著者
松浦 志保 冨岡 慎一 松田 晋哉
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.367-376, 2021-09-01 (Released:2021-09-06)
参考文献数
25

近年,医師の地域偏在対策として様々な取り組みがなされているが,その中で地域の教育水準が医師の地理的分布に与える影響に着目したものはない.本研究では,地域の教育水準と医師の地域偏在との関連を検証するために,政府等の公開データを用いて分析を行った.分析方法として多重線形回帰を用い,二次医療圏毎の人口10万人あたり医師数を被説明変数,偏差値60以上高等学校(以下 高校と省略)数,人口10万人あたり診療所数,人口10万人あたり病床数,高齢化率,外来受療率,人口密度,医学部の有無を説明変数とした.その結果,各二次医療圏において偏差値60以上の高校が1校でもあれば人口10万人あたりの医師数を有意に増加させ,さらに2校以上になると医師数はより増加することがわかった(P<0.05).加えて,私立高校を除き国公立高校のみを用いて分析した場合も,また二次医療圏における偏差値60以上の高校数ではなく,偏差値65以上の高校数を用いた場合も同様の結果が得られており,地域における入試偏差値の高い高校の存在が医師の分布に及ぼす影響は十分に確かであると考えられる.このことから,医師の地域偏在対策として,地域の教育環境を充実させることも検討すべきである.
著者
亀岡 慎一 礒田 修平 橋本 篤 伊藤 良栄 宮本 哲 和田 弦己 渡辺 直樹 亀岡 孝治
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.11-25, 2017

<p>高品質ワイン生産を目的とした最適ブドウ栽培管理のためには,ワイン用ブドウ栽培における科学的な理解に基づいた栽培環境の長期的なモニタリングが必要と考えられる.本研究ではワイン用ブドウ圃場の既設無線センサネットワーク(WSN)のシステム更新を行い,WSNによる圃場の生育環境情報取得と,生産者がその栽培環境情報を栽培に活かせるようなWebアプリケーション開発を行った.システムに関しては,無線規格の2.4 GHz帯からWi-SUN規格に準ずる920 MHz帯への変更とウェザーステーション・土壌水分センサの変更を伴う無線ネットワークシステムの抜本的な更新を行い,WSNからのデータ取得では,共通基盤クラウドを経由した圃場生育環境情報取得による観測項目名と単位名の標準化を行った.また,隣接して設置した気象庁の検定付きウェザーステーションのデータと比較することで,ウェザーステーションデータの精度検定を行った.開発したWebアプリケーションでは,栽培管理に有効な生育環境情報の二次栽培指標である有効積算温度(AGDD),Growing Season Temperature(GST),Coolnight Index(CI),Heliothermal Index(HI),Biologically Effective Degree-Days(BEDD),Dryness Index(DI)を求めることにより,科学的根拠に基づいた栽培管理に寄与する定量的指標の提供を可能とした.</p>
著者
Oka Shin-ichiro Miyamoto Kei 岡 慎一郎 宮本 圭
出版者
琉球大学資料館 (風樹館)
雑誌
Fauna Ryukyuana (ISSN:21876657)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-6, 2015-05-23

The morphology of pelagic juveniles of Plectroglyphidodon johnstonianus (Perciformes, Pomacentridae) is reported on the basis of two specimens collected from the offshore region of Aguni Island, Okinawa, Japan. The juveniles were identified using morphometric and genetic evidence. The juveniles were characterized by their round body, elongated pectoral fin, and melanophore pigmentation pattern. In addition, fresh specimens had a large red spot on the lateral side of the body.
著者
高野 操 木下 節子 高橋 秀人 幸田 幸直 岡 慎一
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.203-211, 2002
被引用文献数
1

本研究は, 血友病/HIV-1感染者の長期的な予後と, 多剤併用療法に対する臨床効果を明らかにする目的で, 1990年から1993年時点に, 無症候期であった血友病/HIV-1感染者69人と, 非血友病/HIV-1感染者29人を対象に, 比較検討を行った.<BR>1990年-2000年までのCD4数の変化は, 両群に有意差を認めず, 観察開始からAIDSを死因とした生存時間にも, 両群に有意差を認めなかった. しかし, 血友病/HIV-1感染者におけるAIDS以外の死因として, 出血, 肝硬変・肝癌による死亡が特徴的にみられた.<BR>1997年以降の生存者は98人中55人 (血友病39人, 非血友病16人) で, そのうち多剤併用療法を導入した患者は, 血友病/HIV-1感染者28人, 非血友病/HIV-1感染者12人であった. SQVを除く初回多剤併用療法で, HIV-1RNA量を検出限界以下 (<400copies/m1) に抑制できた患者の割合は, 有意差を認めなかったが, 服薬継続期間は, 血友病/HIV-1感染者平均84週, 非血友病/HIV-1感染者平均51週で, 血友病/HIV-1感染者の方が有意に服薬継続期間が長かった (p<0.05). 一方, 多剤併用療法開始から, 2000年7月までの薬剤変更・中断歴を調べると, 血友病/HIV-1感染者の場合, 既に3回以上の変更が行われている患者が35.7%と, 非血友病/HIV-1感染者16.7%に比べ多い傾向を示した. このことから, 血友病/HIV-1感染者の間では, 頻回な治療変更を余儀なくされている患者群のある可能性が示唆された.
著者
山本 聖子 池田 和子 大金 美和 杉野 祐子 谷口 紅 木下 真里 阿部 直美 紅粉 真衣 菊池 嘉 岡 慎一
出版者
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科保健学専攻
雑誌
保健学研究 = Health science research (ISSN:18814441)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.119-127, 2019-09

有効な患者教育の内容について検討することを目的とし,2016年1月~12月にHIV陽性の確定診断を受け,かつA病院のHIV専門外来受診を開始した成人患者20名を対象にアンケートおよびインタビュー調査を行った.内容は保健所等でHIVスクリーニング検査陽性の告知を受けてから外来に初診で来院し患者教育を受けるまでの間に閲覧したネット上の情報の内容,閲覧したサイトの種類,特に印象に残った情報や信憑性に不安を感じた情報は何か,信憑性の確認はどのように行ったか等であった.調査の結果,ネットで情報収集をしたと回答したのは16名であった.閲覧した内容(複数回答)については,「疾病・治療に関する情報」が最多で15名であり,次いで「他のHIV感染者の思い・体験」が14名であった.思いや体験などのようなナラティブ情報は患者の情緒的サポートに有用であるが,時に混乱を招くことがあり,患者の個別性に合わせた情報提供が必要である.またネット上の情報についての真偽を何らかの方法で確認すると回答したのは5名のみで,医療者側から意識的に,患者の持つ情報の内容や根拠の有無を確認していくことが必要であることが明らかになった.
著者
岡 慎一
出版者
日本刑法学会
雑誌
刑法雑誌 (ISSN:00220191)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.441-452, 2006-04-30 (Released:2020-11-05)
著者
外岡 慎一郎
出版者
中央大学大学院事務室
巻号頁・発行日
2018-03-15

【学位授与の要件】中央大学学位規則第4条第2項【論文審査委員主査】坂田 聡(中央大学文学部教授)【論文審査委員副査】西川 広平(中央大学文学部准教授),近藤 成一(東京大学名誉教授/放送大学教養学部教授)
著者
青木 孝弘 岡 慎一
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.13-17, 2012 (Released:2012-03-30)
参考文献数
25
被引用文献数
2
著者
久保下 亮 岡 慎一郎 田原 弘幸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Cb1397, 2012

【はじめに、目的】 不慣れな運動を行った後や,過度な運動を行った後の24~48時間後をピークとして生じる遅発性筋肉痛(Delayed Onset Muscle Soreness;DOMS)は,遠心性収縮の収縮様式を用いた運動後に生じやすい。その原因は諸説様々な形で述べられている。運動中に生じる筋や結合組織の微細構造の損傷後の炎症反応に伴う筋内圧の増加などの機械的刺激や,筋温の上昇による熱刺激,ブラジキニン,セロトニン,ヒスタミン,カリウムイオンなどの発痛物質による化学的刺激それぞれが,多種侵害受容器であるAδ線維やC線維の自由終末に作用することによって痛みが受容されると考えられる。その評価方法に至っては,VAS(Visual Analogue Scale)やフェイススケールなどが簡易的に用いられており,その他,血中生化学的マーカーにより評価する方法,超音波画像法や磁気共鳴映像法(Magnetic Resonance Imaging:MRI)など筋内部の変化を画像化して評価する方法などが用いられている。今回は,プライオメトリクストレーニングを用いて意図的に大腿四頭筋にDOMSを生じさせ,トレーニング前後での内側広筋(以下,VM)と外側広筋(以下,VL)の筋硬度と膝関節伸展ピークトルクとにどのような変化が生じるのか検討してみた。【方法】 対象は現在運動器疾患を有していない学生20名(男性13名,女性7名),平均年齢20.7±0.2歳である。まず,被験者のVMとVLの筋硬度を背臥位にて生体組織硬度計PEK-1(井元製作所製)を用いて計測した。次に,膝関節伸展ピークトルクの測定を等速性筋力測定器であるBIODEX SYSTEM3(BIODEX社製)を用いて行った。角速度は60°/secで反復回数を5回とした。その後,プライオメトリクストレーニングとしてボックスジャンプとデプスジャンプを10回×3セット施行し,トレーニング終了から24時間後(以下,Ex後24h),48時間後(以下,Ex後48h)にVMとVLの筋硬度と膝伸展ピークトルクを測定した。統計学的分析には,反復測定分散分析を用いた。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には紙面を用いて研究内容を説明し,研究への参加による利益,不利益を示し,同意を得た上で本研究に参加してもらった。【結果】 膝関節伸展ピークトルクの平均は,トレーニング前(以下,Ex前)が167.8±10.6Nm,Ex後24hが163.5±10.6Nm,Ex後48hが159.3±11.1Nmであり,Ex前とEx後48hとの間に有意差を認めた(p<0.01)。VMの筋硬度の平均は,Ex前が40.1±0.7,Ex後24hが42.2±0.7,Ex後48hが45.2±0.8であり,全てにおいて有意差を認めた(p<0.01)。VLの筋硬度における平均は,Ex前が53.8±0.9,Ex後24hが55.0±0.8,Ex後48hが57.8±0.8であり,Ex前とEx後48h,Ex後24hとEx後48hとの間において有意差を認めた(p<0.01)。【考察】 今回,VMやVLに対し強い遠心性収縮を要求するプライオメトリクストレーニング(ボックスジャンプ,デプスジャンプ)を行うことで,トレーニング後は筋硬度が上がり,膝関節伸展筋力も低下するという結果から,強い遠心性収縮を用いるトレーニングは筋を損傷させることにより筋機能が著しく向上することはありえないと思われる。野坂らによると,エクセントリックトレーニングにより筋機能の向上を図る際には,筋力の回復に長期を要するような強い負荷は効果的でなく,筋力の増加は,比較的軽度な負荷のトレーニングでも達成できると述べている。高負荷なトレーニング後は筋疲労が残存していたり,筋の緊張状態も高いことより,トレーニング後の休息ならびに次のトレーニングまでの間隔が,トレーニング効果を上げるために非常に重要な要素であることを示している。
著者
佃 由晃 林 洋 上村 勝一郎 服部 年逸 金子 浩久 師岡 慎一 光武 徹 秋葉 美幸 安部 信明 藁科 正彦 増原 康博 木村 次郎 田辺 朗 西野 祐治 井坂 浩順 鈴木 理一郎
出版者
Atomic Energy Society of Japan
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.384-403, 2002
被引用文献数
5

Nuclear Power Engineering Corporation (NUPEC) has conducted a proving test for thermal-hydraulic performance of BWR fuel (high-burnup 8×8, 9×9) assemblies entrusted by the Ministry of Economy, Trade and Industry (NUPECTH-B Project). The high-burnup 8×8 fuel (average fuel assembly discharge burnup: about 39.5GWd/t), has been utilized from 1991. And the 9×9 fuel (average fuel assembly discharge burnup: about 45GWd/t), has started to be used since 1999. There are two types (A-type and B-type) of fuel design in 9×9 fuel assembly.<BR>Using an electrically heated test assembly which simulated a BWR fuel bundle on full scale, flow induced vibration, pressure drop, critical power under steady state condition and post-boiling transition (post-BT) tests were carried out in an out-of pile test facility that can simulate the high pressure and high temperature conditions of BWRs. This paper completed the results of 9×9 fuel combined with the previously reported results of high-burnup 8×8 fuel.<BR>As a result of NUPEC-TH-B Project, the validity of the current BWR thermal-hydraulic design method was confirmed and the reliability of BWR thermo-hydraulic fuel performance was demonstrated. Based on the test data, a new correlation of the estimation of fuel rod vibration amplitude, new post-BT heat transfer and rewet correlations for the estimation of fuel rod surface temperature were developed.
著者
岡 慎一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.11, pp.2809-2813, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
10

新薬の開発により今後の治療法に新しい流れを生み出そうとしている.そんな中で,もっとも期待されているのが,新規プロテアーゼ阻害薬であるダルナビルとインテグラーゼ阻害薬であるラルテグラビルであろう.現在の併用療法は,必ず2種類の核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)が含まれている.しかし,治療の長期化に伴い,NRTIの慢性毒性が問題となっている.これら新薬を用いた,NRTIを含まない新しい併用療法への期待が高まる.
著者
高橋 一正 畔 和夫 奈良部 幸夫 今井 昭生 小西 優介 天田 巌 宇田川 毅 草葉 義夫 村松 岳彦 天野 壮泰 谷岡 慎一 市野 富雄 中野 清志 村上 一方
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.9, pp.1571-1575, 1989

波長可変レーザー装置を用いてcis-ビタミンK2(cis-VK<SUB>2</SUB>)→trans-ビタミンK<SUB>2</SUB>(trans-VK<SUB>2</SUB>)の光異性化反応を試みた。cis-VK<SUB>2</SUB>またはtrans-VK<SUB>2</SUB>の溶液に紫外から可視領域のレーザー光を照射し,それぞれの異性化量を測定した。その結果,cis-5-VK<SUB>2</SUB>→trans-VK<SUB>2</SUB>の異性化に有効な波長は280~460nmであり,とくに435と355nmが高い異性化率を示した。trans-VK<SUB>2</SUB>→cis-VK<SUB>2</SUB>の異性化反亦も同時に進行するがその速度は遅く,光平衡組成はtrans-VK<SUB>2</SUB>/cis-VK<SUB>2</SUB>7/3となった。また異性化反応は溶媒の影響を受け極性溶媒よりも無極性溶媒が有効であった。cis-VK<SUB>2</SUB>→trans-VK<SUB>2</SUB>の異性化はテトラプレニル側鎖中のナフトキノン骨格にもっとも近い二重結合で起こり,他の二重結合部では起こらず選択的反応である。窒素雰囲気下でのおもな副生成物はメナクロメノロ一ルであった。これらの結果から異性化反応過程を推定した。