著者
小山田 圭吾 市川 尚 高木 正則 富澤 浩樹 阿部 昭博
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2019-CE-151, no.5, pp.1-8, 2019-09-28

本学部では e ラーニングによる入学前教育を実施しており,プログラミングの課題も含まれている.本研究では,受講対象者である高校生をチューターと学習者に分け,学習者が作成したプログラムに対して,チューターが確認を行うためのオンライン上の学習環境を構築した.そのシステムは,学習者がビジュアル型言語でプログラムを作成して提出するまでの履歴を記録し,チューターがプログラムや履歴を確認して学習者にフィードバックを行うことを支援する.構築した学習環境を用いて入学前教育で試行した結果,チューターの確認とフィードバックにより,学習者のプログラムの改善が見られた.一方で,履歴を提示することはチューターの役に立っていたが,プログラムの確認やフィードバックには不十分な点が見られるなどの課題が残った.その課題を踏まえ,システムの改善について検討した.
著者
吉益 光一 藤枝 恵 原田 小夜 井上 眞人 池田 和功 嘉数 直樹 小島 光洋 山田 全啓 窪山 泉
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.547-559, 2019-09-15 (Released:2019-10-04)
参考文献数
55

目的 精神科救急医療体制の構築と関連する法律の整備に関して,現代の日本における課題を明らかにし,解決策を探ること。方法 日本公衆衛生学会モニタリング・レポート委員会精神保健福祉分野のグループ活動として,2014年度から2017年度にかけて精神科救急および措置入院に関する情報収集を行った。各年次総会に提出した報告書を基に,必要に応じて文献を追加した。結果 地域における精神科医療資源の偏在や,歴史的な精神疾患に関する認識の問題なども絡んでいるため,全国均一的な救急医療システムの構築のためには越えなければならないハードルは高い。また,強制入院の中で最も法的な強制力が強い措置入院制度に関しては,その実際的な運用を巡って全国でも地域差が大きいために,精神保健福祉法に,より具体的な記載が盛り込まれるとともに,厚生労働省から一定のガイドラインが提示されている。とくに近年は凶悪犯罪事件との関連を巡って,社会的にも関心が高まっており,一部では措置入院の保安処分化を懸念する声が上がっている。精神疾患は今や五大疾病の一つに位置づけられているが,その性質上,生活習慣病などに比べて,疫学的エビデンスが圧倒的に不足しており,これが臨床や行政の現場での対応に足並みが揃わない主要因であると考えられる。結論 日本公衆衛生学会は,医療・福祉・行政などに携わる多職種から構成される学際的な組織である強みを活かして,多施設共同の疫学研究を主導し,措置入院解除および退院後の予後に関する,すべての関係自治体が共有しうるデータベースとしての疫学的エビデンスの構築を推進する役割を担っている。
著者
佐竹 哉太 山田 誠 松井 孝太 松井 茂之 鹿島 久嗣
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

生存時間分析はイベントが発生するまでの時間を分析するための手法であり、多くの分野で使用されている。 この生存時間分析の中で最も良く用いられるモデルとして、Cox比例ハザードモデルがある。Cox比例ハザードモデルはイベントの詳細な分布が分からない場合でも利用でき、また線形式の係数により特徴の重要性を解釈することができる。しかし一方で特徴の線形な関係性しか利用できないという問題がある。非線形なCoxモデルも研究されているが、それらのモデルでは解釈ができない欠点がある。本研究では、CoxハザードモデルにFactorization Machines (FM)を導入したモデルを提案する。このモデルでは共変量間の相互作用を利用でき、また解釈も可能である。提案手法の性能を評価するため、実際の遺伝子データから特徴選択を行い、それによって選択された特徴を用いて実験を行った。その結果、提案手法が既存手法に比べ良い性能を示すことを確認した。
著者
山田 節夫
出版者
専修大学経済学会
雑誌
専修経済学論集 = Economic bulletin of the Senshu University (ISSN:03864383)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.41-50, 2018-07

特許出願数は,研究開発の成果を意味する指標としてイノベーション研究に頻繁に用いられている。それは,研究開発費と特許出願数の間に安定的な正の関係が見いだされるからに他ならない。しかし,近年の日本において,研究開発費の増勢傾向に変化がないにも関わらず,特許出願数の持続的減少が観察されている。研究開発費と特許出願数の間には,様々な要因が作用していると考えられるが,もしその主要な要因が研究開発生産性の低下であるなら,こうした現象は深刻な事態を意味していることになる。ただし,1988年に導入された「改善多項制」の影響が大きいとも考えられる。そこで本稿では「改善多項制」の影響を十分に考慮した「特許出願関数」を設定し,1985年~2007年における日本の主要産業に属する東証一部上場企業312社のプーリング・データを作成し推計した。推計の結果,特許出願数の減少傾向は主として「改善多項制」の利用の普及にあることが明らかとなった。
著者
山田 浩之
出版者
北海道大学大学院農学研究院
雑誌
北海道大学大学院農学研究院邦文紀要 (ISSN:18818064)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.79-85, 2010-02-26

In 2004, a restoration project was conducted in the Sakusyukotoni River, a tributary of the Shin River, at Hokkaido University. The water environment and fish assemblage were investigated after the project in 2007. Water quality was good, meeting environmental quality standards, but the assemblages were poor. Only four species were present -ninespine stickleback (Pungitius pungitius), stone loach (Noemacheilus barbatulus toni), shima-ukigori (Gymnogobius opperiens) and dojo loach (Misgurnus anguillicaudatus)- in spite of higher diversity in the main stem, Shin River. In the near future, it might be necessary to manage or restore habitats for lotic biota.
著者
山田 崇恭 西脇 眞二 伊賀 淳郎 泉井 一浩 吉村 允孝
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.75, no.759, pp.2868-2876, 2009-11-25 (Released:2017-06-09)
参考文献数
21
被引用文献数
1 2

In structural designs considering thermal loading, to control thermal stress and minimize decreases in material strength at high temperatures, it is important to maximize the thermal diffusivity of structures, in addition to the usual maximization of stiffness that optimal designs achieve. This paper presents a new level set-based topology optimization method for thermal problems with generic heat transfer boundaries in a fixed design domain that includes design-dependent effects, using level set boundary expressions and the Finite Element Method. First, a topology optimization method using a level set model incorporating fictitious interface energy is briefly discussed. Next, an optimization problem is formulated using the concept of total potential energy to address the design of mechanical structures that aim to minimize the mean temperature of the structure under thermal loading. An optimization algorithm that uses the Finite Element Method when solving the equilibrium equation and updating the level set function is then constructed. Finally, several numerical examples are provided to confirm the utility of the proposed optimization method.
著者
山田 英二
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

英語の語の強勢配置を説明するために提案された位置関数理論(Yamada (2010))では「副次」強勢配置の説明のために16個の位置関数を措定してる。その後、「主」強勢を説明するためには3個の「位置関数」が必要であることが明らかにされた。本研究ではその妥当性を確かめた。その結果、3個の位置関数で十分に説明できることが明らかとなった。さらに、「位置関数理論」の妥当性を、「電子データ」を用いて検証した。まず基礎データとなる電子データを確定した。次に、それを基に位置関数の一つであるACS(Alveolar Consonant Sequence)の検証を行ったところ、その観察的妥当性が明らかとなった。
著者
月岡 桂吾 山田 聖治 室野 剛隆
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.I_123-I_132, 2019 (Released:2019-09-24)
参考文献数
18

本研究では,インピーダンスの周波数依存性および上部構造物の非線形性を考慮した非線形時刻歴応答解析手法である佐藤の方法を対象として,その適用性の拡張を図った.具体的には,佐藤の方法では,インピーダンス虚部が低周波数域において一定値をとるような問題に対して適用性が担保されていなかったため,これを改善するような方法を提案した.その上で,SRモデルを対象として,インピーダンスの周波数依存性と上部構造物の非線形性を考慮した数値解析を実施し,低周波数域におけるインピーダンス虚部の再現性が上部構造物の非線形応答特性に与える影響に関して検討を行った.その結果,上部構造物の履歴減衰の影響が比較的小さい場合において,インピーダンス虚部の再現性の影響が顕著に表れることが示された.
著者
難波 一能 中西 左登志 山田 剛 伊藤 守弘
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.413-418, 2013-04-20 (Released:2013-04-22)
参考文献数
19

The objectives of this study were to determine the usefulness of a newly-developed distal fibular axial view radiography modified method for depicting avulsion fracture of the lateral malleolus in children from a functional anatomy viewpoint. Conventional radiography was applied to sixty-nine avulsion fracture suspected ankles of 67 children. Average age and standard deviation at injury were 8.00 and 1.46, respectively. We compared the ability of the modified method to detect avulsion fractures of the lateral malleolus with those could not be depicted using the conventional method, and noted that 42 avulsion fractures (60.9%) could be depicted using the conventional method. We applied the modified method to 27 joints that the conventional method had diagnosed as normal. Of these, the modified method detected 13 avulsion fractures (48.1%). In conclusion, the modified radiography method made it possible to depict avulsion fracture of the lateral malleolus in cases that resisted detection by the conventional method.
著者
山田 歩
出版者
学習院大学大学院
巻号頁・発行日
2013-05-16

自分の選好や感情がどんなことに左右される傾向があるのか,また実際にどんなことから影響をうけているのか正確に把握することは,人びとが社会生活に適応するうえで欠かせない。対象への好みや評価が望まざる影響を受けていることがわかれば,そうした影響を取り除くことができるし,自分の喜びや満足にとって何が重要なのかを知ることで,よりよい決定を行うことができる。しかしながら,選好や感情はしばしば自覚することが困難な要因によって左右される。これらを正確に理解あるいは予測することは容易とはいえない仕事として意思決定者にふりかかる。本論文では,意思決定場面を中心に,意思決定者がどのように自身の感情を予測したり選好の原因を帰属したりするのか,その推論を方向づける要因を明らかにすることを目的に四つの研究(計 6 件の実験)を実施した。\ 第 2 章では,選択肢の属性の言語化の容易さが選好の推論に与える影響を検討した。思考や感情を表現する言葉が容易に利用できるほど,自身の選好や態度を明確に表現することができる,あるいは正確に分析することができるという暗黙の想定に反して,研究から得られた結果からは,言語化の容易な性質が多く含まれる選択肢については,たしかに好みの理由を記述することが促進されるが,それは表面的な理由が案出されているにすぎないことが確認された(研究 1 ・研究 2 )。つまり,人びとが自身の選好を意識的に推論するとき,言葉にすることが容易な特徴があると,それらは,正確であるかないかにかかわらず,何かしらの理由を作り上げることを“助けてしまう”。分析者の好みを的確に反映しているわけではないため,これらの理由に基づいて行われる決定や選択は当人にとって最適あるいは最善ではない帰結をもたらす可能性があることが示唆された。また,研究 1 で用いた具象画が好きな理由と嫌いな理由のどちらを記述することも容易であったのと対照的に,研究 2 で用いた Pepsi が好きな理由についてのみ記述が容易であったことを考慮に入れると,言語化のしやすい目立った特徴はどんな理由の記述も促進するではなく,その特徴が選好にどのように影響するのかについて分析者がもつ素朴理論や生理的な嗜好に沿って,理由の記述に利用されることも示唆された。\ 第3 章では,もっともらしい理由の利用可能性が選好の推論に与える影響を検討した。意思決定者が,選択肢に対する評価や好みがどんな要因からどのような影響を受けていると考えるかは,自身の置かれた環境の中で利用できるもっともらしい理由の存在に影響を受けると予想した。研究 3 では,洗剤のロゴの魅力を高める実験操作を受けた後,実験参加者は二つの家庭用洗濯洗剤を受け取り,購入したい方を選んだ。その結果,実際にはロゴに魅力を感じているにもかかわらず,洗剤の効能に関する情報が利用できる状況におかれた参加者は,それらの効能が洗剤の魅力の源泉となっていると考えた。そして,そうした効能に基づいて購入する洗剤を決めているという(誤った)認知をもつことで,自身の決定が正当化され,実際にはロゴに魅力を感じているはずの洗剤を選ぶ傾向が強まった。こうした知見は,自身の選好をいかにも左右するように見える要因の利用可能性が高いとき,人びとは選好の原因を取り違えやすいこと,また,そうした取り違えによって,決定や選択に新たな意味づけが与えられ,正確に源泉を特定できていた場合とは異なる決定や選択を行うことになることを示している。\ 第4 章では,自身の主観的感覚を手がかりに判断を行うさいに素朴理論が果たす役割を検討した。情動的感覚から認知的感覚まで,対象と接したときに喚起される主観的感覚は,様々な判断の手がかりとして利用される。主観的感覚がある刺激属性に帰属され,判断の手がかりとして利用されるには,その属性が主観的感覚をもっともらしく説明するラベルとしての役割を果たす必要がある。こうした過程においては,どのような主観的感覚に対して,どのような説明がふさわしく感じられるかについて査定する知覚者の素朴理論が関わるはずである。研究 4 では,繰り返し呈示された人物刺激はポジティブな印象を与えることが確認されたが,性別ステレオタイプと結びつく性格の印象については,その性格をあてはめやすい性別の人物刺激のみに印象の変化が生じることが見出された。こうした知見は,繰り返し呈示されたことで感じられるようになった熟知感のような感覚に対してどのようなラベルをはりつけるのがふさわしいと感じられるかは,そのラべルを適用する対象の種類によって異なること,そして,熟知感を説明するラベルとしてのふさわしさが,判断対象について判断者が事前に持っているステレオタイプ的な信念によって媒介されることを示したといえる。\ このように,本論文では,自身の選好を帰属あるいは理解したり,喜びを予測したりするとき,人びとは,いかにも原因のように見え,言葉にするのが容易で,また,利用可能性の高い属性に注目する傾向があることが確かめられた。こうした要件を満たさなければ,実際に選好や感情を左右していても(あるいは左右することになるとしても),その要因は人びとが原因と考える候補から漏れやすくなる。逆に,実際に選好や態度を左右していなくても(あるいは左右することにならないとしても),このような要件を満たす要因が利用できる環境では,真の規定因は見落とされ,実際とは異なる要因が原因とみなされやすくなる。意思決定者は,自身の好みや態度がどのように左右されるのかについて内省によって直接的にたどることはできず,そのかわりに,これらの要件を満たす情報を用いて推論を行うことを通して,どんな要因が好みや喜びを左右し,またそれらがどんな結果をもたらすのかについて,理解そして予測するといえる。
著者
山田 哲夫 田口 裕功 清水 章治 信太 隆夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.47-51, 1985-01-30 (Released:2017-02-10)

約10年間にわたり難治性の膀胱刺激症状を有し, 膀胱壁の好酸球増加を伴った間質性膀胱炎の1治癒例を経験した.この症例は13歳頃より扁桃炎を反復し生来アレルギー素因も有していた.扁桃局所々見や扁桃誘発試験などから発症に扁桃の関与が示唆された.扁桃摘出後約2週間で膀胱の潰瘍性病変が消失し, 術後約6年の経過を観察しているが全く異常は認められず, 扁桃性病巣感染の関与が証明された.
著者
山田 哲夫 田口 裕功 西村 浩 三田 晴久 信太 隆夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.264-268, 1984-05-30 (Released:2017-02-10)

エビとイカによる食餌アレルギーが原因であった間質性膀胱炎の1例を経験した.症例は33歳男性で, 1965年頃より難治性の膀胱刺激症状を呈し, 1975年に当科を受診した.既往歴や試食によりエビとイカが原因と推定された.そしてエビとイカエキスの皮下注や膀胱内注入誘発試験で主訴と同様な症状を認めると同時に, 誘発後血中と尿中のヒスタミンとセロトニンの上昇がみられた.治療の主体を食餌よりエビとイカを除くことにより, 現在まで症状の再発を認めていない.