著者
松成 修 鍋田 祐介 山村 亮太 柴田 智隆
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.254-259, 2021 (Released:2022-03-30)
参考文献数
12

症例は93歳男性.重症熱中症による痙攣後のTodd麻痺のため経口摂取が困難であり,経鼻経管栄養を実施していた.偽痛風の診断にて投与開始したロキソプロフェンナトリウムと,同じタイミングで投与されたミヤBM®の投与開始後に腹痛を訴え,CT検査・レントゲン画像にて門脈気腫をともなう胃粘膜気腫を認めた.気腫性胃炎と診断したが,安静と抗菌薬投与による保存的加療によって胃全摘出を免れることができた.内視鏡検査により採取した胃粘膜の培養検査にてClostridium butyricum(以下,C. butyricumと略)が分離同定され,気腫性胃炎の起因菌と考えられた.カテーテルを用いた栄養管理にてC. butyricumによる気腫性胃炎が発症したと考えられた.整腸剤として投与されるミヤBM®の投与が人体に悪影響を及ぼすことがあることはあまり知られていない.気腫性胃炎も治療法が確立していない稀な病態であり,適切な対応が必要である.
著者
池田 純起 柴田 智広 池田 和司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.298, pp.21-26, 2012-11-09

これまでの先行研究において,音読時と黙読時における脳活動の空間的分布がfMRIを用いて調べられた.そして,音読時と黙読時に活動する皮質領野はほぼ一致することが明らかとなっている.しかし,これらの皮質領野が音読時と黙読時に同じ機能を果たしているかどうかは曖昧であり,明らかとなっていない.この理由として,これまでの先行研究では,脳活動の空間的分布を調べることを中心としており,音読時と黙読時の皮質領野におけるボクセルパターンの違いを評価してこなかったことが考えられる.本研究では,fMRIを用いて,日本語音節の音読時と黙読時の皮質領野の機能類似性を調査した.機能の類似性を評価する方法として,ボクセルパターン同士の線形相関を計算した.この結果,音読時と黙読時に活動する皮質領野において,ボクセルパターンに類似性が存在することが示唆された.
著者
山崎 駆 酒井 義史 梶原 拓己 柴田 智広
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.881-884, 2023 (Released:2023-12-21)
参考文献数
19

In Japan, the shortage of caregivers due to the aging of the population is a serious issue and the demand for care robots is increasing. Changing and wiping, which is one of the main care tasks, is still not sufficiently skilled and is often carried out by carers alone. Against this background, we are developing a dressing assistance robot system. However, the task of picking hangers from the hanger rack was a bottleneck in our dressing assistance robot system. Therefore, we developed a hanger recognition method based on active object recognition for implementation in a dressing assistance robot system and improved the recognition accuracy. In this paper, the usefulness of a recognition method using active object recognition in the hanger recognition task is evaluated through experiments and future prospects for integration into a dressing assistance system are described.
著者
柴田 智広
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.335-336, 1996-04-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1
著者
佐藤 佳子 熊谷 英憲 岩田 尚能 柴田 智郎 丸岡 照幸 山本 順司 鈴木 勝彦 西尾 嘉朗
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.72, 2011 (Released:2011-09-01)

3.11の巨大地震の後、福島第一原発の事故により放射性希ガス放出が予想された。そこで、放射性希ガスを四重極質量分析計で測定し、希ガス存在度の変化の検証を試みた。Ar-41, Ar-39, Kr-85, Xe-133などの希ガスが安定な希ガス同位体に対して10倍以上に増加したことが地震後の測定で明らかになりつつある。地震による安定な希ガス同位体の放出を差し引いて、放射性希ガス存在度の変化について報告する。
著者
木村 謙仁 柴田 智文 松尾 雄司 村上 朋子
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.15-26, 2022 (Released:2022-02-15)
参考文献数
20

In this study, we perform model analyses assuming the Japanese power supply portfolio in 2050 to evaluate the economic efficiency of nuclear power generation under mass introduction of variable renewable energy (VRE) ― such as solar PV and wind ― and of hydrogen power generation in 2050. As a result, this study shows that even if the unit cost of VRE falls significantly by 2050, not only existing nuclear power plants, but also new construction, will have economic efficiency. Its benefit would become much larger when 100% carbon-free generation is mandated, but in that case, the role of nuclear energy as the base load power generation would be changed. On the other hand, in the case where hydrogen power generation will be deployed, the nuclear energy would be smaller than those in other 100% carbon-free cases, but its base load operation would be maintained.
著者
為井 智也 柴田 智広 石井 信
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.82(2005-MUS-061), pp.47-52, 2005-08-05

ピアノ演奏で重要と言われる「脱力した」奏法と「力んだ」奏法の比較を、示指の3関節を用いた打鍵動作を対象に行う。本目的のため、示指の関節角度、筋電位、鍵盤の変位を同時に記録することの出来る計測システムを開発した。予備的な実験の結果、脱力した場合と力んだ場合では筋電のパターンに違いが認められ、その結果として鍵盤の挙動にも違いが現れることを示す。特に指が離鍵する際の仲筋の活性度と離鍵速度に強い相関が見られた。得られた結果から、今回開発した計測システムを用いることによって演奏者の熟達度を評価する手法となり得ることが期待される。
著者
柴田 智広
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.607-615, 2016-12-01 (Released:2016-12-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1

高齢化の進展により介護現場での人材不足が懸念される中,介護予防(要介護者の増加の抑制)や要介護者の生活支援サービスなどの分野ではロボット技術の活用が喫緊の課題となっており,国主導での研究開発が盛んに進められてきた。しかし,ロボット技術の社会実装にあたっては,安全性,コストとともに,要介護者一人ひとり異なる認知能力や身体的特性にどのように適応させるかが大きな課題となっている。本稿では,ロボット介護機器やITによる介護支援や介護予防サービスの現状を概観するとともに,筆者の研究グループによる低コストな装置(KinectやWii Balance Board)を応用した姿勢維持のリハビリテーション支援や,強化学習理論を応用した着衣介助ロボットおよびダーツ投てき運動学習支援の研究を取り上げ,現状の課題および今後の見通しを示す。
著者
中村 彰宏 大林 千尋 柴田 智広
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.10, pp.1-6, 2011-05-06

我々は,自動掃除機 TMRoomba とのダンスを通じて部屋を掃除する社交ダンスシステムを提案する.本システムは,実時間で深度情報を得られるマイクロソフト社の TMKinect とオープンソースライブラリ OpenNI を用いて人間の動作を認識し,それに応じて Roomba の動作を制御する.制御に必要な Roomba の位置・姿勢は ARToolkit のマーカーを用いて計測する.動作として社交ダンスを採用することで,Roomba での掃除にエンターテイメント性を付加する.社交ダンスの振付は,パートナとの位置関係と男性の動作で示されるリードによって決定されるため,ユーザーがリードに関する知識を持つことで,Roomba をパートナーとしたダンスによる掃除が可能となる.本稿では,まずシステム構成及びダンス認識による掃除制御アルゴリズムを述べ,次に予備的な実験結果によりシステムの有効性を示す.This paper proposes a novel and entertaining room cleaning system using TMRoomba. In this system, a Roomba is controlled by its user through a ballroom dance, Rumba. The user's motion is captured by Microsoft's TMKinect, analyzed by OpenNI, and recognized as a dance partner's motion which leads the Roomba's motion, as a lady's motion. The position and the posture of the Roomba is measured by ARToolkit using a marker attached on the Roomba. This paper first presents the system overview, and then describes the algorithms for dance recognition and Roomba control. We demonstrate the feasibility of the proposed system with a preliminary result, and finally perspectives on this study are mentioned
著者
萩原 英貴 柴田 智史 赤阪 有一 古川 淳
出版者
日本イオン交換学会
雑誌
日本イオン交換学会誌 (ISSN:0915860X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.47-52, 2016

<p>古河電池は鉛蓄電池の負極板に非対称キャパシタを組み合わせた"UltraBattery"を開発した。UltraBatteryは優れた充電受入性とPSOC条件下での高い耐久性を兼ね備えており, アイドリングストップ車に適した電池と言える。2013年4月に日本のアフターマーケット向けに液式UltraBatteryの販売を開始した。2013年11月からホンダ オデッセイ アブソルート, 2015年4月からホンダ ステップワゴンに採用されている。本報ではUltraBatteryの特徴を紹介する。 </p>
著者
若田 光一 柴田 智哉 狼 嘉彰
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.69, no.685, pp.2323-2330, 2003-09-25

The Canadian Space Station Remote Manipulator System (SSRMS) that consists of 7 joints has been in operation since 2001 aboard the International Space Station (ISS). The extensive operational experience of the Space Shuttle's Remote Manipulator System (SRMS), which has 6 joints, played a significant role in the design and operation of the ISS robotics. However, optimization of the ISS robotics operation for different types of tasks utilizing the unique redundancy characteristics of the 7-joint systems is still underway. In this study, we have proposed three evaluation indices for multi-joint arm configurations in order to avoid collision with surrounding structures. Based on the evaluation of operations of the SSRMS a demonstration model, it has turned out that the proposed indices are beneficial for enhancing clearance monitoring of the arm with respect to the surrounding structures. Furthermore we have proposed an operation support display to contribute to the operational safety and mission success.
著者
橋本 敬 稲邑 哲也 柴田 智広 瀬名 秀明
出版者
日本ロボット学会
雑誌
ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.407-412, 2010-05-15

社会的生物であるヒトが持つ社会的知能とはどのようなものか,それはいかにしてできたかという問いは,人間や生命の謎に挑む新しい総合科学である「ロボティック・サイエンス」の中でも最重要な問いの一つである.すでに,この問いを追求する科学として社会的知能発生学(sociointelligenesis)の研究が進められている.社会的知能発生学の目標は,社会的知能を理解したい,社会的知能をそれ自体だけではなくその発生から理解し,究極的には社会的知能発生学の理論を作るということである.また,社会的知能を持った人工物のデザインと実装は,目標の一つでもあり,理解へ至る手段としても用いられる.すなわち,社会的知能発生学では,構成を通した理解である構成論的アプローチが重要な位置を占める.この構成論的な社会的知能理解を推し進めるため,近年,SIGVerseという新たなシミュレーション・プラットフォームを開発する動きがある.本稿では,このSIGVerse を科学の方法に位置づけるための議論を行う.以下では,社会的知能発生学を,ひいては,ロボティック・サイエンスを「科学」として確立するため,科学の考え方について知識進化プロセスの視点からまとめる.その上で,リアリスティック・シミュレーションと構成論的シミュレーションという2 タイプのシミュレーションを対比させることを通して,構成論的アプローチを科学的知識進化の中に位置づける.続いて,社会的知能発生シミュレータSIGVerse を紹介し,SIGVerse が社会的知能発生学という「科学」の進展にどのような役割を担うのかを論ずる.
著者
加藤 大樹 柴田 智行 疋田 裕二
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.423-427, 2021

<p>「AI顔認識」技術(映像に映っている人間の顔が誰であるか自動認識する技術)を用いて,被写体確認作業を高精度化かつ高速化することによりテレビ番組の制作支援を行い,2019年の「参議院選挙特番」では,①誤報防止(99%超の認識精度),②迅速な報道(被写体確認時間の短縮によりVTRのOA率が前回の約2倍に向上),③作業省力化(確認役スタッフを一部削減)の成果を実現した.</p>
著者
佐藤 佳子 熊谷 英憲 岩田 尚能 柴田 智郎 丸岡 照幸 山本 順司 鈴木 勝彦 西尾 嘉朗
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.72, 2011

3.11の巨大地震の後、福島第一原発の事故により放射性希ガス放出が予想された。そこで、放射性希ガスを四重極質量分析計で測定し、希ガス存在度の変化の検証を試みた。Ar-41, Ar-39, Kr-85, Xe-133などの希ガスが安定な希ガス同位体に対して10倍以上に増加したことが地震後の測定で明らかになりつつある。地震による安定な希ガス同位体の放出を差し引いて、放射性希ガス存在度の変化について報告する。
著者
新井 絢也 戸田 信夫 黒川 憲 柴田 智華子 黒崎 滋之 船戸 和義 近藤 真由子 高木 馨 小島 健太郎 大木 正隆 関 道治 加藤 順 田川 一海
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.148-149, 2018-06-15 (Released:2018-07-19)
参考文献数
3

A 95-year-old female was transferred to our hospital for the purpose of the treatment of cholangitis due to common bile duct stones. One day after removal of bile duct stones with endoscopic retrograde cholangiopancreatography (ERCP) , she suddenly suffered cardiopulmonary arrest. Prompt cardiopulmonary resuscitation was performed, and the spontaneous circulation and breathing resumed. Contrast-enhanced computed tomography revealed pulmonary embolisms (PE) in the bilateral pulmonary arteries. PE is known as a common but sometimes fatal complication after surgery, and prophylactic approaches including early ambulation, wearing compression stockings, intermittent pneumatic compression, and anticoagulants have been proposed based on the risk of developing PE. However, only a few reports have focused on the development of PE as a complication after invasive endoscopic procedures. In this article, we discuss the risk factors and the prophylaxis policy against PE after ERCP.
著者
高橋 仁 柴田 智 田口 隆信 岩野 君夫 小林 忠彦
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.447-455, 2010-11-15 (Released:2011-01-06)
参考文献数
30
被引用文献数
2 1

We developed “Akita-sake-komachi”, which is the rice cultivar suitable for brewing. The refined sake produced from “Akita-sake-komachi” is characterized by the taste of refined sweetness and a light finish. We tried to make “Akita-sake-komachi” local branding. In order to make “Akita-sake-komachi” of high quality, we developed a cultivation method, which enabled us to get grains with low protein content, low expression of white-berry and less crack. Since the protein of “Akita-sake-komachi” had little glutelin, it was recognized that the peptidase activity of koji (malted rice) was stronger, but that there was little amino acid generation from the steamed rice. To develop a new type of sake of “junmai-shu” using the property of “Akita-sake-komachi”, the Aspergillus oryzae “Gin-aji” was selected. The peptidase activity of the koji used by “Gin-aji” was less with “Akita-sake-komachi”. And the yeast “Akita-kobo No. 12 and No. 15” were selected for producing the “Junmai-shu” which fit to “Akita-sake-komachi” and the Aspergillus oryzae “Gin-aji”, and we commercialized “Akita-sake-komachi” brand “junmai-shu”. Accodring to the result, the product amount of the rice “Akita-sake-komachi” increased to about 2 times (2009/2005), and the shipment amount of the “Akita-sake-komachi” brand sake increased to (2009/2005) more than 3 times.
著者
一万田 充洋 衛藤 剛 中嶋 健太郎 平塚 孝宏 赤木 智徳 柴田 智隆 上田 貴威 白下 英史 猪股 雅史
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.214-221, 2017 (Released:2017-03-30)
参考文献数
26
被引用文献数
3

目的:大腸癌手術の化学的腸管処置におけるカナマイシン(KM)+メトロニダゾール(MNZ)併用投与の有用性をSSIサーベイランスデータに基づき明らかにする.対象と方法:2010年1月から2015年12月までに行った大腸癌手術344例を術前の化学的腸管処置の方法により3群(抗生剤なし群178例,KM単独投与群87例,KM+MNZ併用投与群79例)に分けて創部SSI発生率を検討した.また,創部SSI発生と各リスク因子の関連について単変量および多変量解析を行った.結果:KM+MNZ併用投与群における創部SSI発生率は他の2群と比較して有意に低値であった(ともにP<0.05).創部SSI発生のリスク因子は男性(P=0.035),KM+MNZ併用投与群以外(P=0.011)であった.結語:大腸癌手術の化学的腸管処置における術前KM+MNZ併用投与は創部SSIの発生率低下に有用と考えられた.