著者
牛木 純 赤坂 舞子 手塚 光明 石井 俊雄
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.128-133, 2007
被引用文献数
4

国内に発生する雑草イネの生態的特性を明らかにすることを目的として,2003年に長野県から採取した74集団,岡山県から採取した40集団の発芽様式と休眠性の特徴について,出穂後100日目の発芽試験によって調査した。その結果,雑草イネ集団の約25%は休眠性を持ち,最高で播種後約200日目に発芽する種子を持つ集団も存在した。発芽様式は集団によって多様であったが,播種後30日目の発芽率と発芽率が95%に達するのに要した日数との関係から,大別して3タイプの発芽様式があると考えられた。最も多かったのは,栽培品種と同様に播種後30日以内に95%以上の種子が発芽する集団(以下,GP1,全体の約75%)であった。これに対し,GP1よりも発芽は遅延するが,播種直後から日数に応じて徐々に発芽が進む集団(以下,GP2,全体の約18%),あるいは播種直後はほとんど発芽しないが,一定期間を過ぎると急速に発芽が進む集団(以下,GP3,全体の約7%)も存在した。上記の発芽様式を持つ雑草イネ集団の割合を発生地区ごとに比較すると,GP2あるいはGP3の集団の割合が高い地区は,長野県と岡山県の雑草イネが高い密度で発生している地区であることが共通していた。以上の結果から,国内に発生する雑草イネの休眠性は概して栽培品種と同程度だが,一部地域には休眠性の深い集団も存在し,その集団の休眠性は発生密度と関連する可能性が示唆された。
著者
村元 隆行 宮崎 真緒 手塚 咲
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.389-392, 2016-11-25 (Released:2016-12-15)
参考文献数
16

パイナップル果汁の注入が日本短角種牛肉のテクスチャーおよび保水性に及ぼす影響について検討を行った.6頭の日本短角種去勢牛の半膜様筋から各4個の筋肉サンプル(2cm厚かつ60g)を切り出し,対照区,針刺区(注入なし),塩水区(生理食塩水注入),および果汁区(パイナップル果汁注入)の4つの試験区に分けた.すべての筋肉サンプルは真空包装し,4°Cで24時間の貯蔵を行った後,ドリップロス,クッキングロス,およびテクスチャーを分析した.最大荷重,ガム性荷重,および凝集性は,果汁区が他の試験区に比較して有意に低かった.付着性,破断変形,および破断歪率に試験区間での有意な差は認められなかった.ドリップロスおよびクッキングロスには試験区間での有意な差は認められなかった.これらの結果から,日本短角種牛肉へのパイナップル果汁の注入は保水性を低下させることなく軟化させられる可能性が示された.
著者
手塚 浩子 中島 ちあき 只浦 寛子
出版者
一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会
雑誌
日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 (ISSN:1884233X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.1-9, 2020 (Released:2020-06-30)
参考文献数
22

10%ポビドンヨード(以下PVP-1)による接触皮膚炎(contact dermatitis 以下CD)は多く研究されてきたが、どのような患者に多く発生しているかを調査した研究は少ない。診療記録からPVP-1 によるCD が発生しやすい患者の特徴が分かれば、簡易スクリーニングに貢献できる可能性がある。本研究はPVP-1 によるCD の発生群と未発生群を比較し、患者側のリスクファクターを調査することを目的とした。地域医療支援病院1 施設において約2 年間に手術を受けた6,583 名のなかで腹部のCD 発生が多いことに着目し、PVP-1 を使用して腹部を消毒した患者355 名を本研究の対象とした。39 名(11%)にPVP-1 によるCD を認めた。CD 発生ありなし群の影響をみるため、4 つの説明変数にて分析を行った結果、アルコールによる発赤の既往あり(オッズ比5.94[95%信頼区間1.52-23.09], p < 0.05)と若年齢(オッズ比0.97[95%信頼区間0.95-0.99], p < 0.05)に関連していた。手術前の問診からリスクファクターがある患者に対して十分な予防対策をするとともに、PVP-1 を使用せざるをえない場合にはCD 発生のリスクを十分に説明し、患者に同意を得る必要があり、使用後についても十分観察し注意すべきである。
著者
手塚 豊
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.60-63, 1953-01

資料
著者
手塚 豊
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法學研究 : 法律・政治・社会 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.1-60, 1967-05

一 はしがき二 静岡事件の概要三 静岡事件の裁判四 むすび論説
著者
手塚 浩介 中原 久志 大津 春輝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.257-258, 2020

<p>本研究では,高校生の持つ情報モラルに対する意識及びSNSの利用状況や意識,アカウントの捉え方等に関して探索的に調査を行った.調査の結果,情報モラルの意識に関しては学年間(1年生・二年生)や男女間で差異は見られなかった.しかし,一年生と二年生でSNSアカウントの非公開設定の認知や動画系SNSの利用時間に差があること,男女間でSNSでの投稿内容や公開範囲の意識に差があることなどが明らかとなり,情報リテラシー教育における示唆が得られた.</p>
著者
樋口 亮太 土屋 博紀 安田 秀喜 幸田 圭史 鈴木 正人 山崎 将人 手塚 徹 小杉 千弘 平野 敦史 植村 修一郎
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.647-653, 2010
被引用文献数
2

近年,画像診断の進歩により膵腫瘍が偶然に発見される機会が増加している.今回,我々は術前診断しえたものの嚢胞成分の悪性を否定できず縮小手術を行った膵内副脾の1例を経験したので報告する.症例は55歳の女性で,急性虫垂炎のため行った腹部CTで膵尾部に径約3 cm大のcysticな領域を伴う充実性腫瘤を認めた.EUSで腫瘤の充実性領域は脾臓と同程度のエコー像を呈し膵内副脾を疑った.腫瘤はSPIO MRIで脾と同様の信号低下を,99mTc-スズコロイドシンチグラフィーで集積増加を示した.膵内副脾と診断したが,cysticな成分もあり悪性が完全に否定できないことを説明したところ,外科治療を希望され手術となった.膵尾部背側に3 cm大の軟らかい赤褐色腫瘍を認め,脾温存膵尾部切除術を行い術中ゲフリールにて膵内副脾を確認した.経過は良好で術後16日目に退院した.術前診断しえた膵内副脾の報告は少なく貴重な症例と思われ若干の文献学的考察を加え報告する.
著者
手塚 光明 宮島 吉彦
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.66-70, 1978-08-25 (Released:2009-12-17)
参考文献数
11

多くの多年生雑草に有効な茎葉処理剤であるMCP-Na塩液剤の水稲の生育収量に及ぼす影響を明らかにするため, 出穂60日前 (-60日) から-5日までの処理について検討した。1) 穂数は-50日から-30日までの処理では減少し, その後は減少しなかった。一穂全籾数は全般に減少したが, -20日以降の処理で減少が著しかった。2) その結果, 単位面積当たり全籾数は全般に減少した。しかし, -30日までの5g処理ではこの全籾数の減少が登熟歩合と千粒重で補償されて, 減収しなかったが, -20日以後の処理では一穂全籾数の減少が大きく, 減収した。3) したがって, MCP-Na塩については, -30日までの5g処理を基準として多年生雑草に対する防除法を検討すべきであろう。
著者
池岡 舞 徳永 奈穂子 手塚 康貴 松尾 篤
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.BeOS3013, 2011

【目的】運動観察治療(action observation therapy:AOT)とは,他者の行為の観察と身体運動の反復練習を組み合わせた治療方法のことであり,脳卒中やパーキンソン病などの神経疾患の運動障害治療に応用されてきた.このAOTの方法論は,他者行為の観察と自身の行動をリンクさせるミラーニューロンシステムの神経学的基盤を背景にして紹介されてきた(Buccino,2006).我々もこれまでに脳卒中患者に対するAOTの効果を検証してきており,その実施可能性と有効性を少数の症例報告で明らかにしてきた.しかしながら,AOTの臨床研究は散見される程度であり,ランダム化研究はほとんどなく,AOTの臨床的根拠は未だ乏しいのが現状である.そこで,本研究では脳卒中患者の麻痺側上肢の運動障害に対するAOTの効果をランダム化比較研究で検討したので報告する.<BR>【方法】対象は亜急性期脳卒中患者16名(男性11名,女性5名,平均年齢65.4±11.5歳,平均発症経過日数81.5±29.1日)とし,研究デザインは4週間のランダム化クロスオーバーデザインとした.対象者は,通常のリハビリテーションに加えて最初の2週間にAOTを実施する群(AOT-PT群,8名)と後半の2週間にAOTを実施する群(PT-AOT群,8名)の2群にランダムに割り付けた.両群ともにAOTを実施しない2週間は,通常のリハビリテーションのみを実施した.AOTは我々が独自に作成したDVDを使用し,対象者はそれぞれの機能レベルに一致した運動課題映像をDVDプレーヤーにて観察し,その直後に観察した運動課題の身体練習を実施した.AOT用DVDは,デジタルビデオカメラで2方向から同時撮影を行い,日常生活場面に関連した健常者の上肢運動のうち,粗大動作,巧緻動作,両手動作の3つのカテゴリーに分けられた58種類の課題指向型の運動課題で構成された.AOT介入時間は1セッション3課題で,1課題につき3分間の運動観察後,3分間の身体練習で計画され,合計18分間実施した.AOT介入期間は週5回,2週間の合計10回とした.評価項目はFugl-Meyer assessment scaleの上肢,手指項目(FM-U/E,FM-F),Action Research Arm Test(ARAT),Motor Activity Logのamount of use scale(MAL-AOU)とquality of movement scale(MAL-QOM)とした.評価時期は,介入前,2週間後,4週間後の合計3回とした.統計学的分析は繰り返しのある2元配置分散分析を使用し,多重比較にはBonferroni法を使用した.<BR>【説明と同意】対象者全員に対し,研究内容や方法を説明し,紙面上にて同意を得た.<BR>【結果】2元配置分散分析の結果,MAL-QOMに時間による主効果を認め,両群ともにAOT実施期に有意な改善を示した(AOT-PT群:P < 0.01,PT-AOT群:P < 0.05).また,その他の評価項目でも時間による主効果を認め,特にAOT-PT群のAOT実施期に有意な改善を示した(ARAT:P < 0.01,MAL-AOU:P < 0.05,FM-U/E:P < 0.01,FM-F:P < 0.05).PT-AOT群においては,AOT実施期における有意な効果を認めなかったが,介入前と比較すると有意な改善を示した.<BR>【考察】AOTによって脳卒中後の麻痺側上肢の運動機能の改善が促進することが示唆された.特にMAL-QOMでは,AOT実施期にのみ有意な改善が明らかとなった.これはAOTによる上肢の運動機能の改善が,日常生活における上肢使用の質的変化を促進することを示しており,治療場面以外での麻痺側上肢の使用状況にAOTが好影響を与えることを示唆する.また,ARAT,FM-U/E,FM-F,MAL-AOUにおいてもAOT-PT群のAOT実施期に有意な改善を示したことから,上肢運動機能が相対的に向上することが示唆された.しかしながら,PT-AOT群においてはAOT実施期の明らかな特異的効果を示さなかったことから,AOT介入の実施時期も影響する可能性が考えられる.AOTの神経メカニズムとしては,意図的運動観察によるミラーニューロンシステムの活性化が関与し,運動実行の準備状態を運動観察と運動実行のマッチングメカニズムから運動シミュレーションを行い,その後の身体練習における学習反応性を向上させると推測される.AOTは標準化した実施プロトコールの準備により,より多くの臨床場面での適応が可能な新しい神経リハビリテ&#8722;ションの方法であり,今後さらに大規模にAOTの効果を検証していくことが必要と考える.<BR>【理学療法学研究としての意義】AOTは,他者の行為の意図的な観察と身体練習を組み合わせることで運動学習効率を向上させ,運動治療効果を高める可能性がある.ミラーニューロンシステムの活性化を臨床応用したAOTは,神経リハビリテ&#8722;ションの新しい方法であり,より効果的で効率的な運動障害の治療に発展する可能性があり,本研究はその臨床効果を明らかにしており理学療法学研究として意義深いと考える.
著者
手塚 悦子 西村 修 小林 啓子 大森 正司
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年)
巻号頁・発行日
pp.297, 2007 (Released:2008-02-26)

【目的】東南アジアでは、バナナの葉は食品の包装や保存等へ用いられ、生活の場面で有効に用いられている。ここでは、大量に廃棄されているバナナの葉をバイオマスの一環として捉え、その有効利用や食品の保存という観点からバナナの葉に含まれている抗菌性物質に着目し、その分離、同定と有効性を明らかとしたので報告する。 【方法】(1)試料は、フィリピン産の乾燥バナナの葉(Musa acuminata)3kgを用いて粉砕後、沸騰水中で抽出、ろ過したものを試料液として以下の実験に供した。(2)バナナの葉の香気成分(SPME法)、有機酸およびアミノ酸(HPLC法)、抗酸化性(DPPHラジカル補足活性)を測定した。(3)抗菌性試験では、試料液をヘキサンで脱脂後、酢酸エチル分画し、ペーパーディスク法により、Escherichia coli K12 Staphylococcus aureusNBRC 14462による抗菌活性を検討した。(4)(3)で得られた酢酸エチル分画液を用い、TLC、シリカゲルカラムクロマトグラフィ、による分離を検討し、GCMS、HPLC、NMRにより同定と確認を試みた。 【結果】(1)バナナの葉の香気成分は、6-Methyl–5-Hepten-2-one等が多く、有機酸は、シュウ酸、リンゴ酸等が見出された。(2)バナナの葉抽出液のpHを異にして抗菌活性を検討したところ、抗菌性物質は、柳田らの報告しているように酸性で酢酸エチルに転溶することを確認した。(3)GCMS、HPLC、NMRにより酸性物質の同定を試みたところ、ケイヒ酸と安息香酸であることを確認した。(4)15種の菌株について抗菌性を測定したところ、グラム陽性菌株に対して、より大きい抗菌性を示していることがわかった。
著者
桝井 昇一 手塚 耕一 佐々木 和雄
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.140, no.7, pp.436-439, 2020-07-01 (Released:2020-07-01)
参考文献数
5
被引用文献数
1

1.はじめに富士通(株)は,国際体操連盟・日本体操協会との連携により,体操競技における正確かつ公平な採点の実現を目指して,採点支援技術の開発に取り組んでいる。採点支援技術は,LiDAR(Light Detection and Ranging)方式の3Dレーザセンサによって取得された3次元点群から,Deep