著者
小川 哲史 竜田 庸平 宮内 良浩 藤元 麻衣子 速見 弥央 本田 隆広
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Gb1454, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 当校では,3学年の臨床実習報告会を理学療法セミナーという形で1学年が参加し,単位としている.今回,1学年前期におけるセミナーの感想を自由記述してもらい,臨床実習に対するイメージや想いなどのキーワードを分析し,臨床実習に対する心構えの指導や助言に繋げることを目的とする.【方法】 理学療法セミナーに初めて参加した当校1学年42名に自由記述方式にて感想や勉強になったことを記入してもらった.そして,テキストデータに変換後khcoderにて分析した.分析方法としては,頻出度の高い順に単語を抽出した後,似通った語をカテゴライズし,2次元対応分析と階層的クラスター分類にて分析を行った.【倫理的配慮、説明と同意】 ヘルシンキ宣言を遵守し,学生に十分説明し同意を得た.また,テキストデータに関しては,匿名にて採取したうえで分析後破棄した.【結果】 42名の学生全員から回答が得られた.高頻度抽出語は約70種類あった.その語をクラスター分類し10のカテゴリーに分類した.カテゴリーは「先輩」「セミナー」「自分」「先生」「評価」「知識不足」「実習」「発表」「病態」「治療」というものであった. 2次元対応分析の結果,「自分」と「知識不足」の関わりが1番強い結果となった.また,関連カテゴリーは「自分」と「先輩」,「自分」と「発表」,「評価」と「治療」でった.「病態」に関しては「発表」「実習」と関連があったが,弱く遠い存在であった.加えて,「先生」は他のカテゴリーに満遍なく関わりがあるが遠い結果となった. 階層的クラスター分類のデンドログラムの結果では,3つのグループに分かれた.「自分」「知識不足」「発表」群と「評価」「治療」「実習」「先輩」「セミナー」群,「病態」「先生」群に別れた.【考察】 「自分」と「知識不足」との関係性は,自分は知識不足であるという内部表象であると考える.「自分」と「発表」との関係性は,発表が上手く出来るのかという未来像の内部表象ではないかと考える.階層的クラスター分類の結果からも同様に示唆できた.知識がつけば自分も3学年になれる.また当然その時期がくれば発表もできる.そういう短絡的な発想ではあるが不安と願望,また将来像が交錯している時期だともいえるのではないかと考える. 「評価」と「治療」のカテゴリーは言葉の意味から考えると動的な表象である.これが「実習」という言葉に関連していたため,実習では評価と治療の課題を実施しなければならないという認識が強かったのではないかと考える.1学年の授業に評価実技を多くし,教員の治療アプローチ指導や見学をすることも不安を解消する有効な手段ではないかと考える.当校の理学療法概論の一環として病院見学実習があるが,1学年でも評価の場面や治療を経験できるように,これらの情報を現場へ提供していく必要性も感じた. 加えて,「先輩」を意識する傾向が強かったため,先輩からの発表を吸収しようとする意思を前提に学ぶという姿勢になっているのではないかと考える.また,今回の分析では「先生」というカテゴリーが遠かった.つまり,1学年では先生よりも先輩によって実習の青写真を形成しているのではないかと考える.これらの結果から,今回のセミナーは学生自身が自ら学び,先輩から感じ取る学習スタイルだということも分かった. 新設校が増え,卒業生も多い中,先輩が後輩をどう育てていくのか,今実践され始めたクリニカルクラークシップも1学年時より導入すべきではないか.また理学療法の臨床実習のスタイルも変革の時期ではないかと考える. 理学療法士を目指して少しずつ学び始めた学生が2年先の「先輩」を意識し,「知識不足」を心配している.「知識不足」は勉強を積み上げると解消されるが,「先輩」との対比から生まれる自身の未熟さをどう扱い,どう指導するのかという観点も忘れてはならないと考える.また教育方法の一つに先輩からの体験談などを学ぶ機会づくりやカリキュラムの構成を考慮することでより良い理学療法士の輩出を期待したいと思う.【理学療法学研究としての意義】 理学療法教育においてテキストデータから,学生の内部表象を探る試みは学生の教育方針の転換にも有用であり,今後の教育の発展に寄与するのではないかと考える.今回,1学年から先輩に意識しているという傾向を捉えた.今後の教育に生かし,指導の変革をしていくことに繋がる例だと感じる.
著者
本田 和子
出版者
青土社
雑誌
ユリイカ (ISSN:13425641)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.p34-39, 1989-01
著者
菅原 敏 橋田 元 石戸谷 重之 並木 道義 飯嶋 一征 森本 真司 青木 周司 本田 秀之 井筒 直樹 中澤 高清 山内 恭
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.77-87, 2005-02

第45次南極地域観測隊行動の一環として,南極昭和基地においてクライオジェニックサンプラー回収気球実験が実施された.実験は2回実施され,2003年12月26日と2004年1月5日にそれぞれ気球が放球され,高度10kmから30kmにおいて成層圏の大気サンプルを採取することに成功した.大気サンプルの採取が終了した後,観測器はパラシュートによって海氷上に着地し,無事にヘリコプターで回収された.日本に持帰った後にサンプル容器の内圧を計測したところ,採取された成層圏大気サンプルの量は,9〜18L(STP)であり,さまざまな大気成分の分析をするために十分な量のサンプルが得られていた.今後進められる分析の結果を,1998年の実験結果と比較することにより,南極成層圏における大気成分の長期変動などが明らかにされるものと期待される.
著者
本田 彰子 牛久保 美津子 Honda Akiko 牛久保 美津子 ウシクボ ミツコ Ushikubo Mitsuko
出版者
千葉大学看護学部
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
no.26, pp.39-43, 2004-03

本研究の目的は,医療施設に就職した看護師の臨床現場で1年聞の体験の内容から,職場適応の実際を表し,新人看護職者が仕事を継続することに影響する要因を明らかにすることである.卒後1年を経過した8名の看護師に対して,臨床現場での困った事,その時の対処,助けとなったもの等に関する内容の面接調査を行い,質的帰納的方法で分析した.人とのかかわりや他者の存在に閥する6サブカテゴリーは『安寧・励ましである患者の存在』『看護の責任を果たし,尊重すべき患者の存在』『困難の元となる先輩看護師の存在』『育て導く先輩看護師の存在』『分かち合う同期看護師の存在』『安らぎを与えてくれる家族の存在』であった.職場適応の方法に関する4サブカテゴリーは『必死・耐える・やり過ごす対処』『人間関係や組織構造を読み取る対処』『納得・気付き・見習う対処』『離職選択へ向かう対処』であった.新人看護職者の仕事継続に影響する要因としては,看護の役割を自覚させる患者の存在,看護実践能力の未熟さを自覚させ,それを実務レベルで支援する先輩看護師の存在,情緒的安定を与える同僚看護師や家族の存在がある.また,新人看護師はできないと思いつつも必死に耐え,かつやり過ごす対処をとるが,それだけでなく,人間関係や組織の構造を的確に捉え,職場適応におけるあるべき姿を先輩看護師に見出し,自分自身を変える対処をとることにより離職選択をせず看護の職務継続の意識を持つようになると考える.
著者
本田 恭子 山下 良平
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Special_Issue, pp.345-350, 2010-02-28 (Released:2011-03-01)
参考文献数
4
被引用文献数
4 5

The purpose of this paper is to clarify the tendency of local communities to participate in and implement the “Measures to Conserve and Improve Land, Water, and Environment”. The study was conducted across 26 communities in Fukusaki town, Hyogo prefecture. The main findings are as follows. (1) The shortage of funds for the maintenance of irrigation canals and farm roads was an important factor in the participation of communities in the policy. (2) The officials of the communities that participated in the policy recognized the effectiveness of the implemented measures in improving the conditions of canals and roads, and hoped to continue the implemented measures after the end of the policy to foster interaction among the residents.
著者
米倉 哲志 本田 雪絵 Oksanen Elina 吉留 雅俊 渡邊 誠 船田 良 小池 孝良 伊豆田 猛
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.333-351, 2001-11-10
被引用文献数
3

3年生のブナ(Fagus crenata Blume)苗のガス交換速度, 葉の水ポテンシャル, 光合成系IIの最大光量子収率(F_v/F_m), クロロフィル含量, 葉の微細構造および年輪幅に対するオゾンと水ストレスの単独および複合影響を調べた。自然光型ファイトトロン内に浄化空気を導入した浄化区と60nmol・mol^<-1>のオゾンを毎日7時間(11 : 00〜18 : 00)にわたって導入したオゾン区を設け, 各ガス処理区において, 3日毎に250mL灌水した土壌湿潤区と175mL灌水した水ストレス区を設定した。これらの4処理区において, ブナ苗を156日間(1999年5月10日〜10月12日)にわたって育成した。水ストレス処理によって, 葉の水ポテンシャルが7月以降に有意に低下し, ブナ苗の葉における純光合成速度(A_<350>), 気孔コンダクタンスおよび蒸散速度が8月以降に有意に低下した。また, 葉緑体内のプラスト顆粒が水ストレス処理によって有意に大きくなった。オゾン処理は, ブナ苗のA_<350>, CO_2固定効率, 最大純光合成速度, F_v/F_mおよび年輪幅を有意に低下させた。このオゾンによるA_<350>の低下は, まずRuBPカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(Rubisco)含量の低下によって引き起こされ, その後はRubisco含量の低下と共に, RuBPの再生能力や光化学系活性の低下によると考えられた。また, 葉緑体内のプラスト顆粒がオゾン処理によって有意に大きくなったが, デンプン粒は有意に小さくなった。葉のガス交換速度, 葉の微細構造および年輪幅においてオゾンと水ストレスの有意な交互効果は認められなかったが, 両ストレスは相加的に作用し, 純光合成速度や年輪幅を著しく低下させた。
著者
河津 弘二 槌田 義美 本田 ゆかり 大田 幸治 緒方 美湖 吉川 桂代 山下 理恵 山鹿 眞紀夫 古閑 博明 松尾 洋
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.23-29, 2008-02-20

本研究は,地域における一般高齢者向けの,介護予防を目的とした運動プログラム「長寿きくちゃん体操」の紹介をするとともに,地域主体での教室運営による運動プログラム介入前後の身体機能面と精神活動面で変化がみられたことを報告する。教室の対象は,老人クラブの21名(74.1±3.7歳)で,期間は3ヶ月問であり,教室は他機関の健康運動指導士が運営した。身体機能面の変化に対し,教室の前後で,10m全力歩行,開眼片脚立ち,握力,長座位体前屈,Timed Up & GO Test (TUGT),6分間歩行を評価した。また,日常生活活動や精神活動の変化に対し,アンケート調査で,主観的健康観,FallsEfficacy Scale (FES), MOS Short-Form-36-Item Health Survey (SF-36),グループインタビューを実施し,また痛みの変化ではNumeric Rating Scale (NRS)を実施した。結果は,身体機能面で,10m全力歩行,TUGT,6分間歩行,握力で有意な改善を認めた。また,精神活動面は,主観的健康観で有意な変化を認め,他項目でも改善傾向があった。地域リハビリテーションでの介護予防教室に対し,ポピュレーションアプローチでの間接的な運動プログラムの提供により,心身の変化の可能性を示唆したと考えられた。
著者
白井 純宏 川上 茂生 吉田 正貴 上田 昭一 中村 武利 本田 由美
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.90, no.10, pp.847-850, 1999-10-20
被引用文献数
3 1

透析患者に合併した膀胱肉腫様癌の1例を経験したので報告する.症例は65歳女性.平成8年3月,慢性糸球体腎炎による腎不全のため血液透析導入となった.平成9年6月より肉眼的血尿が出現し,膀胱鏡検査にて右側壁から後壁にかけて広範囲に隆起性病変を認め,TUR-Btによる病理組織診はsarcomaであった.臨床病期T3bN0M0,StageIIIの診断にて同年9月10日,膀胱子宮全摘術を施行した.最終的な病理組織診断は移行上皮癌(Grade3)の成分と異型紡錘形細胞の増殖をみる肉腫様の部分とで構成された肉腫様癌(sarcomatoid carcinoma)であった.透析患者に合併した膀胱原発の肉腫様癌は極めて稀であり,調べ得た限りでは本症例は本邦2例日である.
著者
本田 康雄
出版者
埼玉短期大学
雑誌
学校法人佐藤栄学園埼玉短期大学研究紀要 (ISSN:13416006)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.96-87, 2003-03-31

小新聞「平仮名絵入新聞」(東京絵入新聞)は犯罪・情痴事件等の報道に挿絵を入れて人気を得た。「仮名読新聞」の「鳥追ひお松の伝」、「東京絵入新聞」の「金之助のはなし」「毒婦お伝のはなし」は事件を連載記事として回数を重ね特に絵入り雑報の連載は読者にとっては新聞紙上に江戸の草双紙合巻が展開する観があった。明治十三年からは東京・大阪の新聞にこの種の絵入続き物が「現代物」「時代物」の二本建てで掲載された。明治十五年より大新聞(政論新聞)は政党新聞となり度々の新聞条令(特に明治十六年の改正条令)によって廃刊乃至雑報記事中心の新聞へ性格を変更した。その時、小新聞(特に朝日新聞)が絵入続き物を武器として新聞界を制覇した。明治十九年より読売新聞は給人続き物に対抗して「小説」を「小説欄」に掲載した。以後、読売の「小説」と朝日の「絵入続き物」が競合、融合しつつ新聞小説が全国各紙に普及するに至る。