著者
金 明博 納田 真也 山田 将雄 小坂 理也 阿部 宗昭
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.1289-1293, 2000-10-25

抄録:Klippel-Feil症候群に伴う頭蓋底陥入に対し、後方除圧とinstrumentによる整復固定術を行い良好な結果を得たので報告する.症例は14歳,男子.外傷などの誘因なく頚部から両肩にかけての疼痛と上肢の筋力低下にて発症した.来院時には上肢の挙上困難とふらつき歩行を呈していた.単純X線では頚椎の癒合椎と高度の頭蓋底陥入を,MRIでは大後頭孔内に陥入した歯突起と環軸椎亜脱臼に伴う環椎後弓による脊髄圧迫像を認めた.Halo-vestを装着し整復を試みたが困難であった.手術は後頭下減圧・環椎後弓切除および後頭骨頚椎間整復固定術(CO-C3)を施行した.術中,instrument (CCD―Cervical)のrodを利用した整復操作を加え,wake-up testにて新たな麻痺が生じていないことを確認した後,骨移植し手術を終了した.術後13カ月の現在,疼痛は消失し上肢の挙上,ランニングとも可能となっている,本法は術前に整復不可能な頭蓋頚椎移行部病変に対し有効な一手術方法と考える.
著者
小野寺 克洋 玉田 勉 村松 聡士 村上 康司 奈良 正之 小松 理世 小林 誠 山田 充啓 杉浦 久敏 一ノ瀬 正和
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.3, pp.540-546, 2016-03-10 (Released:2017-03-10)
参考文献数
8

38歳,女性.多関節痛を自覚後,急速にぶどう膜炎,発熱,咳嗽,体重減少,肺門リンパ節腫脹などを認め,気管支鏡検査,ガリウムシンチなどでサルコイドーシスと診断した.急性サルコイドーシスのLöfgren症候群のうち結節性紅斑を伴わないvariant formが考えられた.全身ステロイド治療を開始し症状は速やかに改善した.本症候群は本邦で稀であり,全身症状の強いサルコイドーシスでは鑑別に挙げる必要がある.
著者
山田 浩之 新井 益洋 安田 秀穂
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.49-55, 1998-10-31 (Released:2009-12-08)
参考文献数
29

東京都内の芸術文化活動による経済波及効果を産業連関表を用いて分析したところ、東京都地域内では、建設工事や土木工事に投資するよりも芸術文化に投資した方が大きな効果をもつことが判明した。また、芸術文化活動による経済波及効果を東京都地域とニューヨーク・ニュージャージ大都市圏とで比較すると、東京都地域の方が経済波及効果が低くなっており、東京都地域において芸術文化が経済を活性化する力は今後一層、強まる可能性がある。
著者
山田 直人 加藤 幸恵 木村 丘 松井 秀明
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.46-49, 2015 (Released:2015-03-07)
参考文献数
9

難治性の疾患である間質性膀胱炎の下腹部痛に上下腹神経叢ブロックが有効であった3症例を経験した.3症例はいずれも薬物療法,膀胱水圧拡張療法などでは鎮痛困難であった.最初の症例に硬膜外ブロックが有効であったため,より効果期間の長いアルコールを用いた上下腹神経叢ブロックを行った.合併症がなく,痛みは著明に改善した.その経験より連続した他の2症例にも行い,同様に痛みが改善した.今回の経験から間質性膀胱炎に対して上下腹神経叢ブロックの有効性が示唆された.
著者
大長 珠美 山田 一郎 増本 一真 山口 万枝 福田 廣志 橋本 賢二
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.472-474, 2000-08-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

Photodynamic therapy is a new therapeutic technique that utilizes a photosensitizer selectively localized in tumors and activated by exposure to laser light, resulting in tumor necrosis. Photodynamic therapy has proved to be effective in the treatment of early cancers of the lung, esophagus, stomach, and uterine cervix, and was approved by the Japanese goverment. We consider early oral cancers to be good candidates for photodynamic therapy. This report describes two cases of tongue carcinoma treated by photodynamic therapy.
著者
柏木 めぐみ 村田 和優 ペルマナ ハディアン 山田 哲也 金勝 一樹
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.177-185, 2017-04-05 (Released:2017-04-14)
参考文献数
17
被引用文献数
2

化学農薬を使用しない水稲の種子温湯消毒法は,クリーンな技術として注目され,「60℃で10分間」という処理条件が広く普及している.しかし,この条件では完全に防除できない病害もある.したがって,この消毒法を安定した技術とするためには,多くの品種に高温耐性を付与し,より厳しい条件で処理できるようにすることが重要である.温湯消毒時の種籾の高温耐性には明らかな品種間差があり,この形質は育種学的な手法で改善できる可能性がある.例えば,日本型品種の「ひとめぼれ」の種籾は強い高温耐性を有することが示されている.一方で,インド型品種や糯米品種は一般に種籾の高温耐性が弱く温湯消毒に適さないことも報告されている.これらのことを踏まえて本研究では,「ひとめぼれ」のような有用な遺伝資源となりうる品種を見出すことを目的に,農業生物資源ジーンバンクが確立した「世界のイネコアコレクション」の種籾の温湯消毒時の高温耐性を評価した.その結果,日本型品種の「Rexmont」と「Tupa 729」,インド型品種の「Badari Dhan」の3品種の種籾が,極めて強い高温耐性を有していることが明らかになった.さらに,「Badari Dhan」以外のインド型品種や,糯米品種の中にも「ひとめぼれ」と同等,あるいはそれ以上の高温耐性を示す種籾が存在することが明らかとなり,温湯消毒時の高温耐性に関して有用な遺伝資源となり得る複数の品種を特定することができた.
著者
幸田 仁志 甲斐 義浩 来田 宣幸 山田 悠司 三浦 雄一郎 福島 秀晃 竹島 稔 森原 徹
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.548-551, 2019 (Released:2019-09-18)
参考文献数
13

地域在住高齢者を対象に,腱板断裂,肩痛の自覚症状,他覚症状のそれぞれの有無により健康関連QOLを比較検討した.地域在住高齢者363名を対象とした.測定項目は,超音波診断による腱板断裂,アンケートによる肩痛の自覚症状,impingement signによる他覚症状の有無,SF-8の下位尺度およびサマリースコアとした.統計解析はMann-Whitney の U 検定を用い,それぞれの陽性群と陰性群で健康関連項目を比較した.肩痛の自覚症状の陽性群は,身体機能,日常役割機能(身体),体の痛み,全体的健康感,活力,身体的健康感が有意に低値を示した.他覚症状の陽性群は,身体機能,体の痛み,全体的健康感,活力,身体的健康感が有意に低値を示した.腱板断裂の有無では,いずれの項目にも有意差は認められなかった.地域在住高齢者の健康関連QOLには,腱板断裂の有無は直接的に関与せず,肩痛の自覚症状や他覚症状によって低下することが示唆された.
著者
甲斐 義浩 幸田 仁志 山田 悠司 三浦 雄一郎 福島 秀晃 竹島 稔 来田 宣幸 森原 徹
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.411-414, 2019 (Released:2019-09-18)
参考文献数
12

本研究では,肩関節の総合的な柔軟性を得点化できる肩複合柔軟性テストを考案し,そのテスト法の信頼性と妥当性について検討した.対象は,健常若年者43名,健常高齢者252名,肩病変を有する高齢者111名とした.肩複合柔軟性テストは,外転,内転,外旋,内旋,複合テストの5項目で構成される.各テストには,4段階(0, 1, 2, 3)の判定基準を設定し,5項目の合計得点を0~15点で算出した.分析の結果,本テストの判定一致度(k係数:0.81-1.00)および合計得点(ICC:0.91)ともに,優秀な検者間信頼性が確認された.また,合計得点と肩甲上腕関節可動域との間に有意な正相関が認められた.対象者の合計得点は,健常若年者:12.5 ± 1.7点,健常肩高齢者:10.4 ± 2.5点,病変肩高齢者:8.7 ± 2.8点であり,病変肩群の得点は他の2群と比べて有意に低かった(p < 0.01).これらの知見より,肩関節の総合的な柔軟性を得点化できる尺度として,本法の信頼性と妥当性が示された.