著者
石橋 佐枝子 若林 慎一郎 内藤 徹 鹿野 輝三
出版者
金城学院大学
雑誌
研究所紀要 (ISSN:13434020)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.11-19, 1999-03-20

This study attempted to clarify the lasting effects of past victimization experiences (being bullied by peers) and its relationship to anthropophobic tendencies. Questionnaires were administered to college students to determine whether or not having peer victimization experiences resulted in lasting effects, and if so, how these effects correlated with anthropophobic tendencies. According to these results, students who have experienced bullying do have long-lasting effects to suffer from various physica1,behavioral, social and psychological symptoms. In addition, students who have experienced peer victimization have stronger anthropophobic tendencies than do others. However, those students who regarded themselves as having become more patient by having been bullied did not have stronger anthropophobic tendencies. Therefore, this study suggests that those who see themselves as having gained something positive from being bullied will experiences less maladjustment. These results were applied to the model of Sedikides (1992), which explains that depression caused by bullying produces momentary negative self-evaluation, which in turn creates uncertainty about one's self-worth. This instigates self-perception processes that result in heightened self-focused attention. This self-forcused attention will result in producing the anthropophobic tendency.
著者
小林 慎治 新谷 虎松
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.91-92, 1997-03-12

ポーカーや麻雀など上がりの手により得点や勝敗を決定されるゲームでは、誰よりも速く上がりかつ高い得点の手をそろえるという相反する二者の両立をいかに果たすかが課題となる。この実現方法はプレイヤーの性質により大きく左右されるものである。このゲームでは開示される情報 (捨て札や自分の持ち札) がある方向を指し示しており、これをいかにして抽出し活用するかが重要な点である。そのうえでプレイヤーに堅実型や博打型などの性質をうまく利用すれば良い結果が得られることが期待できる。
著者
中根 邦彦 伊藤 寛将 磯谷 健治 板倉 裕子 糟谷 慶一 小林 慎一
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.252-255, 2015
被引用文献数
6

ジビエなどの肉および肝臓の生食あるいは加熱不十分な状態での摂食によるE型肝炎感染事例が各地で報告されている.そこで2010年4月から2014年11月までに愛知県岡崎市内および近郊で捕獲されたイノシシ439頭およびシカ185頭から採取された肝臓についてHEV感染状況を調査した.その結果,イノシシ49頭(11.2%)からHEV遺伝子が検出されたが,シカはすべて陰性であった.また,イノシシにおける推定体重40 kg未満の個体群でのHEV遺伝子の検出率は13.0%(28/216),一方40 kg以上の個体群では2.7%(3/111)と,40 kg未満の個体群で有意に検出率が高かった.分子系統樹解析により,検出されたHEVの遺伝子型はすべてgenotype4であり,4型愛知静岡株と同一のクラスターを形成したが,1株を除き48株はさらに小さなクラスター(Okazaki strain)を形成していた.
著者
小林 慎一 粂野 文洋 白井 康之 犬島 浩
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.192-206, 2010-03-01

ソフトウェア分野の研究開発力を強化するための一つの方策として,研究開発対象にする重点テーマを策定する方法論を提案する。この方法論では,ソフトウェア技術に関する複数のトレンドがそれぞれ独立に進展することによって対立概念が顕在化し,その解消のために新たな技術の創出が求められると考える。将来の対立点がどこに発生するかを推測することが重点分野の検討につながる。従来課題とされていた対立点の推測はソフトウェア工学の知見を活用したFURPS+モデルによるトレンドの対立度計算手法による。本方法論を用いて公的な研究費配分機関における重点的な研究開発テーマの検討を行い,25の重点分野を策定した。これらの重点分野の妥当性を評価するために,デルファイ法にもとづいて実施された文部科学省技術予測調査で得られた主要課題との比較分析を行った。本方法論で得た重点分野は文科省調査の主要課題の89%(8テーマ/9テーマ)をカバーしており,高い精度で両者が一致している。本方法論の重点分野の36%(9テーマ/25テーマ)は文科省調査の主要課題には存在しないテーマである。この部分は文科省調査に対する本方法論の独自性を示している。本方法論によって重点分野の検討プロセスに体系的な手順と一定の網羅性が得られ,複数人での検討作業が過度に発散せず,系統的で見通しの良いものになることを示した。
著者
白岩 健 能登 真一 小林 慎 福田 敬
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.344-369, 2023-10-31 (Released:2023-11-14)
参考文献数
169

医療経済評価は,費用と結果の点から,代替案との比較分析を行うものである.2013年に公表されたCHEERS(The Consolidated Health Economic Evaluation Reporting Standards)は,医療経済評価の特定や解釈が可能で,意思決定に有用であることを保証するために作成された.CHEERSはガイダンスとして,どの健康介入を比較したか,どのような状況で,どのように評価を行い,どのような結果が得られたか,あるいは読者や査読者たちがその研究を解釈し,利用するのに有用かもしれない詳細な事項について,著者が正確に報告するために役立つことを目的としていた.新しいCHEERS 2022は,以前のCHEERS報告ガイダンスを置き換えるものである.これは,あらゆる種類の医療経済評価,この分野における新しい方法や発展,患者や一般市民などステークホルダーの役割増加に容易に対応できるガイダンスの必要性を反映したものである.また,個人の健康か集団の健康か,単純であるか複雑であるかを問わず,コンテクスト(医療,公衆衛生,教育,社会的ケアなど)によることなく,あらゆる形式の介入に幅広く適応可能である.この報告書には推奨と解説のついた28項目からなるCHEERS2022チェックリストと各項目の具体例が示されている.CHEERS 2022は主に,査読誌に経済評価を報告する研究者とそれらを評価する査読者や編集者を対象としている.しかし,研究を計画する際には,報告要件を熟知していることが分析者にとって有用であると考えられる.また,意思決定において透明性がますます重視されるようになっており,報告に関するガイダンスを求める医療技術評価機関にとっても有用な可能性がある.
著者
竹林 慎治 林 泰之 康本 明吉 籔内 咲 暁 久美子 大野 覚 池田 浩己 三浦 誠
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.65-69, 2015-03-31 (Released:2015-05-21)
参考文献数
17

魚骨異物は日常臨床でしばしば遭遇し, 診断・治療が容易な場合が多いが, 稀に困難な症例も存在する. 我々は, 3例の非典型的な魚骨異物症例を経験したので, 当院での頸部魚骨異物症例の検討を加えて報告する. 症例1は70歳の女性で, 舌筋層内に魚骨迷入し, 発症から受診まで半年を要し, 放線菌感染を伴う膿瘍形成を生じた. 症例2は68歳の女性で, 発症時近医喉頭ファイバースコープ検査で発見できず, 5日後右頸部膿瘍を生じ, 甲状腺右葉背側に迷入した魚骨を外切開により摘出した. 症例3は59歳の男性で, 舌扁桃内に埋没していたが, 経口腔的に摘出できた. 当院で4年半の間に60例頸部魚骨異物摘出術を施行し, CT 検査が有用であった.
著者
矢崎 貴紀 小林 慎一 後藤 芳文 森 研堂 今井 航 渡辺 康孝 中村 大輝
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.669-675, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
16

平成14年度より文部科学省が推進しているスーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業では,学習者が主体的に探究活動に取り組むことが期待されている。本研究では,SSHにおける主体的な探究活動に影響する要因を明らかにすることを目的とした調査を実施した。中学3年生と高校生の計714名を対象とした質問紙調査を分析した結果,SSHにおける主体的な探究活動に影響する要因として「他者からの受容」「達成経験」「自己効力感」の3点が明らかになった。本研究の結果を踏まえれば,受容的な他者に支えられて達成経験を重ねる中で自己効力感を高めていくことが,SSHにおける生徒の主体的な探究活動の生起につながると考えられる。
著者
生野 彰宏 南川 佑太 竹林 慎一郎 奥村 克純
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.23-32, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
47

Many studies have shown that folate deficiency induces DNA hypomethylation and DNA damage. DNA hypomethylation is thought to occur during DNA replication through deficiency of the DNA methylation donor synthesized using folate. However, the relationship between DNA hypomethylation and DNA damage caused by folate deficiency is not well understood. Here, we analyzed DNA damage caused by folate deficiency during the cell cycle S phase in which DNA hypomethylation occurs. Using HeLa cells, we first detected accumulation of intranuclear γ-H2A.X, a DNA double strand break marker, by immunofluorescent staining. We found that DNA damage occurs primarily during S phase, and that folate deficiency enhanced S phase-dependent DNA damage. We also found that folate deficiency caused slowing of the DNA replication fork and a delay in the onset of middle-late S phase. Detailed analyses of DNA damage in S phase progression suggested that the folate deficiency-induced DNA damage increased in all stages of S phase, particularly in middle-late S phase cells. To examine the relationship between DNA damage and DNA hypomethylation, we analyzed the methylation state of the promoter region of the human LINE1 repetitive sequence, where heterochromatin is formed and replicated during middle to late S phase. We found that DNA methylation decreased by about 10% under the folate deficiency condition. Taken together, our results suggest that DNA hypomethylation is associated with DNA damage caused by folate deficiency.
著者
小林 慎治
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.229-234, 2019 (Released:2019-09-14)
参考文献数
12

インターネットで大規模に収集されたデータを用いて,機械学習をベースとした人工知能技術が発展し,創造的価値が生み出されつつある.医療分野においも国家レベルで診療データを収集し,保健行政や臨床研究,創薬に役立てていこうとする試みが世界各国で進められてきた.日本においても診療データの二次利用に向けて法制度が進められると同時に,普及が進んだ電子カルテから診療情報を大規模に収集する事業が国家的プロジェクトとして進められている.しかしながら,電子カルテのデータを収集すること,そしてそのデータを活用していくことは実際にはそう簡単ではない.関心のあるデータを特定の用語を使って高速に検索してデータを収集することは電子化のメリットの一つであるが,診療データに記録されている用語が標準化されておらず,効率よくデータを検索できないなどの問題がある.そのため医学用語集の整備と標準化が進められており,複数の用語でも効率よく対応できるシソーラスやタキソノミーの開発や,知識工学を応用したオントロジーの開発も進められている.さらに,概念の構造と用語の関係を明示した情報モデルの開発により,質の高い情報基盤の整備へと発展しつつある.本稿では臨床情報を機械的に処理する際の問題点とその解決法として,用語と情報モデルについて解説し,その標準化について概説する.
著者
羽佐田 勝美 小林 慎太郎 丸井 淳一朗
出版者
日本国際地域開発学会
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.65-74, 2019 (Released:2019-12-03)

本稿では,魚発酵食品パデークの需要が増加しているラオス国ビエンチャン特別市を対象に,パデークの流通の現状と課題を検討した。ビエンチャン特別市で最も多く販売されるパデークは伝統的パデークであった。パデークの流通においては,農家がパデークの原料採集,生産,発酵までを,仲買業者がパデークの集荷と出荷(流通)を,小売業者が最終的な調味(加工調製)と消費者への販売(小売)を主に行っていることがわかった。また,パデークの流通形態は仲買業者介在型,仲買業者不在型,農家直売型の3つに分類できることがわかった。各ステークホルダーの粗マージンについては,仲買業者と比べ,農家と小売業者がより高い粗マージンを得ていることが示唆された。さらに,パデーク経営において,農家はパデークの原料である魚の不足(資源の問題)が,仲買業者はパデークの不足(資源の問題),顧客が少ないことや同業者による競争(市場競争の問題)とパデーク仕入れ資金の不足(資金・経費の問題)が,小売業者は投資資金の不足や販売経費の負担が大きいこと(資金・経費の問題)と競争相手が多いこと(市場競争の問題)が,問題であることがわかった。
著者
勝又 健太 榎本 武治 大坪 毅人 樋渡 正樹 塚本 芳嗣 亀井 奈津子 嶋田 仁 小林 慎二郎 芦川 和広 民上 真也
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.481-486, 2020-06-01 (Released:2020-06-30)
参考文献数
16

症例は84歳の男性で,食後の腹痛を主訴に当院を受診した.既往として6年前に胃癌で幽門側胃切除術,Roux-en-Y再建,1年前に胆囊結石,総胆管結石,傍乳頭十二指腸憩室症候群で胆囊摘出術,胆管十二指腸吻合術を施行されていた.腹部MRIで輸入脚内に低信号の構造物を認め,結石の嵌頓による輸入脚症候群と診断し,緊急手術を施行した.上腹部正中切開で開腹,Treitz靱帯より5 cm肛門側の空腸に結石を触知した.空腸の一部に切開を加え摘出,単純縫合で閉鎖した.術後23日目に軽快退院した.摘出された結石はステアリン酸カルシウムが主成分であった.ステアリン酸カルシウムは胆囊結石のうち,ビリルビンカルシウム石に比較的多く含有されるほか,服用薬で酸化マグネシウムに含有されていた.本例は胃石を核として周囲にステアリン酸カルシウムが沈着したものと考えられた.胃石由来のステアリン酸カルシウム腸石による輸入脚症候群は非常にまれな疾患であるので報告する.
著者
今林 慎一郎
出版者
日本ポーラログラフ学会
雑誌
Review of Polarography (ISSN:00346691)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.115-121, 2008 (Released:2008-11-07)
参考文献数
26
被引用文献数
9 13

Recent papers discussing the effect of surface roughness on wettability of solid surfaces are reviewed. Wenzel's and Cassie-Baxter's wetting models, factors determining the relative stability of the wetting models, and the control of the surface wettability by electrowetting are introduced.
著者
真野 俊樹 小林 慎 井田 浩正 山内 一信
出版者
特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
雑誌
医療マネジメント学会雑誌 (ISSN:13456903)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.329-334, 2003-09-01 (Released:2011-03-14)
参考文献数
16

医療改革についての方向性のひとつは医療機関からの情報公開である。患者と医師間における情報の非対称性の問題は、一般に患者側に発生し、その大きさによって患者が不利益を被る可能性があるが故に問題とされる。一方医療という財においては、例えば年代別、職業別などに、罹患しやすい病気を統計的に知りえても、各個人がいっ、どのような病気にかかるかは予測できないという不確実性がある。平成11年の受療行動調査によると、消費者は入院や外来など医療機関受診の際に「家庭・友人・知人」からの情報を重視しているという。われわれが健常人に行った調査では「友人」による情報を信頼している。ブランドは情報の非対称下でのシグナリング機能を果たし、評判によって無駄な探索を止め、取引費用を削減する効果がある。またブランドは、非排他性、非競合性をもち、外部性も持っために公共財であるという考え方もある。この視点から、医療機関が消費者の選択基準になりえるブランド形成の努力をおこなうことも重要ではないか。
著者
小林 慎二郎 瀬上 航平 三浦 和裕 四万村 司 櫻井 丈 小泉 哲 牧角 良二 月川 賢 宮島 伸宜 大坪 毅人
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.595-598, 2011-05-31 (Released:2011-07-12)
参考文献数
21
被引用文献数
5

膿瘍形成性虫垂炎に対する緊急手術では拡大手術移行の可能性や合併症発生率が高い。当院では2008年から膿瘍形成性虫垂炎に対して保存的治療で膿瘍を沈静化させ手術希望があれば約3ヵ月後に虫垂切除を行うinterval appendectomy(以下,IA)を行っている。膿瘍形成性虫垂炎32例について検討した。32例中29例(91%)が平均17.2日の入院期間で保存的治療に成功した。29例のうち,手術希望のあった16例に対してIAを施行した。16例のうち14例(87.5%)が腹腔鏡下虫垂切除術を完遂した。手術症例16例における平均手術時間は96分で,手術時平均入院期間は9.4日であった。また手術症例において合併症の発生は1例も認めなかった。総入院日数が長いことが課題であるが,拡大手術移行が少なく,合併症もない本治療方針は膿瘍形成性虫垂炎に対して有効であると考えられた。