著者
佐伯 潤 山本 精治 矢部 眞人 長崎 淳一 林 健一
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.135-140, 2015
被引用文献数
1

狂犬病予防法は91日齢未満の幼齢犬にワクチン接種義務を課していない.このようなワクチン未接種幼齢犬は,移行抗体による防御免疫を有する場合もあるが,その消失に伴い免疫を失うと考えられる.狂犬病発生時,幼齢犬が本病の拡大や人への伝播に関与する可能性もあるが,国内での抗体保有状況に関する報告は少なく,その実態は明らかではない.そのため,91日齢未満の幼齢犬における狂犬病中和抗体の保有状況を調査し,狂犬病発生時を考え,家庭で飼育されている幼齢犬の狂犬病ワクチン接種後の中和抗体価の推移を調査した.その結果,中和抗体価8倍以上の幼齢犬は,216頭中34頭と少なかった.幼齢犬への狂犬病ワクチン接種後の中和抗体価は,一時的な上昇にとどまるか,十分に上昇しなかった.しかし,その後の追加接種により感染防御が可能な有効抗体価が得られた.
著者
及川 恒之 小林 健史 太田 亨
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

FOXP2遺伝子は転写因子をコードしており、その機能は言語に関わる非常に興味深い遺伝子である。FOXP2の標的遺伝子を単離するため、FOXP2 transgene細胞を作成しマイクロアレイ法で検出した。この網羅的スクリーニングにより、多数抽出された。今回は、2way ANOVA解析により、ヒトFOXP2で2個、FOXP2 isoformで31個、chimp FOXP2で6個の遺伝子が変化したところまで、候補を絞った。次に神経芽細胞腫由来Tg FOXP2の細胞を作製し、再現性を解析した。両者の細胞で発現促進された遺伝子群が数個が認められ、グリア細胞由来やマトリックス形成に関するものであった。
著者
涌井 架奈子 松井 成明 安田 政実 伊藤 仁 平林 健一 梶原 博 村上 優 佐藤 慎吉 長村 義之
出版者
特定非営利活動法人日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 = THE JOURNAL OF THE JAPANESE SOCIETY OF CLINICAL CYTOLOGY (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.269-274, 2008-07-22
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

<b>目的</b>: 子宮体部明細胞腺癌 (以下, 体部明細胞腺癌)における腫瘍細胞の出現パターンについて検討を行った.<br><b>方法</b>: 当院で組織診, 細胞診のいずれからも体部明細胞腺癌と診断された 6 例 (純粋型 3 例, 混合型 3 例) を対象とした. 細胞材料は全例エンドサイトで採取されたものを用い, 1) 細胞集団の出現パターン, 2) 散在性裸核細胞に着目した検討を行った.<br><b>成績</b>: 腫瘍細胞は大型乳頭状集団, 11.4%; 小型乳頭状集団, 41.8%; シート状集団, 38.0%; 重積性集団, 8.9%の出現率を示していた. ミラーボール集団はみられず, 基底膜様物質の出現はわずかであった. 一方, 類内膜腺癌においては小型乳頭状集団, 重積性集団が比較的高い頻度で認められた. 散在性裸核細胞は明細胞腺癌 6 例すべてに認められ, 平均 10 個, 核面積は平均 138.1&mu;m<sup>2</sup>を示していた. また, これらを類内膜腺癌に出現する散在性裸核細胞と比較した場合, 出現数, 核形態に相違を認めた.<br><b>結論</b>: 子宮体部明細胞腺癌は主だった 5 つの出現パターンを示す腫瘍細胞が混在し, 特に小型乳頭状集団, シート状集団, 散在性裸核細胞に留意することが重要と考えられた. また, 散在性裸核細胞は類内膜腺癌と比較して, 出現数, 核形態に相違があり, 両者の鑑別に有用な情報を与えるものと考えられた.
著者
白仁田 和彦 林 健一郎 大坪 昭文
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.70, no.689, pp.192-199, 2004-01-25 (Released:2011-03-04)
参考文献数
10

This paper describes a method of giving impression words for images based on colors. 160 impression words are prepared, and colors which are strongly related to each of the 160 impression words are registered into the system in advance. In this system, we adopt Lab color space which is a color coordinate system and can obtain exact color difference between pixels and extract main colors of images based on the results of clustering in Lab color space. The number of main colors of an image is determined when the sum of pixels of the main colors is larger than 85% of all the pixels in the image, and the colors with the larger number of pixels are determined in ascending order. We propose a distance between the main colors and the registered colors. In this system mCn combinations of distances between m colors registered in an impression words and n main colors are obtained. Using the mCn distances, we calculate a minimum distance and an average distance every 160 impression words. By the comparison of the minimum distance and the average distance of each impression word, the system determines suitable impression words for the image. Experimental results show the proposed method to be effective.
著者
林 健太郎 杣川 知香 林 之茂 岩永 充人
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
脳血管内治療 (ISSN:24239119)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.149-154, 2020

<p>【目的】脊髄硬膜動静脈瘻に対する経動脈塞栓術は外科手術に比して侵襲が少なく,試みられる治療である.動静脈瘻の部分に液体塞栓物質を到達させて塞栓することで根治が得られるが,注入に際しては流入動脈が細く屈曲していることも多いため,カテーテルの挿入が困難なことがある.挿入できたとしても椎骨動脈から流入動脈が分岐する場合には塞栓物質の椎骨動脈への逆流や血管ネットワークを介しての迷入などの危険性がある.【症例】54 歳女性.脳性麻痺のため全介助の状態であった.くも膜下出血にて発症した.右椎骨動脈造影で C4-6 レベルの根動脈から流入血管を受け,前脊髄静脈に流出する硬膜動静脈瘻を認めた.流出静脈には静脈瘤を認め,くも膜下出血の原因と考えられた.液体塞栓物質を用いて根治的に塞栓する方針とし,バルーンガイディングカテーテルを併用して右椎骨動脈の血流を逆流させた状態で液体塞栓物質を注入した.流出静脈から動静脈瘻にかけて塞栓した.術後,新たな神経学的異常はみられず,脳梗塞などの合併症もみられなかった.【結論】脊髄硬膜動静脈瘻に対する経動脈塞栓術における近位部バルーンテクニックは有用である.</p>
著者
藤井 公一 宮武 諭 石山 正也 大木 基通 冨岡 秀人 加瀬 建一 小林 健二
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.10, pp.792-796, 2014-10-15 (Released:2015-03-12)
参考文献数
10

症例は70歳の男性。自宅で突然の胸背部痛を訴えた後,当院に救急搬送された。来院時,意識JCS 300,脈拍数49/分,血圧96/80mmHgであった。緊急で施行した心エコー検査にて心嚢液貯留を認めたためStanford A型急性大動脈解離(以下A型解離)による心タンポナーデの可能性が疑われた。気管挿管後に,患者は心肺停止したため心肺蘇生を開始し,2分後に自己心拍は再開した。しかし循環動態が不安定となったため心嚢穿刺を施行した。約10mLの血性心嚢液を吸引した後は,速やかに血圧が上昇し,その後循環動態は安定した。造影CT検査の結果,A型解離と診断が確定し,緊急手術(上行-弓部部分置換術)が施行された。第22病日にICUを退出したが,誤嚥性肺炎を併発し,第177病日に永眠された。A型解離に合併した心タンポナーデに対する心嚢穿刺は,手術待機の間に循環が維持できない場合には考慮すべきと考えられた。その際は,ドレナージ量を最小限にして,血圧を過度に上昇させないことが重要であると考えられる。
著者
神野 佑介 永田 英 新居 優太郎 今林 潤 鷲見 香莉奈 若林 健流 岩築 美幸 松田 孟男 柏木 ハツヱ 佐古 佐世子 鴈金 舞 鄭 喆心 廣岡 陽子 森本 拓輝
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-05-10

アトウッドの滑車を利用して加速度をコントロールすれば,月や火星の重力もつくれると考え,重力可変装置を製作した.下降するおもりの側を実験カプセルとして内部の重力を計測した.0.5秒の短い時間ではあるが,火星,月,エンセラダスの表面重力を作ることができた.すでに実働している微小重力発生装置と連携すれば0Gから1Gの任意の重力を生み出すことができる.さらに,上昇するおもりの側を実験カプセルとすれば,約1.5Gまでの重力をつくりだせると考えられる. この装置で作った火星表面重力を用いて,火星での水の振る舞いを観察した.その結果,火星上の水は,地球上での挙動とかなり異なることがわかった.火星重力下での水は,粘性が大きくなったような動きを示した.映像から解析した火星の水の粘性は地球の水と比べて約2.4倍であった. 簡単な原理で目的とする天体の重力を実現することができた.今後の太陽系探査で,さまざまな天体環境での予備実験に重要な役割を果たすと考えられる.
著者
佐川 元保 中山 富雄 芦澤 和人 負門 克典 小林 健 櫻田 晃 佐藤 雅美 澁谷 潔 祖父江 友孝 竹中 大祐 西井 研治 原田 眞雄 前田 寿美子 丸山 雄一郎 三浦 弘之 三友 英紀 村田 喜代史 室田 真希子
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.929-935, 2020-12-20 (Released:2020-12-28)
参考文献数
2
被引用文献数
1

「肺がん検診の手引き」は2020年に大幅な改訂を行った.この稿では特に重要と思われる「胸部X線検診の読影医の条件」と「症例検討会の実施」に関して背景とねらいを解説する.2017年版の読影医の基準はわかりにくいという批判が多くの自治体職員から寄せられており,改訂が必要であった.2020年版では,「症例検討会等におおむね年に1回以上参加すること」を条件とするとともに,上級医には読影経験も条件とした.「症例検討会」を実施する場合の留意点に関しても併せて述べた.本稿が今後の肺がん検診の精度管理に役立つことを望みたい.
著者
小林 健二
出版者
法政大学能楽研究所
雑誌
能楽研究 = 能楽研究 (ISSN:03899616)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.209-219, 2016-03-31
著者
若林 健 竹内 憲民 楠山 友紀子 山本 汐里 文元 玲子 由良 義明
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.424-428, 2015-08-20 (Released:2015-11-24)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

We report a case of extensive bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw (BRONJ) associated with a mandibular fracture, which improved after treatment with teriparatide and surgical therapy. An 83-year-old woman was referred to our hospital because of swelling of the submandibular region. At presentation, clinical examination revealed swelling of the right submandibular region and discharge of pus. A computed tomographic (CT) scan confirmed osteolytic changes and a fracture of the mandible. Three months after bone curettage, fixation with a titanic plate, and treatment with teriparatide, new bone formation was observed. Five months after this therapy, the fractured segment had completely healed. Teriparatide may contribute to the improvement of BRONJ.