著者
西森 栄太 尾形 哲 高杉 一恵 依田 とし江 大井 さおり 関口 憲一 工藤 絹子 依田 淳 南 茂 仲 元司
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.297-306, 2018-05-30 (Released:2018-05-30)
参考文献数
37

わが国の糖尿病および非アルコール性脂肪性肝疾患(以下NAFLDと略す)の食事療法はカロリー制限食が中心であるが,近年,糖質制限食の有効性も報告されている.本研究では,2型糖尿病に伴うNAFLD患者に対する糖質制限食の効果を検討した.糖質制限食群は糖質を1日70~130 g,カロリー制限食群は1日総エネルギー摂取量を標準体重×25 kcal/kgとして,全患者28名を無作為に割り付けて3ヶ月間の比較試験をした.結果,介入後3ヶ月では,各群とも,腹部単純CT検査による肝脾CT値比の有意な上昇,内臓脂肪面積,AST,ALT,体重およびHbA1cの有意な低下が認められた(P<0.05).また,2群間では,内臓脂肪面積が糖質制限食群で有意に低下していたが,その他の項目には有意差は認められなかった.2型糖尿病に伴うNAFLDの糖質制限食はカロリー制限食と同等の改善効果があることが示された.
著者
萩原 智 上嶋 一臣 西田 直生志 工藤 正俊
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.514-516, 2023-10-01 (Released:2023-10-12)
参考文献数
5

We report a case of hepatocellular carcinoma with high mesenchymal-epithelial transition (MET) gene amplification demonstrating significant tumor shrinkage after cabozantinib treatment. A male patient in his fifties had far-advanced hepatocellular carcinoma and had previously been treated with combination therapy of lenvatinib or atezolizumab plus bevacizumab but had experienced progressive disease. We conducted FoundationOne® CDx, which is a comprehensive genomic profiling test, considering the next-line efficacious treatment options, and we confirmed high copy MET gene amplification. Hence, we administered cabozantinib, which caused a significant reduction in the tumor size. This case highlights the potential of comprehensive genomic profiling in identifying efficacious drugs and emphasizes the importance of actively conducting genomic testing to improve treatment outcomes.
著者
皆田 渉平 工藤 元輝 安部 優樹 今岡 信介
出版者
公益社団法人 大分県理学療法士協会
雑誌
大分県理学療法学 (ISSN:13494783)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-7, 2022-03-01 (Released:2022-09-27)

【はじめに】 約6ヶ月間の透析中運動療法が継続可能であった外来透析患者10例を対象に運動療法の効果を検証することを目的とした. 【対象と方法】 対象は,2019年4月から2019年12月までの期間に外来透析患者の内,透析中運動療法を実施した連続19例において,約6ヶ月間継続できた10例を対象とした. 介入前後における基本情報,血液検査,血管機能検査,身体機能評価を後方視的に調査した. 【結果】 約6ヶ月介入経過においてAlbumin,Total cholesterol,HDL cholesterolの項目において有意に低下した.身体機能検査は,握力が有意に改善した.透析中運動療法時の有害事象は認めなかった. 【結論】 透析中の運動療法は低負荷のレジスタンストレーニングにて身体機能の維持,向上に繋がる可能性が示唆された.
著者
太田 博崇 工藤 安澄 井手 麻友美 嶋田 隆介 田邉 秀聡 池崎 修 近藤 恵里 横山 政明 田部井 弘一 山口 高史 原田 徹 二階堂 孝 柳田 修 高橋 信一
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.173-175, 2020-06-26 (Released:2020-07-07)
参考文献数
6

The patient was a 66-year-old woman who had not been to the hospital or taking any medication. She visited our hospital with chief complaints of fever, headache, and general malaise. Blood tests showed an abnormally high inflammatory response. Chest, abdominal, and pelvic plain CT did not reveal any obvious abnormalities that could cause inflammation.Streptococcus bovis was detected in blood cultures. Because of the high incidence of colorectal lesions related with the bacterium, a lower gastrointestinal endoscopy showed an advanced colonic cancer in the ascending colon. A laparoscopically assisted right hemicolectomy was performed.It is a rare case of advanced colorectal cancer discovered by bacteremia caused by S. bovis.
著者
豊田 隆謙 佐藤 信一郎 工藤 幹彦 後藤 由夫
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.133-138, 1974-03-31 (Released:2011-08-10)
参考文献数
11

アルギニンによるインスリン分泌にはグルコースの存在が必要である. しかしアルギニンによるグルカゴン分泌にたいしてグルコースがどのように作用しているかは明らかではない. ラット膵灌流実験を行ない, グルコース, 0, 50,150,300mg/dlの存在下でアルギニン作用を検討した.アルギニン注入後2分のグルカゴン値はそれぞれ745±46, 2062±106, 3433±127,510±21pg/nlと増加し, その分泌パターンはグルコース濃度0, 50mg/dlでは1相性であり, 150,300mg/dlの条件下では2相性を示した. アルギニン注入によるインスリン分泌はそれぞれ10.7±1.6, 32.4±3.2, 39.0±3.3, 43.2±3.5ng/dlと増加し, 分泌パターンはグルコース濃度0, 50mg/dlでは1相性, 150,300mg/dlでは2相性を示した. この成績はアルギニンによるグルカゴン分泌にはインスリン分泌にたいするのと同様にグルコースの存在が必要であることを示唆している. 特に興味ある事実はグルコース濃度300mg/dlによってグルカゴン分泌が完全に抑制されるようにみえるが, この条件下でもアルギニンがグルカゴンを分泌させることである. このことから次の三つの可能性が考えられる. (1) グルコースはグルカゴン分泌を抑制するがグルカゴン合成にグルコースは必要ではないか,(2) グルコースによって分泌されるインスリンがα 細胞に影響していないだろうか,(3) アルギニンの膜透過にグルコースが必要なのではないかと云うことである.
著者
古澤 之裕 工藤 信樹 近藤 隆
出版者
公益社団法人 日本超音波医学会
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.3-13, 2019 (Released:2020-01-15)
参考文献数
34

超音波の生物作用は熱的作用と非熱的作用に分類され,超音波によるDNA損傷は主として非熱的作用によるものと考えられている.胎児診断の安全性の観点から多くのin vitro研究がなされてきた.DNAに生じる変化の検出技術の進歩とも相まって,水溶液内のDNAへの影響および細胞内DNAへの影響とその作用機序が急速に解明されつつある.一方でDNA損傷はその生成のみならず,修復を経た後に残存する損傷が重要であることが判明してきた.本稿では,歴史的背景を踏まえて,超音波照射により水溶液中のDNAに生じる損傷とその生成機序,細胞内に存在するDNAに生じる損傷の生成機序,および細胞応答ついて概説する.また,これらの基礎的な知見から超音波の生体影響研究における課題についても述べるとともに,超音波診断の安全性との関連についても考察する.
著者
工藤 亘
出版者
教育実践学会
雑誌
教育実践学研究 (ISSN:18802621)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.121-128, 2018 (Released:2021-04-30)

小学生がなりたい職業(2009年-2016年)は大きな変化がないこと、中学生がなりたい職業(2009年~2017年)は、男女とも情報通信技術に係わる職業に人気が移行しつつあることがわった。高校生がなりたい職業(2009年-2017年)は、男女の共通点として専門職や技術職に就きたい傾向が高く、情報通信技術に係わる職業に関心が高まってきている。大学生がなりたい職業(2014年)では、ヒューマンサービ、ス業、専門職・技術職、情報関連業、金融業に大別することができ、就職を希望する企業(2017年)では、大手の金融業や航空業・商社が上位を占めていることがわかった。社会のニーズや文明の発展に伴い、児童・生徒・学生がなりたい職業は数年で変化することが予想できるため、教師は児童・生徒・学生の職業観やなりたい職業を敏感に察知しながら発達段階に応じたキャリア教育をする必要がある。
著者
工藤 和俊 鳥越 亮 根本 真和 進矢 正宏 沢田 護 三嶋 博之
出版者
日本生態心理学会
雑誌
生態心理学研究 (ISSN:13490443)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.52-53, 2016-09-01 (Released:2021-01-27)
参考文献数
4

本研究では,自動車運転による間隙通過の際の注視点計測を行うことにより,運転時の視覚-運動協調について検討した.実験では7名の参加者が乗用車を運転して100m 先の障害物(パイロン)間を通過する間隙通過課題を行った.この際の注視点をアイマークレコーダーを用いて計測した.また,車両幅の知覚における個人差を明らかにするため,静止した車両の前方に置かれたパイロン位置を車両の左右端に合わせる車両幅知覚課題を行った.その結果,知覚課題における誤差(実際の車両幅と知覚された車両幅の差)と間隙通過課題時の障害物注視確率との間に正の中程度の相関が認められた.この結果は,車両幅知覚の誤差が小さかった参加者は運転時に進行方向である間隙中心を注視していた一方で,車両幅を過大に知覚していた参加者は障害物を注視することによって車両の接触可能性を確認するという注視行動が生じていたことを示唆している.これらの注視パターンはそれぞれ,目標方向への移動および障害物の回避課題において典型的に認められることから,自動車運転による間隙通過時の注視行動は拡張された身体である車両の行為可能性を反映していると考えられる.
著者
新山 徳光 松橋 正仁 工藤 三之 福田 秀樹 吉川 進太郎
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.65, pp.135-138, 2014-12-19 (Released:2018-01-30)
参考文献数
9

2013 年の秋田県におけるイネヒメハモグリバエの発生は,沿岸部を中心に広域的な多発生となった.多発要因として各種気象要因やイネの移植時期と成虫発生時期の関係を検討したところ,これまで本種の多発要因として指摘されてきた前年夏期の低温,冬期の高温,早期融雪はいずれも2012~2013 年の気象条件に当てはまらなかった.一方,2013 年は4 月3 半旬から5 月2 半旬までの継続した低温により成虫の発生時期が遅れ,結果的にイネの移植時期と成虫発生時期が一致した.このことが同年のイネヒメハモグリバエ多発生の主な要因と考えられた.
著者
磯谷 文衣 工藤 せい子 山辺 英彰 斉藤 洋子 鳴海 肇子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1_73-1_82, 2000-04-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
11

糖尿病は自覚症状に乏しいため受診中断者が多い。 本研究では,継続して受診ができるような患者教育を検討する目的で,糖尿病性腎症による透析患者を対象に,家族・治療背景,健康観と性格特性を調査し検討した。 その結果,受診の中断には,治療背景が関係していた。 特に中断者は糖尿病教室の初期受講率が低かった。 理由として病院で糖尿病教室が定期的に開催されていないという理由もあった。 健康観については,MHLC を使用し,その結果,PHLC 得点が高く,他者に依存する傾向が強かった。 TEG では男性の受診継続者は平坦型(適応タイプ),中断者は FC 低位型傾向。 女性は両群とも NP 優位型(世話焼きタイプ)を示した。 受診継続ができない患者の健康観,性格特性を把握することの重要性が示唆された。 これらをもとに患者が指導を受ける機会を充実すること,患者・家族指導を行う際の指針が得られた。