著者
日道 俊之 小山内 秀和 後藤 崇志 藤田 弥世 河村 悠太 Davis Mark H. 野村 理朗
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.61-71, 2017 (Released:2017-04-25)
参考文献数
57
被引用文献数
13 54

Empathy is a multi-dimensional concept with emotional and cognitive components. The Interpersonal Reactivity Index (IRI) is a multi-dimensional scale of empathic traits. Although some researchers have attempted to translate the IRI into Japanese, these translated scales had limitations with content and construct validity, and measurement invariance. We therefore attempt to overcome these limitations by developing a new Japanese version of the IRI (IRI-J). We used three approaches to assess the validity and measurement invariance of the IRI-J. In Study 1, content validity was tested using back-translation, and construct validity was confirmed through a comprehensive investigation of a web-based survey using six other scales. Results indicate that the factor structure of the IRI-J was equivalent to that of the original version, and that the IRI-J had adequate reliability and construct validity. In Study 2, measurement invariance by gender was confirmed using data from four web-based surveys. These results suggest that the factor model of IRI-J for each gender is equivalent. The present study thus provides an improved measure of empathic traits for the Japanese population.
著者
後藤 多可志 宇野 彰 春原 則子 金子 真人 粟屋 徳子 狐塚 順子
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.187-194, 2014 (Released:2014-09-05)
参考文献数
26

本研究では,日本語話者の発達性読み書き障害児群を対象に有色透明フィルム使用が音読速度に与える影響を,明るさを統制しない場合の色の要因に焦点を当てて検討した.対象は8~14歳の発達性読み書き障害児と典型発達児,各12名である.音読課題(ひらがな,カタカナの単語と非語および文章)をフィルム不使用条件,無色透明フィルム使用条件および有色透明フィルム使用条件の3条件で実施し,音読所要時間を計測した.実験手続きは後藤ら(2011)に従ったが,有色および無色透明フィルム使用時に低下した刺激の表面照度の補正は行わなかった.両群ともに,所要時間はすべての音読課題において3条件間で有意差は認められなかった.明るさを統制しない場合でも有色透明フィルムの使用は発達性読み書き障害児の音読速度に影響を及ぼさない可能性が考えられた.
著者
後藤 勇太 木山 真人 芦原 評
雑誌
夏のプログラミング・シンポジウム2011報告集
巻号頁・発行日
pp.49-55, 2012-01-06

構文解析法でPackrat Parsingという手法がある.Packrat Parsingは,再帰下降構文解析にメモ化を組み合わせた手法であり,バックトラックや無限先読みを用いた解析において,線形時間で解析可能である.しかし,左再帰を含む文法は解析不可能である.そこで,従来は左再帰を含む文法を解析する際,左再帰部分を等価な右再帰に変換し,解析を行っていた.だが文法の変換を行うと構文木の構造が変化してしまう.また,特定の左再帰は変換できない.たとえば,閉路が存在する文法である.よって,この手法では解析できない文法がある.Alessandro Warthらは,左再帰を含む文法を,右再帰への変換無しに解析を可能にした.しかし,Alessandroらの手法では,同一の入力位置で左再帰が複数発生する文法において,特定の入力の解析に失敗する.そこで本研究では,左再帰を含む文法を右再帰への変換無しに解析でき,かつ従来手法の問題点に対応するPackrat Parserを提案・実装し,評価を行った.
著者
後藤 淳
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.11-21, 2005 (Released:2006-01-26)
参考文献数
12
被引用文献数
6

In this chapter, we describe the kind of senses and the central nervous system from the viewpoint of sensory inputs. There is a close relation between the sense and movement, and the memory of movement is very important in activating movement. We should use sensory evaluation as accurate proof of the problems that we expect from postural-movement analysis. We memorize the sense of movement appropriately on moving, and we can create new movement smoothly on the basis of this information. If a patient can cause each movement consciously, it means that he can memorize the sense of movement and that we can treat him appropriately.
著者
渡部 泰明 西村 慎太郎 綿拔 豊昭 近本 謙介 後藤 博子 入口 敦志 神作 研一 劉 嘉瑢 黄 昱 加藤 聖文 齋藤 真麻理
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
国文研ニューズ = NIJL News (ISSN:18831931)
巻号頁・発行日
no.61, pp.1-16, 2022-06-20

●メッセージ創立50周年を迎えて●研究ノート【基幹研究】地方協創によるアーカイブズ保全・活用システム構築に関する研究国文学研究資料館所蔵木藤才蔵コレクションの基礎的研究について●エッセイ寺院調査と文学研究共同研究の場の豊かな学び●トピック100年へのエントランス―「法人第4期」の国文研スタート―国文学研究資料館創立50周年記念式典・講演会・展示大衆文化の今昔物語―日本古典籍セミナー北京2021―ないじぇる芸術共創ラボ アウトプットイベント4件2021年度のアーカイブズ・カレッジを顧みて総合研究大学院大学日本文学研究専攻の近況
著者
小柳津 勤 下田 満哉 松本 清 後藤 正
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.327-334, 2002-05-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
26
被引用文献数
4 5

茶芽の熟度が緑茶の香気成分の変化に及ぼす影響を明らかにし検討を加えた.茶葉は'やぶきた'品種園から一番茶期および二番茶期において生育初期の極若い茶芽から生育の進んだ極硬い茶芽まで数日置きに17回摘採し,速やかに荒茶製造した.官能検査スコアと中性デタージェント繊維含有率との間には-0.859の高い負の相関があり,茶芽熟度は若芽香(みる芽香)およびこわ葉臭に大きく影響することが認められた.GC分析およびGC-MS分析により128成分が検出され,75成分が同定された.主成分分析の結果,摘採時期による香気成分の特徴的な変動を明らかにすることができた.(E,E)-2, 4-heptadienal, (E,Z)-2, 4-heptadienal, (Z)-2-penten-1-ol, hexanal, (Z)-2-heptenalは,一,二番茶とも摘採初期には含有率が低く,茶芽熟度の進行に伴って含有率が高くなったことから,こわ葉臭への寄与が示唆された.linalool oxide (cis-pyranoid), coumarin, 7, 8-dihydro-β-ionone, (E)-2-hydroxycinnamic acid, heptanoic acidは,一,二番茶とも摘採前期に高い含有率を示し,茶芽熟度の進行に伴って含有率が低下したことから,若芽香や新鮮香など新茶の香りに寄与している可能性が示唆された.linalool, geraniol, linalool oxide (furanoid)は,一番茶で茶芽熟度が進むに従い含有率が高くなり,摘採後期には高い含有率を示したが,二番茶ではその傾向が小さく含有率も低かったことから,こわ葉臭や木茎臭への寄与は小さいと考えられた.(Z)-3-hexen-1-ol, methyl 3-phenyl-2-propenoate, methyl jasmonate, indoleは,摘採時期の影響を受けなかったことから,緑茶本来の香りに寄与する成分と考えられた.
著者
後藤 和史
出版者
北陸大学
雑誌
北陸大学紀要 = Bulletin of Hokuriku University (ISSN:21863989)
巻号頁・発行日
no.52, pp.213-227, 2022-03-31

Educator sexual misconducts are problematic issues also in Japan. To clarify maleeducators’ sexual misconducts to male children and teenagers, text mining wasconducted on text data of news articles. Cases of male misconducts to children andteenagers were 110 of 1311 (8.39%). Further analysis found that their misconduct typewere mainly invasive sexual contacts to children. Discussing their causes, the authorsuggested future directions of education for educators and candidates.
著者
後藤 真孝
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.100(2002-MUS-047), pp.27-34, 2002-10-25

本稿では、ポピュラー音楽の音響信号に対して、サビの区間の一覧を求める手法を提案する。従来、楽曲の音響信号中に何度も出現するサビのどこか一箇所を、指定した長さだけ切り出して提示する研究はあったが、サビ区間の開始点と終了点はわからず、サビの転調も扱えなかった。本手法は、様々な繰り返し区間の相互関係を調べることで、楽曲中で繰り返されるすべてのサビ区間を網羅的に検出し、それらの開始点と終了点を推定できる。また、転調後でも繰り返しと判断できる類似度を導入することで、転調を伴うサビも検出できる。この検出結果は、リアルタイム音楽情景記述システムにおける大局的な記述に相当する。RWC研究用音楽データベース100曲を用いて本手法を評価したところ、80曲のサビが検出できた。
著者
大倉 典子 後藤 さやか 村井 秀聡 青砥 哲朗
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.281, 2008

人工物自体の「かわいさ」、すなわち人工物の形状や色・テクスチャや材質等の諸属性に起因する「かわいさ」を系統的に解析し、その結果から「かわいい」人工物を構成する手法を明確化することを目的として、研究を行なっている。今回は、3次元物体の色の要素をきちんと規定して実験を行なうことにより、人工物の「かわいい色」に対する一定の結論を得ようという意図で、バーチャル空間を利用して、バーチャルオブジェクトにおけるかわいい色について系統的な実験を実施した。
著者
後藤 みの理 加納 政芳 加藤 昇平 國立 勉 伊藤 英則
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.55-62, 2006 (Released:2006-01-06)
参考文献数
26
被引用文献数
7 11

We think that psychological interaction is necessary for smooth communication between robots and people. One way to psychologically interact with others is through facial expressions. Facial expressions are very important for communication because they show true emotions and feelings. The ``Ifbot'' robot communicates with people by considering its own ``emotions''. Ifbot has many facial expressions to communicate enjoyment. We developed a method for generating facial expressions based on human subjective judgements mapping Ifbot's facial expressions to its emotions. We first created Ifbot's emotional space to map its facial expressions. We applied a five-layer auto-associative neural network to the space. We then subjectively evaluated the emotional space and created emotional regions based on the results. We generated emotive facial expressions using the emotional regions.
著者
後藤 友明 髙梨 愛梨
出版者
一般社団法人 水産海洋学会
雑誌
水産海洋研究 (ISSN:09161562)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.100-109, 2020-05-25 (Released:2022-03-17)
参考文献数
27

2008年から2018年に岩手県南部沖で行った底延縄調査で採集された1,485個体(標準体長78–359 mm)に基づいて,タヌキメバルの年齢,体長–体重関係,年齢–体長関係を推定した.体長–体重関係は,雌雄で異なるアロメトリー式で表された.耳石薄片の観察から耳石縁辺の輪紋形成周期を推定したところ,不透明帯は5–10月にかけて年1回形成されることが示された.得られたタヌキメバルの年齢は1–9歳の範囲で,年齢–体長関係に有意な雌雄差はみられず,雌雄込みのvon Bertalanffyの成長式で表された.GSIの季節変動から,雌の成熟個体は3–5月に出現し,4歳以上で認められた.求められた年齢と成長・成熟の関係は,岩手県から八戸沖からタヌキメバルと区別されずに求められてきたキツネメバル種群の既往値と同様であった.年級群別のCPUE(個体数/100針)を算出し,年級間で比較した結果,本海域における調査期間内のタヌキメバル資源では, 2005, 2007, 2008, 2015年級群の豊度が相対的に高いことがわかった.
著者
巽 博臣 升田 好樹 今泉 均 吉田 真一郎 坂脇 英志 後藤 京子 原田 敬介 信岡 隆幸 平田 公一
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.1245-1250, 2013 (Released:2013-12-25)
参考文献数
17
被引用文献数
2

【目的】重症患者における早期経腸栄養開始後は便秘・下痢が問題となる。排便量から緩下剤の継続・休止や必要な処置・検査などを決定する排便コントロール基準 (以下、本基準) の効果について検討した。【対象および方法】ICUで経腸栄養を7日以上継続した53症例 (導入前群24例、導入後群29例) を対象とした。「一日排便量≥300g」を下痢、「48時間以上排便がない状態」を便秘と定義し、経腸栄養開始後1週間の排便状況を両群間でレトロスペクティブに比較検討した。【結果】一日排便量の1週間における推移は導入前後で交互作用がみられた。7日間における下痢の頻度は導入前群2.5±0.3日、導入後群2.0±0.3日と有意差はなかったが、便秘の頻度は1.5±0.3日から0.7±0.2日に、便秘または下痢の頻度は4.0±0.3日から2.6±0.3日に有意に減少した。【結語】排便量に従って薬剤投与や浣腸処置の追加を判断できる本基準の導入により、排便量および下痢・便秘の頻度が減少した。本基準の導入により適切な排便コントロールが可能となり、経腸栄養管理を有効かつ安全に実施できると考えられた。
著者
神田 晶申 田中 翔 後藤 秀徳 友利 ひかり 塚越 一仁
出版者
一般社団法人 日本真空学会
雑誌
Journal of the Vacuum Society of Japan (ISSN:18822398)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.85-93, 2010 (Released:2010-03-18)
参考文献数
43

Present understanding of electric transport in graphene, a crystalline layer of carbon, is reviewed. In the first part, emphasis is placed on the gap between the ideal and reality of electron transport, which is mostly caused by disorder (charged impurities) in the experimental samples. Disorder which affects the graphene transport originates mainly from charged impurities in the substrate, comtaminants on the graphene surface due to, e.g., resists and sticky tapes, and absorbed gas molecules. The amount of charged impurities and the methods to remove them are discussed. In the second part, the characteristic phenomena in multilayer graphene are explained for spins and Cooper-pair transport, which are relevant to the nonuniform distribution of the carrier density under nonzero gate voltages.