著者
山本 優一 石川 陽介
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.17-21, 2018-05-31 (Released:2018-09-01)
参考文献数
14
被引用文献数
10 6

2015年に大阪府内においてバラ科樹木の害虫として世界的に知られているクビアカツヤカミキリ(Aromia bungii)が発見された。そこで,2015年から2017年に大阪府域において本種の宿主であるバラ科樹木を対象に被害状況を調査した。調査地において被害木は年々増加し,いくつかの被害木はおそらく本種の加害が原因で枯死した。サクラにおいては根元周が大きな木ほど被害を受けていた。一方で,同じ被害程度のサクラを根元周別に比較すると,大きな木ほど樹勢への影響を受けにくく,小さな木ほど枯損しやすい傾向にあった。被害木の被害部位の最高地上高は,大部分の被害木が地上から 2 mより低かった。また,被害を受けてからの年数が経過した被害木ほど被害部位の最高地上高は高かった。
著者
石野 洋二郎 手嶋 啓介 藤井 博之 山本 優作 齋木 悠
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:18848346)
巻号頁・発行日
vol.79, no.805, pp.1805-1815, 2013 (Released:2013-09-25)
参考文献数
13

A novel rotational internal combustion engine has been investigated in this study. No eccentric rotational component is used in this engine, resulting in vibration-free operation. The engine consists of rotor casing and two types of rotor; cycloid rotor and trochoid rotor. The shape of the cycloid rotor is characterized by epicycloid surface, and the trochoid rotor also superior-epitrochoid surface. In this paper, first, the typical configuration was shown. Next, a procedure for designing the rotors were described in detail. Furthermore the design drawing and appearance of the prototype engine were given. Its cyclic behavior, the time variations of the chamber volume and the estimated pressure were also indicated. Additionally the flame behavior in the working volume of the prototype engine driven in motoring condition, was presented. Finally the compactness and S/V ratio of the engine was investigated.
著者
小野部 純 今村 幸恵 神保 和美 山本 優一
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1184, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】Axillary web syndrome(以下AWS)は,乳がんの術後にみられ,腋窩から上腕内側または前腕にかけて皮下に索状物(cord)がみられ,強い疼痛と肩関節の可動域制限を呈する病態を指す。これは,手術による外科的侵襲によりリンパ管または表在静脈系の凝固能が亢進したために管内に血栓が生じ,さらに脈管の線維化が生じたためとされており,Mondor病の一種とも考えられている。AWSの多くは術後8週以内に発症し,通常2~3ヶ月程度で自然回復されるとされているが,長期化するケースも報告されている。また,有効な治療手段は確立されておらず,各治療施設によって異なる対応がとられている可能性が高い。そこで本研究では,文献検索によりAWSの治療介入方法の種類とその効果について抽出することとした。【方法】対象とする資料収集は2015年10月時点において,データベースとする医中誌データベースおよびMEDLINEより提供されている医中誌WebならびにPubMedを用いて行った。両データベースとも使用したキーワードは「Axillary web syndrome」とし,評価論文の種類は原著論文,症例報告とし,Reviewや会議録は除外した。収集した論文の選定は,テーマ,アブストラクトを確認し,以下の基準で選定を行った。選定基準として,①乳がん患者の術後を対象としていること,②理学療法の介入手段が記載されていること,とした。【結果】医中誌Webによる検索の結果,10編が該当し,その中から会議録を除外した結果,2編となった。次に,PubMedによる検索の結果32編が該当し,26編が選定基準に該当した。さらに内容を確認した結果,AWSに対する治療方法が記載されていたのは3編のみであった。該当した論文から,効果があった治療手技として挙げられていたのは,関節可動域訓練,ストレッチ,モビライゼーション,軟部組織への徒手療法,温熱療法,コッドマン体操であった。その効果としては,肩関節可動域の改善と疼痛の軽減が報告されていた。【結論】本結果から,AWSに対する理学療法手技を抽出することは出来た。しかし,論文数や対象者数が少なく,ランダム化比較試験は含まれておらず,効果的な治療手技が抽出できたとは言い難い。さらに,関節可動域訓練,ストレッチ,モビライゼーション,徒手療法のそれぞれの手技の違いが明確ではなく,ストレッチに関しても皮膚,筋,codeのどれを対照としてアプローチしているのかも一定ではなかった。AWSは,強い痛みと可動域制限から,著しくQOLを低下させてしまう。Torresらは,AWSの経過は一定期間で自然に収束する症状として見過ごされがちであるが,その病態を短縮できる治療方法の研究が必要であると提言している。本研究からは,現在行われている治療方法について抽出できたが,効果検証までには至らなかった。今後,増加するであろう乳がん術後の後遺症の一つとしてとらえ,有効な介入方法を確立していく必要があると考える。
著者
原 政人 赤堀 翔 深谷 宜央 山本 優
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.300-306, 2018 (Released:2018-04-25)
参考文献数
13

上下肢のしびれや痛みを主訴に来院する患者は多い. 鑑別診断を行うにあたり最も重要なのは, 神経診断を確実に行うことである. 症候と神経診断である程度の診断を固めた後に, 画像所見, 電気生理学的所見を総括し, 診断を確定する. 神経高位として, 脳・脊髄・神経根以外に上肢では, 胸郭出口症候群, 手根管症候群, 肘部管症候群, ギオン管症候群などを, 下肢では, 腓骨神経絞扼障害, 足根管症候群, 梨状筋症候群などを考慮する必要がある. 末梢神経絞扼障害においては, しびれ・痛みの神経支配領域を考えるのが診断にたどり着く近道である. Tinel徴候, 肢位による症状誘発テストは末梢神経疾患の診断においては今なお非常に有用である. 最近では, MRIや超音波検査などの画像診断が発達してきているが, 電気生理学的検査が今も重視されている. 末梢神経絞扼障害においては, 初期の症状においては局所安静が非常に有用で, その他, 理学療法, 薬物療法などの保存的治療が中心になる. 症状が強く日常生活に支障をきたしているもの, 筋力低下をきたしているもの, 症状が進行するものに対しては手術を考慮する. 日本は, 諸外国とは異なり, 神経診断と外科治療が分担されておらず, このためむしろフィードバックが確実に得られ, 診断能力の向上, ひいては手術手技の向上に寄与している可能性がある. 診断においては神経内科医, 治療に関しては整形外科医も関与しているが, 末梢神経疾患は神経全体を扱うことのできる脳神経外科医が取り組むべき疾患である.
著者
山本 優一
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:21870365)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.127-133, 2020-08-20 (Released:2021-02-20)
参考文献数
25
被引用文献数
3
著者
平林 公男 山本 優 津田 良夫 高村 健二 今藤 夏子 上野 隆平
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.61-65, 2016-03-25 (Released:2016-09-25)
参考文献数
19

The aftereffects of the Tsunami on the chironomid fauna were studied in the suburban Sendai area in Miyagi Prefecture and Minami-Souma area in Fukushima Prefecture, Japan during June 4–6 in 2013. A total of 31 individuals of 7 species were collected at 13 sampling stations. At the suburban Sendai area, we could mainly collect the larvae of Chironomus biwaprimus in small swamps. Moreover, Pseudosmittia sp. which is semi-terrestrial species, and Polypedilum nubifer were also collected there. The larvae of Chironomus salinarius inhabit halophytic swamps or small water bodies formed in grassy areas affected by the seawater in both investigated areas. Almost all chironomid species larvae collected in this study were preferred sandy mud conditions. Especially, C. salinarius may be regarded of a wide range of saline conditions. C. salinarius larval brackish and sandy mud habitat had expanded in that area two year after the Tsunami.
著者
山本 優
出版者
日本陸水學會
雑誌
陸水学雑誌 = Japanese journal of limnology (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.51-58, 2017-01

この30年間で日本のユスリカの分類学的な知見は飛躍的に増大し,現時点で1206種の分布が確認されている。しかし,日本列島の多様な環境から,おそらく2000を超える種が分布するものと推測される。形態分類学の立場からユスリカの系統関係を推定するとき,正確な形態理解は必須条件である。しかし,特に雄生殖器の付属器や幼虫頭部の頭楯・上唇域は亜科や属間で形質状態に大きな相違が見られ,同一の名称が付けられていても,それらが相同器官であると判断するのは必ずしも容易ではない。Saether(1980)は雄生殖器基節上の三つの付属肢をvolsellaと判断し,それぞれsuperior volsella,median volsellaおよびinferior volsellaという形態述語(ターム)を与えている。この述語自体の使用はSnodgrass(1957)の解釈に基づけば形態学的には問題はないと判断されるが,各々の器官がユスリカ科全体を通して相同であると捉えることについては疑問が残る。現時点では雄生殖器に関してChironominaeについてはTokunaga(1938)あるいはEdwards(1929)に,OrthocladiinaeではSoponis(1977)の解釈に従っておく。幼虫頭部の形態についてはTokunaga(1935)の解釈を採用する。
著者
横井 毅 山本 優衣 柴田 文佳 鈴木 美紀恵 島田 典招 若杉 隆伸 山木 光男 山守 育雄 中島 美紀 山崎 浩史
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.15, no.supplement, pp.126-127, 2000 (Released:2007-03-29)
参考文献数
3

Troglitazone, a new oral antidiabetic drug, has been reported to cause idiosyncratic hapatitis in certain individuals. The mechanism for hepatic failure was investigated with comparison between troglitazone and its metabolites and other thiazolidinedions. Oxidation pathway of troglitazone to a qunone-type metabolite was catalyzed mainly by CYP2C8 and CYP3A4 in human liver microsomes. Inhibitory effects of troglitazone and its metabolites on drug oxidation activities of human CYPs were not potent. Autoimmune antigen was identified in patients with idiosyncratic hepatitis. Hepatic toxicity did not appear in troglitazone treated rats after modifications of sulfotransferase, gluclonosyl-trasferase, or glutathione S-transferase activities. Treatment of HepG2 cell lines with troglitazone and a quinone type-metabolite showed time- and concentration-dependent cytotoxicity. Troglitazone induced apoptotic cell death in HepG2 cells. Taking these results into consideration, the causal factor(s) for idiosyncratic hepatitis in human remained unclear.
著者
横井 毅 山本 優衣 柴田 文佳 鈴木 美紀恵 島田 典招 山木 光男 若杉 隆伸 山守 育雄 中島 美紀 山崎 浩史
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.145-150, 2001 (Released:2007-03-29)
参考文献数
9
被引用文献数
1

Troglitazone, a new oral antidiabetic drug, has been reported to cause idiosyncratic hepatitis in certain individuals. The mechanism for the hepatic failure was investigated with comparison between troglitazone and its metabolites and other thiazolidinediones, pioglitazone and rosiglitazone. Hepatic toxicity did not appear in rats in troglitazone-administered study after modifications of sulfotransferase and glucuronosyltrasferase activities and glutathione concentration. Oxidation pathway of troglitazone to a quinine-type metabolite was catalyzed mainly by CYP2C8 and CYP3A4 in human liver microsomes. Inhibitory effects of troglitazone and its metabolites on drug oxidation activities of human P450s would not be potent, based on its low blood concentrations and high protein binding ratio. An autoimmune antibody against aldolase B was identified in two patients with troglitazone-induced idiosyncratic hepatitis. However, this antibody was also detected in some other hepatic diseases, in spite of no cases in health control subjects. Treatment of HepG2 cell lines with troglitazone and a quinone type-metabolite showed time and concentration-dependent cytotoxicity. Troglitazone induced apoptotic cell death in HepG2 cells characterized by internucleosomal DNA fragmentation and nuclear condensation. Taking these results into consideration, the causal factor (s) for idiosyncratic hepatitis in human remained unclear.
著者
川崎 永大 富樫 結 小林 武司 佐藤 惇司 山本 優一 藤田 貴昭 蛯名 葉月 大河内 香奈 佐藤 達夫 大槻 剛智
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.EbPI1421-EbPI1421, 2011

【目的】<BR> 日本人の死亡因子の上位である脳卒中は、心筋梗塞の発症率と比較し高い罹患率にある。また、脳卒中後の後遺症は健常者と比較し転倒リスクを高めるため、内・外的因子を踏まえた上で介入方法を随時検討する事は周知の通りである。<BR> 脳卒中後の後遺症により歩行障害を呈した対象者の足関節背屈機能の低下は特徴的で、歩行能力低下の一因子となる。麻痺側下肢の足関節背屈機能の低下は、麻痺側立脚期の前方推進力を非効率的なものとし、健側下肢は各動作において多彩なパフォーマンスが要求され努力的な歩行を強いられる。<BR> そこで、本研究では慢性期脳卒中患者を対象とし、足関節背屈機能の代償が期待される転倒予防靴下の有効性をこの場にて検証した。<BR>【方法】<BR> 慢性脳卒中患者7名(年齢62~86歳 男性4名 女性3名 発症期間3.0±1.2年 Stroke Impairment Assessment Set平均52±9点)を対象とした。明らかな高次脳機能障害や足関節拘縮が認められず杖を用いれば監視下にて歩行可能な対象者とし装具は装着していない。<BR> 検査者は対象者の10m最大歩行を自覚的な疲労に応じ1~3回実施し、裸足、市販靴下+ルームシューズ、転倒予防靴下+ルームシューズの3条件で異なった歩行様式から歩行時間と歩数を記録した。<BR> 統計処理として対象者の歩行時間と歩数をFriedman検定および多重比較試験(Bonferroniの不等式)にて統計処理を行い有意水準は5%未満とした。<BR>【説明と同意】<BR> すべての対象者には、慢性期脳卒中患者を対象とした研究と説明した上でヘルシンキ宣言に則り書面にて同意を得ることができている。<BR>【結果】<BR>10m最大歩行は平均値にて裸足22.8±10.4秒、市販靴下+ルームシューズ22.8±9.3秒、転倒予防靴下+ルームシューズ18.7±9.3秒となり、裸足と転倒予防靴下+ルームシューズの間に有意差が認められた(p<0.01)。平均歩数は裸足28±4歩、市販靴下+ルームシューズ28±5歩、転倒予防靴下+ルームシューズ27±5歩となり裸足と転倒予防靴下+ルームシューズの間で有意差が認められた(p<0.01)。<BR>【考察】<BR> 片麻痺患者の歩行特性の一つとして、歩行時の足関節背屈機能の低下が問題とされる。転倒予防靴下は健常成人を対象とした研究において、歩行または段差昇降における高いtoe clearanceを保ち足関節の背屈機能を代償するとされている。<BR> 本研究では3種類の条件が異なった歩行において転倒予防靴下+ルームシューズの組み合わせが最も高い歩行能力を発揮した。歩行時の足関節背屈機能の改善は、床反力の前後成分を変化させ、床反力の制動成分を減少し、立脚初期より後方に位置する身体重心を効率よく前方へ推進させ全体的に歩行時間及び歩数の減少に至ったと考える。しかし、その他の群間検定においては有意差がみられなかったが、持参していただいたルームシューズの素材や形態が異なり、靴着用時に足部より受ける床反力を定量化できなかった事が問題であり今後の検討課題としたい。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 転倒予防靴下は脳卒中患者の足関節の機能を代償し歩行能力を改善させるため、リハビリテーションのみならず屋外歩行での積極的な利用が進められると推察される。
著者
山本 優
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.381-395, 2000
被引用文献数
1
著者
阿部雅史 山本 優 大野 晋 源栄 正人
出版者
日本建築学会
雑誌
学術講演梗概集. B-2, 構造II, 振動, 原子力プラント (ISSN:13414461)
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.539-540, 2005
被引用文献数
2

科研費報告書収録論文(課題番号:15560480・研究種目:基盤研究(C)・15~17/研究代表者:源栄, 正人/1978年宮城県沖地震における仙台地域の地震動分布再現の高精度化と被害分布の評価)
著者
平林 公男 山本 優 武田 昌昭 花里 孝幸 中本 信忠
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.91-101, 2003-10-30
参考文献数
34
被引用文献数
2

諏訪湖周辺地域においては,ユスリカ類の成虫が恒常的に大量飛来し,周辺住民や観光客から不快害虫として嫌われている.本研究では,湖から発生するユスリカ成虫の防除対策を検討するたあに,成虫の飛翔行動(飛翔時間と飛翔高度)のパターンを調査し,その特徴を把握することを目的として,1989年4月18日から20日まで,同年6月5日から7日まで,1999年6月5日から6日まで,2000年9月4日から6日までの期間,観測を行った.調査は湖東岸に位置する信州大学山地水環境教育研究センターにて行い,ライトトラップを異なった高さ(地上1m,9m,16m)に1器ずつ設置し,オオユスリカとクロユスリカについて捕獲数を調べた.オオユスリカ成虫は16mに設置したトラップで最も多く捕獲されたのに対し,クロユスリカ成虫は,9m設置のトラップで最も多く捕獲された.飛翔時間帯を明らかにするために,調査期間中,2時間おきに調査した結果,オオユスリカ成虫の場合,季節により異なり,春と秋では18:00から20:00まで,夏は18:00から翌朝の6:00までの間,捕獲数が多かった.一方,クロユスリカ成虫の場合は,発生期間をとおして18:00から20:00に多かった.以上のことから,飛翔高度は種ごとに異なり,また,特にオオユスリカについては,季節により飛翔時間帯が異なることが明らかとなった.
著者
野津 亮 山本 優 本多 克宏 市橋 秀友
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.154-164, 2010-04-15 (Released:2010-07-02)
参考文献数
15

本研究は,複雑な人間関係によって構成される社会構造を理解する手がかりを得る為に,認知的経済性をエージェントに実装したマルチエージェントシステムを提案する.このシステムでは対人関係のメカニズムに関する理論として,Heiderの認知的均衡理論(バランス理論)とその数学的拡張としてCartwrightとHararyによって提唱された構造的均衡理論を認知的経済性の論理的な基礎としている.これらの理論では,概念間の関係性を肯定的関係である「+」と否定的関係である「-」に定義し,その関係によって作られたサイクル上の各関係性の積の符号によって認知的均衡状態を判断する.人間は認知的均衡化に向かうように認識を改めるとされる.このモデルにより,エージェント同士のコミュニケーションに様々な条件を付与しつつ,情報が伝達されていく仮想社会をシミュレートしたり,グループ構造やストレス構造がいかに形成されるかについても検討することが可能となる.本論文では複雑化するコミュニケーションネットワークが人間関係や認識にどのような影響を与えるのかを調査することを目的としている.エージェントモデルを定義し,ネットワークやコミュニケーションパターンの違いが持つ意味について検討する.共通の認知構造を持ちやすい,あるいは持ちにくいネットワークやエージェントについていくつかの知見を得た.たとえば,一般的にはグローバルなコミュニケーションが共通認識を持つために必要なように思われるが,それよりも個々のエージェントが選り好みしないことが遙かに重要であることなどが,今回の実験では明らかになった.