著者
日野 幹雄 片岡 真二 金子 大二郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学講演会講演集 (ISSN:04194918)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-9, 1968-11-25 (Released:2010-06-04)
参考文献数
16

水面に浮ぶ油膜の消波作用は古くから人々の注目した現象であり, これに関する実験もいくつかみられる。しかし風波の発達と特性に対する油膜効果に関するものは意外に少ない。この論文は小型風胴の測定部に水槽部をもうけて, 表記の点について行なった室内実験の報告である。油としては水に溶解性のヤシ油 (ラウリル硫酸ナトリウムC12H25・O・SO3Na) を用いた。油の表面活性作用による表面張力の変化 (減少) と風波発生の限界風速・波高・fetch graph・spectrumなどの関係について種々興味ある結果が得られた。
著者
岡 真一郎 新郷 怜 濱地 望 池田 拓郎 光武 翼
出版者
一般社団法人 日本基礎理学療法学会
雑誌
基礎理学療法学 (ISSN:24366382)
巻号頁・発行日
pp.JJPTF_2021-1, (Released:2022-02-04)
参考文献数
39

腰部への持続的圧迫刺激(以下,CPS)後の自律神経活動が腸音(以下,BS)の変化に与える影響を検討した。対象者は健康な若年成人男性10 名とした。BS は,左下腹部に聴診器をあて録音し,周波数解析により音圧を算出した。自律神経活動の評価は,心電図RR 間隔を用いて心拍変動解析を行った。循環動態は血圧を測定した。CPS は,T12 からL2 棘突起の3.5 cm 外側に50 mmHg で押圧を開始し,10 分間持続した。CPS 後10 分で313 Hz のBS の音圧が上昇した。CPS後5分のBS,LF/HF,DBP の変化がCPS 後10分のBS の上昇に影響していた(CMIN =1.214,p =0.750,GFI =0.941, RMSEA <0.001)。これらの結果は,CPS が心臓や末梢血管の副交感神経活動を修飾し,腸の蠕動運動を促進することを示唆している。
著者
守谷 奈保美 山内 教子 藤本 縁 兼近 みどり 松岡 真里
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.88-93, 2016-03-20 (Released:2017-03-27)

本研究は、PICUに配置転換となった看護師の中でも卒後5年目以下の看護師の体験を明らかにすることを目的とし、対象者8名に半構成的面接を行った。その結果、8のカテゴリー≪怖い場所というイメージしかできない≫≪不安がありPICUへ行くのが怖い≫≪治療が中心で看護をする責任が重いと感じる≫≪何もできない自分に自信が持てない≫≪家族との関わりに対する戸惑いを感じる≫≪PICUの看護に対して先輩のフォローを得られると感じる≫≪患者との関わりやできることが増えることで自信になる≫≪看護への興味、関心が拡大する≫が生成され、『不安や自信のなさを感じながらもケアを通して新たな自信を獲得し、看護への興味を拡大させる』体験をしていることが明らかとなった。配置転換した看護師への支援には、技術面へのサポートに加え、ケアを通して子どもの変化を共有する関わりが必要と考えられた。
著者
谷内 涼馬 原 天音 森岡 真一 松川 佳代 植西 靖士 長谷 宏明 牧野 恭子 原田 俊英
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.339-346, 2022-07-25 (Released:2022-09-07)
参考文献数
20

目的:高齢パーキンソン病(PD)患者の短期集中入院リハビリテーション(集中リハ)開始時の評価から,2週間後の転倒リスク変動を判別する予測モデルを検討すること.方法:対象は当院にて集中リハを実施した65歳以上のPD患者のうち,集中リハ開始時のTUG-cognitiveが転倒リスクカットオフ値である14.7秒以上であった17名(平均年齢76.5±6.1歳)とした.集中リハ開始2週間後のTUG-cognitiveから転倒リスク低下/残存の2群に分類した.低下群と残存群間における各評価項目の比較および,2週間後の転倒リスク残存/低下を従属変数にしてロジスティック回帰分析を行い,転倒リスク変動に影響を及ぼす要因を検討した.結果:ロジスティック回帰分析の結果,最終的に最大歩行速度が転倒リスク変動の予測因子として抽出された.また,ロジスティック関数から転倒リスク残存の発生率を求め,最大歩行速度が0.84 m/秒以下でハイリスクと判定された.結論:集中リハ開始時のTUG-cognitiveと最大歩行速度から,2週間後の転倒リスク変動を判別できる可能性が示唆された.転倒リスクの低下には,最大歩行速度の向上が重要である.
著者
片岡 真伊 Mai KATAOKA カタオカ マイ
出版者
総合研究大学院大学文化科学研究科
雑誌
総研大文化科学研究 (ISSN:1883096X)
巻号頁・発行日
no.12, pp.83-101, 2016-03

本稿は、第二次世界大戦後に日本文学の英訳に貢献したエドワード・サイデンステッカー(1921–2007)が、川端康成の小説「伊豆の踊子」を英訳・再翻訳するにあたり、どのように異なる翻訳手法を用いたかを考察したものである。サイデンステッカーはコロラドに生まれ、大学で英文学を専攻した後、第二次世界大戦中にアメリカ海軍日本語学校で日本語を学んだ。アメリカ海兵隊の一員として日本の地に初めて足を踏み入れた後、終戦後に一旦外交官を志すもののその道を諦め、英語圏での日本文学の紹介に尽力した。サイデンステッカーが手掛けた翻訳作品のうち、川端文学は彼の翻訳作品群の中核をなすものであり、中でも「伊豆の踊子」は、初期に取組んだ翻訳作品として、また改訂を行なった最後の翻訳作品として、サイデンステッカーの翻訳手法を検討していくうえで欠くことの出来ない作品である。サイデンステッカーによる「伊豆の踊子」の最初の英訳は、1954年に『アトランティック・マンスリー』の『パースペクティヴ・オブ・ジャパン』と呼ばれる付録冊子に掲載された。大胆な起点テクスト(ST: source text、原文)の削除や省略、調整などを特徴とするサイデンステッカーの訳は、誌内の限られたスペースに掲載するという編集者により課せられた条件のためのみならず、日本のことをほとんど知らない一般読者層を想定した、英語圏でも受容されやすい文体や形式への抄訳・変更を行っている。しかし、サイデンステッカーは、1997年にThe Oxford Book of Japanese Short Storiesのため、「伊豆の踊子」を再翻訳している。この改訳版の英訳文は、省略部分を元に戻し、また加筆を取払うことにより、原文に寄り添った英訳へとその姿形を変えている。このような変化を含む二つの異なる版の翻訳を比較検討することにより、本稿では、訳者自身が言うところの「読者を甘やかす」翻訳から「几帳面な」翻訳への推移を、主に周縁のエピソードや登場人物の削除、そしてテクスト内の異文化要素(CSIs: Culture Specific Items)に焦点をあて考察する。また、こうしたアプローチに反映されている翻訳者の姿勢の変容についても触れ、翻訳者としてのスキルの向上や原文解釈の深化、そして英語圏での日本文化の認知のされ方の変化などを含む、訳文および翻訳者を取り巻く文化的・社会的背景が翻訳に与えた影響についても論じる。This paper will explore how the translation strategy of Edward G. Seidensticker (1921–2007) shifted between his two English versions of "The Izu Dancer" (1954 and 1997). As an undergraduate at the University of Colorado, he majored in English Literature. Seidensticker joined the Navy Japanese Language School during World War II and went to Japan as a member of the U.S. Marine Corps. After the War ended, he gave up the idea he had of becoming a diplomat and started to translate modern Japanese fiction. The literature of Kawabata Yasunari was one of his focuses throughout his career; among the works he translated, "Izu no odoriko" 伊豆の踊子 (The Izu Dancer) is of particular importance. It was the very first Kawabata translation that Seidensticker attempted, and since he revised it at the end of his career, it shows his changing approach and method as he matured as a translator.Seidensticker published his first English rendition of Kawabata's "Izu no odoriko" in Perspective of Japan: An Atlantic Monthly Supplement in 1954, early in his career as a translator. Bold omissions, interpolations and modulations of the ST (source text, i.e. original text) were made in order to fit the work into the limited space given to him by the editor, but also to tailor it into a more accessible literary form for general readers of that time, who still knew little about Japan. In 1997, however, he retranslated "The Izu Dancer", this time as an unabridged translation for The Oxford Book of Japanese Short Stories. All omitted parts were restored, interpolations removed, and further changes were made to bring the TT (target text, i.e. translated text) closer to the ST.By comparing these two English translations of "The Izu Dancer," this paper will illustrate the ways in which Seidensticker's 1997 translation strategy had shifted from that of 1954, focusing on omissions of subsidiary episodes and characters, and the treatment of culture-specific items (CSIs). I will also demonstrate how a translator's attitude towards translation can change over time along with the maturation of skills, change in understanding of the ST, and more crucially, the social and cultural context of the time when a work is being translated.
著者
岡 真由美 星原 徳子 河原 正明
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.13-20, 2020 (Released:2021-02-06)
参考文献数
15

超高齢社会において、加齢性斜視であるsagging eye syndrome(以下SES)が注目されている。本研究では、SESの鑑別疾患としてあげられる眼球運動神経麻痺との相違を検討し、画像診断の前に視能訓練士が行うべき病態分析と視能評価について述べた。1.年齢区分別の斜視の種類 年齢区分が高くなるほど共同性斜視が減少し、非共同性斜視(眼球運動障害を伴う斜視とする)が増加した。非共同性斜視のうち、年齢区分が高くなるにつれて増加傾向にあったのは滑車神経麻痺、SES、Parkinson 病関連疾患であった。2.SESと眼球運動神経麻痺における複視の発症様式 SESは滑車神経麻痺および外転神経麻痺よりも発症から初診までの期間が長く、複視の発症日が不明確であった。3.SESと眼球運動神経麻痺の眼位・眼球運動 内斜視を伴うSES は外転神経麻痺よりも斜視角が小さく、わずかな上斜視および回旋偏位を伴っていた。上斜視を伴うSESは下転眼に外回旋がみられた。滑車神経麻痺では健眼固視のとき外回旋が上転眼にみられたが、麻痺眼固視のとき一定の傾向がなく、両者を回旋眼で評価することは困難であることがわった。 高齢者の斜視ではSESおよびその合併例が多い。SESと眼球運動神経麻痺との区別は困難であることから、病歴聴取と患者の観察、回旋偏位の検出が有用であり、むき運動検査と合わせて総合的に評価することが重要である。
著者
吉岡 真一 パイサンチャルン コブキェト ビブルスク ノングラク ソムナス パイローツ ブンヨン ブンラート ワンウィワチャイ チャイローツ シチュウォング ピシット 清野 豁
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.231-236, 1989

タイ国東北地域に広汎に分布する砂質土壌の作物生産性を究明するたあ, コンクリート框 (3×3m) に6種の土壌を填め, 作物を栽培した.<BR>砂質土壌3種は中/高位段丘の灰色ポドソル, さらに1種は低位段丘に分布する低腐植質グライ土, また粘土質土壌2種は赤褐色ラテライト性土壌で丘陵地帯からそれぞれ採取した.砂質土壌は高い固相率, 比較的高い有効水分, 極あて低い非有効水分, pH, C, N, CECが特徴的である.<BR>標準施肥下のトウモロコシでは砂質土壌区は粘土質土壌区に比べて乾物生産 (稈+子実) は劣ったが, 乾害による不稔穂が少なく子実重はむしろ優った.<BR>トウモロコシ収穫後, 試験区を2分し, ソルガムとシマツルア<BR>ズキ (ライスビーン) を潅水, 無施肥, トウモロコシ稈マルチで栽培した.ソルガムは砂質土壌 (低位段丘を除く) ではほとんど生育伸長せず, 他はほぼ順調に生育した.ライスビーンは砂質土壌でやや生育が遅延し, 粘土質土壌区で過剰繁茂する傾向となり, 結果的に同程度の収量を示した.<BR>以上の過程で, 養水分利用について若干の測定を実施し, 砂質土壌の低肥沃性を解明した.
著者
岡 真理
出版者
岩波書店
雑誌
思想 (ISSN:03862755)
巻号頁・発行日
no.989, pp.1-3, 2006-09
著者
増田 糧 河村 清美 永岡 真 増渕 匡彦 小森 啓介
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:18848346)
巻号頁・発行日
vol.78, no.793, pp.1584-1597, 2012 (Released:2012-09-25)
参考文献数
25

A liquid fuel injection nozzle with a novel fuel atomization strategy which actively utilizes the effect of collapse of cavitation bubbles in a liquid jet is proposed. The nozzle comprises two orifices and an intermediate cavity between the orifices. The role of the upstream first orifice is to generate the cavitation bubbles at both inlet and exit of the orifice. The intermediate cavity is placed to hold the cavitation bubble within it. The role of the downstream second orifice is to mix the cavitation bubbles and liquid fuel, and to inject the mixture into atmosphere. Each size and relative positions of the first orifice, the intermediate cavity and the second orifice were studied using multi-phase computational fluid dynamics. Finally, a poppet type nozzle whose void fraction at the nozzle exit is 0.5 was designed.
著者
田所 幸浩 山里 敬也 田中 宏哉 荒井 伸太郎 中島 康雄 平岡 真太郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J102-B, no.6, pp.445-458, 2019-06-01

確率共鳴(Stochastic resonance: SR)とは,系の雑音強度の増大に対して系の応答が向上する非線形現象のことである.従来,雑音は工学的には邪魔なものとしてフィルタ処理等を駆使して積極的に取り除かれてきた.しかし,確率共鳴では異なるアプローチをとる.すなわち,雑音を積極的に利用することで,系の応答を改善する.例えば,生態系は雑音を巧く信号処理に活かすことで,雑音に埋もれた微弱な信号であっても感知できるしくみを有している.このしくみを情報通信に応用することができれば,従来の系では感知できないような微弱な信号を用いた情報通信システムの構築が期待される.そこで本サーベイ論文では,まず確率共鳴現象についての初期の検討から現在に至る研究動向を俯瞰し,確率共鳴現象を支える基礎理論についての概説を試みる.次に,確率共鳴現象の情報通信への応用を促すため,1bit A/D変換器による多レベル信号の復調,仮説検定においても一定の条件下で信号検出確率を改善できるなど,具体的な応用例について概説し,読者の現象応用の手助けとしたい.
著者
岡村 陽介 武岡 真司
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.6, pp.673-678, 2013-06-20 (Released:2013-08-28)
参考文献数
36

血小板は, 血液凝固系と連動した巧妙かつ複雑な止血機構を有しており, これらすべての機能を人工系で模倣することは非現実的といっても過言ではない. 感染の危険性がなく長期間保存可能な血小板代替物として, 生体投与可能なナノ粒子に活性化血小板を認識できる分子 (フィブリノーゲンγ鎖C末端ドデカペプチド, HHLGGAKQAGDV: H12) を担持させることで, それが血管損傷部位へ特異的に集積して血栓形成を誘導する起点となり, 集積したナノ粒子によって出血部位を充填し止血能を補助できるとの発想に基づいて, 極めて単純な血小板代替物を設計した. さらに, 血小板凝集を惹起するアデノシン5'-二リン酸 (ADP) をリポソームの内水相に封入することで止血能を増幅させることにも成功している.
著者
野口 律奈 平岡 真実 陣内 瑤 北原 裕美 渡部 芳徳 香川 靖雄
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.229-238, 2011 (Released:2011-10-18)
参考文献数
40
被引用文献数
1 2

日本人健常者を対象とした観察研究において, 男性の血清葉酸濃度, および葉酸摂取量が鬱スコアと逆相関することが報告されている。しかし, 日本人鬱病患者を対象に葉酸栄養状態を調べた研究はない。そこで本研究では, 精神科通院中の日本人患者103名の血清葉酸・ホモシステイン・VB12濃度, 葉酸・VB2・VB6・VB12摂取量, メチレンテトラヒドラ葉酸還元酵素 (MTHFR) 遺伝子多型を調べ, 鬱病症状との関連を検討した。結果, 男性患者の血清葉酸濃度, および葉酸・VB2・VB6の摂取量が鬱病精神症状と有意な逆相関を示した。女性ではこうした関連はなかった。血清葉酸濃度は男性より女性の方が有意に高く, 葉酸・VB2・VB6摂取量も女性の方が有意に多かった。一方, 精神疾患のリスクとされるMTHFR遺伝子TT多型の出現頻度は, 日本人の一般的な出現頻度と有意な差は見られなかった。本研究の結果から, 精神疾患男性患者の葉酸栄養状態は, その精神症状と逆相関することが示唆された。
著者
河合 光久 瀬戸山 裕美 高田 敏彦 清水 健介 佐藤 美紀子 眞鍋 勝行 牧野 孝 渡邉 治 吉岡 真樹 野中 千秋 久代 明 池邨 治夫
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.181-187, 2011 (Released:2011-09-06)
参考文献数
16
被引用文献数
2

便秘傾向で60歳以上の健常成人男女58名(平均年齢68.8±5.3歳)に,Bifidobacterium breveヤクルト株が製品1個あたり1.0×1010 cfu含まれるはっ酵乳(商品名 ミルミル)を連続4週間摂取するオープン試験を実施した.被験者は排便日数が週に3から5日で,便の硬めな(便の水分含量が70%未満)人を選択した.はっ酵乳(試験食品)の4週間摂取は,排便量の増加を伴った排便回数および排便日数の有意な増加を示した(各々p<0.0001).さらに3日間以上連続で排便のなかった被験者の割合も試験食品摂取により低下した(p=0.013).しかし,便の硬さを表す便性状スコア(Bristol stool scale)の評価では,試験食品の摂取によって平均スコアに変化は認められなかった.症状の程度を5段階で評価した排便時の症状および腹部症状スコアに対し,試験食品はいきみおよび残便感の平均スコアを低下し(各々p=0.022および0.0002),症状の軽減が示唆されたが,腹痛および腹部膨満感のスコアには顕著な変化はみられなかった.色素を経口摂取してから便中に色素が検出されるまでの時間(腸管通過時間)を観察したところ,色素の滞留時間は摂取前後で変化はみられなかった.以上の結果より,連続4週間のB.breveヤクルト株を含むビフィズス菌はっ酵乳の摂取は,便秘傾向な60歳以上の健常な男女において排便量の増加を促し,排便頻度の増加および排便リズムを安定化させる便秘改善効果が示唆された.また,排便時のいきみや残便感の症状を改善する可能性も示唆された.
著者
松岡 真如 小野寺 栄治 川上 利次 高野 一隆 木村 穣
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.193-200, 2018-12-01 (Released:2019-02-01)
参考文献数
15

衛星からの電波を受信して位置を知ることのできる Global Navigation Satellite System (GNSS) 受信機は林業の現場に普及している。GNSS で計測された座標には位置誤差が常に含まれている。したがって,その座標を用いて計算した面積も誤差を持っている。面積誤差の大きさが分かれば,直接的に測量の精度を知ることができ,森林資源の管理に役立つと考えられる。本論文では,位置座標と位置誤差(標準偏差)とから面積の標準偏差を求める方法を説明する。また,誤差を含む座標を用いて計算された「面積の標準偏差の近似値」を面積の精度を示す指標として利用することを提案する。この近似値のあてはまりの良さを評価するため,本論文では GNSS による周囲測量を模した数値実験を行った。その結果,90%以上の実験条件において,近似値は実測値±3%の範囲に収まった。加えて,提案した指標を実際のデータに適用し,利用方法の例を示した。これらにより,提案した指標が GNSS 測量で得られた面積の精度評価に利用できる可能性が示された。