著者
村井 邦彦 酒井 大輔 中村 嘉彦 中井 知子 鈴木 英雄 五十嵐 孝 竹内 護 村上 孝 持田 讓治
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-8, 2012 (Released:2012-03-07)
参考文献数
49

椎間板ヘルニアに伴う神経痛の病態には,神経根の炎症機序が関与している.その一因に,椎間板髄核が自己の組織として認識されない隔絶抗原であるので,髄核の脱出に伴い自己免疫性炎症が惹起されることが考えられる.一部の髄核細胞の細胞表面には,眼房細胞などの隔絶抗原にみられる膜タンパクFasリガンドが存在し,Fas陽性の免疫細胞のアポトーシスが惹起され,自己免疫反応は抑制されるが,二次的に好中球の浸潤が惹起され,炎症を来す可能性がある.近年,われわれはマクロファージやナチュラルキラー細胞などの細胞免疫反応が,椎間板ヘルニアに伴う痛みの発現に関与することを示した.Fasリガンドや,細胞免疫の初期に発現するToll 様受容体に着目すれば,坐骨神経痛の新たな治療法が開発できる可能性がある.
著者
村井 活史 浦久保 知也 西田 靖武 洪 苑起 菅原 敬信 岡村 元義 小田 昌宏 川俣 治 小杉 公彦 塩見 哲次 高橋 英晴 殿守 俊介 林 秀樹 丸山 裕一
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.6-31, 2007 (Released:2008-06-06)
被引用文献数
1

The Bio-virus safety committee, one of the committees of the Parental Drug Association Japan (PDA Japan), has discussed various concerns on biopharmaceuticals from scientific, technical and regulatory perspective. One of the most significant concerns is the risk of viral contamination into the products. This risk should be addressed, as required per the international regulations, by minimizing to use raw materials sourced from animal origin and by performing viral clearance studies in order to evaluate capability of purification processing to reduce and/or inactivate known and/or adventitious viruses. The Bio-virus safety Committee has reported the conclusions of discussion how to prepare and qualify cell bank system as one of raw materials and how much Log Reduction Value (LRV) should be targeted in virus clearance studies in the annual conference of the PDA Japan in 20051). The Bio-virus safety committee has discussed the practical experimental procedures for viral clearance studies since 2006 and reported the conclusions in the annual conference of the PDA Japan in 2007. In this report, standardized and practical experimental procedures for viral clearance studies are shown, considering not only requirements for submission to regulatory agencies but also experimental technique. In addition, trouble shooting based upon experiences of the members, information regarding Contract Research Organizations (CROs), reference of international guidelines, and worksheets of viral clearance study are provided.
著者
白鳥 孝幸 村井 源
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.276-282, 2020

<p> 「ハッピーエンド」と「バッドエンド」は物語における最もメジャーなカテゴライズであるが,これまでの研究においてそれらに関する計量的な分析はほとんど行われていなかった.本研究では,乙一の短編小説における喜劇性と悲劇性の抽出を目指した.まず,対象データを3 ジャンルに分類し,分類語彙表に基づいた新たな極性辞書を作成した.また,極性辞書を用いてテキスト中の極性語を抽出した.そして,抽出した極性語から,階層的クラスター分析と重回帰分析を用いて,ハッピーエンド作品とバッドエンド作品における特徴の抽出を試みた.その結果,物語の終盤四分の一における「好・愛・敬」にカテゴライズされる極性語がハッピーエンドに寄与していることが明らかになった.また,物語の終盤四分の一における「悲・哀」にカテゴライズされる極性語がバッドエンドに寄与していることが明らかになった.</p>
著者
李 培徳 Lee PuiTak 村井 寛志 Murai Hiroshi
出版者
神奈川大学日本常民文化研究所 非文字資料研究センター
雑誌
年報 非文字資料研究 第9号 (ISSN:18839169)
巻号頁・発行日
no.9, pp.27-50, 2013-03-20

Advertising calendars were first created at the end of the 19th century and became phenomenally popular in the 1920s. Market players in emerging industries including tobacco, pharmaceuticals, cosmetics, insurance and food extensively used them to expand their sales channels. Illustrations with the elements of advertising, art and a calendar were extremely well received and even spread to Chinese communities overseas. British American Tobacco Co. tried to take every opportunity to force its major competitor Nanyang Brothers Tobacco Co, Ltd. out of the Chinese market and dominate it. To this end, the former invested an enormous amount of money. In the 1920s and 1930s, the two were in an intense advertising war, desperately trying to outperform each other. Amid this competition, illustrators of advertising calendars did their best to draw consumer attention and created innovative images of modern girls. Image advertisements are different from other types in that they mainly consist of illustrations, not text. Thus, illustrators made the most of their creativity to attract consumers. Following the trend of the time, they came up with illustrations of various types of women - playing a sport, smoking, posing sexily, and so on. The images express illustratorsʼ artistic creativity and what companies wanted in advertisements to win a competition. This suggests that images of modern girls were fully commercialized. Advertising calendars have not really been studied. Even though visual materials have been attracting the interest of scholars lately, most studies are on art history, visual culture, modernity in Chinese society, the image of Chinese women, and the identity of women. This paper will discuss how the influence of the competition in the tobacco industry on the development of advertising calendars affected the creation of various images of modern girls, based on 284 advertising calendars for tobacco companies collected through different routes.
著者
村井 良太
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.2_122-2_148, 2017 (Released:2020-12-26)
参考文献数
78

1960年代から1970年代の日本では保守長期政権下にもかかわらず 「革新自治体」 が全国に広がった。ここでは事例研究の一方法である政治史を用いて, 佐藤栄作政権 (1964 ~ 1972) が革新自治体の隆盛にどう向き合ったのかを, 特に重視された東京都と琉球政府/沖縄県に注目して分析した。明らかになったのは, 第一に, 保守中央政府・陣営も革新地方政府・陣営もともに日米安保条約が再検討期を迎える1970年を重視していた。第二に, 同じく双方とも, 政治・行政の科学化と社会開発を共通目標としていた。第三に, 佐藤政権は予想される70年安保や沖縄返還という困難な課題と向き合う中で革新地方政府を地域住民の代表として彼らと協働した。そして第四に, 革新自治体は複合的性格を持っており, 1970年以降, ローカル・オポジションの拠点から市民参加や自治体改善運動の場へと変化していった。
著者
村井 直樹
出版者
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2022-04-01

超伝導相と共存・競合する電荷密度波(CDW)の存在は, 従来型・非従来型を問わず, 様々なタイプの超伝導体で観測されている. 本研究課題では, J-PARC,SPring-8の最先端の非弾性分光技術を駆使した超精密なフォノン分散測定を行い,CDW秩序の起源となる電子格子相互作用の定量的評価を行う. 特に,遷移金属カルコゲナイド, 銅酸化物高温超伝導体という性質の大きく異なる2系統のCDW-超伝導共存物質を対象としたフォノン分光測定を行い,CDW 転移の「普遍性」と物質に依存する「個別性」を抽出することで,物質間の違いを超えて,CDW不安定性の起源を統一的に理解する.
著者
田畑 阿美 谷向 仁 上田 敬太 山脇 理恵 村井 俊哉
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.227-234, 2020-06-30 (Released:2021-07-01)
参考文献数
13

今回, 脳腫瘍摘出術後に Bálint 症候群を呈し, 視線計測装置を用いた評価が患者と医療者の症状理解に有用であった症例を経験した。症例は, 40 代右利き男性で, 再発脳室内髄膜腫摘出術後に, 右同名半盲, 複視, Bálint 症候群, 視空間認知機能障害, 健忘を認めた。日常生活上の問題点として, 文字を読み飛ばす, 他者が指さした対象物を見つけられないなどの症状を認めた。そこで, 視線計測装置 Gazefinder を用いて, 視覚性課題遂行時の視線計測を実施した。その結果, 日常生活上の問題点の多くは, 視野障害に対する代償手段の未獲得に加えて, 固視点の動揺, 眼球運動速度および衝動性眼球運動の正確性の低下, 両側視空間内における注意のシフト困難が原因と考えられた。Bálint 症候群に対するリハビリテーションでは, 眼球運動や視覚性注意に対する介入に加えて, 患者自身が理解しやすい評価法を用いて疾病教育を行うことが重要であると考えられる。
著者
大倉 典子 後藤 さやか 村井 秀聡 青砥 哲朗
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.281, 2008

人工物自体の「かわいさ」、すなわち人工物の形状や色・テクスチャや材質等の諸属性に起因する「かわいさ」を系統的に解析し、その結果から「かわいい」人工物を構成する手法を明確化することを目的として、研究を行なっている。今回は、3次元物体の色の要素をきちんと規定して実験を行なうことにより、人工物の「かわいい色」に対する一定の結論を得ようという意図で、バーチャル空間を利用して、バーチャルオブジェクトにおけるかわいい色について系統的な実験を実施した。
著者
村井 恒之
出版者
大分県立看護科学大学看護研究交流センター
雑誌
看護科学研究
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.29-33, 2013

訪問看護部に所属してから、特定看護師として介入した、褥瘡を有する在宅療養者A氏の事例を報告する。A氏は40年前より下半身不随で、蜂窩織炎により入院中に、右臀部に褥瘡を形成したが、本人と妻の希望により、褥瘡が治癒しないまま退院することとなった。退院までには、本人と妻を含めた多職種間での連携会議を開催し、創処置の統一やリハビリ導入を行った。退院後は医師の包括的指示の下、デブリードマンや創傷被覆材の選択、薬剤の調整・変更を行った。創部の画像を見てもらいながらA氏と妻の訴えを傾聴し、肯定的アプローチを実践することでA氏の治療への参加が促され、退院後37日目に褥瘡は治癒した。特定看護師が、療養者と家族の治療参加を促し多職種と連携・協働しながら、局所療法、除圧、栄養管理を行うことで、在宅における褥瘡管理が可能となることが示唆された。
著者
村井 尚子
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.73-83, 2012-01

ユトレヒト学派の現象学研究の流れを継承するオランダの教育学者トン・ベークマンは、天賦の才を備えた学者にのみ可能であった現象学の方法を教育学を学ぶ学生にも可能にするために、「現象学の民主化」という試みを行っていた。本稿では、「現象学の遂行」と名づけられたユトレヒト大学での授業において彼とその共同研究者らが実施していた現象学的な記述の分析の手順について、論文「現象学的記述の分析」を参照しながら考察する。また、その手順に従って筆者のゼミで実施した「暗闇の中での恐怖」に関する状況分析について報告を行う。彼の提起した現象学的記述の方法は、哲学的な厳密性に関しては議論の余地があるものの、教師を目指す学生や教育を研究するものが子どもを理解し行為を方向づけるための重要な方策となるものと考える。
著者
村井 源 豊澤 修平 白鳥 孝幸 吉田 拓海 石川 一稀 岩岬 潤哉 斉藤 勇璃 中村 祥吾 根本 さくら 大田 翔貴 大場 有紗 福元 隆希
雑誌
じんもんこん2021論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.16-23, 2021-12-04

従来の物語分析は特定のジャンルを対象としたもので,ジャンル間の差違などを計量的に明らかにする研究はなされてこなかった.本研究では,ジャンル横断的な物語構造分析を実現するため,現代日本のエンターテイメント作品で頻出の5 ジャンル(冒険,戦闘,恋愛,探偵,怪談)を対象として各ジャンル100 話以上を収集した.また全ジャンルを共通の枠組みで構造分析し比較可能なデータセットを構築した.各ジャンルのデータセットに基づき,典型的な展開のパターンを抽出し,また因子分析により物語展開の共通・固有の因子を特定した.各ジャンルの特徴が同じ基準で比較可能となったことで,今後ジャンル複合的な物語の分析や自動生成の実現にも道が開かれると期待される.
著者
田中 泰爾 大石 義彦 朴 炫珍 田坂 裕司 村井 祐一 川北 千春
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.88, no.907, pp.21-00297, 2022 (Released:2022-03-25)
参考文献数
24

Drag reduction by bubble injection in turbulent boundary layers was investigated using a 36-m-long flat-bottom model ship. The model ship was towed at 8.0 m/s, resulting in a downstream-distance-based Reynolds number as high as 2.9 × 108. The total resistance exerting on the model ship was reduced, and the resistance reduction increased with the air flow rate for the bubble injection. The local wall shear stress on the bottom plate was measured at multiple locations to clarify the streamwise transition of the drag reduction. The local drag reduction observed at the upstream measurement locations was increased with the air flow rate. The higher gas flow rate, moreover, produced the longer streamwise persistence of the drag-reduction effect. These multiple factors improved the efficiency of the total resistance reduction against the power consumption for the bubble injection. We provide the estimation of total frictional drag reduction for the full-scale ships using the equation of the local friction coefficient obtained experimentally. The results of the model ship experiment and the full-scale estimation consistently indicated that the downstream persistence of the local drag-reduction effect strongly affect the total drag reduction of such the long hulls.