著者
中元 唯 岡 真一郎 高橋 精一郎 黒澤 和生
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101553, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】疼痛は,組織破壊よる自発痛と,潜在的な組織障害および不快な感覚が絡み合った慢性疼痛がある.慢性疼痛は,自律神経反応との関連が深いことから交感神経の抑制を目的とした星状神経節や胸部交感神経節ブロック,星状神経節に対する直線偏光近赤外線照射などが用いられている.一方,理学療法においては,胸椎のマニピュレーションが指先の皮膚温を上昇させ,軽微な圧迫刺激が遅く鈍い痛みを特異的に抑えることから,胸背部への体性感覚入力が自律神経系に影響を及ぼす可能性がある.本研究の目的は,胸背部に対する持続的圧迫刺激が自律神経活動,末梢循環動態におよぼす影響について調査することとした.【方法】対象は,健常成人男性10 名(22.2 ± 1.2 歳)とした.測定条件は,室温25°前後で対象者を背臥位とし,メトロノームを用いて呼吸数を12 回/分で行うよう指示した.測定項目は,胸背部硬度,体表温度,心拍変動解析とした.胸背部への徒手的圧迫刺激は,簡易式体圧・ズレ力同時測定器プレディアMEA(molten)を用い,右第2 −4 胸椎棘突起の1 横指下外側に圧力センサーを接着して50mmHgに調整した.胸背部硬度は,生体組織硬度計PEK-1(井元製作所)を用いて右第2 −4 胸椎棘突起の1 横指下外側をそれぞれ3 回測定した.体表温度は,防水型デジタル温度計SK-250WP(佐藤計量器製作所)を用い,右中指指尖を1 分ごとに測定した.心拍変動解析は,心拍ゆらぎ測定機器Mem-calc(Tawara)を用いて心電図R-R 間隔をTotal Power(TP),0.04 〜0.15Hz(低周波数帯域,LF),0.15 〜0.40Hz(高周波数帯域,HF)として行った.自律神経活動の指標は,自律神経全体の活動をTP,副交感神経活動をHFn(HF/(LF+HF)),交感神経の活動をLF/HFとした.測定プロトコールは,圧迫前の安静10 分(以下,圧迫前),胸背部圧迫10 分,圧迫後の安静10 分(以下,圧迫後)とした.統計学的分析はSPSS19.0Jを用いて,圧迫前後の比較を対応のあるt検定およびWilcoxon符号順位和検定を行い,有意水準を5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき,対象者には研究内容を十分に説明し書面にて同意を得た後に測定を実施した.【結果】TPは圧迫前後で有意差がなかった.胸背部硬度は,圧迫前57.0 ± 4.3 から圧迫後55.8 ± 3.7 と有意に低下した(p<0.01).体表温度は,圧迫前33.8 ± 0.6℃から34.4 ± 0.6℃と有意に上昇した(P<0.05).心拍数は,圧迫前70.1 ± 12.9bpmから圧迫後67.6 ± 11.5bpmと有意に低下した(p<0.05).HFnは,圧迫前10.0 ± 4.7 から圧迫後13.0 ± 4.3 と有意に増加した(p<0.05).LF/HFは,13.5 ± 7.1 から圧迫後10.1 ± 5.4 と有意に低下した(P<0.05).【考察】胸背部硬度は圧迫後に有意に低下した.皮膚の静的刺激を感知する受容器は順応が遅く,持続的な圧迫刺激により皮神経支配領域のC線維を抑制すると報告されている.また,皮神経支配領域における求心性線維の興奮は,軸索反射により求心性神経終末から血管拡張物質を放出させる.胸背部硬度の低下は,圧迫刺激による皮膚受容器の順応,C線維の抑制と血管拡張に起因すると推察された.胸背部圧迫後のHFnは有意に上昇し,LF/HFは有意に低下した.ラットによる先行研究では,後根求心性線維への刺激は逆行性に交感神経節前ニューロンにIPSPを引き起こすとともに,脊髄を上行し上脊髄組織で統合されて交感神経節前ニューロンに投射し,副交感神経の興奮と交感神経の長期抑制を起こす.HFnの上昇とLF/HFの低下は,胸背部への圧迫刺激が副交感神経の興奮と交感神経の抑制を引き起こしたと考えられる.さらに,皮膚血管は交感神経性血管収縮神経によって支配されており,交感神経の抑制が皮膚血管を拡張させたため右中指体表温度が上昇したと考えられる.胸背部圧迫後の心拍数は有意に低下した.Miezeres(1958)は,犬の胸部交感神経節機能は左右差があり,右側が心拍数,左側が伸筋収縮力を増加させると報告している.本研究における圧迫後の心拍数の減少は,右胸部交感神経節の活動が抑制されたためと考えられる.胸背部への持続的圧迫刺激は,交感神経を抑制し,副交感神経を興奮させることが示された.上脊髄組織は,交感神経の長期抑制させることから胸背部圧迫刺激の持続性について検討する必要がある.【理学療法学研究としての意義】胸背部への軽度な持続的圧迫刺激は,慢性疼痛を有する患者の治療法のとして有用な可能性がある.
著者
宇治村 信明 大森 貴允 冨岡 真光 滝野 佑介
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-3_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに、目的】中殿筋は股関節外転筋として周知されており、基本動作や日常生活動作時の骨盤安定性に重要な役割を果たす。股関節術後患者では中殿筋速筋線維の顕著な萎縮が認められ、中殿筋の質的機能向上の必要性が報告されているが、中殿筋速筋線維に対する治療手段は、限られた手段しか報告がなされていない。よって本研究の目的は、股関節外転運動速度を変化させることで、中殿筋速筋線維に対する質的トレーニングとなり得るかを表面筋電図を用いて検証した。【方法】対象は整形外科学的疾患及び神経学的疾患の既往歴を有さない健常男性30人(年齢29.3±5.9歳、身長171.1±5.2㎝、体重65.1±8.1㎏)とした。方法は、測定肢位は側臥位、股関節屈曲伸展角度中間位、骨盤帯での代償予防のためベルトにて骨盤を固定した。股関節外転運動は0°から20°への運動とし、運動開始のタイミングを把握するためフットスイッチを用いた。なお運動課題遂行前に無負荷にて練習を行った。負荷量は股関節外転最大筋力の10%の負荷量とした。運動課題はメトロノームを使用し1分間に60拍、40拍、20拍のリズムでの3条件とし、各1条件10人の3群にて中殿筋速筋線維の発火頻度量を比較した。解析した波形の中央部より前半を求心性、後半を遠心性とした。発火頻度量はwavelet変換を用いて表面筋電図周波数解析(EMGマスター小沢医科器械)にて測定を行った。統計学的解析は、各群及び求心性、遠心性収縮時における中殿筋速筋線維の発火頻度量を一元配置分散分析を用いて比較した。統計学的有意水準は5%未満とした。【結果】各群での中殿筋速筋線維の発火頻度量の結果は60拍群(173.7±63.9Hz)、40拍群(92.9±52.5Hz)、20拍群(74.9±40.6Hz)であり、運動速度を速めるにつれ有意に高い値を認めた(p<0.05)。求心性収縮時の中殿筋速筋線維の発火頻度量の結果は、いずれも有意差を認めなかった。遠心性収縮時の中殿筋速筋線維の発火頻度量の結果は、60拍群(477.0±191.9Hz)が40拍群(227.5±99.6Hz)、20拍群(179.4±111.3Hz)と比較し、有意に高い値を認めた(p<0.05)。【結論】股関節外転運動速度を速めることは、中殿筋速筋線維の発火頻度量の増大へ寄与することが示唆された。さらに中殿筋速筋線維の発火頻度量は、運動速度が速く、遠心性収縮にて高い値を示した。これは運動速度を速めることで遅筋線維に比べ速筋線維の方が発火頻度に有利であると報告されており、本研究においても運動速度を速くしたことで運動単位の動員と運動ニューロンの発火頻度量増大に繋がったと考える。求心性と遠心性を比較し、遠心性ではエネルギー消費量が少なく、強い力を出すことができる収縮様式と報告されており、本研究においても遅筋線維に比べ速筋線維の方が発火頻度に有利であったと考える。本研究の結果から股関節外転運動における運動速度や収縮様式を変化させることは、中殿筋の質的トレーニングの一助となり得ることが示唆された。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は松山リハビリテーション病院倫理委員会の承認を得て実施した。対象者には口頭にて研究の趣旨を説明し、その内容について十分に理解を得た。
著者
松浦 豊明 丸岡 真治 川崎 健輔 原 嘉昭
出版者
特定非営利活動法人 日本バイオレオロジー学会
雑誌
日本バイオレオロジー学会誌 (ISSN:09134778)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.1-10, 2003-12-25 (Released:2012-09-24)
参考文献数
15

The vitreous body is a tenuous gel that contains collagen and hyaluronan. The fraction of the polymer network is only about 1-2%. Thus, about 98-99% of water is sustained within 2% of the polymer network. The vitreous body is located between the lens and the retina that comprises 80% of the overall volume of eye. The functions of the vitreous body are supposed to keep the shape of the eyeball, to absorb the external mechanical shock, to maintain the homoeostasis of the eye, and to regulate the position of the lens. The appearance of fresh vitreous body is transparent, and hence, the vitreous body is considered a uniform tissue. Many studies performed to date have suggested that hyaluronan, which has a coil shape, is uniformly distributed throughout the three-dimensional network of collagen fibers that form the triple helix in the vitreous body. Also, as a macroscopic structure, vitreous body has cistern. Further, the collapse of the vitreous body in the eye may cause many diseases such as posterior vitreous detachment, vitreous bleeding, and retinal detachment. We demonstrate the vitreous substitute that contains hyaluronan and its evaluation.
著者
大向 一輝 飯野 勝則 片岡 真 塩崎 亮 村上 遥
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.152-158, 2021-04-01 (Released:2021-04-01)

学術情報流通はその性質上,複数の機関による連携を必要とするため,これを支える情報システムは,相互運用性を高めるべく策定された技術標準を参照して開発されている。また学術情報流通に関する業務は多岐に渡ることから,包括的な単一の標準ではなく,役割や機能に応じて関連するコミュニティが主導する形でさまざまな標準が作られてきた。本稿では,図書館の業務・サービスに関連する技術標準を,書誌情報,相互貸借と貸出管理,検索とデータ連携,利用統計とユーザ認証に分類して概説する。
著者
角野 香織 増田 理恵 張 俊華 木島 優依子 中村 桂子 橋本 英樹 佐藤 菜々 中芝 健太 大久 敬子 藤井 伽奈 橋本 明弓 片岡 真由美 里 英子 小林 由美子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
2021

<p><b>目的</b> 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急速な感染拡大を前に,保健所は感染者の把握・追跡の中核的役割を担う一方,その機能がひっ迫する事態に陥った。日本公衆衛生学会から保健所機能の支援を訴える声明が発出されたことを受け,教育研究機関に所属する筆者らは,都内保健所での支援に参加した。本報告は,支援の経緯を記述し支援体制への示唆をまとめ,保健所と教育研究機関が有機的に連携するうえで必要な要件を考察すること,支援を通して見えた保健所における新型コロナウイルス感染症への対応の課題を提示すること,そして支援活動を通じた公衆衛生学専門職育成への示唆を得ることなどを目的とした。</p><p><b>方法</b> 本支援チームは,2大学の院生(医療職13人・非医療職5人)から構成され,2020年4月から約2月の間支援を行った。支援先は人口約92万人,支援開始当初の検査陽性者累計は約150人,と人口・陽性者数共に特別区最多であった。本報告は,支援内容や支援体制に関する所感・経験を支援メンバー各自が支援活動中に記録したメモをもとに,支援体制の在り方,支援中に得られた学び,支援を進めるために今後検討すべき課題を議論し報告としてまとめた。</p><p><b>活動内容</b> 支援内容は,「新型コロナウイルス感染症相談窓口」「帰国者・接触者相談センター」での電話相談窓口業務,陽性者や濃厚接触者への健康観察業務,陽性者のデータ入力他事務業務であった。各自が週1~2日での支援活動を行っていたため,曜日間の情報共有や引継ぎを円滑に行うために週1回の定例ミーティングやチャットツール,日報を活用した。</p><p><b>結論</b> 教育研究機関が行政支援に入る際には,感染拡大期の緊張状態にある保健所において,現場の指揮系統などを混乱させないよう支援者として現場職員の負担軽減のために尽くす立場を踏まえること,学生が持続可能な支援活動を展開するための条件を考慮することが必要であることが示唆された。一方,本支援を通して保健所の対応の課題も見られた。行政現場の支援に参加することは,教育研究機関では経験できない現場の課題を肌で感じる貴重な機会となり,院生にとって人材教育の観点でも重要だと考えられた。新型コロナウイルスの感染再拡大ならびに他の新興感染症等のリスクに備え,今後も教育研究機関と行政がコミュニケーションを取り,緊急時の有機的関係性を構築することが求められる。</p>
著者
長岡 真吾
出版者
筑波大学
雑誌
言語文化論集 (ISSN:03867765)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.223-238, 2001

1939年に出版されたジョン・ファンテの代表作『アスク・ザ・ダスト』の初版本には、2000年10月現在において2,500ドルの値がついている。その値段はファンテと同時代の作家で、たとえばヘミングウェイやフォークナーといった有名作家 ...
著者
森岡 真史
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済体制学会会報 (ISSN:18839797)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.33, pp.45-48, 1995-11-01 (Released:2009-07-31)
参考文献数
5

ソ連・東欧の体制転換は,社会主義システムにおける独裁と不効率とに対する徹底した批判者である現代オーストリア学派にとって有利な出来事であった.しかし同時に,これらの批判者は,そのように欠陥に満ちたシステムがなぜ数十年にわたって存続・成長しえたかという問題に説明を与える課題に直面している.特に,ミーゼスは,社会主義の不効率性だけでなく,実行不可能性をも主張してきたから,彼の社会主義批判と,ソ連・東欧などに見られた歴史上の社会主義の数十年間の存続とはどのような関係にあるのかという疑問が生じるのは当然であろう(Prychitko,1994,p.229).すなわち,もしもミーゼスが批判した社会主義と歴史上の社会主義とが同一ならばミーゼスの立場は破綻するし,逆に両者が全く交わるところがなければ,やはりミーゼスの社会主義批判の意義はおおいに減殺される.したがってミーゼスの社会主義批判に何らかの積極的意義を認めるならば,2つの社会主義がどの点で重なり合い,またどの点で異なるのかを,彼のソ連解釈の批判的検討を通じて明らかにすることが必要である.
著者
花岡 真佐子 池川 清子
出版者
日本医学哲学・倫理学会
雑誌
医学哲学 医学倫理 (ISSN:02896427)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.85-94, 1997-09-20 (Released:2018-02-01)

Nursing techniques, unlike those developed in other field, arise and evolve out of interactive situations. The individually generated action performed in isolation, which, on a production line is appropriate, can be entirely inappropriate and ineffective where the question is one of care. In such a situation, therefore, the observer (the nurse) cannot handle the obsenrvee (the patient) in a mechanical fashion, as if the latter were not a sentient being but merely an object. It follows that the nurse's perceptive capabilities and judgment play a decisive role in the appropriateness and effectiveness of the techniques she or he employs. The nurse's perceptive modes must thus be examined. Living necessitates humans to maintain a constant relationship with the surrounding environment. The recognition and interpretion of and reaction to sensofy stimul are inherent features of this relationship. It is perception that establishes mutual relations between human being and his world, hence perception is crucial to nursing acts. The links existing between the various perceptive modes and the surrounding environment, together with the incorporation of such information into students'clinical training, form the subject of this paper.
著者
花岡 真佐子
出版者
日本医学哲学・倫理学会
雑誌
医学哲学 医学倫理 (ISSN:02896427)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.34-45, 1996-10-01 (Released:2018-02-01)

Due to the practical features of nursing is inevitably involved in techniques. In other words in trying to enhance the quality of human life, people have performed techniques of nursing since ancient times. The acquisition of basic techniques in nursing, therefore, became a core of nursing education. However, in previous educational methods, technical patterns and handling were imitated repetitiously. According to Max Weber, acts must be distinguished from behavior, for the former signifies purposively oriented meanings while the latter does not. If we try to characterize the previous nursing method based on Weber's way of thinking, it can be said that the method is basically understood in relation to behavior. However, nursing techniclues should be directed at enhancing the quality of human life and therefore, the whole comcomplex system of nursing must be involved in acts signifying purposefully oriented meanings. In the earlier stage of learning of nursing techniques, students who lack knowledge the meaning of techniques tend to show mechanical and repetitious behavior. In the first stage of clinical training, students are not conscious of the meanings of technical acts and therefore are preoccupied only with the handling order of techniques. However, once they become conscious of the real relationship between clients and themselves, the purose of clients' lives is clearly acknowledged. Based on the above mentioned, I would like to clarify the relationship between acts in nursing techniques and purposes, reflecting on the learning process of nursing techniques in clinical training.
著者
片寄 諒亮 吉岡 真治
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3Rin412, 2020 (Released:2020-06-19)

近年、時系列データや金融指標を用いたテクニカル分析やファンダメンタル分析、さらにニュース情報を用いたテキスト分析など様々な形で株価の予測が行われている。我々は、テクニカル分析などを用いたアルゴリズム取引が増えていることを考慮し、複数のテクニカル指標を用いた機械学習による株価予測の手法を提案する。この際に、企業の決算発表やニュースリリースなどテクニカル分析以外の要因の影響を考慮し、テクニカル分析による当てはまりが良い銘柄、悪い銘柄などを分類した上で作成した学習・評価データを作成して評価を行うと共に、複数のテクニカル指標の組み合わせ方法について検討を行う。
著者
片岡 真吾 川内 秀之
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.103-111, 2010-10-30 (Released:2010-12-10)
参考文献数
19

小児において頸部腫脹をきたす疾患はリンパ節病変のほか,先天性の嚢胞性疾患や脈管性疾患が多い。われわれが経験した3症例(川崎病,下咽頭梨状陥凹瘻,嚢胞性リンパ管腫)を提示し,診断および治療上の問題点を検討した。川崎病の症例は,抗菌薬投与で改善されず,γグロブリン製剤とステロイド薬の併用投与で治癒した。下咽頭梨状陥凹瘻の症例は,診断の遅れから深頸部感染症を生じてから受診した例であった。嚢胞状リンパ管腫の症例は,他院で手術後再発をきたした症例であり,当科で再手術を行いその後経過良好である。嚢胞状リンパ管腫やがま腫などの嚢胞性疾患は,外科的摘出術だけでなく,近年はOK-432による硬化療法も有効であるとの報告もあり,十分検討のうえ治療法を選択する必要がある。
著者
金永 圭祐 岡 真由美 星原 徳子 橋本 真代 森 壽子 河原 正明
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.249-255, 2014 (Released:2015-03-19)
参考文献数
18
被引用文献数
1

【目的】注意欠陥多動性障害(以下、ADHD)児は眼球運動異常を伴うことが報告されている。今回我々はADHD児において文字間隔と行数が読みの眼球運動に与える影響について検討した。【対象および方法】対象はADHD児5例(平均年齢6.4 ± 0.5歳)(以下、ADHD群)とした。このうち間欠性外斜視が2例であった。対照は正位または斜位5例を対照群(6.4 ± 0.5歳)、間欠性外斜視5例(7.0 ± 0.6歳)を斜視群とした。読みの眼球運動発達検査はDevelopmental Eye Movement test(DEM)を用いた。DEMはテストA、テストBおよびテストC で構成されている。テストA、Bでは数字が縦(2行)に等間隔に、テストCでは横(16行)に不等間隔に配列されている。DEM測定中の眼球運動の記録にはEye Mark Recorder-9®を用いた。分析はテストCの1行あたりの読み時間、文字間の視角別(<2º、 2º≤ <4º、 4º≤ <6º、 6º≤ <10º、≥10º)の衝動性眼球運動(saccade)回数、saccade速度、停留時間とした。【結果】DEM比率の平均はADHD群が1.90±0.3、対照群が1.47±0.1、斜視群が1.40±0.2であった。ADHD群は対照群に比べ1行あたりの読み時間が3、4、5、6、7、13行目で延長した。saccade回数は文字間の視角が4º未満の場合、両群に差はなかった。しかし文字間の視角が4º以上ではADHD群のsaccade回数が有意に増加した。両群のsaccade速度および停留時間に差はなかった。【結論】ADHD児は文字間隔と行数が読みの眼球運動に影響していた。ADHD児には眼球運動の側面から視覚教材の文字配列を工夫し、学習障害の早期発見と予防を行う必要がある。
著者
岡林 輝親 山下 恵美 谷岡 真央 田所 彩
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1910, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】脳卒中治療ガイドライン2009では,脳卒中のリハビリテーションにおいて患者の機能的予後等を予測すること,またStroke Impairment Assessment Set(以下,SIAS)は総合評価尺度として用いることが勧められている。回復期リハビリテーション(以下,回リハ)病棟において理学療法士は,患者の機能・能力的予後,特に退院時歩行能力を予測し,退院へ向けて早期からのマネジメントが要求される。そこで,SIASを用いてカットオフ値を算出し,回リハ病棟へ入棟された患者様の歩行自立度の予測に活用することを目的とする。【方法】対象は,2012年8月から2014年10月まで当院回リハ病棟に入院されていた脳卒中患者(くも膜下出血を除く)79名(年齢:77.1±10.1歳,男性42名,女性37名,脳出血15名,脳梗塞64名)。除外項目は,病前の歩行能力が自立及び修正自立でない者,発症から2週間以内に退院した者,SIASが評価不能だった者とした。評価はSIASを用い,SIAS総点,SIAS-L/E(運動機能-下肢),SIAS-Trunk(体幹機能),SIAS-S(感覚機能)の項目に分類し,回リハ病棟入棟後1週間以内に評価した。歩行自立度は退院時歩行能力が完全自立もしくは補装具を用いた修正自立者を「自立群」,その他の見守りや身体的介助を要する者を「非自立群」として分類した。統計は,有意差の判定のためSIAS各項目の自立・非自立各群に対してWilcoxon符号付順位和検定を実施した後,歩行自立度とSIAS各項目のカットオフ値の算定を,Receiver Operating Characteristic曲線(以下ROC曲線)にて実施した。統計ソフトは,EZR(Saitama Medical Center,Jichi Medical University)を使用した。【結果】SIAS各項目の自立・非自立各群の間に有意差を認めた(P<0.01)。さらにROC曲線によるSIASカットオフ値を算出した結果,Area Under the Curve(以下AUC)はそれぞれ,入棟時SIAS総点で0.82,SIAS-L/Eで0.77,SIAS-Trunkで0.75,SIAS-Sで0.83となった。算出されたカットオフ値は,SIAS総点で59点(感度0.833,特異度0.744),SIAS-L/Eで9点(感度0.917,特異度0.558),SIAS-Trunkで3点(感度0.972,特異度0.512),SIAS-Sで9点(感度0.722,特異度0.767)となった。【考察】結果より,回リハ病棟退院時の歩行自立・非自立を予測するためのカットオフ値は,初期評価時のSIAS総点で59点,SIAS-L/Eで9点,SIAS-Trunkで3点,SIAS-Sで9点であることが示唆された。SIAS総点やSIAS-Sで運動機能項目より高いAUCを得たことは,歩行能力には機能回復により変動する運動機能よりも,感覚機能やその他の諸因子が残存しているか否かに依拠していると考えられ,歩行予後を推察する際にはSIASのような多面的評価を用いて要因を検討していく必要性があると考えられる。今後は高次脳機能障害や嚥下障害なども考慮し,予測精度の向上に努めたい。【理学療法学研究としての意義】回復期脳卒中患者様の歩行予後予測の一助として,ゴール設定,自宅復帰の可否予測などの判断材料として活用し,早期から退院時の患者様の移動様式を予測した包括的なアプローチを実施することに寄与するものと考えられる。
著者
平岡 真合乃 五味 高志 小田 智基 熊倉 歩 宮田 秀介 内山 佳美
出版者
神奈川県自然環境保全センター
巻号頁・発行日
no.10, pp.71-79, 2013 (Released:2014-03-06)

丹沢山地大洞沢試験流域内の流出土砂量と土砂生産源の季節変化を把握するために、流域末端の沈砂池で流出土砂量の測定と、流域内斜面でのインターバルカメラを用いた林床被覆の連続観測を行った。流出土砂量は台風などの大規模降雨時に多くなる傾向が見られたが、流量変化との関係は見られなかった。流域内で裸地は流路沿いに分布しており、斜面傾斜が40°以上と急傾斜であったことから、潜在的な土砂生産源と考えられた。林床被覆率は秋季から冬季の気温の変化にともなって経日変動していた。気温が0℃付近を変動している期間の裸地面では、凍結融解作用にともなう土砂の不安定化や移動が確認でき、土砂生産の季節的な変動が示唆された。
著者
岡 真由美 新井 紀子 深井 小久子 木村 久
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.113-117, 1995-08-31 (Released:2009-10-29)
参考文献数
14

基礎型間歇性外斜視に対してボツリヌス毒素療法を施行し,過矯正眼位が出現した後,良好な治療経過を認めた症例と過矯正眼位が出現せず斜視の再発を認めた症例を比較し,経過良好例よりボツリヌス毒素療法の視能矯正について検討した。良好例の治療前眼位は,30ΔX(T)',25ΔXTであった。ボツリヌスを右眼外直筋へ2回注入し,斜視角は減少したが残余角を認めた。第3回目は両眼外直筋に注入し,70ΔET',68ΔETとなったが5か月後4ΔE',4ΔEに改善し,約2年間良好な眼位を保持した。不良例の治療前眼位は,30ΔX(T)',35ΔXTであった。ボツリヌスの注入は,注入量を漸増しながら右眼外直筋に計4回行った。眼位は,6ΔX',6ΔXに改善したが外斜視の再発を認めた。ボツリヌスの両眼外直筋への注入により,両眼内直筋のトーヌスが一時的に増強し輻湊が賦活されたため良好な眼位保持が,可能であったと考えられた。
著者
吉岡 真梨子
出版者
広島大学大学院教育学研究科学習開発学講座
雑誌
学習開発学研究 (ISSN:18838200)
巻号頁・発行日
no.12, pp.61-70, 2019-11-30

The purpose of this study was to examine a process of self-awareness of being Asexual by conducting a life story interview. We also examined how accept it was done. Asexuals are those individuals who are low on attraction for both sexes (Storm, 1980). A woman, who is asexual and hetero-romantic (called nonsexual in Japan), was interviewed for a few hours. She feels romantic feelings towards opposite sex. As a result of analyzing the narrative contents, the contents related to gender were summarized mainly in "romance", "study abroad", "coming out", "future uneasiness and prospects", "relationship with friends". As a process of self-awareness in Asexual, it was thought that there are the following two stages. It is (1) to recognizing gaps with surrounding values and thinking, through romantic experiences etc..., (2) to know the term Asexual, or to know the existence of other asexuals. As for self-acceptance, it was inferred that in the case of A, it is often done at the same time with self-awareness.