著者
小野 恭靖
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 1 人文科学 (ISSN:03893448)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.63-74, 2009-09

「隆達節歌謡」は安土桃山時代から江戸時代初期にかけて、高三隆達の節付けによって評判を取った一大流行歌謡である。隆達は大永七年(一五二七)に泉州堺の地で生誕し、慶長一六年(一六一一)に八五歳の生涯を閉じたが、同時代に同じ堺で活躍した町衆は多い。中でも三宗匠と称された茶人の千利休、今井宗久、津田宗及の存在は無視できない。他にも早歌という歌謡に秀でた松山新介がいた。本稿では安土桃山時代の歌謡界をリードした「隆達節歌謡」の心とことばの中に、同じ時空を生きた堺文化圏で育まれた精神、とりわけ堺の茶人たちの「わび」の心が反映されていることを具体的に考えていきたい。"Ryutatsubushi-kayo"became very popular from the Azuchimomoyama era to the early years of the Edo era. They are songs which were sung by Takasabu Ryutatsu who lived in Sakai. In those days three great genius of the tea ceremony, Sen-no-Rikyu, Imai Soukyu, Tsuda Sougyu, flourished in the same place. They thought "wabi"was very important mind in the tea ceremony. In this report it is written that there is similar mind to"wabi"in the words of "Ryutatsubushi-kayo"
著者
磯野 春雄 小野口 和樹
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.J221-J226, 2016

電子書籍の読書方法には読取りと聴き取りの二つの方法がある.しかし,これらの読書方法の違いが脳の活性化や内容理解度に及ぼす影響については明らかにされていない.本論文では,同一内容の電子書籍を読取りした場合と朗読音声やコンピュータ合成音声で聴き取りをした場合の大脳前頭前野における脳血流を測定した.その結果,電子書籍の読取りをした場合の方が聴き取りをした場合よりも大脳前頭前野の活性度が高いことがわかった.特に,朗読音声の聴き取りをした場合には,読取りをした場合に比べて大脳前頭前野の活性度が顕著に低下した.また,読書終了後に実験参加者を対象に内容理解度テストを実施した結果,読取りの方が聴き取りよりも理解度の平均値が高かった.しかしながら,両者の間に統計的有意差は認められなかった.
著者
立堀 道昭 鈴村 豊太郎 小野寺 民也
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.1-12, 2009-08-28

ウェブ・アプリケーション開発では,通常 HTML テンプレートを用いてウェブページの表現部を背後にあるビジネスロジックやオブジェクトから分離するのが事実上の標準プログラミングモデルとなりつつある.本稿では,このテンプレートに基づくプログラミングにおける典型的な慣習に着目し,従来の実装形態とは大きく異なる実装を施したサーバ側テンプレート・エンジンである FlyingTemplate について述べる.FlyingTemplate では,既存のウェブ・アプリケーションのテンプレート・エンジンを置き換えることにより,ウェブサーバの負荷を,自動的に,かつ従来の自動分散機構より安全にクライアントに分担させることができる.FlyingTemplate では,HTML 文書をまるまる生成する代わりに,テンプレートのパラメータ値とクライアント側で動作するブートストラップのコードのみを含む骨子文書を生成する.ブートストラップコードはクライアント側用のテンプレート・エンジンとウェブページのテンプレートをそれぞれサーバから取り寄せることにより,ウェブブラウザのキャッシュを有効利用できる.実験として,SPECweb2005 の Banking アプリケーションをそのまま,テンプレート・エンジンのみ FlyingTemplate で置き換えたところ,キャッシュがよく当たるケースでは,1.6 倍から 2 倍のスループット向上がみられた.
著者
盛屋 邦彦 長岡 健 山本 文 小野田 哲弥
出版者
産業能率大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

今年度の研究作業としては主に昨年度後半から学習ポートフォリオシステム(CoCoCo)を試験的に実際の授業に適用した。適用した授業は昨年度から合計すると全部で7科目となった。その中から学生の利用ログを用いて学習の分析を行った。その結果、学生がポートフォリオ(レポート)を作成する上で、みずからが考えなければならないものについては、他の学生のポートフォリオを参照する傾向があることをみいだした。このことはCoCoCoがゆるやかな(学生間の関係が強くない)協調学習の環境として効果的に働いたものとして評価できる。このことについては学会への発表および論文としてまとめた(経営情報学会春季全国研究発表大会、産業能率大学紀要)。またCoCoCoシステムについては改良を行い、応答時間の改善を図り、システムの利点や機能・アーキテクチャについて、実際の開発に携わった学生が学会にて発表を行った(CIEC PC Conference学生論文賞受賞)。CoCoCoについての学生側からの意見についてはアンケートを実施することで収集し、現在の学生が(1)どのような環境で学習をするのか適切か?(2)電子ポートフォリオはどのように形成されるか?(3)今後、システムとしてどのような機能を入れるべきかについて分析・考察した。その結果、電子ポートフォリオは学生みずからの過去の内容、及び他の学生の内容を参照するという点でCoCoCoのようなSNSを利用することは効果的であることが再確認された。また機能的には、現時点での学生の考え方をリアルタイムに教員ヘフィードバックできる機構が必要であることがわかった。今後は、このリアルタイムでの教員へのフィードバック機能として、アンケート機能をCoCoCoに付加していくことを検討している。また、より学生間の関係が強い、いわゆるグループワークに適した環境も追加していくことを考えている。
著者
山口 莞爾 福元 和真 松下 侑輝 川崎 洋 小野 晋太郎 池内 克史
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.115-121, 2016-03-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
10

近年,ドライブレコーダーなどの車載カメラの増加とWeb による画像や動画の共有サービスの一般化により,世界中の都市の風景画像や映像をインターネットから取得することが出来るようになってきた.これらの情報は,都市の三次元モデル生成への応用や,地図の頻繁な更新,あるいは景観シミュレーションなど,幅広い応用が期待されるが,そのためには撮影された位置の情報が必要となる.しかし,GPS などの位置情報が,必ずしも画像や映像に付加されているとは限らない.そこで,このようなシーン情報から撮影位置を同定する研究が盛んに行われているが,ほとんどの研究は,ある程度の位置が分かっていることを前提に,詳細な位置合わせをするものであった.一方で,世界中の都市を対象として,大域的な位置推定を目指した研究例はほとんど無い.そこで,本論文では世界中の映像を対象として,大域的な位置推定を行うことを目標とする.大域的な位置推定ができれば,既存の詳細位置合わせ手法を適用できると考えられる.提案手法では,Google Street View の画像を学習データとして深層学習(Deep Learning) による認識を行うものとし,認識に際して,カメラごとの特性の違いや,視点の位置姿勢が異なることよる見えの変化に対応するものとした.都市の数が増えると難易度が上がると考えられることから,今回は,主要都市のみを対象として,どの程度の認識が可能か検証を行った.実験の結果,提案手法により,従来よりも高い認識率を実現できることが分かった.
著者
小沼 守 小野 貞治 石田 智子 渋谷 久 佐藤 常男
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.85-88, 2009 (Released:2010-08-07)
参考文献数
9
被引用文献数
1

フェレット111症例における麻酔関連偶発死亡例をAmerican Society of Anesthesiologists Physical Status (ASA-PS)で分類し、調査したところ、24時間以内の麻酔関連偶発死亡率は、2.7%(ASA III、2例;ASA IV、1例)であり、その死亡例はすべて4歳以上の症例で、手術前後に発現した麻酔合併症の心停止により死亡した。よって4歳以上、ASA III以上は、麻酔の危険度が有意に高くなる条件になることが考えられた。
著者
溝口 忠 高橋 誠 小野 大介 堀 雅宏 谷口 眞
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 = Journal of Japan Association on Odor Environment (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.11-17, 2009-01-25
参考文献数
14

賃貸集合住宅で居住者退去後に問題となる前居住者の生活残留臭の除去方法を実験により検討した.処理法としては3種の植物性オイルミスト,グラフト重合高分子塗膜剤処理,オゾン処理を取り上げた.ペット臭・煙草臭・芳香臭を着臭させたペーパータオルについてスクリーニング試験を行い,比較的効果の高い方法を実住宅に適用して評価した.塗膜処理はスクリーニング試験では有効であったが,実住宅では大きな効果は見られなかった.オゾン処理は10ppm 14時間処理で臭気強度4から2に低下することができた.これらの検討を通して残留臭気の除去ついての知見が得られた.
著者
北本 朝展 小野 欽司
出版者
国立情報学研究所
雑誌
NII journal (ISSN:13459996)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.7-22, 2000-12-20
被引用文献数
2

本論文の目的は、気象学的知識と情報学的アプローチとを融合した台風雲パターンの時系列解析法を提案し、台風解析における熟練者の解析作業支援や、大量の台風画像からの知識発見などを実現することにある。そのための基礎となるデータセットとして、本論文では20,000 枚規模の台風画像コレクションを構築する。ここで台風画像とは、台風のベストトラックに記録された台風中心が地図投影画像中心に一致するように、台風周辺領域を衛星受信画像から切り出したものである。このようなラグランジュ的表現によって、台風雲システム全体の動きから台風雲パターンに固有の動きを分離できる。次に本論文では、台風雲パターンに特徴的な楕円形状を表現するための手法として、変形楕円を用いた形状分解手法を提案する。この結果を用いて台風の日変化の解析という台風解析の問題に取り組んだところ、本論文で提案する手法は、気象学的知見と一致するような、気象学的に意味のある情報を抽出することができた。
著者
犬塚美輪 島田英昭 深谷達史 小野田亮介 中谷素之
出版者
日本教育心理学会
雑誌
日本教育心理学会第60回総会
巻号頁・発行日
2018-08-31

企画の趣旨 論理的文章の読み書きは,教授学習の中の中心的活動の一つである。自己調整学習の研究や指導実践が数多く実施され,読解や作文を助ける方略やその指導が提案されてきた。 本シンポジウムの第一の目的は,読むことと書くことの関連性を捉え,その観点から新たな論理的文章の読み書きの指導を考えることである。読むことと書くことの研究は,別の研究領域として扱われることが多かった。しかし,両者は本来テキストによって媒介されるコミュニケーションとしてつながりを持つものと考えられる(犬塚・椿本,2014)。従来明示的でなかった読むことと書くことのつながりを意識することで,読み書きの研究・実践に新たな視点を提示したい。 第二の目的は,感情の側面を視野に入れた読み書きのプロセスを検討することにある。論理的文章の読み書きでは,動機づけ以外の情動的側面に焦点があてられることが少ないが,その一方で,情動要因の影響を示す研究も増えている。特に実践の場では学習者の情動的側面は無視できない。これらの観点を総合的に踏まえ,論理的文章の読み書きの指導について検討したい。感情と論理的文章の読み書き島田英昭 文章の読み手は感情を持つ。論理的文章を書いても,読み手の感情によっては論理的に読まれない。本シンポジウムでは,読み手の感情が文章の読みに影響することを示した,話題提供者自身の実験研究を2点紹介し,論理的文章の読み書きについて二重過程理論の観点から考える。 第1の実験研究は,読解初期の数秒間における読みのプロセスである(島田, 2016, 教育心理学研究)。実験参加者は,タイトル,挿絵,写真の有無等が操作された防災マニュアルの1ページを2秒間一瞥し,そのページをよく読んでみたいか,そのページがわかりやすそうか,の質問に答えた。その結果,タイトル,挿絵,写真の存在が,読み手の動機づけを高めることを示した。また,タイトルのような文章の構造に関わる情報の効果は,挿絵・写真のような付随的な情報の効果に比べ,より高次の認知プロセスによることが示唆された。 第2の研究は,共感と読みの関係である(Shimada, 2015, CogSci発表)。教員養成課程の学生が,「わかりやすい教育実践報告書の書き方」と題されたマニュアルを読み,内容に関するテストへの回答,主観的わかりやすさの評価等を行った。マニュアルは2つの条件で作成し,一つは書き方のマニュアルに特化した統制条件,もう一つは執筆者のエピソードや挿絵等を追加した実験条件であり,実験条件は執筆者への共感喚起を意図したものであった。その結果,実験条件は統制条件に比べ,内容テストの得点は低かったが,執筆者に対する共感,主観的わかりやすさが高かった。 これらの実験研究は,読み手が文章を読むときに,動機づけや共感等の感情が影響していることを示している。ここから,論理的文章の読み書きについて,二重過程理論の観点から考える。二重過程理論とは,人間の思考や意思決定が無意識的,直観的で素早いシステム1と,意識的,熟慮的で遅いシステム2の並列処理により行われるというモデルである。このモデルから,読み手が論理的文章を論理的に読むための条件として,(1)読み手がシステム2を働かせる動機づけを高めること,(2)読み手がシステム1の感情的偏りに気づき,論理的情報を論理的に処理すること,の2点が浮かび上がる。本シンポジウムでは,読み手のこのような特性に基づき,「論理的に読んでもらえる論理的文章」について議論する。自ら方略的に読み書く児童を育てる授業実践―小学校4年生における説明的な文章の指導―深谷達史 文章を的確に読むための知識は,文章を的確に書くためにも有用であることがある。例えば,説明的な文章が主に「問い-説明-答え」の要素からなるという知識は,説明文を読む場合のみならず書く場合にも活用可能だろう。本研究は,説明的な文章の読解と表現に共通して働く知識枠組みを「説明スキーマ」と捉え,小学校4年生1学級を対象に,説明スキーマに基づく方略使用を促す2つの説明的文章の単元の実践を行った。 実践1は1学期の5月に(単元名「動物の秘密について読んだり調べたりしよう」),実践2は2学期の10月に行われた(単元名「植物の不思議について読んだり知らせたりしよう」)。2つの実践では,単元の前半に説明スキーマを明示的に教授し,問いの文を同定するなど,説明スキーマを活用して教科書の教材を読み取らせた。単元の後半では,問い-説明-答えの要素に基づき,授業時間外に読んだ関連図書の内容を説明する文章を作成した。また,こうした単元レベルの主な手だての他,1単位時間の工夫としても,ペアやグループで読んだことや書こうとしていることを説明,質問しあう言語活動を設定し,内容の精緻化を図った。 効果検証として3つの調査を行った。事前調査は4月に,事後調査は11月(表現テストのみ12月)に実施した。第1に,質問紙調査を行った。例えば,読みと書きのコツについて自由記述を求めたところ,読み・書きの両方で,事前から事後にかけて説明スキーマに基づく記述数の向上が認められた。第2に,実際のパフォーマンスを調べるため,授業で用いたのとは別の教科書の教材をもとにテストを作成し,回答を求めた。その結果,問いの文を書きだす設問と適切な接続語を選択する設問の両方で,正答率の向上が確認された。最後に,事後のみだが,他教科(理科)の内容でも,自発的に説明スキーマに基づく表現を行えるかを調査したところ,大半(9名中8名)の児童が,問い-説明-答えの枠組みに基づいて表現できた。自己調整学習の理論では,他文脈での方略活用が目標とされることからも(Schunk & Zimmerman, 1997),論理的に読み書く力を育てる試みとして本研究には一定の意義があると思われる。意見文産出における自己効力感の役割小野田亮介 意見文とは「論題に対する主張と,主張を正当化するための理由から構成された文章」として捉えられる。主張を正当化する理由には,自分の主張を支持する「賛成論」だけでなく,主張に反する理由である「反論」とそれに対する「再反論」が含まれるため,論理的な意見文には,これらの理由が対応し,かつ一貫していることが求められる。それゆえ,意見文産出に関する研究では,学習者が独力で適切な理由選択を行い,一貫性のある文章を産出するための目標や方略の提示が行われてきた(e.g., Nussbaum & Kardash, 2005)。 ただし,理由間の一貫性を考慮した文章産出は認知的負荷の高い活動であるため,上述の介入を行ったとしても全ての学習者が目標を達成できるとは限らない。忍耐強く文章産出に取り組むためには,文章産出に対する動機づけが不可欠であり(e.g., Hidi & Boscolo, 2006),中でも「自分は上手に文章を産出できる」といった自己効力感を有することが重要だと指摘されている(e.g., Schunk & Swartz, 1993)。したがって,目標達成を促す介入を行ったとしても,そもそも学習者の意見文産出に対する自己効力感が高くなければ,介入の効果は十分には得られない可能性がある。 ところが,筆者のこれまでの研究では,意見文産出に対して高い自己効力感を有する学習者ほど,目標達成に消極的であるという逆の結果が確認されてきた(小野田,2015,読書科学)。その原因として考えられるのは,意見文産出に対する自己効力感が「自分なりの書き方への固執」と関連している可能性である。すなわち,「自分は上手に意見文を産出できる」と考えている学習者は,書き方を修正する必要性を感じにくいため,意見文産出の目標や方略を外的に与えられたとしても書き方を修正しようとしなかった可能性がある。 ここから,意見文産出指導では自己効力感がときに介入の効果を阻害することが予想される。その場合には,学習者の自己効力感を揺らしたり,一時的に低減させるような指導が必要になるのかもしれない。本発表では,これらの研究結果について紹介しつつ,説得的な意見文産出を支援するための工夫について考えていきたい。
著者
佐川 真由美 金子 武生 赤川 志郎 小野 憲一郎
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.871-874, 1995-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
8
被引用文献数
4 8

給餌後の血漿クレアチニン (Cre) 値の増加の割合と摂食フード中のCre含有量とは高い相関性を有し, 高Cre含有フード給餌猫では血漿Cre値が摂食前値に復するまで約24時間を要した.猫の血漿Cre値の評価に当たっては, 給餌の影響を考慮する必要があると考えられた.
著者
小野 修三
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 社会科学 (ISSN:13425390)
巻号頁・発行日
no.11, pp.122-33, 2000

解題・凡例救貧要論汎論目次第一章濟貧の略史救貧と文明救濟と政治救濟と宗教宗教的救濟の基礎観念宗教的救濟の衰退救濟法の変遷濟貧院の創設〔都市と救濟]〔濟貧制の設定〕中世の濟貧状態救濟主管の異動都會と救濟濟貧制度の設定現代の濟貧制度第二章 貧民の意義、實體及び範囲貧民とは何ぞ貧民の種類貧民古今の比較観偶發的貧民貧冨の懸隔か將た貧冨の変動か貧困の原因如何なる標準に由て貧困の範囲を知るを得べきか勞銀の増減居住関係結婚統計消費統計死亡統計細民の家計状態小河滋次郎の救貧要論社會的救濟事業の組織第三章 公的救貧救貧制度の大要救貧制度の缺点公的救貧の施行法エルベルフェルド式婦人と救貧ストラースブルグ式公的救貧の經費第四章 宗教的及有志的救貧権力と慈愛新教と救貧旧教と救貧救世軍と救貧猶太教と救貧赤十字と愛國婦人救貧事業の統一調和倫敦中央慈善協會伯林中央慈善協會第五章 救貧事業の十則救濟の普及査賑扶養義務の勵行根本的救濟質實當事者の精進救濟の標的救濟の本質廉耻心の保全家庭式各論第六章 社會的救濟事業に對する立法發達の影響勞働者の保護勞働保険法疾病保険保険法の效果雇傭契約抵當権私生児の扶養義務人事相談所第一欸 貧困の主因に對する豫防第七章 失業就業の権利職業紹介失業保険勞働組合授産塲授産殖民無宿勞働者保護法小河滋次郎の救貧要論免囚保護移住第八章 國民病結核病結核豫防の二要件病院療養私的救濟事業としての結核豫防精神病花柳病第九章 酒毒酒料の消費高禁酒法酒毒療養院禁酒運動青十字ゴーデンブルグ式第十章 家政難収入の問題に非す支出の問題なり主婦と家政家政練習勞働婦女の寄宿家政講習科目第二欸 貧困の直接救濟第十一章 収容的救濟救濟法の種類病院貧民授産塲 病院の構造バラック、バビロン式回復院林間保養院看護者分娩院唖院盲院盲唖生の強制教育療疾院精神病院養老院第十二章 自由的救濟自由救濟の長所生計の保護金保と物保の利害監督居住難の真相家賃の補助無宿者の措置自宅救療救療醫と看護者配食所慰問籃第三欸第十三章 幼児及少年の保護乳児乳児の死亡保護相談所私生児棄児院里預孤児小河滋次郎の救貧要論貧児病弱児 揺籃院幼児保護所(抹消)幼学舎保養所〔院〕生徒の健康状態保養の善後低能児勞働…姐感化事業救濟と児童保護補習教育職業の選擇國民教育大学生の活動第四欸第十四章 貧民の取締救濟の聲刑法の制裁警察と裁判窮民と遊民調査権と申告義務民法の扶養規定救濟と文明本能的救濟
著者
小野 ミツ
出版者
ヒューマンケア研究学会
雑誌
ヒューマンケア研究学会学術集会 プログラム/抄録集 (ISSN:2187283X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.11-11, 2016-10

高齢化に伴う要介護高齢者の増加している中、在宅で虐待を受けている高齢者の7割が要介護認定を受けており、高齢者の介護問題は、今や、家族の限界を超えているといえます。長寿という人類の夢を、悪夢と終わらせない知恵や地域づくりが、今、求められています。このような現状の中で、要介護高齢者、家族、地域の人々、そして地域ケア関わる全てが、住み慣れた家や地域で安心して生活できる地域包括ケアシステムづくりに向けた取り組みをし、かに推進することが重要な課題となっています。
著者
小野 和幸 大河原 治平 阪本 敏久
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.64-68, 2017-02-28 (Released:2017-02-28)
参考文献数
12

現場での心肺蘇生拒否(do not attempt resuscitation,以下DNARと略す)の意向をもつ家族等に対応するための「救急隊員が行う応急処置に関する要望書」(以下,要望書と略す)について,その使用状況を調査した。平成18年から24年の間に現場でDNARの要望があった対象例を検討した。調査期間中のDNAR対象は12件あり,11件で要望書が提出された。年齢は72歳から100歳まで,性別は男7名,女5名,DNAR意思確認書類を事前に提出されたのは1名,心肺蘇生実施4名,搬送実施9名であった。要望書はDNARの搬送のほか,特定行為を拒否し一次救命処置のみでの搬送や不搬送とすべき傷病者で活用されていた。傷病者の医療拒否権について合意形成がない中でも現場でDNARに遭遇することがあり,要望書は現状の解決策の1つと思われる。解決策として救急業務実施基準等の改定が望まれる。