著者
星野 祐司 山田 桃子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.153-164, 2008-02-29 (Released:2010-07-21)
参考文献数
30

見ていない項目に関する詳細情報が虚再生に及ぼす影響について検討した.実験参加者は対になって6つの場面の画像を見た.半数の参加者には,残りの半数の参加者が見ていない3つの独自項目が提示された.引き続き行われた共同再生テストでは,2名の参加者が各場面に含まれていた項目を口頭で報告した.項目条件では項目の名前についての再生が参加者に求められた.詳細条件では項目の名前,色,形,場所を再生することが参加者に求められた.したがって,共同想起において独自項目を見ていない参加者は独自項目に関する誤情報を聞く可能性があった.共同想起の終了後,個別再生テストが実施され,再生項目に対してremember/know判断を求めた.項目条件における独自項目についての虚再生の頻度は詳細条件における虚再生と同程度であった.項目条件では虚再生に対するremember判断が観察されたが,詳細条件では観察されなかった.これらの結果についてソースモニタリングの観点から考察した.
著者
山田 邦男
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2016 (Released:2019-05-30)
参考文献数
2

一般的なBT. 709規格の色域で制作されたコンテンツを、スーパーハイビジョン規格であるBT. 2020の色空間に適合させ、さらにその広色域を生かした色域拡大を行うような変換処理手法の開発を行い、映像情報メディア学会の4K/8K性能超高精細・広色域標準画像を用いて評価した。
著者
小山田 建太
出版者
日本教育政策学会
雑誌
日本教育政策学会年報 (ISSN:24241474)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.114-127, 2019 (Released:2020-06-20)

This paper focuses on the Regional Youth Support Stations(RYSS)project as a public measure introducing the market principle, and clarifies the impact of the project evaluation in quasi-market by reviewing the quantitative data of the RYSS project. In addition, through this analysis, this paper extracts the implications of introducing the market principle to various educational policies. The analysis shows that the RYSS project aims to provide reasonable and efficient business operations based on the specific viewpoint of the RYSS project evaluation. This result also demonstrates the binding force of project evaluations in quasi- markets. However, by sharpening the evaluation criteria, there is a possibility that the institutional features that were originally owned by the RYSS project would be trivialized. From the above findings, there are two suggestions for introducing the market principle to various educational policies. Firstly, educational practices that cannot be standardized to a specific achievement viewpoint would be disregarded with the sharpening of evaluation criteria. Secondly, when setting the specific achievement viewpoints in various educational policies, it is necessary to continue to consider the validity of whether the viewpoints can examine clearly the educational value and outcomes that are expressed by each educational policy or practice.
著者
山田 康輔 笹野 遼平 武田 浩一
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2020-NL-244, no.5, pp.1-6, 2020-06-26

本研究では,大規模コーパスからのフレーム知識獲得において,コーパスから収集された動詞の文脈を考慮することの有用性を検証する.具体的には,FrameNet および PropBank において 2 種類以上のフレームを喚起する動詞に着目し,それらの動詞が喚起するフレームの違いを ELMo や BERT に代表される文脈化単語埋め込みがどのくらい捉えているかを,各用例の文脈化単語埋め込みのクラスタリング結果とそれらに付与されたフレームを比較することにより調査する.
著者
山田 康弘
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.178, pp.57-83, 2012-03-01

縄文時代の埋葬人骨出土例を精査してみると,一個体として取り上げられた事例の中に別個体の部分骨が入っていることがある。これらの中には,頭蓋や下顎,四肢骨といった大型の部位が入っていることがあり,偶発的な混入とは考えがたいものも存在する。このような事例の多くは,これまで単独・単葬例として取り扱われてきたが,当時の人々が意図的に別個体の部分骨を合葬しているのだとすれば,それは単独・単葬例とはまた異なった,別の一葬法として認知されるべきであろう。本稿において,筆者はこのような事例を部分骨合葬例と呼び,葬法の一類型として認定するとともに,そのあり方と意義について検討を行った。その結果,このような事例は関東地方南部を中心として8 遺跡・21 例存在し,単葬の男性に女性の部分骨が入れられている事例が目立つことや,大人と子供の組み合わせの事例も存在すること,埋葬小群内にあってその構成要素となっていることなどが判明した。また,その意義を考察するために従来の合葬例の研究および死生観の研究,すなわち合葬例の被葬者は,基本的には血縁関係者同士であると考えられること,縄文時代の死生観として系譜的な死生観があり,当時の社会構造においてその基礎をなす系譜的関係は,この死生観に沿った形で存在したことなどを踏まえて,本稿では部分骨合葬例の意義を,血縁関係を含めた何らかの社会的関係性を持つ者同士で行われたものであり,その意義を系譜的な関係性を確認・存続するためのものであったと推察した。
著者
尾山 公一 山田 智美 伊藤 大輔 渡邉 紀之 関口 由紀子 鈴木 昌子 近藤 忠雄 吉田 久美
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 57 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.PosterP61, 2015 (Released:2018-10-01)

【緒言】我々は、アジサイの花色変異の現象に興味を持ち研究を行っている。一細胞分析により、アントシアニンのdelphinidin 3-O-glucoside (1)が、助色素(5-O-caffeoylquinic acid (neochlorogenic acid (2))、5-O-p-coumaroylquinic acid (3)、3-O-caffeoylquinic acid (chlorogenic acid (4))の組成比、液胞pH、及びAl3+量の違いによって多彩に赤から紫、青に発色をすることを明らかにした (Figure 1) 1-3。アジサイの青色は、pH 4の条件下、1、2または3及びAl3+を混合すると再現できることがわかった4,5。この青色色素は、水溶液中だけで安定に形成される金属錯体で、ツユクサなどに見いだされた自己組織化超分子金属錯体色素(メタロアントシアニン)とは全く異なる性質を持つ非化学量論量の分子会合錯体である。これまで、結晶化の成功例はなく、1H NMRスペクトルもブロードで複雑なため、構造は今も不明である。本研究では、5-O-アシル化キナ酸類の効率的合成方法を新たに開発した。次に、合成した助色素を用いて青色色素を再構築し、解析可能なNMRスペクトルを得ることに成功した。【5-O-アシル化キナ酸類の効率的合成法の開拓】従来の2と3の合成4-6では、1位のカルボン酸の保護基にメチル基を用い、アシル基のフェノールの保護基にアセチル基を使用しているために、最終ステップの脱保護反応で競争的脱アシル化反応とアシル転移が起こり、収率が著しく低かった。また、5位へのエステル化は酸クロリドを用いていた。そこで、合成経路を見直し、1位のカルボン酸の保護基としてPMB基を持つキナ酸誘導体5を新たに分子設計して、Scheme 1に示すように(–)-キナ酸 (4) から5段階79%で合成した。5の5位アキシアルヒドロキシ基へのアシル化反応は、遊離カルボン酸にTsClとN-メチルイミダゾール (NMI)を加えてアシルアンモニウム中間体を生成させて、そこへアルコールを反応させる田辺法7を検討した。i-Pr2NEtの添加によりアルコールとカルボン酸の求核性が上がり収率が向上した(Scheme 2)。また、アンモニウム中間体の生成と同時にアルコール5が本中間体をトラップすることを目指してNMIを最後に加えた。その結果、収率はさらに向上した(Scheme 2)。この改良法を用いてp-クマル酸やコーヒー酸などの種々の遊離カルボン酸のエステル化反応を行い、72–94%の高収率で6-12を得た (Scheme 3)。得られたアシル体6-11の脱保護反応を検討した(Table 1)。芳香環部分に酸素原子のない6-9では、いずれも高収率(79-87%)で目的のアシル化キナ酸を得た。しかし、フェノール性ヒドロキシ基をMOM保護した10と11では、収率は40%以下と低かった。種々検討した結果、BCl3/C6HMe5を作用させると高収率(69,73%)で脱保護体が得られた 8。これらにより、市販のキナ酸(4)から7段階、通算収率45–60%で種々の5-O-アシル化キナ酸類の合成を達成した9,10。【アジサイ青色金属錯体色素の化学構造】合成した助色素類を用いて、アジサイ萼片の青色再現実験と得られた溶液の可視吸収スペクトル、円二色性、およびNMR分析を行った。これまでの知見により1-5、(View PDFfor the rest of the abstract.)
著者
山田 和男 神庭 重信 大西 公夫 水島 広子 力石 千香代 福澤 素子 村田 高明 寺師 睦宗 浅井 昌弘
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.17-24, 2001-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
15
被引用文献数
1

現代医学的な血液生化学検査や精神症状評価などの結果より,「胸脇苦満」を分析しようと試みた。120例 (男性23例, 女性97例, 平均年齢42.4±16.2歳) を対象として, 胸脇苦満の程度と有無の評価, 血液生化学検査, Zung の Self Depression Scale (SDS), the Subjective Well-being Inventory (SUBI) を行った。93例 (77.5%) において, 左右いずれかもしくは左右ともに胸脇苦満を認めた。右側の胸脇苦満の「有」群と「無」群との間では, 血中クレアチニン値とSUBIの因子11 (人生に対する失望感) とで有意差を認めた。また, 左側の胸脇苦満の「有」群と「無」群との問では, SUBIの因子9 (身体的不健康感) と因子11とで有意差を認めた。以上の結果より, 強いストレッサー下にある症例ほど胸脇苦満を呈しやすいという結果が導き出された。
著者
大村 健二 金平 永二 佐々木 正寿 疋島 寛 橋爪 泰夫 林 外史英 山田 哲司 北川 晋 中川 正昭 瀬川 安雄 林 守源
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.266-271, 1988-02-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
8

肝動脈塞栓術(TAE)施行例を, TAE施行前にあらかじめ胆摘を行った群(A群, 8例)と,胆摘を行わなかった群(B群, 50例)に分け, TAE後の生化学検査値の変動および不快な臨床症状と胆嚢梗塞の関係を検討した. TAE後のGOT, GPT, LDHの変動は両群間に差を認めなかった. B群においてTAE後γ-GTP, Al-pはそれぞれ16例(32%), 9例(18%)で上昇したが, A群では1例も上昇しなかった.また,両群ともTAE後高頻度に発熱を認めたが,腹痛はB群で38例(76%)と高率であるのに対し, A群ではわずかに1例に認めたのみであった. B群の8例に対しTAE後に胆摘を行ったが,そのうち6例に胆嚢梗塞の所見をみた. TAE後の血中の胆道系酵素上昇には, TAEによる胆嚢梗塞が関与していることが推測された. TAE後の不快な臨床症状を予防するために,初回手術時に胆嚢摘出術を施行することが有用と思われた.
著者
松田 岳士 山田 政寛
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.Suppl., pp.113-116, 2009-12-20 (Released:2016-08-06)
参考文献数
5
被引用文献数
3

本研究は,eラーニングコースの学習支援担当者にとって進捗管理の重要なポイントであるメッセージ発信タイミング決定の判断基準を探るものである.具体的には,大学が提供する非同期・分散型のeラーニングコースにおいて,学習計画を立てる習慣がある学習者とそのような習慣がない学習者が,実際の学習活動においてどのような差異を示すのかについて調査した.その結果,学習計画を立てる習慣のある学習者は,習慣のない学習者に比べると深夜に学習することが少なく,また,コース実施期間の中期にも学習するといった特徴があった.
著者
山田 憲嗣 高橋 秀也 志水 英二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-2, 情報・システム 2-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.11, pp.2986-2994, 1997-11-25
参考文献数
8
被引用文献数
3

本論文では, 短波長域における結像法として利用されている符号化開口法を可視光域に適用し, 物体の位置と物体表面の3次元形状を検出する手法について述べる. 本手法は物体から開口面までの距離により, 投影面上に映る開口面の大きさが変化する特性を用い, 開口面から物体までの距離を検出する. この距離検出を対象物体の表面の各画素に拡張することで物体表面の3次元形状を検出する. 実際に, 短波長域で用いる符号化開口法を可視光域で用いることができる条件を考察し, 試作システムを構築して3次元物体の形状を検出した. 提案する検出法は, 両眼視法とは異なり, 物体の反射光だけを利用した単眼視法であるので, 簡単な測定システムで3次元形状検出を実現することができる. また, 光だけでなく波動の性質をもつものであれば可視でも不可視でも本手法を利用し, 3次元形状検出を行うことが可能である.