著者
加藤 弘之 胡 振江 日高 宗一郎 松田 一孝
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.2_44-2_56, 2014-04-24 (Released:2014-06-24)

双方向変換とは,ソースデータをターゲットデータに変換した後,ターゲットデータ上の更新をソースデータに反映させることが可能な計算の枠組みのことである.双方向変換の考え方は,古くはデータベース分野におけるビュー更新問題として扱われてきたが,近年は新しいプログラミングモデルと進化的ソフトウエア開発の手法として注目を浴び,プログラミング言語の観点から様々な双方向変換言語が提案されてきた.この解説論文は,会話の形で,プログラミング言語,ソフトウェア工学,データベースの視点から,双方向変換の歴史,基本原理,実践,応用,そして今後の課題について概説する.
著者
石澤 一志 酒井 茂幸 武井 和人 日高 愛子 山本 啓介
出版者
研究と資料の会
雑誌
研究と資料 (ISSN:03898121)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.17-53, 2015-07

『研究と資料』第73輯(2015・7)より転載。宮内庁書陵部図書寮文庫蔵の以下の歌会資料の釈文と略解題を収める。 1三条西家着到百首和歌(五〇三-二五三) 2伏見宮家五十首和歌 明応五・一〇(伏-一七) 3続三十首和歌 大永元・一一(伏-二四) 4伏見宮家続百首和歌 大永三・五(伏-二五) 5三十三首釈教和歌(伏-五三三) 6伏見宮家百首和歌 冬恋雑(伏-五四五) 7点取和歌冬伏十見首殿(伏-五七九)
著者
日高 庸晴 市川 誠一 木原 正博
出版者
The Japanese Society for AIDS Research
雑誌
日本エイズ学会誌 (ISSN:13449478)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.165-173, 2004-08-20 (Released:2010-07-21)
参考文献数
21
被引用文献数
2

目的: ゲイ・バイセクシュアル男性におけるライフイベントの実態, HIV/STD関連一般知識およびHIV感染リスク行動と精神的健康の関連を明らかにすること。対象および方法: 184人のゲイ・バイセクシュアル男性を対象にスノーボールサンプリング法による無記名自記式質問紙調査を実施し, 男性と性交経験のあるゲイ・バイセクシュアル男性149名 (有効回答率81.0%) を分析対象とした。結果: 「男性に性的魅力を感じる」「性的指向などを自覚する」などのゲイ・バイセクシュアル男性特有のライフイベントは中学生ー高校生の間に集中して生じていることが示唆された。また, HIV/STD関連一般知識は比較的浸透していた。コンドーム常用率はオーラルセックスでは0%, アナルインターコース挿入のみ群で34.6%, 被挿入のみ群で33.3%, 両方経験群で17.1%とかなり低率であった。HIV感染リスク行動と心理的要因の関連は, 被挿入のみ群と両方経験群においてコンドーム非常用群は常用群に比べ精神的健康度が低い傾向であった。また, ロジスティック回帰分析ではコンドーム常用と自尊心尺度得点との間に有意な関連が認められた。結論: 本研究の対象集団にはコンドームの使用促進が必要であり, そのためには知識の普及とともに心理的問題をも改善するような予防介入策の実施が求められる。リスク行動関連要因をさらに明らかにするためには, 研究参加者を増やした研究の実施が必要である。
著者
小汐 千春 石井 実 藤井 恒 倉地 正 高見 泰興 日高 敏隆
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.1-17, 2008-01-05 (Released:2017-08-10)
参考文献数
52
被引用文献数
1

東京都内に広く分布するモンシロチョウ Artogeia rapae (=Pieris rapae)およびスジグロシロチョウ A. melete (=P. melete)の2種のシロチョウについて,東京都内全域において,過去にどのような分布の変遷をたどってきたか調べるために,アンケート調査,文献調査およびフィールド調査を行った.その結果,特別区では,1950年代から1960年代にかけてモンシロチョウが多かったが,1970年代以降スジグロシロチョウが増え始め,1980年代には都心に近い場所でも多数のスジグロシロチョウが目撃されるようになったが,1990年代以降,再びスジグロシロチョウの目撃例が減少し,かわってモンシロチョウの目撃例が増加したことが明らかになった.さらにこのようなモンシロチョウとスジグロシロチョウの分布の変遷は,特別区以外の郊外の市町村や島嶼部でも見られることがわかった.
著者
日高 友郎 水月 昭道 サトウ タツヤ
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.11-24, 2014 (Released:2014-08-29)
参考文献数
29
被引用文献数
2 1

本研究では市民と科学者の対話(科学コミュニケーション)の場であるサイエンスカフェでフィールドワークを行い,両者のコミュニケーションの実態を集団研究の文脈から検討した。目的は第1にサイエンスカフェの記述的理解,第2に集団の維持要因についての検討である。結果は以下の2点にまとめられた。第1に参加者の関心の多様性(KJ法による),第2に科学者―市民間の会話は,第三者であるサイエンスカフェ主催者(「ファシリテーター」)が介入することで維持されていたこと(ディスコース分析による)である。集団成員間に専門的知識や関心などの差がありながらも,ファシリテーターの介入によって,両者の「双方向コミュニケーション」が実現され,集団が維持される可能性がある。これはサイエンスカフェにとどまらず,専門家と一般人のコミュニケーションが生起する場の理解,またそのような場を構築していくにあたって示唆的な知見となるであろう。
著者
日高 直保
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.51-62, 2021 (Released:2021-04-12)

近年日本では,AYA世代のがんサバイバーに対する注目が高まっている。AYA 世代のがんサバイバーは,医療的問題だけでなく教育や就労など社会的問題にも直面しており,がんサバイバーの視点をふまえた問題理解が望まれている。そこで本研究では,AYA 世代のがんサバイバーである K さんを対象としたインタビューを行い,個別性を尊重した情報を得ることを目指した。具体的には,インタビューを通じて得られたデータをライフヒストリー法によって再構成し,Kさんの経験を記述した。また,記述した経験をもとに,K さんのレジリエンスについて考察した。分析を通じ,入院生活を送る中で生命や自立性を脅かされる状況に直面し,恐怖や葛藤を感じながら,他者と関係する中で自立を目指す K さんの姿が描き出された。また,K さんのレジリエンスとして,家族や看護師,友人といった周囲の人々からの関わり,経験に肯定的な意味を見出す力,そして出来事に潜む肯定的な可能性を具現化する力の存在が挙げられた。
著者
日高 水穂
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.77-92, 2005-07

東北方言に広く用いられる文法形式のうち,移動の方向・着点を表す格助詞サ,目的語を表示する格助詞コト・トコ類,退去時制を表すテアッタ・タッタ形を取り上げ,その文法化の方向性と地理的分布の関係を考察した。これらの形式の文法化による変化の方向性を見ると,共通に,東北地方の日本海側の方言では,文法形式の機能を大幅に変質させる文法化が生じているのに対し,東北地方の太平洋側の方言では,本来の意味用法を維持する範囲での文法化が生じている。こうした文法化の方向性に見られる地域差を,言語地図による伝統方言の分布調査,若年層を対象とした多人数調査,方言による語りを文字化した昔話資料の用例調査などによって検証した。
著者
日高 真子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.183-191, 2012 (Released:2012-06-01)
参考文献数
11

国内学会発行の学術論文誌において,著者以外の利用者への著作権や利用に関する情報の公開・周知は十分ではなかった。そこで,電子ジャーナル論文や論文の補助資料の取り扱いについて,ジャーナルの利用規約とコンテンツ利用の現状に関する文献調査とヒアリング調査を行った。学会の状況,学術コンテンツの利用状況および利用者の実情の3点に着目し,調査結果を踏まえ作成した利用規約ガイドライン(案)を紹介,提案する。
著者
吉村 賢治 日高達 吉田 将
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.40-46, 1983-01-15
被引用文献数
31

文節内における単語間の連接規則を記述した文法規則を用いるべた書き日本語文の形態素解析では 日本語文としては不適当な解析を含む多くの解析結果が生じる.これらの解析結果から正しい解析を効率的に得る方法として ヒューリスティックな構報が利用される.従来 この手法としては最長一致法が用いられているが 根拠が明らかでないうえに解析結果に尤度による優先順位をつけることができないという根本的な欠点がある本論文では 解析結果の文節数によってその尤度を評価する文節数最小法を提案し この手法に適した表方式の形態素解析アルゴリズムを与える.アルゴリズムの能率は 最悪の場合に必要とするステップ数 メモリ数ともに入力文字列の長さnに対してΟ(n^2)である.また 1 000文の入力文に対して解析実験を行い 文節数最小法の有効性を確認した.その結果 960文については文節数が最小となる解析に正解が存在し 残り40文も一つ文節数が多い解析に正解が存在した.その他 能率 最初に出力される解析結果の誤り率 尤度による順位付けの能力についても最長一致法と比較実験を行った.最初に出力される解析結果の誤り率は 文節数最小法で7.0% 最長一致法で12.4%であり このことも文節数最小法の有効を十分示している.
著者
布山 美慕 日高 昇平
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.135-152, 2016-06-01 (Released:2016-12-01)
参考文献数
25
被引用文献数
2

In reading, we are often engaged to the book, lose our self-awareness, transport our-selves into the narrative world, and have deep empathy for the characters in the books. These “absorption” phenomena have been characterized and classified based on reader’s introspective report using the questionnaires. However this methodology relying on in-trospective reports alone may not be accurately enough to study the absorption: the readers in the absorption cannot reliably report their experiences, as they lose their self-awareness to some degree by definition. This motivates this study to build an al-ternative measures of absorption, which we can evaluate its reliability by its consistency across multiple subjective and objective measures of reader’s states. We conducted two experiments by employing the first author as a subject in a natural and reader friendly situation. In the first experiment, we analyzed the cross correlation between reader’s absorption ratings and statistics, CVR-R and fractal dimension, esti-mated from reader’s heart rates. In the second experiment, we analyzed the relation-ship between reader’s absorption ratings and bodily movements using the classification tree technique. The results of these two experiments suggest that the CVR-R and the fractal dimension estimated from heart rates, and the bodily movement can be used as alternative measures indicating the level of reader’s absorption.
著者
徳永 隆久 中田 裕子 田代 靖人 平山 匡男 日高 秀昌
出版者
財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
ビフィズス (ISSN:09142509)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.143-150, 1993 (Released:2010-06-28)
参考文献数
16
被引用文献数
5

27名の健常者 (男21名, 女6名) を3群に分け, フラクトオリゴ糖 (FOS) 1g, 3g, 5g/日をそれぞれ2週間摂取させて腸内細菌叢および便通に及ぼす影響について調べた.その結果, いずれのFOS摂取水準においても, 便中のBifidobacteriumの菌数は有意に増加した (p<0.01またはp<0.05).また, 全試験期間中の被験者の便通状況を解析した結果, FOS摂取により排便回数の有意な増加と (p<0.05), 便の硬さが有意に軟らかくなる (p<0.01) ことが観察され, 便通の改善効果が認められた.
著者
野中 隆 福岡 秀敏 竹下 浩明 日高 重和 七島 篤志 澤井 照光 安武 亨 永安 武
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 = Journal of abdominal emergency medicine (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.491-493, 2010-03-31
参考文献数
11
被引用文献数
2

患者は50歳男性。性的嗜好にて肛門に長さ15cm,直径10cm程度の薬瓶を挿入。自身でペンチを用いて取り出そうとしたが摘出できず,ビンが割れて出血してきたため当院救急外来受診となった。腹部単純X線では小骨盤腔内にはまり込んだ破損したガラス瓶を確認し,腹部CTの3次元再構築画像でガラス瓶の破損部位などの詳細な状況を把握しえた。経肛門操作による摘出は困難と判断し,同日緊急手術を施行。肛門より破損したガラス瓶の入口部より自動吻合器(サーキュラーステイプラー)を挿入し,直腸RS部を切開し逆行性にガラス瓶を摘出した。直腸切開部は離断し人工肛門を造設し手術を終了した。直腸異物は,性的嗜好や事故により肛門から器具などが挿入され,抜去不可能となったものである。破損したガラス瓶摘出を行う際には,事前に形態や破損状況を確認し,状況に応じた適切な手段を選ぶ必要がある。