著者
日高 庸晴 津田 聡子 土屋 菜歩
出版者
宝塚大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

夜の繁華街を来訪する若者を対象にした申請者の過年度調査では、感染予防の知識や検査に関する情報が十分に届いておらず、過去6ヶ月間のセックスパートナーの数は複数かつ、予防行動の実践は概して低率であることがわかっている。一方で“夜の街”で繰り広げられる人間関係や性関係とそれに関連する暴力・性暴力への予防介入研究の報告はほとんどなく、“夜の街”の実態に即した健康教育の実施が圧倒的に不足している。男性を主たる対象に、強引なナンパ・アルコール・性交渉は暴力になり得ること、加害者にならないような行動様式や交際規範を涵養することも、“夜の街”の若者たちへ予防の観点から介入を行う上で重要な視点である。
著者
日高 茂暢 室橋 春光 片桐 正敏 富永 大悟
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

特別支援教育は個別の特別な教育ニーズに応えるよう発展してきた一方、家庭での育てづらさや学校での不適応があっても、知能検査によるIQが高い子どもや人(知的Gifted)は、公的な支援が受けにくい状況がある。知的Giftedの心理特性の1つとして、過度激動と呼ばれる自己内外の情報・刺激に対する感受性の高さがあげられる。本研究では、日本における知的Giftedの心理特性をアセスメントし、支援するために、日本版過度激動尺度の開発を行うことを目的とする。また過度激動と関連が予想される神経発達症傾向、および 自尊心等の関連について、調査を行い、知的ギフテッドの特性に関する知見を提供する
著者
河村 幹夫 林川 眞善 日高 幹生 竹本 吉広
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.31-46, 2001

20 世紀型の総合商社は死んだ。言葉をかえれば従来どおりの発想、意思決定、行動を続けるかぎり、総合商社は21 世紀を生き抜いていくことはできない。なぜなら、そういう存在に対して21 世紀の世界の経済社会は価値を認めないからである。それでは総合商社に明日はないのか。もちろんある。それは一口でいえばみずからを「取引仲介業」から「情報仲介業」に根本的に変質させることである。そこでは事業も取引もすべて情報という価値基準に基づいて分類、整理され、評価される。総合商社は業法に縛られた規制業種ではなかった。それゆえに、国内的な規制の枠組みではなく、国際的なパースペクティブの中で持続的成長を少なくともバブル崩壊までは実現してきた。その意味では、ビッグバンの時代に入れば、当然のごとく総合商社の活動範囲が飛躍的に拡大し、21 世紀の日本のリーディング・インダストリーになることすら期待されたのであったが、現実の姿はそれとはほど遠く、未来への展望も十分に拓けていない状況にある。何故、総合商社は未来に向っての展望を拓き、新しいビジネス社会の創出に手間取っているのだろうか。
著者
日高 真子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.21-29, 2011 (Released:2011-04-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

国内の学会・機関から国内外に向けて英語で発行されている学術誌における著作権の取り扱い等について調査を行った。調査結果をもとに著作権の取り扱いに関する方向性を検討し,著作権規定のひな型を作成した。ひな型の特徴や全体像,留意事項について説明する。
著者
内田 史武 黨 和夫 荒井 淳一 高木 克典 國崎 真己 阿保 貴章 日高 重和 七島 篤志 澤井 照光 永安 武
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.809-812, 2017-07-31 (Released:2017-12-05)
参考文献数
9

症例1は65歳の男性,統合失調症のため外来通院中であった。自ら左腹部を包丁で刺し,約1日経過した後救急搬送された。来院時刺創部から大量の腸管の脱出を認めた。バイタルサインは安定しており,腹部造影CTで腹腔内臓器損傷の所見は明らかでなかったが,緊急開腹手術を行った。腹腔内臓器の損傷はなく,脱出腸管はisolation bagに収納して腹腔内へ還納した。症例2は43歳の男性,仲間と口論になり左上腹部を包丁で刺され,救急搬送された。来院時左上腹部には包丁が刺入していたが外出血はなく,バイタルは安定していた。腹部造影CTで包丁は膵実質,横行結腸に近接しており緊急開腹手術を行った。包丁は網囊に刺入していたが胃,横行結腸,膵の間に位置しており臓器損傷はなかった。腹部刺傷は頻度が低いが迅速な判断を求められるため,外科医は手術の適応を含め,その一般的対応を熟知しておかなければならない。
著者
大平 修司 スタニスロスキー スミレ 日高 優一郎 水越 康介
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.19-30, 2021-01-07 (Released:2021-01-07)
参考文献数
61
被引用文献数
2

ふるさと納税は,問題点を抱えているものの,着実にその規模が拡大している。一方で,ふるさと納税に関する研究は,その実態把握研究が大半であり,特に利用者研究は限定的な理解に留まっている。本稿では,まずふるさと納税を寄付型および報奨型クラウドファンディングとして理解し,利用者がふるさと納税を行う要因を検討する。次に寄付者が寄付を行う要因を検討する。さらにふるさと納税の返礼品を寄付つき商品と理解することでコーズ・リレーテッド・マーケティング研究を通じ,消費者が寄付つき商品を購入する要因を検討する。最後にふるさと納税の利用者を理解する枠組みを提示し,地方自治体のマーケティングへの示唆を述べる。
著者
神田 將志 日高 優一郎
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.105-114, 2022-01-07 (Released:2022-01-07)
参考文献数
9

本研究では,岡山県小田郡矢掛町におけるアルベルゴ・ディフーゾ(Albergo Diffuso,以下ADと表記)の発展プロセスを考察する。ADは,町の中に点在する空き家を一体化した宿として活用してエリア全体を活性化する試みである。人口減少が進む中で,地方活性化の手法として注目を集めており,日本では矢掛町が初めてADタウンに認定されている。本研究は,矢掛町の事例では,当初からADを念頭に活動を進めたわけでなく,活動がADとの邂逅を生み出したことを示す。当事者が,当座の「町ごとホテル」の名のもと,当地の伝統的な関係性を紐解きながらアクターを生成し,生成した各アクターが資源をやりくりして実践を積み重ねた結果,ADとの邂逅を生み出している。事業が「AD」と再定義されたことは,当事者たちの当地の魅力や活動対象エリアの認識に変化を生み出し,更なる可能性を呼び込んでいる。本研究は,矢掛町のAD認定に至る軌跡を辿り,その意義を考察する。
著者
河合 将志 日高 薫 鈴木 崇史
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.29-37, 2021 (Released:2021-11-10)
参考文献数
51

US President Donald Trump is known for his unique character. However, does the notion imply that his policy is unique? Existing studies on presidents have assumed that Trump's policy significantly differs from that of former President Barack Obama due to extremely biased policies, especially foreign policy. To test the validity of such a common view, the study conducted a quantitative text analysis of executive orders issued by both presidents. Results show that (1) there are systematic differences between Obama's and Trump's policy; (2) tracklessness, rather than deflectiveness highlights the uniqueness of Trump's policy; and (3) the uniqueness of Trump's policy is pronounced in domestic rather than foreign policy.
著者
木村 拓人 柳本 卓 日高 浩一 上原 崇敬 大島 達樹 伏島 一平 酒井 猛
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.142-149, 2019-03-15 (Released:2019-04-02)
参考文献数
38
被引用文献数
2

外洋域に分布するヒラマサ3種(Seriola lalandi, S. dorsalis, S. aureovittata)の遺伝的差異から集団構造を明らかにするため,北西太平洋(日本沿岸,北西太平洋外洋,天皇海山)およびタスマン海で漁獲された個体を用いて,mtDNAのND4,CRおよびCOI領域の塩基配列を分析した。その結果,北西太平洋の4つの漁獲地点の個体間に遺伝的な差はなく,これらの北太平洋と南太平洋のタスマン海の集団間には有意な差があることがわかった。
著者
菊池 拓 森 毅彦 清水 隆之 森田 伸也 香野 日高 中川 健 三ツ橋 雄之 村田 満 岡本 真一郎
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.345-349, 2014 (Released:2014-03-29)
参考文献数
15

症例は64歳,男性。急性骨髄性白血病に対する非血縁者間同種骨髄移植後に進行した慢性腎不全に対して生体腎移植が施行された。術後合併症のため中心静脈栄養が行われた。腎移植3ヶ月後より,進行性の正球性貧血(ヘモグロビン7.9 g/dl)を認めた。網赤血球0.2%であったが,白血球数,血小板数は正常であった。血清鉄,ビタミンB12, 葉酸は正常値であった。骨髄検査では環状鉄芽球の増生および一部の赤芽球系細胞の細胞質に空胞化を認めた。巨核球数およびその形態は正常であった。骨髄所見はWHO分類で環状鉄芽球を伴う不応性貧血と合致したが,骨髄系細胞にも細胞質の空胞化を認め,銅欠乏も疑われた。血清銅(33 μg/dl), セルロプラスミン(11 mg/dl)共に低値であり,経口摂取で1 mg/日の銅補充を開始したところ,急速に網赤血球は上昇し,1ヶ月後にはヘモグロビン値は正常化した。骨髄中に環状鉄芽球の増生を伴う進行性の貧血の原因として,銅欠乏性貧血を鑑別疾患の1つとして挙げるべきである。
著者
日高 茂暢
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.114, pp.101-121, 2011-12-27

【要旨】発達障害の一つである自閉症スペクトラム障害 (Autism-Spectrum Disorders: ASD) は,社会性の質的な障害を特徴の1 つとして有する。ASD における非定型的な表情認知が社会性の障害の背景として指摘されてきた。一方,実験場面において比較的良好な表情認知成績を示すASD の知見がある。そのため,ASD の非定型的な表情認知を検討するために,実験場面と日常場面における表情処理の差を考えることが重要である。日常場面で他者の情動状態を推測するとき,最適な解は表情処理だけでは得られない。場面に適切な表情の意味処理を行うために,場面情報から表情の情動的意味処理を促進する文脈的情報が抽出される必要がある。本稿では,ASD における表情認知の問題を,視覚的物体認知における大細胞系視知覚の知見をもとに,表情処理を促進させる文脈の問題として検討する。定型発達とASD における場面情報と表情認知の研究を比較し,ASD における文脈にもとづいた表情認知の問題を示した。
著者
布山 美慕 日高 昇平 諏訪 正樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

読書に熱中し思わず我を忘れて読んでしまう,という読書体験は多くの人が有する. 本研究では,熱中状態は,主観に現れる心的状態であり,かつ動作や心拍数の変化に現れる身体的状態であると仮説をたて,読者の映像,心拍数,加速度,読後の主観データを取得した.分析の結果,主観的な熱中度合いの評価を含む複数のデータ間に相関が見られ、主観に沿いつつ,客観的データで熱中状態の一側面を説明できることがわかった.
著者
増田 亜希子 伊東 孝通 和田 麻衣子 日高 らん 古江 増隆
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.353-355, 2016-08-01 (Released:2016-12-15)
参考文献数
8

27 歳,女性。小児期よりアトピー性皮膚炎に罹患していた。初診の 6 年前より夫の精液付着部位に蕁麻疹と瘙痒を認めた。その後,避妊具なしで性交した際に全身に蕁麻疹を認め,呼吸困難も出現した。同様のエピソードが過去 2 回あった。避妊具を使用した性交渉では同様の症状を生じたことはなかった。近医を受診し,精漿アレルギーの疑いで当科を紹介され受診した。10 倍から1000 倍に希釈した夫の精漿を用いたプリックテストでは,検査した全ての濃度で紅斑と膨疹が出現した。本疾患は精漿中に存在する前立腺由来の糖蛋白に対するⅠ型アレルギー反応であると考えられている。精漿アレルギーの患者の半数以上にアトピー性皮膚炎の既往があると報告されており,皮膚バリア機能の障害による経皮感作が発症に重要な役割を担っていることが推察される。本疾患は皮膚科領域での報告は比較的稀であるが,アトピー性皮膚炎関連アレルギー疾患の一つとして位置づけることができると考え報告した。