著者
小澤 道子 香春 知永 横山 美樹 岩田 多加子 大久保 暢子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護大学紀要 (ISSN:02892863)
巻号頁・発行日
no.27, pp.80-86, 2001

本調査は,「看護学」の出発点において学部生群と学士編入生群がどのように看護の「対象」と「方法」を考えているのかを知ることを目的とした。対象は,S看護大学に1997年度と1999年度の入学生169名(学部生132人・学士編入生37人)であり,4月の初回講義時に質問紙法を用いて現在の健康状態・生活の満足・元気観・健康観,そして看護観は「今,あなたが考える看護とは何でしょう」の設問で自由記述を求めその内容を分析した。その結果,(1)看護の「対象」は病気をもった人や病気や怪我をもって苦しんでいる人に代表される病気を中心とする者が7割以上を占めていること,(2)看護の「方法」は,記述の中の動詞に着目すると81種類に分けられ,使用頻度の高い動詞は「ケアする」「サポートする」「(必要なことを)〜する」「援助する」「〜してあげる」「手助けする」などであったこと,そして,これらの動詞の目的語を検討するとさまざまであり,同じ動詞の表現であっても意味する内容は多様であることも示唆された。また,学部生群と学士編入生群は,看護の「対象」に関しては類似していたが,看護の「方法」については学士編入生群の方が1人当たりの動詞の数が多く,動詞の意味するものに技術的なことや知識への期待がこめられているとも解釈できる結果であった。今後,看護教育を受ける中で看護の対象と方法がどのように変化していくかが次への追究課題である。
著者
中島 孝則 岩田 政則 縄田 修一 齋藤 博 中村 有貴 小林 靖奈 山元 俊憲 松田 佳和 木村 正幸
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.702-707, 2012-11-10 (Released:2013-11-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1 3

We tried to optimize the formulation for the hospital preparation of mianserin hydrochloride (MS) suppositories. MS as the raw material for the preparation was obtained from Tetramide tablets (MS-T), which were ground. The physicopharmaceutical properties of MS suppositories with bases of Witepsol H15 (H15), Witepsol W35 (W35) and Witepsol S55 (S55) were compared to choose the optimal base for the suppositories. The preparation strength correlated negatively among the three bases. The heat of fusion of MS-H15 suppositories was significantly low relative to MS-W35 and MS-S55 suppositories. The average drug release rate of MS-H15 suppositories exhibited the highest level on moment analysis. Comprehensive evaluation of the properties of MS suppositories, including the heat of fusion due to the solubility of the preparation and the drug release rate indicated that H15 was the optimal base for MS suppositories. Additionally, we examined the optimal mixing rate of ground MS-T and H15. The preparation strength positively correlated with an increased mixing rate of ground MS-T. The mean dissolution time (MDT) of suppositories was reduced with an increased mixing rate of ground MS-T. These results suggested that 0.10 g ground MS-T combined with 0.8 g H15 as the base was the optimal formulation for the hospital preparation of MS suppositories.
著者
岩田 拓記 浅沼 順 大谷 義一 溝口 康子 安田 幸生
出版者
The Society of Agricultural Meteorology of Japan
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-9, 2009
被引用文献数
2

サーフェスリニューアル法を顕熱輸送モデルとして用いて,日中の平坦なマツ林上における複数高度での乱流観測から算出した鉛直長さスケールと乱流輸送の関連性を調べた。鉛直方向の積分長さスケールは大気不安定が強くなるに従い大きくなる傾向を示したが,Raupach <i>et al.</i> (1996, Boundary-Layer Meteorol., 78, 351-382) のシア長さスケールは大気安定度に比較的依存しなかった。これらの長さスケールを輸送渦の高さとして用い,サーフェスリニューアル法によって顕熱フラックスを算出した。渦相関法で算出したフラックスと比較した結果,異なる長さスケールを用いたサーフェスリニューアル法のパフォーマンスは不安定条件下で大きく異なり,積分スケールを用いた場合のフラックスの精度が最も良かった。これらの相違は長さスケールの安定度依存に関係していると考えられる。この結果は,渦のスケールを直接測定した積分スールをサーフェスリニューアル法において用いることが妥当であることを示している。また,乱流生成において浮力の影響が大きいときには,シア長さスケールは粗度層の渦スケールを表すのに制限がある可能性が示唆された。
著者
石橋 卓也 岩田 英三郎 釜中 博樹 長谷川 誠
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.J171-J177, 2016 (Released:2016-07-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

3Dプリンタにより3次元CGを実際に造形することが可能となったが,その多くは3Dプリンタで出力された実物を手にし,形状を確認する程度の応用に留まっている.本稿では,さらなる応用を目指して,ディジタルペンで3次元立体に筆記,筆跡を電子化する方法について検討する.3次元CGで記述されている3次元立体のポリゴンを削減し,削減された細かなポリゴンを法線マッピングによって再現する.ポリゴンを展開,ペーパクラフト用の型紙を生成し,アノトドットとともに印刷する.型紙を切断,組み立て,ペーパクラフトを生成,アノトペンで筆記する.ペン先のカメラでアノトドットを撮影,点のならびから筆跡を算出して3次元CGに表示させる.実証実験によりポリゴン数の考察,隣接ポリゴンにおける筆記検証,他の方法と比較し,心臓の模型に筆記する実例を示す.
著者
森沢 知之 岩田 健太郎 上野 勝弘 北井 豪 福田 優子 高橋 哲也
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.10-17, 2016

【目的】回復期リハビリテーション(リハ)病院における心臓リハ実施状況および実施にかかわる問題点を明らかにすること。【方法】全国の回復期リハ病院194施設に対し郵送法にてアンケート調査を実施した。【結果】アンケートの回収率は61.9%で,心臓リハ実施率は7.5%(9施設)であった。心臓リハ非実施の理由は「循環器専門医の不在」や「心臓リハ経験者の不在」など人的要因が半数以上を占めた。今後の心臓リハ拡大には「回復期リハ病棟入院対象者患者の基準緩和」,「心臓リハに関する卒後教育体制の充実」,「心臓リハ施設基準の緩和」が必要とする意見が多かった。【結論】回復期リハ病院での心臓リハ実施施設の増加のためには急性期-回復期病院の連携システムの構築,心臓リハにかかわるスタッフの教育体制の充実などが今後の課題であると思われた。
著者
薮崎 清・ヒベルト 岩田 一明 荒井 栄司 小野里 雅彦
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.61, no.584, pp.1734-1739, 1995-04-25

Computer representation of the product object is necessary for realization of concurrent engineering. This representation should be determined cooperatively by design and production departments using communication systems. This paper describes minimum design and production criteria to meet requirements and functions for modelling. The authors propose one method for representation of the product object, using object-oriented programming and an object-oriented database management system. Reliable data for this product object representation were obtained by interviewing several experienced designers and manufacturing engineers and through a literature search. Then, the authors developed a prototype and verified the validity. Based on a simple design experiment, the possibility of realizing human-centered concurrent engineering was clarified.
著者
海野 隆哉 大植 英亮 岩田 敏雄 村上 生而 武田 寿一 入沢 賢一
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, 1984-03-15

橋梁のスパンの長大化などにより, 基礎構造も大規模なものが要求されてきている。ケーソン基礎を用いる場合が多くなっているが, その欠点を補うため, 地下連続壁井筒が開発されてきている。地下連続壁井筒は継手に不安があったが, ここでは, 鋼製函型継手の実験による信頼度と地下連続井筒について, そして設計と施工の紹介をしている。掘削の精度の進歩, 鉛直継手の試験項目, 載荷方法またその継手の, 総曲げ, 曲げせん断, せん断などの試験の結果を示している。次に, 地下連続壁井筒について, これは東北新幹線福島市内での工事例について述べている。設計の基本的な考え方について示し, 設計計質の結果を示している。そして配筋についても述べている。次に施工について, 施工順序を図に示し, 掘削については, 写真を用いて示している。掘削機としては, ロッド式クラムシェルバケット掘削機を用いている。鉄筋かごは, 基礎形からL形になっている。その組立て, 建込みについて述べ, 最後にコンクリートの打設について述べている。工期も短縮できるとしている。
著者
船橋 淳一郎 松尾 啓志 岩田 彰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.1113-1121, 1997-05-25
被引用文献数
5

3次元形状に対して多重解像度表現を行い, 適応的なマッチングを適用して物体の識別を行う手法を提案する. MEGIはEGIを拡張し, 任意形状の表現を可能にしたモデルである. しかし曲面を含む形状では適当な分解能を選択しなければ満足な表現を得ることは難しい. そこでMEGIを利用して, 形状の多重解像度表現を行う. ここで提案する多重解像度表現は基本要素の単調減少性を有し, 異なる解像度に属す要素の間で対応が一意に決まり, 最低解像度を根とする木で表される. 照合とこの木を根から葉方向へたどることによる類似部分の高解像度化を繰り返し, 最終的に形状全体の類似性を判定する. 最後に, 本手法の有効性を計算機シミュレーションを通じて明らかにする.
著者
金子 真由美 後藤 雅広 岩田 聖美 三尋木 健史 長谷川 峯夫
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成17年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.118, 2005 (Released:2005-09-13)

【目的】フライ料理は人気のある献立である。しかし、最近では廃油処理のわずらわしさや環境への配慮から、とくに単身世帯、少数世帯において敬遠されがちな調理方法といえる。本研究では、マヨネーズを使って、揚げ調理の代替となる簡便な調理方法を探究することを目的とした。【方法】殻を取り除き筋切りしたエビ(中)の表面に、小麦粉、一般的な卵黄型マヨネーズ、パン粉(乾燥)を順につけ、オーブンで焼成した。外観と官能評価により適切な加熱条件を調べた。対照として、一般的な家庭での調理方法に従い、エビに小麦粉、卵、パン粉をつけ、揚げ調理したものを調製した。それぞれについて酸分解法による脂質の定量、SD法を用いた官能評価を行った。【結果】マヨネーズの添加量は、エビ1尾につき3gとし、240℃のオーブンで10分間焼成したとき、最も好ましくフライの食味が得られた。脂質の定量結果から、マヨネーズをつけて焼成したものは、揚げ調理した対照に比べ脂質が少なくなる傾向が示された。官能評価から、マヨネーズをつけて焼成したものよりも、揚げ調理をした対照の方がサクサク感があると評価されたが、ジューシー感、かたさ、好ましさでは有意な差はなかった。以上の結果から、マヨネーズを用いたフライの調理方法は、揚げ調理の簡便な代替方法になりうることが示された。
著者
小林 時正 岩田 宗彦 沼知 健一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.1045-1052, 1990-07-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
31
被引用文献数
5 7

Multi-loci analysis coding to isozymes was made of 7 spawning populations of Pacific herring Clupea pallasi collected from 2 coastal waters (oceanic type) and 5 brackish waters (brackish type) in the northern Japan. Genetic polymorphisms were observed at 19 loci among 29 loci coding isozymes by starch gel electrophoresis. Greater degrees of polymorphic varia-tions were observed at the 4 loci in GPI, IDH, ME, and PGM. Average heterozygosities were significantly lower in the oceanic type than those of brackish type. Results of a contigency X2 analysis for homogeneity of allele frequencies over all loci of the samples suggested that these 7 populations are genetically isolated each other. However, the level of genetic distance (D) between them was rather low (D=0.0004-0.0035) and the level of differentiation between samples was estimated to be almost the same as those of local populations of other fish species so far reported. The 7 herring samples were clustered into 2 groups at the D value 0.0024. The first is the oceanic type including two local populations Ishikari and Mangoku-ura and the latter is the brackish type including five local populations Saroma, Notoro, Furen, Yudo and Obuchi.
著者
宮本 教雄 青木 貴子 武藤 紀久 井奈波 良一 岩田 弘敏
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.1004-1012, 1995-02-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
18
被引用文献数
8 14

In winter, many people have trouble with chilliness in their arms and legs. Many women are especially sensitive to cold, and for them the chilliness of the hands and the feet is difficult to ease even after entering a warm room, or taking a bath. They even feel pain owing to coldness of their limbs in daily life. This symptom has been called “hiesho” in Japanese.The problem of this chilliness is difficult to study because this symptom, in general, can be cured when spring comes. Coldness of the limbs has been considered to be one of the symptoms of the climacteric disturbance among middle-aged females.Recently, however, it was reported that many young females also feel pain owing to coldness of the hands and legs in their daily life during winter.This study investigates the problems of chilliness in the limbs of young females in their daily life. By means of a questionnaire, 642 female college students aged from 18 to 20 years answered questions concerning: (1) physical characteristics, (2) physical conditions in their daily life, (3) physical conditions in winter, and (4) physical conditions in summer. The replies to the questionnaires were tested using the χ2 test.The major results were as follows:1. Half of the subjects were sensitive to cold, and had difficulty sleeping owing to chilliness of their limbs in winter even in a warm environment.For the following results the subjects who were sensitive to cold had significant differences (p<0.05) compared to non-sensitive subjects to cold.2. Those subjects who were aware of chilliness in their limbs had high prevalence rates for irregularities in circadian body rhythm, as well as some symptoms such as white fingers phenomenon, numbness of their limbs, and stiffness in their hands.3. The subjects who were aware of chilliness in their limbs were very sensitive to cold in winter, and had female family members who had the same troubles with chilliness in the arms and the legs, too.4. The subjects who were aware of chilliness in their limbs were sensitive to cold even in summer, and had difficulty sleeping owing to chilliness of the limbs.
著者
長谷 紀志 岩田 全広 土田 和可子 鈴木 重行
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Aa0906, 2012 (Released:2012-08-10)

【目的】 筋力増強は,長期臥床や神経疾患あるいは骨関節疾患により生じた筋力低下を改善し,運動機能を向上させる。筋力は筋断面積と相関する(Narici G, et al., 1992.)ことから,筋力増強は筋断面積の増大つまり筋肥大に寄与するところが大きいと言われている。骨格筋線維(筋細胞)は過負荷やストレッチなどの機械的ストレスの増大に応答して肥大する。筋細胞が機械的ストレスに応答し,その効果が発揮されるためには,(1)機械的ストレスの受容,(2)化学的シグナルへの変換,(3)シグナル伝達,という3段階の過程を経る必要がある。機械的ストレスによる筋肥大に関わるシグナル伝達((3))については盛んに研究が進められているが,機械的ストレスの受容((1))や化学的シグナルへの変換((2))についてはほとんど解明されていないのが現状である。この点について,筋以外の細胞では,細胞表面接着分子の一種であるインテグリンが機械的ストレスを最初に受容するメカノセンサーとして働くことが提唱されている(Schwartz MA, et al., 2010.)。したがって,筋細胞においても,インテグリンを介して機械的ストレスが受容される可能性がある。そこで本研究では,機械的ストレスによって誘導される骨格筋肥大が,インテグリンを介して引き起こされるかどうかを検討した。【方法】 実験材料には,マウス骨格筋由来の筋芽細胞株(C2C12)を使用した。I型コラーゲンをコーティングしたシリコンチャンバー内に筋芽細胞を播種し,増殖培地にて2日間培養しサブコンフルエント状態にまで増殖させたところで,分化培地に交換して筋管細胞に分化させた。その後,Ara-C(10μM)を培地に添加して3日間培養することで残存する筋芽細胞を除去した後,実験を行った。実験群としては,通常培養した対照群,ストレッチ(頻度1/6 Hz,伸張率112%)を行った群(S群),インテグリンβ1/β3阻害薬(echistatin,25 nM)を培地に添加した群(E群),echistatinを培地に添加してストレッチを行った群(E+S群)の4群を設けた。筋肥大の評価は,Stittら(2004)の報告を参考に以下に示す方法で筋管細胞の横経を計測した。ストレッチ開始から72時間後に筋管細胞の位相差顕微鏡像をデジタルカメラで撮影し,PCに取り込んだ。そして,Adobe Photoshop CS5を用い,1本の筋管細胞につき50μm等間隔で計3箇所の横径を計測し,その平均値(mean±SD)を算出した。なお,計測に用いた筋管細胞は,細胞のアウトラインが明瞭で形が管状であるものとし,計測した細胞数は各群とも100本以上であった。統計処理には,一元配置分散分析を適用し,各群間において有意差が存在するかどうかを判定した。一元配置分散分析にて有意差を認めた場合は,多重比較検定にTukey法を適用し,2群間に有意差が存在するかどうかを判定した。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮】 本研究で使用した細胞は,市販されているものであり倫理的問題はない。【結果】 S群の筋管細胞の横径(19.6±10.8μm,n=113)は,対照群(14.7±5.4μm,n=119)に比べ有意に増大したが,E+S群(16.5±6.6μm,n=111)ではその増大が有意に抑制された。E群(15.7±6.9μm,n=123)の筋管細胞の横径は,対照群に比べ有意差は認められなかった。【考察】 ストレッチにより筋管細胞が肥大し,その肥大はインテグリンβ1/β3阻害薬であるechistatinにより抑制されたことから,本研究において観察された機械的ストレスによる筋肥大はインテグリンβ1またはβ3を介して引き起こされたと考えられた。この点について先行研究を渉猟すると,Kaufmanらの研究グループは遺伝子工学的手法を用いてインテグリンα7トランスジェニックマウス(α7BX2-mdx/)utr-/-マウス)を作製したところ,α7BX2-mdx/)utr-/-マウスの骨格筋では野生型マウスと比べインテグリンα7β1の発現が増加する(2001)とともに,機械的ストレスによる筋肥大効果も増大することを報告している(2011)。これらの報告と本研究結果を加味すると,機械的ストレスによって誘導される筋肥大はインテグリンα7β1を介して引き起こされるものと推察されるが,詳細については不明であり今後の検討課題である。【理学療法学研究としての意義】 機械的ストレスによる骨格筋肥大に関わる分子メカニズムが解明されることは,理学療法士が日常的に行っているリハビリテーション手技の科学的根拠の確立につながるとともに,筋萎縮の予防や回復促進をもたらす効果的かつ効率的な筋力増強法の早期開発を可能にするものと考えている。
著者
小松崎 俊彦 岩田 佳雄
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.78, no.786, pp.420-430, 2012 (Released:2012-02-25)
参考文献数
10

In this study, a virtual sound production system is developed where the difference frequency component appears as the secondary audible sound at a point of interference locally by the nonlinear interaction of two independently radiated ultrasounds while they travel directionally and intersect each other. The design of high-directive ultrasonic radiator, followed by the investigation of virtual sound production performance has been done theoretically as well as experimentally. It is known from these investigations that the fairly local sound reproduction in free space is possible, yet the sound pressure level of the secondary field is small. The results have also shown that the generated virtual sound area is dependent on both the difference frequency and the intersection angle of two carrier waves emitted by two sound sources.
著者
岩田 泰士 鈴木 育男 山本 雅人 古川 正志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.2752-2759, 2009-11-15

ネットワーク可視化技術は,ネットワークを大域的に俯瞰することで,その構造的特徴をとらえ,ノード間のリンク関係だけでは見えにくい新たな情報を見つけ出すうえで有用な技術である.本研究ではネットワークの可視化に対して,自己組織化マップ(SOM)の学習機構を利用した可視化方法を適用する.従来のSOMに基づくグラフレイアウト方法であるISOM(Inverted Self-Organizing Map)は,従来の力学的手法に比べ非常に高速であり,隣接ノードどうしが近い位置に配置されるという利点により,ある程度の意味を持つ結果が出力可能である.しかし,一方で可視化結果が信号領域で歪められる現象が起こる問題点を持つ.本研究ではこの問題点を解決する方法としてDSSOM(Dynamically-Signaling Self-Organizing Map)を提案し,その有用性を検証する.