著者
村井 源 川島 隆徳 工藤 彰
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.23-43, 2012-03-26 (Released:2012-06-29)
参考文献数
16
被引用文献数
1

評判分析などが自然言語処理技術によって進められているが,対象は主にWeb上のテキストであり,人文学的な批評文はその主たる対象となっていない.本研究では人文的な批評文の具体的批評対象を計量化することで,批評行為のより深い意味分析に向けての基礎固めを行う.総合的芸術作品である映画と演劇の批評文を対象として,抽出対象を人名と作品名に絞り分析を行った.結果として頻度分析とネットワーク分析で批評における人物の重要性やグループの傾向,他分野との関わりの相違が明らかとなった.またスタッフのデータベースの利用により,語られる固有名詞の批評文中での意味と機能の傾向が抽出された.
著者
工藤 力男
出版者
日本語学会
雑誌
國語學 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.91-92, 2002-04-01

国語学会は国語研究の進展と会員相互の連絡を図ることを目的とし,広く全国の国語学研究者および国語に関心を持つ人々を会員として運営されている学会です。これは,左開きの現在は目次の裏に掲げられている「国語学会について」の冒頭である(傍点は引用者による)。本誌第153集の「学界展望」の拙文で,この文言の非現実性について発言することがあった。それに対して,すぐに徳川宗賢氏からはがきが寄せられた。紛失してしまったそれには,本学会のある会合で,この文言と学会名が時代遅れであることを言って冷笑された旨が書かれていた。1997年秋の大会で「学会運営についてのアンケート」が実施された。徳川代表理事による報告が第192集に掲載されている。それによると,学会名称の変更を望む意見は少数派だったが,変更を望む人は「日本語学会」を選ぶ傾向があったという。代表理事というたちばから,徳川氏はご自身の見解を示していないが,今ご存命だったら,さらに改革を進めていたかもしれないと思う。その展望には,己れのことを,「これはおちこぼれの隠れKameianたる(いな,もはやたりしとすべきか)わたし」とも書いた。北陸の大学に学んで国語国文学を専攻し,格助詞の歴史に関する論文を書いて卒業したわたしは,いわゆる旧派「国語学」の学生であった。言語学関係で履修した科目は,4科目10単位に過ぎない。二十代の終りに大学院に学び,亀井孝氏の著述に触れて,己れの勉強の挟く偏っていることを知ったが,悲しいことに,貧弱な頭脳は早くも硬化して,言語学を吸収することができなかった。せめて氏の精神だけでも学ぼうという思いがその文言になったのである。学問の姿勢が亀井氏に近いたちばにある小松英雄氏は,新著『日本語の歴史』に書く,「このような妄論が現今の概説書に出てくるのは,国語学が国文学と密着して近世国学の伝統を継承し,鎖国状態を続けたまま,言語学の進歩についてこなかったことの悲惨な結末である」(23頁)と。「悲惨な結末」はわたしの姿そのものである。小松氏はまた,「近年は,旧来の国語史の内容をそのままにして,名称だけを日本語史と改める風潮が顕著に認められる」(19頁)とも言う。もとより覚悟のうえで,新酒のために新しい革袋を用意するつもりでこの名称を用いてきたわたしは,この批判を甘受するものである。崩れた姿勢が正装することで直ることもある。以上,個人史的な回想である。客観的な状況は,先の徳川氏稿,第193集の山口佳紀氏稿,第200集の特集に寄せられた諸氏の稿,そして,205号来の本欄の稿などで具体的になった。現在の学会の態勢が学問にも教育にも時代遅れであることは明らかである。外国人との接触多からずとも,「国語学」の名称がいかに不自然であるかは理解しうるはず。同じ日本語が対象なのに,外国人の研究は「日本語学」,日本人のそれは「国語学」だという奇妙なことを,もうやめようではないか。漢字文化圏では,韓国も自らの言語の学を「国語学」と称するが,他国のことは言わず自分の身辺を清潔にしたい。「日本語」という名称に大日本帝国の匂いを嗅ぎとる人もある。わたし自身,「君が代」が歌えない人間なので気持ちはわかるが,反対に「国語」の方に帝国の匂いを感ずる。人さまざまである。それなら,中国・韓国で用いる「日語」「日語学」でもいい。世界を席捲する「英語」が英国にとらわれないように,いっそ好ましいかもしれない。そもそも,この学会の英訳名には「国語」の含意がない。名詮自性,これが自分のかかわる研究領域での願いである。かく思うゆえに,特に術語は正確・厳密に用いるべきことを,いくつかの文章に書いてきた。言語の研究にたずさわる者として当然のことであろう。「日本語」を研究対象とする学会なら,「日本語学会」が最適である。「日語」を採れば,当然「日語学」「日語学会」。文部行政の申し子たる旧派国語学会から,時代錯誤の言語教育行政に変更を迫る力を備えた学会に再生せねばならない。明春の大会には学会名の変更を決定すべきである。本学会の幹部には,学会の分裂を招きはしないかと,学会名の変更をためらう節があるようだが,ためらう時間が長ければ長いほど,国語学と日本語学の乖離は大きくなるだろう。現に昨冬,日本語文法学会が発足したのは,そのためらいに業を煮やしたからではなかろうか。日本語史に無智なままになされる現代語研究は危ういし,現代語の構造を見透さない日本語史研究は寂しい。双方にまたがる,あるいは諸領域にわたるさまざまな研究がある。それらの要になることこそ,本学会の存在意義であろう。わたしは至らぬまでも,蛸壷から首だけでも出して四方に目配りしつつ余生を過ごしたい。学会誌の名称は,現在用いられていないものに探すなら,『日本語学会雑誌』あるいは『日語学会雑誌』がいい。これなら決して古くなることがないだろうから。
著者
工藤 幸一 三野 雅仁 安井 裕
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.675-676, 1988-09-12

我々の研究室では,1979年以来Lispの高速処理を目的としてLisp並列処理マシン-EVLISマシン-の試作・研究を行っている。既に,Lisp並列処理のインタプリタ,コンパイラが完成しており,その高速性が示されている。 本稿では,従来からの並列処理を意識したリストセル及びフレームの管理方式において,新たに共有メモリ上のフリーセル及びフリーフレームを,各々プロセッサに対して分散化した方式について,その実行結果とともに述べる。
著者
坂 紀邦 寺島 竹彦 工藤 悟 加藤 恭宏 大竹 敏也 杉浦 和彦 遠藤 征馬 城田 雅毅 林 元樹 中嶋 泰則 伊藤 幸司 井上 正勝 加藤 博美
出版者
愛知県農業総合試験場
雑誌
愛知県農業総合試験場研究報告 = Research bulletin of the Aichi-ken Agricultural Research Center (ISSN:03887995)
巻号頁・発行日
no.41, pp.165-175, 2009-12

「中部糯110号」は、2008年に愛知県農業総合試験場山間農業研究所(農林水産省水稲育種指定試験事業)において育成した水稲糯品種である。その来歴、特性は次のとおりである。1.1990年、愛知県農業総合試験場山間農業研究所において「愛知糯91号」を母本とし、「イ糯64」を父本として人工交配した後代から育成した。交配の翌年、圃場でF1を養成し、1995年F5世代で個体選抜し、その後、系統育種法により選抜・固定した。2.本種は、早生の糯種で、草型は偏穂重型の強稈種である。収量は「ココノエモチ」よりも優れる。千粒重はやや重く、玄米の外観品質は良好で、餅の食味は粘りが強く、味、外観に優れ良い。3.縞葉枯病に抵抗性で穂いもち抵抗性も優れる。
著者
森下 諒一 松本 哲也 竹内 義則 工藤 博章 大西 昇 石崎 隆志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.467, pp.15-20, 2010-03-05
参考文献数
5
被引用文献数
2

本研究は,屋外で鳴らされる緊急自動車(救急車,消防車,パトカー)のサイレン音を検出し,その情報をドライバーに提示することによる安全運転支援,緊急自動車の円滑な走行支援を目的としている.また,従来研究での課題である,高雑音環境下での検出性能の向上を目指す.サイレン音の検出方法は,サイレン音のスペクトルが倍音構造をとるという特徴を用いた基本周波数推定処理,過去数フレームで推定した基本周波数からどのサイレン音が鳴っているか判定するサイレン音識別処理の2つからなる.ホワイトノイズと実際に録音した交通雑音を付加したサイレン音を用いた評価実験から,SN比0dBの雑音環境において,サイレン音の基本周波数を正しく推定し,サイレン音の識別が正しく行われることを示した.
著者
根岸 雅史 投野 由紀夫 長沼 君主 工藤 洋路 和泉 絵美
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

従来の言語テストは、専ら「宣言的知識」を測定してきたと思われる。そこで、本研究では、「手続き的知識」を測定することのできるテストの開発を試みた。このために、大規模英語学習コーパスのテキスト分析を自動で行うことにより、学習者の習得段階を明らかにし、これを反映するようなテスト方法を模索した。「テスト」という手法自体は必ずしもうまく機能しなかったものの、作文の「チェックリスト式採点」はある程度の信頼性のある結果を得ることができることわかった。
著者
村井 源 川島 隆徳 工藤 彰
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.279-284, 2010-05-28 (Released:2011-06-25)
被引用文献数
1

評判分析などが自然言語処理技術によって進められているが,対象は主にWeb上のテキストであり,人文学的な批評文はその主たる対象となっていない.本研究では人文的な批評文の具体的批評対象を計量化することで,批評行為のより深い意味分析に向けての基礎固めを行う.本研究では批評文中の人名と作品に絞り,総合的作品である映画と演劇の批評において,誰についてどの作品について中心的に語られる傾向があるのかを計量し,カテゴリー分類と共起分析を行った.結果として演劇批評は集中的であり,映画批評は分散的・個別的であること,また演劇批評は強い芸術的指向性を持つことが明らかになった.
著者
南谷 和範 工藤 智行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.174, pp.11-15, 2011-07-28

障害を持つ受験者に対しては冊子による試験方式のみでは公平な受験機会の保証が難しい。今回、視覚障害受験者への音声による出題に的を絞り、大問形式の長文問題を出題できる試験問題リーダー(文書ブラウザ)を開発した。試験問題を格納する文書フォーマットとしては、DAISY 2.02フォーマットを元にして、出題に不可欠な機能拡張を加えたフォーマットを用いた。DAISYフォーマットで定義される見出しを点字ディスプレイ上に点字シンボルとして提示することで、ユーザは試験問題のアウトライン、文書要素の論理的なツリー構造を理解できる。
著者
村井 睦子 東 弘之 佐々木 方規 工藤 邦博 西 康晴
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.75-80, 2007-03-15

ソフトウェア開発プロジェクトの成否には,リスク管理が重要な役割を果たしている.リスクの監視と対策を適切な時期に行うと,リスクの発生や影響を抑えつつ,対策に要する費用も抑制することができる.本論文では,リスクの監視項目の特定や対策時期を決定するための手順を示す.さらに兆候という概念を取り入れ,リスク要因の発生を容易に監視することができない場合における監視方法について提案する.また,本手法を実際のプロジェクトに適用し,検証を行う.
著者
大石 潔 工藤 健二 柳澤 斉 徳丸 春樹
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.122, no.5, pp.421-429, 2002-05-01 (Released:2008-12-19)
参考文献数
17
被引用文献数
6 2

This paper proposes a new high speed robust tracking control system based on both “Zero Phase Error Tracking” (ZPET) control system and robust servo system for an optical disk recording system. In the optical disk recording systems (for example CD-R), the tracking servo system must have the complete tracking response whose error is less than 0.1 [μm] for an amplitude of 100 [μm] of reference input signal. However, its detecting signal is only a tracking error. For this purpose, this paper proposes a new estimation method of the reference input signal by using only tracking error, and realizes the high speed robust tracking servo system with ZPET control. Moreover, this paper considers the saturation of controller output. The experimental and simulation results point out that the proposed system has a quick and precise tracking response.
著者
児玉 祐悦 高野 了成 岡崎 史裕 工藤 知宏 伊藤 智
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.5, pp.1-7, 2009-11-23

データセンタの省エネルギー化を推進するために、IT 機器による生産性を加味した電力利用効率の指標が求められている。そのような指標を策定するために、処理内容による消費電力のモデル化が重要となる。その一歩として、ネットワーク転送時のノードの消費電力のモデル化を試みた。その際、ペーシングによる帯域制御を行ったところ、転送バンド幅を減少させても消費電力が増加する場合が観測された。これは割り込み削減機構に因るものであり、この割り込み遅延時間を制御することにより、消費電力を削減することができた。ネットワーク転送時の消費電力のモデル化には、転送バンド幅だけでなく、割り込み回数をパラメータとすることが有効であった。To improve the energy efficiency of data centers, the new metrics for data center efficiency are required to include productivity that is a useful work produced in a data center. To propose a new metric, we will create a model of power consumption for productivity. As the first step, we measured the power consumption of nodes when they communicate using network. In this measurement, we observed that the power consumption increased when the effective bandwidth was decreased with rate controlling by pacing. This phenomenon was caused by interrupt coalescing, and by controlling the delay time of interrupt the power consumption can be decreased. We also found that the number of interrupts is a good parameter to estimate the power consumption of nodes with communication.
著者
杉本 均 櫻井 里穂 工藤 瞳
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.15-39, 2009-03-31

This paper explores the politics of child labour and compulsory education in Mexico and Peru. highlighting the trajectories of compulsory education and the worldwide childrights movements. Mexico and Peru are selected as they have contrasting child labour policies despite the similarities in geography and child labour profiles. While Mexico extended compulsory education starting the age of three, and the government has been strongly encouraging children's human rights, the country has not yet ratified the ILO's Minimum Age Convention 138, which forbids labour for children less than 15 years of age. Lenient standards for child labour result partially from disseminated cultural traditions that children's work is beneficial for their personal and social development. Peru ratified the Minimum Age Convention 138 in 2002, yet the concept of protagonismo, the capacity to participate in society and transform it forcibly remains. Major advocates are the local NGOs and working children who argue that children should be perceived as independent individuals who can judge and design their own lives, including continuation of work. The paper concludes that child labour and education policies are complex and that examining the relationship between compulsory education and child labour requires in-depth cultural analysis as well as policy analysis.