フェーズでの銀行等金融機関の融資などが共起していることが確認された。以上のことから、本研究は、産学連携活動を効率的、かつ、効果的に実施するうえで重要な情報を提供しうるものと考えられる。
著者
大塚 脩斗 坪井 大和 村田 峻輔 澤 龍一 斎藤 貴 中村 凌 伊佐 常紀 海老名 葵 近藤 有希 鳥澤 幸太郎 福田 章真 小野 玲
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.3-11, 2017 (Released:2017-02-28)
参考文献数
37

目的:地域在住高齢者における包括的に評価されたヘルスリテラシーと健康関連Quality of Life(以下,QOL)との関連について検討すること.方法:本横断研究の対象者は,65歳以上の地域在住高齢者330名(73.8(SD 5.5)歳,女性226名)とした.ヘルスリテラシーの評価には14-item Health Literacy Scale(以下,HLS-14)を用い,総得点と機能的,伝達的,批判的ヘルスリテラシーの各下位分類得点を算出した.健康関連QOLの評価には12-Item Short Form Health Surveyを用い,Physical Component Summary(以下,PCS),Mental Component Summary(以下,MCS)を算出した.単変量解析では,PCSおよびMCSとHLS-14の総得点および各下位分類の相関についてSpearmanの順位相関係数を用いて検討した.重回帰分析では,従属変数をPCSおよびMCS,独立変数をHLS-14の総得点および各下位分類とし,共変数を投入したモデルを作成した.結果:単変量解析の結果,以下の関係において有意な相関が示された.1)PCSと機能的ヘルスリテラシー(相関係数 rs=0.21,p<0.01),2)MCSと総得点(rs=0.14,p=0.01),3)MCSと機能的ヘルスリテラシー(rs=0.22,p<0.01),4)MCSと伝達的ヘルスリテラシー(rs=0.14,p=0.01).重回帰分析の結果,PCSおよびMCSと機能的ヘルスリテラシーにおいてのみ独立して有意な関連が認められた(PCS:標準β=0.20,p<0.01,MCS:標準β=0.13,p=0.02).結論:本研究では,機能的ヘルスリテラシーと健康関連QOLにおいて独立して有意な関連が示され,健康関連QOLの向上のためには,高齢者に対する健康関連情報の提供方法を工夫することが重要であると示唆された.
著者
小野 淳 斎藤 富由起 Atsushi Ono Saito Fuyuki 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
pp.35-47, 2008

いじめ現象の第三のピーク期(尾木・渡部,2007)において、子どもたちの約40-50%がいじめに関係している。こうした動向の中で、新しいいじめの形態として、携帯やEメール、インターネット上の掲示板などを媒介とする「サイバー型いじめ」(Cyber Bullying)が注目されている。本論文では、第一に「サイバー型いじめ」が登場した背景とその定義を紹介し、第二に、サイバー型いじめの特徴や種類を伝統型いじめ(Traditional Bullying)との比較を通じて論じた。第三に代表的な教育委員会の取り組みと海外での教育心理学に基づくサイバー型いじめ対策プログラムを紹介し、今後のサイバー型いじめ対策の課題を検討した。