著者
松本 利松
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 = Bulletin of the Earthquake Research Institute, University of Tokyo (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.531-544, 1959-10-20

An earthquake having a magnitude of 6.2 occurred in the neighbourhood of Tesikaga-town, Hokkaido, at 5h 39m (G.M.T.) on January 31, 1959. The location of the hypocenter of this shock is determined as 43°26'N, 144°23'E, and 20km depth by Japan Meteorological Agency. The aftershocks were observed at Tesikaga and Okusyunbetu wich the electromagnetic seismographs during the period of Feb. 14 to Mar. 1.
著者
松本 敏治 菊地 一文 橋本 洋輔
出版者
広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター
雑誌
特別支援教育実践センター研究紀要 (ISSN:18835406)
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-10, 2020-03-01

方言主流社会における発達障害に関わる療育・教育関係者の間で語られていた「自閉症は方言を話さない」とする風聞をきっかけにして、ASD の方言使用・理解の研究が進められている。これまで特別支援教育関係者を対象にした質問調査は、ASD の方言不使用という印象が全国で共通するものであること、および方言語彙使用が少ないことを示した。また、ASD の方言理解及びことばの使い分けについての実験的研究の結果は、方言理解自体にも困難を抱えることおよび相手との関係が不明瞭な場合のことばの使い分けに特徴的な反応が見られることを示している。これらの現象の要因として、ASD の社会性の障害に原因を求める説が松本らによって提出されていた。一方、音響音声学の研究者からはASD の音声処理にその原因を求める説が提出されている。本研究ではこれらの研究を概括し、ASD の音声処理、言語習得、そしてことばの使い分けの背景に存在する問題について理論的検討を加えた。
著者
瀬尾 信吾 菅原 由至 清戸 翔 河合 昭昌 松本 英男 平井 敏弘
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.542-547, 2018 (Released:2018-09-28)
参考文献数
36

72歳,男性.肛門痛を主訴に近医を受診し,同医で肛門管壁に刺さった魚骨を摘出された.症状は一旦消失したが,2カ月後に再燃したため当科を受診.視診で粘膜面に異常はなかったが,CTで肛門管右側の括約筋層内に高吸収な針状構造物と周囲組織の濃度上昇を認め,魚骨の遺残と診断し外科的摘出の適応とした.腰椎麻酔下に観察したが,肛門管から直腸粘膜に刺入点を認めなかったので,MDCT画像を基に歯状線部粘膜を切開し,内肛門括約筋の外側に接して頭側に鉗子を進め探索し13mm長の魚骨を摘出した.術後,粘膜切開部直下に膿瘍形成を伴ったので,7日目にseton法によるドレナージを加えた.膿瘍消退後に瘻管化したドレナージ創を切除し,49日目に自宅退院した.異物による消化管穿通例の中でも肛門部での発生は稀だが,大多数は肛門周囲膿瘍を形成し,膿瘍切開により異物が摘出されていた.自験例のように肛門括約筋への直達操作を要したものは稀であり報告する.
著者
陳 佳怡 松本 真理子 CHEN Jiayi MATSUMOTO Mariko
出版者
名古屋大学大学院教育発達科学研究科
雑誌
名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要. 心理発達科学 (ISSN:13461729)
巻号頁・発行日
no.66, pp.1-6, 2020-01-31

Asians have shown a tendency of being reluctant to seek help from others. It is important to not only understand what factors affect help-seeking in order to promote help-seeking behaviors, but also necessary to examine the influence of situational differences and cultural background in help-seeking. In the present review, studies of help-seeking in China were classified into 4 categories: 1) demographic variables, 2) personality variables, 3) network variables, and 4) helper and method. In general, the findings from the literature on revealed many studies on gender differences, type of helpers and help-seeking behaviors, but very few studies were found on the psychological factors that affect help-seeking among Chinese students compared to other countries. Consequently, this gap points to the need for more research emphasis on Chinese children and adolescent 1) help-seeking intentions and attitudes 2) the psychological variables which affect Chinese children and adolescent help-seeking behaviors, and 3) help-seeking attitudes among Chinese international students studying abroad.
著者
金井 文宏 庄田 祐樹 橋田 啓佑 吉岡 克成 松本 勉
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.2275-2288, 2015-12-15

スマートフォン向けOSとしてAndroidが広く用いられている一方で,それを狙ったマルウェアの数も増加している.Androidマルウェアの中には,リパッケージと呼ばれる手法を用いて,正規アプリの中に悪性コードを追加することで作成されたものが多く存在する.攻撃者がリパッケージマルウェアを大量に作成する際には,リパッケージ処理の自動化が必須であると考えられるが,自動リパッケージの実態や対策については,十分な調査・検討が行われていない.そこで我々は,既存の正規アプリが自動リパッケージに対して,どの程度の耐性を有するかを検証する.まず,実際のリパッケージマルウェアの解析を行うことで,リパッケージの方法を特定し,自動リパッケージを再現するスクリプトを作成する.次に,このスクリプトによって,複数の正規アプリに対して,外部と通信を行う機能だけを持つ検証用コードを挿入する.作成したリパッケージ済みアプリを動的解析して,挿入した検証用コードが正常に動作するかどうかを検証する.その結果,自動リパッケージの手法により成功率に差がみられるものの,評価対象としたアプリの7~9割において,挿入した検証用コードが正常に動作し,なおかつ起動時の動作が変化しないことを示す.さらに,ユーザによるインストール数が5,000万件を超える33種類のアプリにおいて,アプリの持つ基本的な機能がリパッケージ後にも保持されるかを確認し,87.9%にあたる29種類のアプリにおいて機能が保持されていることを示す.この実験において挿入した検証用コードを,悪性のコードに変更した場合でも,同様の方法で自動リパッケージが可能であることが予想される.以上より,現状のAndroidアプリの多くは自動リパッケージへの耐性が不十分であり,耐タンパ技術などを用いたリパッケージ対策が必要であることが分かる.
著者
松本 肇 Matsumoto Hajime
出版者
筑波大学文藝・言語学系
雑誌
文藝言語研究. 文藝篇 (ISSN:03877523)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.167-180(1, 2002-10-30

宋の王安石の「明妃曲」は、王昭君に対する従来の見方を塗り替え、大きな反響を呼んだ。それは、宋詩の理知的な傾向を示すものでもあった。宋詩に見られる傾向のいくつかは、すでに中唐詩の中に胚胎している。唐詩から宋詩 ...
著者
北條 秀博 松本 禎久 久能木 裕明 阿部 恵子 木下 寛也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.542-545, 2014 (Released:2014-12-19)
参考文献数
7

【はじめに】転移性膀胱腫瘍による膀胱出血に対し,1%ミョウバン水持続灌流療法が奏功した中等度の腎機能障害例を報告する.【症例】64歳,女性.腎盂がんに対する右腎尿管摘出後に多発リンパ節転移,腰椎転移を認めていた.腰痛緩和目的の入院中に残尿感や排尿困難を認めた.膀胱内に多量の凝血塊を認め,用手的膀胱洗浄後に生理食塩水の持続灌流療法を施行したが改善せず,1%ミョウバン水による持続灌流療法を開始した.肉眼的血尿を認めなかったため,灌流は7日間継続し中止した.灌流開始後9日目の採血では,血清アルミニウム値の上昇はなく,その後腰痛も軽減し,退院となった.退院3カ月後に自宅で死亡したが,その間に肉眼的血尿や尿閉はみられなかった.【考察】腎機能障害例ではミョウバン水持続灌流療法によりアルミニウム脳症などの重篤な副作用も報告されているが,灌流量の減量により安全で有効な治療法である可能性が示唆された.
著者
平 智 松本 大生 池田 和生
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ミツバアケビ果実生産に対する自家不和合性の影響を明らかにすることを目的として、一連の受粉試験を行った。受粉雌蕊の花粉管を観察したところ、自家花粉管は胚珠付近にまで到達していたことから、ミツバアケビは後発型自家不和合性を示すものと考えられた。ミツバアケビの6栽培系統間における交雑(不)和合性を調査したところ、いずれの系統も自家不和合であること、一部の交雑は不和合であることが明らかになった。交雑和合な系統の雄花を用いて人工受粉を行った際の結実率は30%以上であったが、開放受粉での結実率は1%以下であった。また、自家花粉を25%以上含む混合花粉を受粉すると、結実が阻害されることが明らかになった。
著者
竹村 洋子 持田 裕司 松本 正江 大沼 昭夫
出版者
大日本蚕糸会
巻号頁・発行日
no.59, pp.21-26, 2011 (Released:2013-10-08)

人工受精においては,雌蛾の交尾嚢内に精包が形成されておらず,交尾嚢内で活性化した精子は直接受精嚢に到達する。交尾嚢を破壊した雌蛾に通常の雄蛾を交尾すると,交尾嚢導管に精包が固定され通常交尾と同様の受精卵を産み, 精包は交尾嚢の代替えとなりえるが,人工受精では受精卵は産下されなかった。精巣を除去した無精子精包は,精子以外の全ての分泌液を含んでいる。未活性精子を人工受精した雌蛾にこの無精子精包雄蛾を交尾させると受精卵が産下され,この方法は人工授精法における精子のトリプシン処理の代替えとなり得ることが明きらかになった。
著者
松本 武一郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.321-325, 1973-05-15 (Released:2011-11-04)

本誌1月号の「日本民族と醸造食品」に関する座談会にのぼった話題に関連して和歌山県酒造史編纂委会より遠く大和時代にさかのぼることができる紀州と朝鮮との酒造技術の交流のあかしとして百済渡来の酒神・鳴武大明神, 朝鮮からの帰化人である村主にまつわる考証がよせられた。景行天皇の第5王子といわれる酒神神櫛ノ王も紀の国の酒部をひらいており, そこに日韓の酒造技術の隔合があったにちがいない。
著者
渡辺 幸洋 松本 安英
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム2009論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.23-30, 2009-12-10

大規模なクラウドコンピューティング環境の運用においては、運用プロセスの自動化による省力化は必須である。しかしながら、従来の手作業によるフィルタ定義を伴う障害検知手法では、大規模化するシステムの障害検知を自動的に行うことはできない。本稿では、従来の手法の課題であったメッセージパターンの自動生成を可能にするため、メッセージログからメッセージパターン学習についてベイズ推定を用いて実現する方式を提案する。さらに、この方式により効率の良い学習ができ、高い精度で障害検知を行えることを実験によって示す。
著者
松本 泰生
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2004-03

制度:新 ; 文部省報告番号:乙1884号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2004/3/4 ; 早大学位記番号:新3807
著者
松本 克己
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.95-118, 1983 (Released:2010-03-12)

The discovery of the trilingual inscription from Letôon by H. Metzger, 1973, has made a new epoch in the long history of the study of the Lycian language. This paper aims to clarify the main characteristics of Lycian and its position among the Anatolian languages chiefly through a syntactic analysis of the Lycian text. Lycian shares with the other Anatolian languages such features as paratactic constructions and the use of sentence introductory particles but shows, on the other hand, a striking contrast with them in word order and the use of preposition: it is the only VOS and prepositional language among the Indo-European Anatolian languages. This syntactic type of Lycian seems to correlate with its case system, which is characterized by the loss of morphological distinctions of many case endings through phonetic changes and thus is functionally the least effective among the Anatolian case systems. This fact well agrees with the general constatation that in the Indo-European history of syntactic development the languages with the VO word order tend to weaken or lose their case systems whereas those with the OV word order usually keep or strengthen them. With regard to the case endings themselves, especially in plural, however, Lycian shows a quite archaic and conservative character compared with the other Luwian languages, which radically restructured their systems by creating new endings on the basis of acc. pl. -nz. Hence we can infer that Lycian separated very early from the other south Anatolian languages and went its own way in the peculiar development toward VOS order. The writer also suggests that this development was probably caused by the influence from an unknown substratum language which seems also to have exerted a similar influence upon the Greek language.
著者
松本壮吉 尾関百合子
出版者
医薬ジャーナル社
巻号頁・発行日
pp.127-134, 2014-05-25

結核はAIDSやマラリアと並ぶ世界三大感染症であり,2013年には860万人の発症と130万人の死亡をもたらしている。WHOは2050年までに結核の根絶を目指しているが,それには新薬に加え,効果的な新ワクチンが必要であろう。我々は結核の病原体の源泉である潜在性結核について,その機構を解析してきたが,潜在性結核の90%が終生結核を発症しないという事実は,ワクチン開発のよりどころになると考える。現行の結核ワクチンBCG(Mycobacterium bovis bacille Calmette-Guérin)は小児の粟粒結核や結核性髄膜炎に対して顕著な効果をもつ一方,結核発症の多くを占める,内因性再燃に起因する成人型肺結核に対する効果は低調である。BCGは生ワクチンで,投与後も長期にわたって宿主内で生存することから,効果は持続すると考えられてきたが,実際には投与後,時間経過とともに減衰する。我々はマウスモデルにおいてもBCGの防御効果が経時的に低下することを見出している。本稿では,結核ワクチン開発に関する現状と潜在期の抗原を利用した新しい結核ワクチンの開発に向けた私たちの取り組みについて紹介する。