- 著者
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岡 孝和
- 出版者
- 一般社団法人 日本心身医学会
- 雑誌
- 心身医学 (ISSN:03850307)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.3, pp.234-240, 2020 (Released:2020-04-01)
- 参考文献数
- 7
私の行っている心因性発熱ないし機能性高体温症の治療について概説した. 心因性発熱の治療で重要なのは, 見通しのない経過観察や検査の繰り返し, 解熱薬の投与ではなく, 患者の抱えるストレスに対する個別の処方箋である. そのため単一の治療法では不十分で, 多面的なアプローチが必要となることが多い. 具体的には病態説明, 生活指導, 環境調整, 言語的・非言語的心理療法, 精神生理的技法 (リラクセーショントレーニング), 薬物療法, 併存疾患に対する治療, などを必要に応じて組み合わせて行う. 筆者は, まず患者に対して 「体温が上がると, どのようなことで困るのか」 質問し, 高体温に伴って生じる苦痛を理解するようにしている. さらに, 患者が心因を否認したい場合や, 心因性という病名が患者や患者家族のスティグマとなりそうな場合は, 心因性発熱ではなく, 機能性高体温症という病名を用いて, 病状説明をしている.