著者
手塚 浩子 中島 ちあき 只浦 寛子
出版者
一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会
雑誌
日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 (ISSN:1884233X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.1-9, 2020

10%ポビドンヨード(以下PVP-1)による接触皮膚炎(contact dermatitis 以下CD)は多く研究されてきたが、どのような患者に多く発生しているかを調査した研究は少ない。診療記録からPVP-1 によるCD が発生しやすい患者の特徴が分かれば、簡易スクリーニングに貢献できる可能性がある。本研究はPVP-1 によるCD の発生群と未発生群を比較し、患者側のリスクファクターを調査することを目的とした。地域医療支援病院1 施設において約2 年間に手術を受けた6,583 名のなかで腹部のCD 発生が多いことに着目し、PVP-1 を使用して腹部を消毒した患者355 名を本研究の対象とした。39 名(11%)にPVP-1 によるCD を認めた。CD 発生ありなし群の影響をみるため、4 つの説明変数にて分析を行った結果、アルコールによる発赤の既往あり(オッズ比5.94[95%信頼区間1.52-23.09], p < 0.05)と若年齢(オッズ比0.97[95%信頼区間0.95-0.99], p < 0.05)に関連していた。手術前の問診からリスクファクターがある患者に対して十分な予防対策をするとともに、PVP-1 を使用せざるをえない場合にはCD 発生のリスクを十分に説明し、患者に同意を得る必要があり、使用後についても十分観察し注意すべきである。
著者
谷川 嘉伸 手塚 悟 小黒 博昭 橋川 善之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.3110-3124, 2007-09-15
参考文献数
19

タイムスタンプの統一的な検証およびタイムスタンプの時刻信頼性の検証を実現するタイムスタンプ検証サーバを開発した.実用性と拡張性を重視し,RFC 3029 を拡張したタイムスタンプ検証プロトコルを設計・開発し,任意の方式で作成されたタイムスタンプを統一的に検証できるようにした.また,検証対象とするタイムスタンプ方式において商用サービスの独自方式を含めることを目標とし,非公開の検証モジュールをタイムスタンプ検証サーバにアドオンするために使用できる共通インタフェースを設計・開発した.さらに,時刻信頼性検証方式として時刻監査証明書確認方式と時刻監査レポート確認方式を設計・開発した.実装したタイムスタンプ検証サーバを用いてRFC 3161 ベースのタイムスタンプとISO/IEC 18014-2 アーカイブ方式ベースのタイムスタンプの検証動作を確認し,対話環境において実用性があることを確認した.We developed a time-stamp validation server which provides universal time-stamp verification and time reliability verification. We designed and developed the time-stamp validation protocol based on RFC 3029 for its practicality and extensibility. Moreover, we designed a common interface for verification modules of original non-standard time-stamping schemes. As time reliability verification schemes, we also designed time attribute certificate verification scheme and time audit report verification scheme. We constructed a prototype client-server system, and confirmed that the server successfully performed time-stamp validation of two types of time-stamps, which are based on RFC 3161 and the ISO/IEC 18014-2 archiving scheme.
著者
手塚 純一 大塚 洋子 長田 正章 岩井 良成
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.BbPI2176, 2011

【目的】<BR> 長い間、小脳は純粋に姿勢の制御や随意運動の調節を行なうための神経基盤であると考えられてきた。1980年代半ばから、神経心理学・解剖学・電気生理学などの発展により、運動・前庭機能以外にも様々な認知過程に関与することが明らかになってきた。1998年にはSchmahmannとShermanが小脳病変によって生じる障害の4要素(遂行機能障害・空間認知障害・言語障害・人格障害)を小脳性認知・情動症候群(CCAS)として提唱した。しかしながらリハビリテーションの領域では小脳と高次脳機能についての報告は散見されるが症例報告に留まっており、特に理学療法における報告は少ない。本研究の目的は、小脳の損傷部位と臨床症状の関係について量的研究を行ない、理学療法における小脳損傷に伴う高次脳機能障害に対する対処の必要性を明らかにすることである。<BR>【方法】<BR>1.対象:<BR> 対象は2008年1月から2010年10月の間に脳卒中を急性発症し当院に入院した患者連続895例のうち、小脳に限局した病変を有する39例である。除外基準は1)脳室穿破、2)水頭症、3)発症前より明らかな認知機能低下を有する例とした。<BR>2.方法<BR> 調査項目は年齢、性別、梗塞・出血の種別、画像所見、臨床症状とした。画像所見は入院時に撮影した頭部CTもしくはMRI画像を利用し、小脳の損傷部位を虫部、中間部、半球部に分け列挙した。臨床症状は意識清明となった時点での運動失調、見当識障害、注意障害、記憶障害、言語障害、空間認知障害、人格障害について次の基準で有無を判定し列挙した。運動失調は鼻指鼻試験もしくは踵膝試験での陽性反応を、人格障害はFIM(Functional Independence Measure)社会的交流項目での減点を認めた場合に有とした。それ以外はMMSE(Mini-Mental State Examination )、HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)の、見当識障害:見当識項目、注意障害:計算項目及び逆唱項目、記憶障害:遅延再生項目、言語障害:物品呼称項目もしくは語想起項目、空間認知障害:図形模写項目、において減点を認めた場合に有とした。<BR>3.解析<BR> 損傷部位と臨床症状に関連があるかを、フィッシャーの正確確率検定を用いて検討した。なお統計学的判定の有意水準は5%未満とした。<BR>【説明と同意】<BR> 本研究は個人情報を匿名化した上で、その取り扱いについて当院の規定に則り申請し許可を得た。<BR>【結果】<BR>1.最終対象者<BR> 39例中5例は脳室穿破、水頭症もしくは発症前からの認知機能低下を有し対象から除外した。従って最終対象者は34例(男性18例、女性16例、平均年齢70.2±11.0歳)であった。<BR>2.脳損傷様式<BR> 小脳梗塞11例、小脳出血23例、損傷部位は虫部~半球部に渡るものが15例、虫部~中間部が8例、中間部~半球部が9例、半球部のみが2例であった。<BR>3.臨床症状<BR> 項目毎に発生数を計上すると、運動失調31例(91.2%)、記憶障害23例(67.6%)、見当識障害17例(50.0%)、注意障害14例(41.2%)、言語障害9例(26.5%)、人格障害5例(14.7%)、空間認知障害5例(14.7%)であった。上記の症状の多くは合併し、総合すると24例(70.6%)に何らかの高次脳機能障害を認めた。半球部に損傷がある26例のうち22例(84.6%)に何らかの高次脳機能障害を認めた。半球部に損傷がない8例のうち6例(75.0%)には高次脳機能障害を認めなかった。<BR>4.解析<BR> 検定の結果、有意な独立性を認めた項目は1)虫部~中間部の損傷と運動失調の発生率(p<0.01)、2)半球部の損傷と何らかの高次脳機能障害の発生率(p<0.01)、3)半球部の損傷と記憶障害の発生率(p<0.001)であった。<BR>【考察】<BR> 半球部は歯状核から視床外側腹側核を経由して運動前野や前頭前野・側頭葉に投射し、小脳-大脳ループとして認知機能に関与している。本研究で半球部損傷の多くに高次脳機能障害を認めたことは、SchmahmannとShermanの報告と一致した結果となった。多くの例に記憶障害を認めたことにより、CCASの概念で取り上げられている作動記憶の障害や視空間記憶の障害だけでなく、エピソード記憶の障害にも小脳が関与している可能性が示唆された。<BR> 記憶障害・注意障害等による生活指導の定着率低下や、人格障害による練習の拒否等の問題は、理学療法の進行に大きな影響を与える。半球部に損傷を認めた場合には、高次脳機能障害の有無を精査し対処していく必要があると考える。今後は半球部損傷のみの症例数を増やすと同時に、各臨床症状の半球部における責任領域について検討を重ねていきたい。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 小脳損傷に伴う高次脳機能障害は患者の学習や社会復帰において多大な影響を与える要素であり、理学療法においてもその研究と対策は重要である。本研究はその一助となると考える。
著者
松下 記代美 山田 秀和 荒金 兆典 川田 暁 手塚 正 今野 元博
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.2, no.5, pp.462-465, 2003 (Released:2012-01-06)
参考文献数
10

48歳,女性。45歳時に子宮筋腫のため当院婦人科にて腹腔鏡下膣式子宮全摘出術を受けた。約3年後の平成10年5月頃より臍部の腫瘤に気付いた。臨床的に臍部に1.6 cm大のやや硬い境界明瞭な桃紅色の結節を認め,皮下に連続性の硬結を触れた。腹部エコーと腹部CTの画像診断によって,腫瘤が腹膜と連続していることが確認された。当院第2外科の協力のもと全身麻酔下に開腹,腫瘤摘出をおこなった。組織学的には表皮直下から腹膜まで連続性に膠原線維の不規則な増生と線維芽細胞の増殖が認められた。臨床経過,臨床症状および組織学的所見より腹腔鏡下手術後に生じた臍部のケロイドと診断した。今後,内視鏡子宮全摘術の増加するにつれて,臍部のケロイドの発生も増加することが予想される。
著者
植木 伸明 手塚 弘明 太田 明
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.149-155, 2005 (Released:2006-07-01)
参考文献数
5
被引用文献数
3

富士ゼロックスが開発した複写機・複合機向けVCSELアレイについて,その特長,特性,製造プロセスから搭載製品まで,一連の過程を述べた. 複写機・複合機の高速・高画質化の鍵を握る主要部品として世界に先駆けて採用し,2003年8月より国内向け機種に,2004年9月からは海外向け機種にも搭載し,中・高速機への展開を図っている. 日本発の半導体発光素子であるVCSELを,その特長である2次元アレイ化が容易な点を利用して民生機器に応用,商品化したことの意義は大きく,今後様々な応用への検討が加速されるだろう.
著者
尾崎 直人 稲葉 真理 手塚 宏史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回全国大会(2015)
巻号頁・発行日
pp.1C54, 2015 (Released:2018-07-30)

現在最も高速かつ精度の高いコミュニティ抽出手法として知られているLouvain(BGLL)法に対し,コミュニティの併合先探索処理においてヒューリスティックな枝刈りを行うことにより,精度を同程度に保ちつつ計算時間を半分以下に削減する新しい高速化手法を提案する.
著者
花岡 淳 井上 修平 大内 政嗣 五十嵐 知之 手塚 則明 北村 将司
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.606-612, 2009-05-15 (Released:2009-12-14)
参考文献数
8

症例1は85歳男性.20歳時に胸囲結核に対して手術療法を施行された既往があった.症例2は49歳男性.8ヵ月前まで肺結核に対して抗結核化学療法を施行されていた.両症例とも膿瘍内に腐骨を伴っており,抗結核化学療法開始1ヵ月後でも増大傾向を示した.そのため,注入したインジゴカルミン液をガイドに膿瘍郭清術および肋骨切除術を施行した.術後も抗結核化学療法を継続して行い,現在も再発を認めていない.胸囲結核症例に遭遇する機会は減少したが,胸壁腫瘤の鑑別診断にあげられることに留意しておく必要がある.治療には充分な抗結核薬の投与と適切な時期に徹底した膿瘍郭清を行うことが重要である.
著者
金谷 整一 中村 克典 秋庭 満輝 寺川 眞理 池亀 寛治 長野 広美 浦辺 菜穂子 浦辺 誠 大山 末広 小柳 剛 長野 大樹 野口 悦士 手塚 賢至 手塚 田津子 川上 哲也 木下 大然 斉藤 俊浩 吉田 明夫 吉村 充史 吉村 加代子 平山 未来 山口 恵美 稲本 龍生 穴井 隆文 坂本 法博 古市 康廣
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 = Japanese journal of conservation ecology (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.77-84, 2005-06-30
参考文献数
24
被引用文献数
3

2003年9月に種子島の木成国有林で確認されたヤクタネゴヨウの新群生地において, 2004年1月に調査を行った結果, ヤクタネゴヨウ13個体とクロマツ7個体の枯死が確認された.これらのうち, 材片を採取したヤクタネゴヨウ10個体のうち7個体からと, クロマツ7個体のうち6個体からマツ材線虫病の病原体であるマツノザイセンチュウが検出された.このまま枯死したヤクタネゴヨウとクロマツを放置すると, 今後, マツ材線虫病被害が拡大すると予測されることから, すべての枯死木を伐倒し約50cmの丸太に玉切りし, 直径1cm以上の枝とともに個体群外へ搬出した.搬出した丸太と枝は, 焼物製作のための薪として焼却した.今回の活動を踏まえ, 今後のヤクタネゴヨウ自生地保全にむけたマツ材線虫病被害木のモニタリングから処理の一連の作業手順を提案した.
著者
潘 秋実 冨平 準喜 手塚 太郎
雑誌
WebDB Forum 2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.25-28, 2019-09-01

eラーニングシステムは世界的に急速な普及を続けている.その学習ログに機械学習による推薦機能を加え,生徒の特性に合わせて最適な学習プログラムを提供するための様々な試みが近年活発に行われてきた.eラーニングにおいて機械学習が利用される代表的なタスクとして,生徒が次に解く問題の正解確率を予測する Knowledge Tracing (KT)がある.このタスクに対する手法としては現在,Bayesian Knowledge Tracing (BKT)と Deep Knowledge Tracing (DKT)が活発に研究されている.しかし既存の KT モデルとその実用的な利用の間にはギャップがあるのが現状である.DKT が抱える限界の一つは学習者が過去に学習した概念が現在に与える影響をうまく考慮できないことである.この問題に対処するため,本研究では encoder-decoder モデルを用いることでより適切に学習パスを予測する手法を提案する.これにより,生徒はeラーニングシステムにおいてより良い学習効果を得られるような問題を選択できるようになることが期待される.
著者
手塚 賢太郎
出版者
東京海洋大学
巻号頁・発行日
2012

東京海洋大学修士学位論文 平成24年度(2012) 海洋システム工学 第1687号
著者
鈴木 正彦 荒井 千春 手塚 春樹 中澤 美科 田中 睦子 河野 健治 花輪 剛久 中島 新一郎
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.623-629, 2002-12-10 (Released:2011-03-04)
参考文献数
7

Regarding the management of blood preparations, since September 1995 the Ministry of Heath, Labour and Welfare has had to make and/or to keep documentary records such as the product name, date of dispensing, the patient's name and lot number and so on. At Yamanashi Medical University Hospital, to cope with deleterious accidents caused by blood preparations, we developed a new system for the management of blood preparations. This system consists of a printing system for confirmation labels for blood prescriptions and a computerized management system concerning the medication. In this study, the effect of this new management system on the rational use of blood preparations was evaluated. Compared with the former system, the time required to dispense blood preparations decreased from about 500 to 170 seconds per case. Furthermore, based on a questionnaire to medical doctors and/or nurses, it appeared that this system could reduce the time required to manage blood preparations and improve the rational use of injectable drugs.
著者
手塚 富雄
出版者
心編集委員会 平凡社(発売)
雑誌
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.p4-12, 1980-04
著者
手塚 富雄
出版者
心編集委員会 平凡社(発売)
雑誌
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.p4-16, 1980-02
著者
花輪 剛久 青木 歩 花輪 和己 手塚 春樹 荒井 千春 河田 圭司 鈴木 正彦 中島 新一郎
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.176-183, 2002-04-10 (Released:2011-03-04)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

The stability of powdery dosage forms of drugs prepared by unsealing the packages was investigated. For 247 articles purchased by the Yamanashi Medical University Hospital, the variables related to the evaluation of stability after unsealing these packages and investigating the contents based of an “Interview Form”. A longterm preservation test was carried out on 153 items (94%), and the mean length of the test was about 36 months. The acceleration and the severity tests were carried out using 17 items (10.4%) and 114 items (69.9%), respectively. The mean conditions of the acceleration test was 40°C/6 months, which agreed with the guidelines proposed by the “Drug Manufacturing Guidelines”. On the other hand, for the severity test, certain conditions for the evaluation could not be arranged, and testing was carried out under various conditions. In order to improve the efficiency of dispensing and the quality of life for patients, a further increased standardization of the testing conditions is recommended.