著者
村井 忠康
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.99-114, 2012 (Released:2016-01-15)
参考文献数
24

According to the standard form of conceptualism, which comes from McDowell (1994), the conceptual content of experience is propositional. But this is at variance with naive realism, which conceptualism craves for. Given that, we should seek non-propositionalist forms of conceptualism, which make room for naive realism. In this paper I propose such a conceptualism, exploiting Sellarsʼs idea of visual experience as “thinking in color”, although he himself has never been conceptualist. Elaborating the idea will lead to the conception of visual experience as analogous, in a unique way, to drawing a picture. I argue that this enables conceptualism to take seriously the particularity and concreteness of perception, which are emphasized by naive realism.
著者
村井 紀元 村上 雅彦 東 弘志 加藤 博久 草野 満夫
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.103-107, 2009-02-28 (Released:2011-05-12)
参考文献数
14

房総半島沿岸地域において,一般に食される,カタクチイワシにより急性腹症をきたした3例を経験した.主訴はいずれも腹痛,嘔気,嘔吐であり,食後3~5時間で発症した.腹部所見では,腹部全体におよぶ強い圧痛を認め,腹部単純X線写真ではいずれも小腸ガス像を認めた.血液検査所見では,いずれも白血球数の増加を認めたが,発熱はみられなかった.また,腹部エコー・上部消化管内視鏡検査では特に異常所見はみられなかった.全例ともに絶飲食による保存療法により,1~3日以内に症状は消失した.魚類摂食後の腹痛の原因としては,寄生虫によるもの,食中毒によるものなどが挙げられるが,今回の症例ではアニサキス症などは否定され,便培養の結果で有意な所見なく,発症までの時間的経過や,大量摂取という状況より,ヒスタミン中毒によるものと推察された.ヒスタミン中毒とは,ヒスタミンの蓄積した赤身魚を摂食後,数分から数時間以内に様々なアレルギー様疾患を起こす病態のことをいう.マグロやサバ,イワシなどが主な原因食として挙げられ,カタクチイワシもヒスタミン中毒魚の一種である.ヒスタミン中毒による症状は,比較的軽度とされており,その診断には問診が重要ともいわれている.今回のように腹部所見の強い症例では,緊急手術の要否の判断に難渋する可能性もあり,急性腹症の患者の診察においては,ヒスタミン中毒も念頭において,問診,診断,治療にあたる必要があると思われた.
著者
村井 等
出版者
日本工業出版
雑誌
ターボ機械 (ISSN:03858839)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.51-53, 2010-01-10
参考文献数
10

4 0 0 0 OA 民事判例研究

著者
村井 麻衣子
出版者
北海道大学大学院法学研究科
雑誌
北大法学論集 (ISSN:03855953)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.267-306, 2000-09-28
著者
引網 宏彰 柴原 直利 村井 政史 永田 豊 井上 博喜 八木 清貴 藤本 誠 後藤 博三 嶋田 豊
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.699-707, 2010 (Released:2010-10-30)
参考文献数
6

リウマチ性多発筋痛症(PMR)に対して,漢方治療が奏効した5症例について報告する。さらに,これら5症例を含む当科でのPMR治療例10例について検討した。その結果,有効症例は6症例であった。そのうち,1例はステロイド剤の投与を拒否した症例であったが,他の5症例は筋痛症状や炎症反応の出現により,ステロイド剤の減量が困難な症例であった。また,1例を除いて,CRPは3.0 mg/dl以下であった。一方,無効症例では高度の炎症反応を示しており,ステロイド剤の投与が必要であった。有効症例には駆瘀血剤(疎経活血湯,桃核承気湯,桂枝茯苓丸,腸癰湯加芍薬,薏苡附子敗醤散,当帰芍薬散)が投与されていた。以上より,PMRでステロイド剤の減量が困難な症例や炎症反応が軽度である症例には,漢方薬は治療の選択肢の一つとなりうると考えられた。さらに駆瘀血剤の積極的な使用がPMRの治療に有用である可能性が示唆された。
著者
村井 友樹
出版者
筑波大学 (University of Tsukuba)
巻号頁・発行日
2016

この博士論文は全文公表に適さないやむを得ない事由があり要約のみを公表していましたが、解消したため、2017年12月12日に全文を公表しました。
著者
村井 淳
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
関西外国語大学研究論集 (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
no.91, pp.117-135, 2010-03

ロシア革命後、ソヴェト当局は反革命勢力などを弾圧するために、収容所を設けた。その後、ソ連邦が成立すると、白海に浮かぶソロヴェツキー島に本格的な強制労働収容所が建設された。1930年代のスターリン時代には、インフラ整備などで労働力が必要なことから、強制労働収容所とそれを管理運営するグラーグ(収容所管理総局)システムが必要に応じて構築されていった。その切っ掛けを提案したのは、自らも最初は囚人であったフレンケリであった。30年代の大粛清などにより無実の人が逮捕され、新しく建設された強制労働収容所で過酷な無賃労働を強いられた。また、第二次世界大戦期には、ドイツ軍や日本軍などの捕虜も同様の労働を強いられた。その結果、スターリン時代に、数百万もの人々が死亡した。1953年スターリンの死とともに、この強制労働システムは急速に崩壊し、囚人や捕虜は釈放されていった。しかし、これらの強制労働はソ連の産業に貢献したが、長い目で見るとソ連崩壊の一因になった。
著者
桐生 嘉浩 本間 直美 吉野 多栄子 村井 ユリ子 祖父江 展 佐藤 良智
出版者
一般社団法人日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.8-16, 2017-05-31 (Released:2017-06-16)
参考文献数
13

Objective: Numerous new drugs have been developed in recent years, making the available types of prescription drugs quite diverse, with increasingly more complex drug interactions.  From an operations support system perspective, hospitals that cannot incorporate a large-scale custom-order system because of financial or use-efficiency limitations have no choice but to rely on commercial products.  However, this leaves many problems unsolved, such as functional restrictions and limited specifications.  In this study, we used Microsoft®Visual Basic®for Application (VBA) to develop an economical drug discrimination system suited to our situation and equipped with original function from the perspective of clinical pharmacists.Design: System design and development.Methods: We prototyped the system in VBA and used Microsoft®Excel®to create Query Tables.  The utility of the new system was evaluated based on drug discrimination output and time required in each process.Results: The new system is capable of inter-database communication and automated data analysis and uses drop-down lists of pre-defined options for data input in many places.  Compared with the conventional method, the new system enabled us to significantly reduce the average time needed to input and confirm data by as much as 61.9%.  This indicates that the new system can considerably reduce the time required for completing time-intensive processes and is also useful in preparing highly precise drug discrimination reports.Conclusion: Based on the results obtained so far, the new, original system, developed with zero design or development costs, is more efficient and offers more reliable information in the clinical setting than the conventional system.  As a result, we are able to maintain operational quality and reduce the amount of time required for drug discrimination.

4 0 0 0 小寺家文書

著者
村井祐樹編
出版者
[村井祐樹]
巻号頁・発行日
2011
著者
重近 範行 中村 修 村井 純
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.8, pp.1234-1242, 2002-08-01
被引用文献数
2

本論文では,規模や時間的制約,双方向コミュニケーションを考慮した,インターネットを用いたイベントにおける新しいコミュニケーションモデルを提案する.イベントにおけるコミュニケーションでは,会場における場の共有がイベントの成功に特に大きな影響を与える,しかし,テレビ放送や既存のインターネット中継では,場の共有という重要な要素が考慮されていない.本モデルに従って規模や時間的制約に対応でき,場所に依存しない双方向コミュニケーション支援システムGayaを設計・実装した.また,Gayaシステムを用いて,慶應義塾大学環境情報学部の授業・渋谷駅前などで実証実験を行い,本システムの有用性を明らかにした.
著者
村井 源 川島 隆徳
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.203-222, 2012-10-10 (Released:2012-11-30)
参考文献数
17

本論文の目的は,批評対象に対する計量分析によって批評の科学的分析への基礎固めを行うことである.まず総合的芸術である映画と演劇に関する批評を対象として選択し,批評対象に関連した名詞を抽出した.抽出した名詞を30 のカテゴリに分類し,χ二乗検定によって映画と演劇で重要視する要素の相違を分析した.映画では特定の人物に中心的な言及がなされるのに対し,演劇では分散的な言及の特徴がみられた.次に,カテゴリ間の関係性を明らかにするために,因子分析を用いてカテゴリの共起を分析した.結果として「監督」と「演技」における映画と演劇でのニュアンスの相違が抽出された.最後にカテゴリのパターンを抽出するためN-gram 法を適用した.N-gram 法によって批評の論理展開の中心的要素が,映画の場合は「物語」であり,演劇の場合は「演技」であることが明らかとなった.
著者
村井 貴
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第63回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.160, 2016 (Released:2016-06-30)

ウェブサイトが持っている特徴を進化の過程や外的要因でとらえ、体系的に分類することでウェブデザイン史の全体像をより明確にできると考えられる。本研究では企業や団体組織のウェブサイトの中から、特にマイルストーンとなったものを対象とし、それぞれの特徴を浮き彫りにしながら分類し、系統樹を創出することを試みる。系統樹は枝分かれの位置、枝の高さや長さの違いによって、扱うテーマを分かりやすく可視化できるインフォグラフィックスの一種である。本研究では系統樹創出という切り口で、ウェブデザインの分類に迫る。本稿では研究の前段階である、研究構想を提示した。分類するにあたって、流行や動作環境、ウェブマーケティング、ウェブプロモーションなどといった要素があることを示した。
著者
村井 友樹 李 燦雨
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
pp.15036, (Released:2015-08-26)
参考文献数
63

The aim of this study was to clarify the background and features of implementation of the Nationwide Swimming Training for Conscription Candidates (NSTCC). The tasks of the study were to elucidate the 1) background, 2) preparation, 3) contents, and 4) results of NSTCC implementation.  The results of this study were as follows:  1) After the outbreak of the Sino-Japanese war, the problem of a lack of swimming ability was observed among soldiers, so municipal governments and the Ministry of Health and Welfare turned to the STCC as the solution.  2) As the Sino-Japanese war was prolonged, the Ministry of Health and Welfare integrated the STCC, which had previously been conducted as a separate program, into one implementation throughout the whole country.  3) After the outbreak of the Pacific War, the situation was worsening, and the lack of swimming ability in ground forces became obvious. To resolve this problem, the Ministry of Health and Welfare decided on a comprehensive implementation program, which was planned at the beginning of 1943, through the NSTCC.  4) The NSTCC was supported by the Imperial Rule Assistance Association and its neighborhood associations. Since swimming training on a nationwide scale was not compulsory for all conscription candidates, the Imperial Rule Assistance Association mobilized conscription candidates to participate in training through different propagandas.  5) The National Physical Training Association trained coaches for each prefecture and each implementation district. Most coaches in each implemental district were school teachers.  6) In was recommended that the NSTCC be conducted using swimming pools, but a number of implementation districts did so in seas, rivers, or lakes.  7) The first half of the NSTCC was intended to cultivate the ability to float, on the assumption that this ability was basic training in order for beginners to master swimming.  8) During the second half of the NSTCC, attaining the technique of sidestroke or breaststroke was preferred. Each implementation district was able to choose a stroke (sidestroke or breaststroke).  9) Disciplinary training was highly regarded in the NSTCC.  10) As 95% of all participants were able to swim for more than 10 meters upon completing training, the NSTCC was judged to have been effective in eliminating a lack of swimming ability.
著者
工藤 彰 村井 源 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.285-290, 2010-05-28 (Released:2011-06-25)

小説が進行するに従って,様々な表現の性質は変化していくものである.本研究の目的は用いられた動詞の観点から小説展開を計量的に特徴づけることである.具体的には,異なる主人公と物語の奇数章と偶数章からなる村上春樹の並行形式小説『1Q84』を対象とし,キャラクターの行為の指標として動詞の出現頻度を分析する.二組のチャプター群をそれぞれ六つのパートに分割後,全ての文章をキャラクターに関連のあるアクションを示す動詞を特定するため機械的に構文解析し,統計分析によって体系的傾向を持つ五つの動詞を明らかにした.本研究では,特定のアクションを示す動詞の相対的頻度の推移は,奇数章(動から静)と偶数章(静から動)の対照的な傾向に影響されていると論じた.
著者
村井 尚子
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.191-202, 2013-01-31

教育学研究においては、ケアと正義を対比させる文脈でケアリング論の検討が行われてきている。本稿では、ケアという語を実践的な行為として捉えるケアリング論とは方向性を違え、まずはケアという語の語源を辿った。ケアは元々は気にかかる、気がかりという意味合いを強くもつもので、ハイデガーの存在論の中心的概念であるSorgeを手がかりに考えることで、我々の生の有り様が照らし出されてくる。気がかりとしてのケアは、親であることの副作用ではなく、気にかけていること自体が親であるという生活そのものであると言える。言い換えれば、気がかりは親であることの原料であり、子どもの生へと自身の生を寄り添わせる接着剤の役割を果たす。子どもの側から見れば、ケアしてくれる=気にかけてくれる存在が、子どもが育っていくためには不可欠なのである。この気がかりは、親であるかぎりずっと続く慢性の病とも言える。つねに気にかけ続けることは、痛みを伴うものでもあるが、子どもを希望として経験することもまた、親であること、ケアすることの原料だとも言えるのである。