- 著者
-
白岩 健
能登 真一
小林 慎
福田 敬
- 出版者
- 国立保健医療科学院
- 雑誌
- 保健医療科学 (ISSN:13476459)
- 巻号頁・発行日
- vol.72, no.4, pp.344-369, 2023-10-31 (Released:2023-11-14)
- 参考文献数
- 169
医療経済評価は,費用と結果の点から,代替案との比較分析を行うものである.2013年に公表されたCHEERS(The Consolidated Health Economic Evaluation Reporting Standards)は,医療経済評価の特定や解釈が可能で,意思決定に有用であることを保証するために作成された.CHEERSはガイダンスとして,どの健康介入を比較したか,どのような状況で,どのように評価を行い,どのような結果が得られたか,あるいは読者や査読者たちがその研究を解釈し,利用するのに有用かもしれない詳細な事項について,著者が正確に報告するために役立つことを目的としていた.新しいCHEERS 2022は,以前のCHEERS報告ガイダンスを置き換えるものである.これは,あらゆる種類の医療経済評価,この分野における新しい方法や発展,患者や一般市民などステークホルダーの役割増加に容易に対応できるガイダンスの必要性を反映したものである.また,個人の健康か集団の健康か,単純であるか複雑であるかを問わず,コンテクスト(医療,公衆衛生,教育,社会的ケアなど)によることなく,あらゆる形式の介入に幅広く適応可能である.この報告書には推奨と解説のついた28項目からなるCHEERS2022チェックリストと各項目の具体例が示されている.CHEERS 2022は主に,査読誌に経済評価を報告する研究者とそれらを評価する査読者や編集者を対象としている.しかし,研究を計画する際には,報告要件を熟知していることが分析者にとって有用であると考えられる.また,意思決定において透明性がますます重視されるようになっており,報告に関するガイダンスを求める医療技術評価機関にとっても有用な可能性がある.