著者
林 健汰 加森 剛徳 前田 香織 近堂 徹 相原 玲二
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.19-24, 2017-11-30

クラウドアプリケーションを利用したファイルの共有や共同作業を行う場合,作業者の属性に基づいてファイルへのアクセス権限や作業権限を設定できると管理コストを下げる効果がある.本研究ではクラウドアプリケーションとして仮想デスクトップを対象とし,利用者の属性に合わせた作業権限を設定できる認証機構を開発する.認証機構には暗号文ポリシー属性ベース暗号を用いる.これにより,利用者数や属性数が増えても鍵の管理が煩雑にならず,共同作業や引継ぎの安全性を向上できる.仮想デスクトップ上の画面共有を対象とする認証機構のプロトタイプシステムを実装し,それを用いて属性ベース暗号を採用したことによる認証処理のオーバヘッドを示す.属性数やその組み合わせを複雑にするとオーバヘッドは大きくなるが,その時間は実用上問題がないことを示す.また,RSA 暗号との比較により,開発する認証機構が複数利用者の画面共有において有用であることを示す.
著者
小林 健彦 KOBAYASHI Takehiko
出版者
新潟産業大学経済学部
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 = Bulletin of Niigata Sangyo University Faculty of Economics (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
no.47, pp.75-99, 2016-07

日本古代に於ける自然災害や疾病がどの様な認識の下に置かれ、それらに対してどの様な対処法が採用されていたのかに就いては、尚、類推の域を出ることは無い。「日本書紀」は、日本で初めて記録された正史として、神話を始めとした様々な事象が日本風の正格漢文で作文されたものである。そこには、政治的な出来事を始めとして、外交、戦争、自然災害、疾病、人々の営み、文化、文芸、天文現象、宗教等、様々な分野の事象が盛り込まれた。それらが事実であるか、否かは別として、古代当時の人々の実態を窺がい得る手掛かりを与えてくれるものである。本稿では、「日本書紀」全30巻に記された歴代天皇の事績の内、自然災害や疾病に焦点を当てながら、安定したサンプルとして、天皇不豫~崩御に至る過程を中心として検証することに依り、それを以って、古代に於ける疾病や、自然災害に対する認識を垣間見ようとするものである。
著者
小林 健三
出版者
立教大学
雑誌
史苑 (ISSN:03869318)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.41-56, 1930-04
著者
林 健太郎 角 泰人 原田 奈穂子 富塚 太郎 大橋 博樹 前沢 政次
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.154-162, 2015

<b>目的および方法</b> : 2011年の東日本大震災において, 日本プライマリ・ケア連合学会東日本大震災支援プロジェクトPCATは, 亜急性期に米国の団体から人的支援を受け入れた. 経済的支援と異なり, 海外からの人的支援は, 移動の問題や国内外の専門資格の違いなどの諸問題が生じる. 本稿では, この受け入れの経過について報告し, 海外支援団体受け入れの利点と問題点を考察する.<br><b>結果</b> : 2011年5月から7月にかけて, 米国のNGOであるThe People to People Health Foundation, Project HOPEから5回にわたり, 在米邦人または日本語でのコミュニケーションが過不足なく可能な日系米国人の医療者が, 原則2週間の派遣期間で, 計28人 (医師12人, 看護師15人) 登用され, 東日本大震災被災地に派遣, 医療支援活動を行った. 日本の医師免許・看護師免許を持たない参加者も含まれていたが, 厚労省医政局の事務連絡に基づき, 医療行為は可能であった. 避難所での医療サービスの提供が中心業務となった. 受け入れ開始当初は, 派遣予定者と事前に直接連絡を取れない状況で, 情報伝達の遅延と齟齬が見られたが, 日本医療政策機構による仲介を受け, 事前連絡が円滑化した. また, 同様に2011年6月から12月にかけて, 在米日本人からなる精神/心理領域専門家集団のNGO「Kokoro Wellness Network (KWN) 」から総計12人が登用され, 東日本大震災被災地に派遣, 精神/心理領域の支援活動 (Mental Health and Psychological Support : MHPSS) を行った. 全ての医療者を含む全ての施術者は米国にて, MHPSS活動をする資格及び経験を持ったものである. 在米生活の長い支援者の場合, 医療や社会文化の違いによる戸惑いも見られたが, 国内からの派遣者と協働する中で現場の状況を理解し, 被災地支援の従来の流れを乱さずに継続できた.<br><b>考察</b> : 災害亜急性期には国内からの支援応募が減っており, この時期に2週間交代で人的支援を受けたことは, 支援を継続する上で大きな力となった. 今回支援のため日本へ一時帰国した在外邦人は多かったと思われるが, 組織的に派遣ができる団体と提携し, 有効な活動につなげられたことは貴重な経験と考える. 日本も国際社会の一員として, 援助するだけでなく援助を受ける立場もありうることを自覚し, そのためのシステムを整備することは重要と考える.
著者
神尾 幸則 稲葉 行男 渡部 修一 小山 基 大江 信哉 林 健一 千葉 昌和
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.1634-1638, 2002 (Released:2011-06-08)
参考文献数
15
被引用文献数
3 2

症例は84歳の女性. 脳梗塞の既往があり, 心房細動, うっ血性心不全で近医通院中. 腹痛, 嘔気が出現し, イレウスの診断で入院となった. 大腸内視鏡検査でイレウスの原因が直腸S状部の2型腫瘍のためであると判明したため, 経肛門的に腫瘍口側にイレウスチューブを留置した. 肝機能異常のため手術を延期していたが, 入院20日目, 腹痛出現, 翌日には腹膜刺激症状を認め, 緊急手術を施行した. 開腹すると膿性腹水が骨盤内を中心に貯留しており, 腹膜炎の原因は腫瘍直上の口側腸管の穿孔と判明した. 手術はハルトマン手術を施行した. 標本を切開したところ, 癌腫の口側腸管に線状潰瘍とPTP包装薬剤を認めた. 最近, PTP (press through package)誤飲による消化管損傷が増加しているが, 大腸穿孔の例は本邦では5例と少なく, 直腸穿孔は本症例が本邦初の報告である.
著者
日置 佳之 百瀬 浩 水谷 義昭 松林 健一 鈴木 明子 太田 望洋
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.759-764, 2000-03-30
被引用文献数
7 6

鳥類の生息環境保全の観点を取り入れた湿地植生計画の立案手法を開発する目的で,国営みちのく杜の湖畔公園のダム湖畔湿地(面積約38ha)において鳥類の潜在的生息地の図化とそれに基づくシナリオ分析を行った。まず,鳥類の分布と現存植生の関係をGISによって分析し,類似の植生を選好する鳥類のグループ(ギルド)を,サンプルエリア内の植生の面積を説明変数とするクラスター分析で抽出した。次に,植生の面積を用いた正準判別分析により,各ギルドが選好する植生の組合せを求め,ギルドの分布予測モデルを構築した。3番目にこれを適用して調査地全域における鳥類の生息地タイプ図を作成した。最後に,人為的に植生を変化させる2種類のシナリオによって,潜在的生息地がどう変化するか予測し,これを基に植生計画を検討した。
著者
小林 健二
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 文学研究篇 (ISSN:18802230)
巻号頁・発行日
no.35, pp.55-80, 2009-02

劇中に登場する独武者の素性を解明する作業を通して、能《大江山》が酒呑童子諸本の中でも香取本「大江山絵詞」に拠って作られていることを確認し、その独武者が能《土蜘蛛》にも登場することから、能の世界で頼光物として連作されたことを考証した。さらに、「大江山絵訶」絵巻は室町将軍のもとで作成され、その周辺に伺候していた観世座の者によって《大江山》が作劇された可能性について考察した。By clarifying Hitorimusha's identity who appears in the Noh "Oeyama", this paper proves that this Noh was created by Katoribon of "Oeyama-ekotoba" among various kinds of Shutendoji-monogatari's manuscripts. Since this Hitorimusha also appears in the Noh "Tsuchigumo", I examine that these Nohs were written as series of Raiko-mono in the world of Noh. Then I consider that the picture scroll of "Oeyama-ekotoba" was made under the patronage of Ashikaga shogun, and there is a possibility that a certain person of Kanze school who was around Shogun composed the Noh "Oeyama".
著者
越川 義功 高山 晴夫 竹内 康秀 真崎 達也 大城戸 博文 藤井 暁彦 林 健二 渡邉 洋
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.II_73-II_81, 2015 (Released:2016-06-01)
参考文献数
30

ダム建設工事では,工事区域での樹木伐採や剥土に伴い,昆虫類の生息場が短期間で広範囲に減少する.施工者による自然環境保全の取り組みのひとつとして,伐採材を活用した木柵(エコスタック)設置により,昆虫類の代替生息場の確保を実施した.設置からわずか1カ月後の調査において,木材に依存するカミキリムシ類、オサムシ類等をはじめとした56種の昆虫類がエコスタックで確認された.その後も季節による変動はあるものの,多くの昆虫類がエコスタックを利用しており,伐採材を利用したエコスタック設置は昆虫類の代替生息場の提供として有効に機能することが確認できた.
著者
ドーリン アレキサンダー 小林 健二 合山 林太郎 渡辺 浩一 田中 大士 伊藤 鉄也 野網 摩利子 山本 和明
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
国文研ニューズ = NIJL News (ISSN:18831931)
巻号頁・発行日
no.43, pp.1-16, 2016-05-06

●メッセージ日本語の書物の価値●研究ノート国文学研究資料館蔵『狂言絵』を読む「高橋智先生の中国目録学講座」受業記日英比較出版事情――人間文化研究機構連携研究の成果から――●トピックス文部科学省での特別授業国際連携研究「日本文学のフォルム」の成果を『もう一つの日本文学史』として刊行平成28年度アーカイブズ・カレッジ(史料管理学研修会通算第62回)の開催平成27年度日本古典籍講習会通常展示「和書のさまざま」ギャラリートーク平成27年度連続講座「くずし字で読む『百人一首』」市民参加イベント「古典」オーロラハンターを開催総合研究大学院大学日本文学研究専攻の近況
著者
濤榮松 宏仁 樽茶 清悟 石川 統 藤原 晴彦 塩川 光一郎 深町 博史 若林 健之 桑島 邦博 土肥 絢子 グラー ロバート 吉田 榮 植田 榮司
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学大学院理学系研究科・理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.4-19, 2001-03

学部教育を考える/壽榮松先生を送る/この13年は何であったか/石川統先生を送る/定年退官に際して思う、40年の研究生活のこと/塩川光一郎先生を送る/35年の研究を振り返って : 生命を電子で見る/若林先生を送る/理学部での日々/土肥絢子さんを送る/退官にあたって/吉田さん退官によせて
著者
梅林 健太 Lehtomaki Janne J 鈴木 康夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.260, pp.133-138, 2011-10-19

プライマリユーザとセカンダリユーザ間のダイナミックス周波数共用におけるOR-ruleに基づく協調センシングのための効率的な情報収集法の検討を行う.OR-ruleに基づく協調センシングでは,FC (Fusion Center)は少なくとも1台の協調セカンダリーユーザが"1"と判断を下したかどうかを知れば良い.よって,情報収集のために直交チャネルを割り当てることは効率的とは言えない.本稿で提案する決定融合のアプローチでは,"1"と判断したセカンダリユーザは同一のタイムスロットで正弦波(continuous wave : CW)を送り,FCはそのクイムスロット内でCWを検出した場合に最終判断を"1"とする.この情報収集では,情報収集のチャネルのゲインが高いとしても,セカンダリユーザ間信号の打ち消し合いによる情報収集の通信品質が劣化するという問題がある.この問題に対して,本稿ではセカンダリユーザヘの送信電力割り当て法を提案する.これにより,打ち消し合いの影響を軽減することが可能となる.本提案方式は,非常にシンプルであるが効果的であり,ほぼエラーフリーの情報収集が高いチャネルゲインにおいて可能であることを示す.
著者
三家 祥平 小林 健太郎 山里 敬也 片山 正昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SR, ソフトウェア無線 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.153, pp.19-24, 2010-07-22

協調スペクトルセンシングシステムでは,複数のノードがスペクトルセンシングを同時に行い,判定結果をコントロールチャネルを通してフュージョンセンターに報告する.本稿では,このコントロールチャネルの周波数帯域幅の利用効率の改善を目指す.帯域幅の有効利用のため,各ノードにおける判定条件に逐次検定を適用した.逐次検定により,ノードからの報告のタイミングがずれるため,同時報告数の最大値が減り,コントロールチャネルに必要な帯域幅を削減することができる.また逐次検定は,同時報告数を減らすだけではなく,一次システム信号の検出精度も改善できることを,数値例により示す.さらに,報告数の偏りを考慮したフュージョンセンターの最終判定規準を提案し,さらなる検出精度の改善が実現できることを示す.
著者
小林 健
出版者
公益財団法人 日本醸造協会・日本醸造学会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.10, pp.726-742, 2009 (Released:2016-02-12)
参考文献数
6
被引用文献数
1

製麹は清酒醸造においてもっとも重要な工程である。筆者は製麹現場の状況を実験室規模で再現し,厳密に管理された条件で製麹試験を行い,高度な統計解析により製麹操作と麹の品質との関係を詳細に検討した。そこから見えてきた麹内部の現象を「もう一つの並行複発酵」と概念付け,その一方で品温経過や乾燥条件という外部条件を高度に制御することにより,その条件に応じた品質の麹が得られることを示した。製麹に携わる方はもとより,麹の研究者にとっても大いに参考になる知見が精緻に記述されている。
著者
吉岡 大貴 横山 諒平 劉 傅軍 小野寺 武 内田 誠一 中野 幸二 林 健司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.409, pp.53-56, 2014-01-17

匂いは目に見えないが,危険信号として重要な情報を持つ.匂いは気体であるため,匂い情報として匂い物質の種類,濃度,空間分布が考えられる.本研究では匂い物質を可視化するために蛍光物質を混ぜたアガロースゲルフィルムを蛍光プローブとして用い,匂い情報を蛍光変化として取り出している.本稿では,蛍光物質を複数用いたマルチ蛍光プローブを用いてマルチスペクトルイメージングを行い,匂い物質の識別を行っている.また,混合匂いに対するマルチ蛍光プローブの反応は各匂い物質毎の各単一蛍光プローブの反応に分割できるため,混合匂いを含めた匂い濃度の空間分布を識別することができる.
著者
黒松 信行 小林 健一 Viel Emeric 浦 晃 上田 晴康
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2015-HPC-150, no.18, pp.1-7, 2015-07-28

機械学習においては,処理するデータ量,得られる精度,実行に要する時間の制約を満たす中で,逐次・並列分散の観点も含めたライブラリやアルゴリズム,パラメータの膨大な組み合わせの中から最適なものを選択することは困難であった.そこで,許容できる実行時間と入力データを与えるだけで最も高い精度を得ることを目的として,条件を変えながら何度も機械学習を実行することで最適な選択肢を自動的に選ぶプラットフォーム wizz を Apache Spark 上に構築した.wizz は並列処理向けの Apache Spark の MLlib と逐次実行向けの R スクリプトおよび R スクリプトの分散実行によるアンサンブル学習機能を提供しており,並列処理ライブラリと逐次処理ライブラリを同時に多数実行することができる.
著者
小林 健二
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = The Bulletin of The National Institute of Japanese Literature (ISSN:03873447)
巻号頁・発行日
no.08, pp.141-183, 1982-03-30

「名取熊野縁起」が形成された過程を、本縁起を構成するモチーフを吟味することにより、「道とをし」の熊野神詠譚が、梛の葉や虫喰いの神詠等の諸要素を取り込みながら、陸奥在地の名取老女の熊野勧請説話と結びついて作り出されたこと、また、その成立に紀州熊野三山の先達組織が関与していたであろうことを考察する。 The process when “Natori Kumano Engi”(名取熊野縁起)was formed by examining a motif constituting this Engi (writing about the history) closely, followings were considered that while Kumano Shineitan of ”Michitooshi”(道とをし)taking in elements of a leaf of Nagi and the worm-eaten state Shinei (waka which God wrote), it was created to be tied to the Kanjin-setsuwa of an old woman in Natori in the local area of Mutsu Province and Sendatsu group of Kumano Sanzan (three major shrines, Kumano-Hongu-Taisha, Kumano-Hayatama-Taisha and Kumano-Nachi-Taisha) would participate in the establishment.