著者
鈴木 俊 小林 健太
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

南部フォッサマグナは,フィリピン海・ユーラシア・北アメリカプレートの会合部にあたり,日本でも屈指の変動帯である.また,フィリピン海プレート上の伊豆-小笠原弧の本州弧への多重衝突・付加の場としても注目を集めている.本研究地域に広く分布する富士川層群浜石岳層(上部中新統~鮮新統)は,衝突現象に伴って形成されたトラフを充填した堆積物で,礫岩や火山砕屑物を主体とした地層である.これらの分布東限には活断層である富士川河口断層帯入山断層・芝川断層(総延長26km以上)がほぼNSトレンドで延び,さらに東側の庵原層群(更新統)とを境する.これらの断層群の南方延長はそのまま駿河トラフに接続するとされる(杉山・下川,1982など).よって,直近のトラフ充填堆積物中には,プレート境界部における複雑な構造運動の痕跡が記録されていることが期待される.さらに近年,浜石岳層中の礫岩層において外形が流動を伴いつつ脆性変形を受けた面状カタクレーサイトの露頭が報告された(丸山,2008).これまで浜石岳層からの面状カタクレーサイトの産出は知られていないことから,連続性や成因に関しても不明なままである.そこで本研究では,衝突帯におけるテクトニクスの解明を目的として,先述した面状カタクレーサイト露頭の基本的な記載およびそれらを軸とした各種解析を行った.面状カタクレーサイト(富士川剪断帯)は,静岡県富士宮市南西部の富士川にかかる新内房橋付近の河床に,東西30m・南北300mにわたって広く露出する.変形は一様ではなく何条かの変形集中帯が観察される.地層の走向と剪断帯のトレンドはほぼ平行である.それらの基本トレンドはN45°~60°Wであるが,一部EWトレンドも認められる.礫の変形様式は,非変形の礫から剪断変形が卓越する礫・外形が流動するような礫(Cataclastic flow)まで多種多様であり,これらが共存して産する.礫のファブリックから求められる剪断センスは左横ずれを示すものが多い.剪断帯の連続性については今回の調査では認められず.周辺地質ではNS系の褶曲構造や断層ガウジを伴うような脆性変形が卓越的であることが明らかになった.また,各所にて断層面の構造測定を行い,多重逆解法(山路,2000)を用いて古応力の復元を試みた.その結果,剪断帯においてはNNE-SSWσ1の横ずれ応力場,周辺の断層ガウジからはEWσ1の逆断層応力場,入山断層直近の破砕帯からはWNW-ESEσ1の左横ずれ応力場が卓越的に検出された.以上のような記載・解析の結果,剪断帯は周辺地質のNS系の基本構造とは明らかに斜交するNW-SE方向の基本構造を持って,局所的な分布で産出することが明らかになった.また,断層岩の形成レジューム深度の観点から考えると,剪断帯とその周辺地質の変形様式には明らかなギャップが存在する.仮に剪断帯が断層ガウジ形成レジューム深度よりもより深部で形成されたものと考えるならば,剪断帯のNW-SE方向の構造は周辺のNS系の褶曲構造を切断しているため,褶曲形成後に局所的な地質体の上昇イベントがあったことが考えられる.応力解析結果より,本研究地域にはまず剪断帯を形成するようなNNE-SSW圧縮の横ずれ応力場が働いていた.地質体の上昇と共にそれらはNS系の褶曲構造形成に寄与したEW圧縮に転化し, NS系の断層群は逆断層として活動した.その後,WNW-ESE圧縮の横ずれ応力場で入山断層は左横ずれ運動を開始し,トレース付近において幅広い破砕帯を形成したと考えられる.本発表では,このような記載・解析結果からプレート境界部における地質構造発達史について議論する.
著者
林 健司 池崎 秀和 都甲 潔 山藤 馨
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.633-639, 1991-09-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

人間の感じる感覚は一つの物理量 (光, 音, 圧力) と複数の化学物質を総合的にとらえる味覚や嗅覚が存在する。後者の測定を行うには複数の要棄の測定法の検討と得られるデータの解析が必要となる。現在のところ, まだ味覚等の客観的な基準はできておらず, あいまいな量の変化で表現されている。味覚について, 生物の受容機構を模倣した複数の人工膜を用いたセンサによる食品検査について解説していただき, 将来の展望として, 味覚センサによる客観的な味覚の測定法の説明をしていただいた。
著者
林 健太郎 柴田 英昭 江口 定夫 種田 あずさ 仁科 一哉 伊藤 昭彦 片桐 究 新藤 純子 谷 保静 Winiwarter Wilfried
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

20世紀はじめに大気中の窒素分子(N2)からアンモニア(NH3)を合成するハーバー・ボッシュ法を確立した人類は,反応性窒素(N2を除く窒素化合物)を望むだけ作り出せるようになった.化石燃料などの燃焼に伴い発生する窒素酸化物(NOx)を合わせると,人類が新たに作り出す反応性窒素の量は今や自然起源の生成量と同等である.しかし,人類の窒素利用効率(投入した窒素のうち最終産物に届く割合)は人間圏全体で約20%と低い.必然的に残りは大気・土壌・陸水・海洋に排出され,地球システムの窒素循環は加速された状態にある.反応性窒素には多様な化学種が含まれる(例:NH3,NOx,一酸化二窒素[N2O],硝酸態窒素[NO3–]など).環境に排出された反応性窒素は形態を変化させつつ環境媒体を巡り,最終的に安定なN2に戻るまでの間に,各化学種の性質に応じた環境影響をもたらす(例:地球温暖化,大気汚染,水質汚染,酸性化,富栄養化,これらによる人の健康や生態系の機能・生物多様性への影響).この複雑な窒素の流れと環境影響を窒素カスケードとも称する.現在の人為的な窒素循環の加速は,地球システムの限界(プラネタリー・バウンダリー)を既に超えていると評価されている.窒素は人間社会と自然の全てを繋いでめぐっていることから,人間活動セクター(エネルギー転換,産業,農林水産業,人の生活,廃棄物・下水処理,貿易)と環境媒体(大気,土壌,地表水,地下水,海洋)をどのようにどの程度の量の窒素が流れているかを把握することが,窒素カスケードの実態を把握する上で望まれる.これが窒素収支評価である.欧州の窒素収支評価ガイダンス文書によれば,窒素収支評価の必要性と有用性は以下のとおりである:窒素カスケードの潜在影響を可視化する,政策決定者の意思決定に必要な情報を提供する,環境影響や環境保全政策のモニタリングツールとなる,国際比較の機会を与える,および知識の不足(ギャップ)を明らかにして窒素カスケードの科学的理解の改善に貢献する.地球環境ファシリティの国際プロジェクトであるTowards INMS (International Nitrogen Management System) では国別窒素収支評価の手法開発を進めており,我々もその一環として日本の窒素収支評価に取り組んでいる.国別窒素収支評価の手法として,欧州反応性窒素タスクフォースのEPNB (Expert Panel on Nitrogen Budgets) ガイドラインや,中国で開発されたCHANS (Coupled Human and Natural Systems) モデルなどが先行しており,我々はCHANSモデルの日本向けの改良を進めている.CHANSモデルは主要セクター・媒体をそれぞれ一つのプールとし,プール間を結ぶ窒素フローを定量する.日本向けの改良では以下のプールを設けている:エネルギー・燃料,産業,作物生産,家畜生産,草地,水産,人の生活,廃棄物,下水,森林,都市緑地,大気,地表水,地下水,沿岸海洋.プールの中には必要に応じて複数のサブプールを定義し(例:産業の中に食品産業,飼料産業,その他製造業など),サブプール間の窒素フローを求めた上で,プールごとに集計する.このうち,特に生物地球化学の知見が求められることは,人間活動プールと環境媒体プール間のフロー,環境媒体プール間のフロー,および環境媒体プール内のストック変化である.具体的な課題として次のフローやプロセスが挙げられる:1) 人為による大気排出,2) 人為による陸域への投入,3) 人為による地表水の利用と地表水への排出,4) 人為による地下水の利用と地下水への直接・間接の排出,5) 人為による沿岸海洋への排出,6) 大気-陸面相互作用(多くの過程を含む),7) 陸域内プロセスと蓄積,8) 地表水-地下水-沿岸海洋のフロー,9) 沿岸海洋-外海間のフロー.本発表では,日本向けCHANSモデルの概要と,上記の課題の現状の算定方法を紹介し,生物地球化学の観点からの精緻化について参加者と議論したい.
著者
松井 彦郎 太田 英仁 内田 要 林 健一郎 犬塚 亮
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.232-238, 2020-10-01 (Released:2020-12-04)
参考文献数
10

背景:小児重症例の約半数を占めている小児循環器疾患の集中治療は歴史的に小児循環器医および小児心臓外科医が中心で診療してきた一方で,社会的に集中治療の専門性整備の必要性が増加している.目的:小児循環器診療における集中治療専門性に関する現状調査・解析を行うことで,集中治療専門性の整備状況を評価し,今後の重要な課題を明確にする.方法:本研究では2019年10月現在の公的ホームページに掲載されている利用可能の専門医・研修施設・厚生労働省保険算定・人口統計の情報を用いて,全国における①小児科医・小児循環器医の集中治療専門医取得状況・分布,②小児循環器診療施設の集中治療専門研修施設状況,③集中治療室管理料算定数と専門医数の比較を行い,小児循環器領域における集中治療専門性の課題を描出した.結果:集中治療専門医を有する医師は小児科専門医の0.6%(99/16,545名),小児循環器専門医の1.1% (6/538名)であり,地方21県においていずれも不在であった.小児循環器関連施設(170施設)中,集中治療専門医研修施設認定は56%(96/170名)と低値であり,大学病院・総合病院においては専門医取得困難な環境が推察された.都道府県別の小児年齢の特定集中治療室算定数と集中治療専門医を有する小児科専門医の医師数との比較では都市部に医師が多く,小児特定集中治療室管理料は全国の約20%の普及にとどまるのみであった.結語:日本の小児循環器領域の集中治療専門診療環境は,専門医診療と診療報酬算定において施設・地域間格差があり,集中治療体制の整備は小児循環器診療の重要な課題と考えられる.
著者
林 健太郎 堀江 信貴 陶山 一彦 永田 泉
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.179-182, 2012 (Released:2013-03-09)
参考文献数
21
被引用文献数
2 1

Moyamoya disease (MMD) is characterized by progressive occlusion of the internal carotid artery or its terminal branches, associated with formation of extensive collateral vessels (moyamoya vessels) at the base of the brain. Whether unilateral moyamoya disease, confirmed by typical angiographic evidence of moyamoya disease unilaterally and normal or equivocal findings contralaterally, is an early form of definite (bilateral) moyamoya disease remains controversial. Inherited or acquired disorders and conditions may present in conjunction with moyamoya disease. This condition is known as quasi-moyamoya disease (quasi-MMD). We attempted to determine the incidence and total patient number of moyamoya disease, unilateral MMD and quasi-MMD, who were treated during 2005 in Japan. Questionnaires were sent to 2,998 departments, which are listed in resident training programs of neurosurgery, neurology and pediatrics. Totally, 1,183 departments replied, and the response rate was 39.5%. The number of annual first-visit patients of MMD, unilateral MMD and quasi-MMD is 571, 118, and 53, respectively. Thus, the number of annual revisit patients of MMD, unilateral MMD and quasi-MMD is 2,064, 214, and 117 respectively. It is estimated that 6,670.9 MMD patient exists in Japan. The incidence rate of MMD, unilateral MMD and quasi-MMD is 1.13, 0.23 and 0.11/100,000, respectively, and the prevalence is 5.22, 0.66 and 0.34/100,000, respectively. This nationwide study revealed the present epidemic status of MMD, unilateral MMD and quasi-MMD.
著者
林 健司 荒木 さおり 岡安 誠子 平松 喜美子 梶谷 みゆき
出版者
日本運動器看護学会
雑誌
日本運動器看護学会誌 (ISSN:2186635X)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.35-42, 2022-02-28 (Released:2022-03-11)
参考文献数
27

本研究の目的は,大腿骨近位部骨折術後高齢者における居宅での生活様相を明らかにすることである.データ収集方法は大腿骨近位部骨折術後で居宅での生活が1ヵ月経過した高齢者に対し半構造化面接を実施した.分析方法は修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチとした.結果,9名の研究参加者を得た.分析の結果,19個の概念が生成され,7つのカテゴリーに分類された.大腿骨近位部骨折術後に居宅退院した高齢者は『自由を手に入れる』一方で,『想定外の現実』に直面し,次第に『生活環境の狭小化』状況にあった.そんな中,徐々に『老いと折り合う』ことで,居宅で暮らす自分を客観視するようになっていた.そして,大腿骨近位部骨折術後に居宅退院した高齢者は,『前向きな依存』と『無理のない自律』の二方向で生活の再構築を始めつつあった.また,一度骨折を経験した高齢者は退院後,『脳裏によぎる再転倒』を抱えながら生活していた.
著者
林 健太郎
出版者
一般社団法人 日本支援対話学会
雑誌
支援対話研究 (ISSN:21882177)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.75-80, 2013 (Released:2018-01-24)

国際コーチ連盟(International Coach Federation 以下、ICF)という団体が存在するのを皆さまはご存知でしょうか。私が日々お目にかかるクライアント様やプロコーチからよくお聞きする声として、名前は聞いたことがあるがその活動内容については詳しく知らない、というものがあります。この記事では国際コーチ連盟日本支部(以下ICFジャパンと呼びます)の代表として、またICFジャパン創立当初から関わる関係者として、設立経緯、これまでの活動、これからのビジョンについてお伝えします。
著者
林 健太郎
出版者
サンケイ新聞社
雑誌
正論
巻号頁・発行日
no.300, pp.82-92, 1997-08
著者
林 健太郎
出版者
サンケイ新聞社
雑誌
正論
巻号頁・発行日
no.309, pp.246-259, 1998-05
著者
鍛治 恭介 鵜浦 雅志 小林 健一 中沼 安二 西村 浩一 坂本 徹 竹内 正勇 寺崎 修一 下田 敦 卜部 健 松下 栄紀 金子 周一
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.872-876, 1992
被引用文献数
4

症例は53歳女性で1991年3月検診時にGOT 329, GPT 306とトランスアミナーゼの上昇を指摘され精査加療目的にて当科入院.検査成績では血沈65mm/hrと亢進,γ-glb 3.5g/dl,IgG 5.5g/dlと上昇,抗核抗体が160倍と陽性,また抗C100-3抗体,PCR法にてHCV RNAが陽性であり,自己免疫型の病型を示すC型慢性肝炎と診断した.プレドニゾロン(PSL) 40mgより加療するも改善は認めず,PSL漸減後α-インターフェロン(α-IFN)投与を開始した.α-IFN投与後GPT値は速やかに正常化し,また,γ-glb値は2.1g/dlまで減少した.一方,抗核抗体は持続陽性であったが,抗体価の上昇は認めなかった.なおIFN投与後22日目の時点で測定したHCV抗体,HCV RNAはいずれも陽性であった.C型慢性肝炎の一部に自己免疫型の病型を示す症例が存在し,また,IFNが有効な症例が存在することを示す貴重な症例と思われ報告した.
著者
横井 孝 大高 洋司 大橋 直義 小林 健二 大友 一雄 恋田 知子 小山 順子 宮間 純一 木越 俊介
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
国文研ニューズ = NIJL News (ISSN:18831931)
巻号頁・発行日
no.49, pp.1-16, 2017-10-16

●メッセージ本文研究の近未来と集積の意味と●研究ノート「近世職人尽絵詞」影印・注釈の出版道成寺文書概観――特に「縁起」をめぐる資料について――ホノルル美術館リチャード レイン コレクションの「鉢かづき」●トピックス〈日本バチカン国交樹立75周年〉研究集会「バチカン図書館所蔵切支丹関係文書の魅力を探る」特別展示「伊勢物語のかがやき――鉄心斎文庫の世界――」関連のお知らせ日本文学資源の発掘・活用プロジェクト始動子ども霞が関見学デー津軽デジタル風土記、はじめの一歩――調印式・記念講演レポート――第41回国際日本文学研究集会プログラム総合研究大学院大学日本文学研究専攻の近況●表紙絵資料紹介山崎龍女筆「業平涅槃図」
著者
浜野 龍夫 林 健一
出版者
一般社団法人 日本甲殻類学会
雑誌
甲殻類の研究 (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-13, 1992
被引用文献数
2 19

The ecology of an atyid shrimp Caridina japonica was studied in the Shiwagi Rivulet. Yuki Town, Tokushima Pref. This species is amphidromous in nature. The juveniles migrate upstream from the sea exclusively during the night and can be seen climbing a vertical wall, where the rivulet water is trickling down. From field observation, rheotaxis seems, to be the most important orientation mechanism for the upstream migration of juveniles. The peak month of egg incubation was June. The mean duration of incubation was 40 days at 20℃ in aquaria. From these values and with known information on the duration of larval life, it was estimated that the period of upstream migration starts in August. Most males die within two years after metamorphosis, however, many females survive for more than two years.
著者
大場 秀悟 小林 健一
出版者
社団法人 日本伝熱学会
雑誌
日本伝熱シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.341-341, 2011

自動車の車内空間は建築空間と異なり日射熱制御や断熱材等による断熱化が困難であるため,過酷な状況になりやすい.そこで本研究では,熱線反射フィルムを自動車のガラス部分に貼ることによる車内の温熱環境の制御を試みた.熱線反射フィルムは,通常のガラスと比べ侵入する日射量を抑制し,室内の温度上昇を抑えられる事が分かった.また,自動車のリアガラスによく使用される遮光フィルムと比べ,ガラス温度が上昇しにくくなることが分かった.このフィルムを実車に使用した場合も同様に,車内温度の上昇を抑制する効果が確認された.
著者
林 健太郎 永田 泉
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.529-539, 2013-06-10

Ⅰ.はじめに 頚動脈起始部の狭窄は脳血流の低下を来したり,プラークの破綻や血栓形成により脳塞栓症の原因となる.動脈硬化性病変は欧米に多く,頚動脈内膜剝離術(carotid endarterectomy:CEA)は欧米で広く行われてきた.食生活の欧米化や高齢化に伴い,本邦においても患者数は増加してきており,疾患の重要度は増してきている. 手術の有効性を評価するランダム化試験も欧米で行われてきた.North American Symptomatic Carotid Endarterectomy Trial(NASCET)では70%以上の症候性高度狭窄例に対するCEAの有効性が示され60),European Carotid Surgery Trial(ECST)でも同様の結果が示された21).Asymptomatic Carotid Atherosclerosis Study(ACAS)やAsymptomatic Carotid Surgery Trial(ACST)では無症候性病変が検討され,高度狭窄例においてCEAの有効性が示された22,29).近年はcarotid artery stenting(CAS)の有効性を評価するための比較対象となる場合が多いが,CEAの成績は比較的一定している. 脳卒中治療ガイドライン2009では症候性頚動脈高度狭窄に対してはCEAを行うことが推奨され,症候性中等度狭窄および無症候性高度狭窄においても推奨されている78).症候性軽度狭窄あるいは無症候性中等度狭窄ないし軽度狭窄においては,プラークが不安定であったり,潰瘍が認められる場合にはCEAを考慮してもよいが,科学的根拠はないとされている. このようにCEAの有効性は認められており69),日本脳神経外科学会のデータでは2011年に3,776件施行されている.CEAは脳卒中発作を予防するための手術であるため,合併症を低く抑える必要があり,手術リスクは症候性病変では6%,無症候性病変では3%以下の場合に有効とされている.よって,手術および周術期管理に熟達した術者と施設において行われるべきである.本稿ではCEAの手術説明の一助となることを目的に,CEAの合併症に関する論文をレビューした.
著者
山下 崇博 小林 健 伊藤 寿浩
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2015年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.329-330, 2015-03-01 (Released:2015-09-01)

現在,高度経済成長期に整備されたインフラの損傷や老朽化に伴う事故が多発している。そこで,本研究ではインフラ構造物及びその構成部材の状態を常時・継続的・網羅的に把握するセンサシートを開発する。シリコンウェハ上に大きさ1mm角,厚さ5μm程度のひずみゲージチップを作製し,スタンピング転写によりPET基材上にアレイ状に実装することで,橋梁などに貼り付け可能な大面積フレキシブルセンサシートを実現する。
著者
森脇 良一 林 健治
出版者
Japanese Society of Steel Construction
雑誌
鋼構造論文集 (ISSN:18809928)
巻号頁・発行日
vol.2, no.8, pp.1-12, 1995-12-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
17

In order to establish the ultimate state design, it should be veri fied the mechanical properties of tension members as well as compression members in the ultimate state. In this paper, resting on this viewpoint, tension tests on notched plates were carried out to investigate the influence of mechanical properties of materials and stress concentration on the plastic deformation capacity, and to clarify the mecanical characteristics of tension members. And a practical formula is proposed to evaluate the plastic deformation capacity of tension members. Moreover, it is also clarified the parameter to control the plastic deformation fields of tension members in the ultimate state.
著者
小林 健一郎 HINKELMANN Reinhard HELMIG Rainer 寶 馨 玉井 信行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.120-133, 2007

本稿では地下水位が回復した状態の閉鎖炭鉱で,残留炭層から脱着したメタンがどのように地表面に向かって流動するかを,仮想帯水層を設定し,多相流モデルを用いて数値実験を行うことにより考察している.ここではまず相間質量輸送を考慮しない基礎的な気液2相モデルを用いてシミュレーションを行い,このモデルがどのような場合に適用可能かを考察した.その後,2相(気・液)・3成分(空気・水・メタン)モデルを別途開発し,同様なシミュレーションを行った.結果,質量輸送を考慮しない基礎的な2相モデルによるシミュレーションでは仮想帯水層中のメタンは地上まで到達するのに対し,2相・3成分モデルによる計算結果はメタンの地下隔離が可能であると示すなど,状況に応じてモデルを使い分けなければ,結果に多大な差が生じることが示された.