著者
織本 智香 山田 五月 饗場 直美
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.322-327, 2020 (Released:2020-06-01)
参考文献数
7

本調査の目的は、療養高齢者の栄養・食生活支援上の課題を明確化し、課題解決に向けた必要な取り組みおよび体制構築に対する方向性を明らかにすることである。対象者は、東京都の西多摩圏域に所在する介護および看護関連事業所および各専門職(介護支援専門員、看護師、訪問介護員)である。調査方法は、自記式調査用紙を用いたアンケート調査および聞き取り調査である。 栄養・食生活支援上の課題があると90%以上が回答し、その中で、最も優先度が高い課題は、介護支援専門員が「適切な水分摂取量への対応」、看護師が「摂食・嚥下機能の評価」、訪問介護員が「栄養バランスのとれた食事への対応」と職種別に異なっていた。在宅高齢者の栄養管理の必要性について「必要がある」と回答した職種が多く、栄養・食生活支援の実施について困ったことがあるとの回答があった。しかし、相談先がないと回答する職種が各職種とも20%以上存在した。本調査は、今後、地域で多職種連携を行う際の参考となるデータであり、ひいては地域包括ケアシステム推進に向けた一助となる。
著者
山田 伊織
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2018-03-23

定理証明支援系Coqにおける証明は、一般に手続き的証明と呼ばれる形式で記述される。これは対話的証明を前提としており、自然言語による証明記述と大きく異なるため、可読性が高いものではない。この問題を解決するためにCoq用宣言的証明言語C-zarが開発された。宣言的証明は可読性が高く、また外部ツールを導入し易い。しかし、C-zar は手続き的証明に対して記述量が多い上に柔軟性が低く、Coq ユーザに受け入れられなかった。本研究では、Coq の手続き的証明からC-zarの証明を生成することで、両者間の橋渡しを行う。一般に手続き的証明から宣言的証明への変換手法としては、証明項や証明木のような中間表現を経由する方法が考えられ、既に定理証明支援系Matitaでは証明項を経由する手続き的証明から宣言的証明への変換が存在する。しかし、中間表現は元の証明と比べて詳細かつ巨大になり、元の手続き的証明1ステップに対して数百ステップの宣言的証明が生成されてしまう場合もある。一方で、C-zar は手続き的証明で用いられるタクティックと呼ばれるコマンドを利用することができ、これによって手続き的証明の1ステップは、多くの場合C-zarの数ステップと対応させることができる。本研究では、元の手続き的証明と証明項の両方を用いて変換を行うことで、元の証明に近い粒度の宣言的証明の生成を実現する。
著者
山田 幸子 上口 貴志 尾方 俊至 荻原 良太 村瀬 研也
出版者
公益社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.35-46, 2014 (Released:2015-03-06)
参考文献数
19
被引用文献数
1

An iterative reconstruction (IR) technique in computed tomography (CT) is expected to play an important role in reducing the radiation dose while preserving both spatial resolution and contrast-to-noise ratio. However, images obtained by using the IR technique are known to have different visual appearances from those obtained by using the traditional filtered back-projection (FBP) reconstruction. This appearance is often figuratively described as “blocky,” but it has not been objectively characterized further. In this paper, we propose a novel image quality metric, called “perceptual image dissimilarity” (PID), to characterize the visual dissimilarity between FBP and IR images. The PID was formulated as a grayscale transformation and subsequent structural similarity (SSIM)-based image quality measurement. The PID metric was validated using phantom images with three different modules. Sixty datasets, each consisting of an IR image and its corresponding noise-level-equivalent FBP image, were visually assigned “subjective dissimilarity scores” on a five level scale by six observers. The data sets were then quantitatively analyzed using both the PID and the traditional mean squared error (MSE) metrics. Our results show that the PID is highly consistent with the subjective dissimilarity score and thus delivers superior performance, whereas the MSE fails to quantify the observers’ visual perception.
著者
山本 健 山近 重生 今村 武浩 木森 久人 塩原 康弘 千代 情路 森戸 光彦 山口 健一 長島 弘征 山田 浩之 斎藤 一郎 中川 洋一
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.106-112, 2007-09-30 (Released:2011-02-25)
参考文献数
23
被引用文献数
16

ドライマウスにおける加齢の関与を検討するため, 2002年11月から2007年4月までに鶴見大学歯学部附属病院ドライマウス専門外来を受診した2, 269名を対象に, 1.性別と年齢, 2.主訴・受診の動機, 3.全身疾患, 4.常用薬剤, 5.唾液分泌量, 6.ドライマウスの原因の集計を行い, 次のような結果を得た。1) 受診者の男女比は17: 83であり, 男女とも50歳代から受診者数が増加し, 女性では60歳代, 男性では70歳代の受診が最も多かった。2) 65歳未満と比較し, 高齢者では男性の受診率が増加しており, 高齢者での性差の縮小がみられた。3) 口腔乾燥感を主訴とする受診者は44.1%であり, 口腔粘膜の疼痛 (28.7%), 唾液や口腔内の粘稠感 (8.3%), 違和感・異物感 (7.1%), 味覚異常 (3.1%), 口臭 (1.9%) の順に多かった。4) 全身疾患は, 高血圧が30.7%に認められ, 次に脳血管障害を含む精神・神経系疾患 (25.4%) が多かった。5) 非シェーグレン症候群性ドライマウスは92.5%にみられた。6) シェーグレン症候群は, 全調査対象の7.0%であり, そのうち65歳以上の高齢者が53.5%を占めていた。以上のような結果から, ドライマウスの成立機序には加齢に伴う複合的な要因の関与が示唆された。
著者
山田 龍城/福原亮厳
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷大學論集 (ISSN:02876000)
巻号頁・発行日
vol.365, pp.257-308, 1960-12
著者
松尾 篤 冷水 誠 前岡 浩 奥田 彩佳 小寺 那樹 堀 めぐみ 山田 悠莉子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに】</p><p></p><p>我々は,患者の表情から体調やリスク,また気分を察知し,医学的・心理的対応を臨機応変に修正しながら理学療法を実践する。このように,他者の表情からその心の状態を想像することは医療専門家として重要である。しかしながら,このような表情識別は意識的に実行されるわけではなく,無意識的かつ自動的に行われており,他者のことをわかろうと積極的に努力しているわけではない。よって,この無意識的な表情識別の過程を検証することで,医療コミュニケーション教育の基礎的知見になると考える。そこで,本研究では本物と偽物の表情を観察している際の視線行動を分析し,他者理解の潜在的な能力を検討する。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>研究参加者は,健常大学生99名(男性49名,女性50名),平均年齢20.5±2.1歳とした。実験1として,視線行動分析課題を実施した。笑顔と痛みの表情を本物と偽物をそれぞれペアで提示し,提示時間5秒,インターバル3秒で合計16画像を観察した。その際の視線停留時間をアイトラッカー(Tobii社)で記録した。次に実験2として,表情識別課題を実施した。実験1で使用した笑顔と痛みの画像を1枚ずつPC画面上に提示し,参加者には本物か偽物かを可能な限り早くボタンで回答するよう求めた。実験3では,共感性のテストとして,目から感情を読み取る課題(アジア版RMET)を実施した。PC画面上に目の画像を1枚ずつ合計36枚提示し,各画像の四隅に表示した感情用語から目が表す感情を選択する課題を実施した。実験2と3の正答率および反応時間をSuperLab5.0(Cedrus社)で記録した。実験1と2の統計分析はWilcoxon matched-pairs signed rank testを実施し,実験2と3の関連性検証にはSpearmanの相関分析を使用した。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>(実験1)笑顔の場合には本物の方を有意に長く注視することが示された(本物1.92±0.7秒vs偽物1.79±0.6秒,P=0.002)。しかし,痛みの画像では注視時間に有意差を認めなかった。(実験2)笑顔の本物正解率は平均74.1%であり,正解率が平均以上の参加者では,実験1の本物の笑顔に対する注視時間が有意に長かった(本物2.00±0.4秒vs偽物1.78±0.4秒,P=0.01)。(実験3)RMETの正答率が高いほど,本物の笑顔識別が有意に高かった(r=0.2,P=0.03)。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>我々は,無意識的に高い精度で本物の笑顔を識別しており,本物の笑顔をより長い時間観察することによって,その識別能力を可能にしていることが示唆された。また,共感性が高い人ほど笑顔識別能力が高いことから,他者理解と表情認知は密接な関連があることが示唆された。しかしながら,痛み表情ではこれらを認めず,笑顔と痛み表情の社会的意義の相違が表情認知に関係することが推察された。</p>
著者
矢田 智春 山田 洋明 花本 剛士
出版者
パワーエレクトロニクス学会
雑誌
パワーエレクトロニクス学会誌 (ISSN:13488538)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.168-175, 2014-03-31 (Released:2016-04-08)
参考文献数
8

This paper proposes a novel co-operational control method of LED driver, consisting of voltage and current sourced flyback converters. In the proposed method, both the flyback converters are controlled by the LED reference current to obtain wide range variable light control from 10 % to 100 %. Digital computer simulation is implemented to confirm the validity of the proposed method and demonstrate that the minimum on time of the MOSFET is longer than 1 μs even under the operation of 10 % of the LED rated current.
著者
栗 彩子 森 美紗希 宮内 莉華 谷口(山田) 亜樹子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.132, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】カレーはインドで生まれ、明治時代に日本に入ってきたと言われている。今日では日本の国民食とまで言われるようになり、各地域の名産品やその土地で取れる食材を使ったいろいろなカレーが食べられている。さらに近年、健康志向の高まりにより、カレーの栄養価値が見直され、その第3次機能に強い関心が寄せられている。しかしながら、カレーの利用方法といえば「カレーライス」というように、そのバリエーションには限りがあり、カレーに含まれるスパイスの種類や栄養価値もあまり知られていないのが現状である。そこで演者らは、カレーの基礎特性を明らかにし、健康効果・効能につて考え、さらに地場産の食材を用いた、簡単においしくできる新たなカレーレシピの考案を試みることとした。【方法】文献調査から、カレーの基礎特性を明らかにし、どのような健康効果・効能をもたらすのかを検討した。 新規料理については、市販カレー粉、神奈川県産のキャベツ、しらす、大豆、雑穀を用いて新たなカレー料理を考案し、調理した。また、栄養計算を行った。【結果】(1)カレーの基礎特性文献調査より、カレーには30種類以上の様々なパイスが存在することがわかった。中でも代表的なものとして、コリアンダー、クミン、フェヌグリーク、ターメリック、オレガノ、ペッパー、フェネル、ジンジャー、オニオン、カルダモンなど10種類のスパイスがカレーに用いられている。また、これらのスパイスについてさらに調査した結果、漢方薬として使われていたものが多く、肝臓・胃腸の働きを良くする、せき止め、疲労回復、殺菌作用、下痢止め、風邪・肥満・二日酔い・冷え性・肩凝り予防など様々な健康効果があることがわかった。(2)新規カレーレシピの紹介神奈川県産の食材を用いてカレー春雨、 カレー鍋、カレー雑穀リゾット、大豆カレーの4つのレシピを考案し調理した。
著者
山田 晋
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.417-420, 2010 (Released:2011-07-22)
参考文献数
17

Uncultivated periods are important in rice paddy fields for the survival of species favoring unaerated soils. Clarifying the mechanisms affecting the floristic diversity of in-field habitats is a key part of sustainable agriculture. We hypothesized that the timing of crop harvest influences the flora in the subsequent uncultivated period in rice paddy fields. To confirm this hypothesis, surface soils were sampled in cultivated paddy fields at the beginning of August.The sampled soils stored in ≤ 5% relative light intensity were exposed to direct light at different periods varied from late August to the beginning of October. Germinated seedlings were counted until spring the next year. Observation in autumn showed that the numbers of species, germinated individuals, and flowering individuals differed as a function of the duration of light exposure, although these differences were less clear in the subsequent spring. These differences can be explained by differences in ecological traits such as maturation rate and optimum germination temperature. Timing of the rice harvest is closely linked to the timing of rice planting, which in turn can affect the germination of species maturing before the rice is planted.
著者
大束 貢生 柴田 和子 富川 拓 古川 秀夫 山田 一隆
出版者
佛教大学社会学研究会
雑誌
佛大社会学 (ISSN:03859592)
巻号頁・発行日
no.44, pp.44-53, 2020-03-20

この小論の目的は,日本においてサービス・ラーニングが「評価」や「道徳教育」,「キャリア教育」との関連においてどのように語られてきたか,先行研究から概観することにある。先行研究を概観したところ,「サービス・ラーニングと評価」に関連する論文では,自己評価ツールの開発やそれを基にした学生の学習効果を明らかにすることが目的とされたが,実例が蓄積された2013年以降は,サービス・ラーニングの評価枠組みを再度振り返り,検討することの必要性や具体的な取り組みのために必要なシステムの構築が検討されつつあった。「サービス・ラーニングと道徳教育」に関連する論文では,サービス・ラーニングと関連させて道徳的理解や道徳的感情,道徳的反省に関する考察がなされていた。また,人格教育の一手法として実施されているサービス・ラーニングについての研究も行われていた。「サービス・ラーニングとキャリア教育」に関連する論文では,キャリア教育におけるボランティア,サービス・ラーニング,インターンシップの位置づけに関する考察等が行なわれていた。サービス・ラーニング評価道徳教育キャリア教育
著者
山田 淳平
出版者
藝能史研究會
雑誌
藝能史研究 = History of the performing arts (ISSN:03869504)
巻号頁・発行日
no.220, pp.1-24, 2018-01