著者
森田 裕美
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
no.8, pp.5-12, 2009-05-23

1945年8月6日、広島に投下されたたった一発の原爆は、いったいどれだけ人を苦しめたら気が済むのだろうか-。被爆地・広島の新聞記者として、六十数年を経た今なお続く苦しみや悲しみに触れ、「被爆体験」が発する今日的意味を問い続けている。世の中の事象に、ある切り口から光を当て、文字にし、短い記事の中で分かりやすく伝えるのが新聞記者の仕事だ。ただ、焦点を絞れば必ずあふれてしまう「断片」があり、ある言葉に「集約」すれば、見えなくなる「本質」もある。数々の「声」は、伝える過程で、「被爆者]や「ヒロシマ」などの言葉に集約されていく。伝える上で避けられない作業でありながら、原爆がもたらしたとてつもない「人間的悲惨」に迫れば迫るほど、表現しきれないもどかしさに苦闘する。しばしば和解の象徴として語られる被爆者は、本当に「憎しみを捨てている」のか-。被爆者でなければその記憶は継承できないのか-。記者が抱える日々の葛藤を通じ、「被爆体験」を継承する可能性を考える。
著者
森田 龍義 西野 貴子
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

東アジア産タンポポ属の2倍体種の種分化について、日本列島において分化したケースと、日本列島以外の地域において分化した後、移住してきたケースが考えられる。この問題を解く手がかりを得るため、台湾のタカサゴタンポポの5つの自然集団からサンプリングを行い、12酵素14遺伝子座の酵素多型を用いて、日本列島の2倍体分類群との遺伝的距離を測定した。調査した日本産2倍体は、カンサイタンポポ5集団、カントウタンポポ2集団、トウカイタンポポ1集団、シナノタンポポ5集団、オキタンポポ2集団、ユウバリタンポポ1集団である。分子系統樹作成のプログラム(PHYLIP)を用いて系統樹を作成した結果、(1)台湾のタカサゴタンポポ5集団が1つのクレードを作り、最初に分岐すること、(2)次いで、隠岐のオキタンポポが分岐すること、(3)カンサイタンポポとカントウタンポポの各分類群及びユウバリタンポポが1つのクレードを作り、その中ではカンサイタンポポと他の群が分岐することが明らかとなり、日本産2倍体分類群が日本列島内で分化した可能性が高いことを示唆する結果が得られた。2.シロバナタンポポ(5倍体種)は1クローンであり、カンサイタンポポを種子親とし、未知の4倍体種を花粉親とする雑種起源の可能性が高いことがすでに明らかにされている。そこで花粉親の4倍体種を明らかにする目的でアイソザイム分析を行った。調査した種は、西日本に分布する4種:キビシロタンポポ、ケンサキタンポポ、クシバタンポポ、ツクシタンポポ及び、韓国の2種:ケイリンシロタンポポ、コウライタンポポである。花粉親としての条件は、(1)シロバナタンポポによりカンサイタンポポにない対立遺伝子(SKDH-D、MDH-C)を持つこと、(2)シロバナタンポポにない対立遺伝子を持たないことであるが、これらの条件を満たす種は、ケイリンシロタンポポであることが判明した。
著者
森田 耕喜
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
国際医療福祉大学紀要 = Bulletin of International University of Health and Welfare (ISSN:13424661)
巻号頁・発行日
no.2, pp.21-30, 1997-08-31

近代の合理主義思想は、存在のロゴスともいうべき神の理法がこの世界を貫徹し、神が創造したこの世界と人間とは神の一部を共有しているから、人間理性は世界の理性的法則を認識可能となるよう保証されているというものである。こうした人間の合理主義的理性は、近世的な自然科学思想や技術的発展に支えられているように見えるが、17世紀以来の思想家たちが腐心してきたのは神の存在と霊魂の不死性を証明することであった。デカルトの二元論は心身関係に決定的なものとなったが、その後の哲学思想がこの問題とどのように向き合ったかを検討することで、死の概念について考察する。カント哲学において、思弁的理性がその限界を超えて実体や霊魂の不死性について論証することは越権行為であり、不可能であるとされる。『純粋理性批判』において、「理論理性」の問題は「実践理性」の問題へと、即ち、人間の「自由」と「信仰」の領域へと移行されるのである。Nach dem rationalistiche Gedanken in der Neuzeit ist die Welt durch die Vorsehbnung als Logos des Seins geherrischt und weil Gott diese Welt und den Menschen erschaffen hat, besitzen beide geheinsam ein Teil der güttlichn Vernunft. So kann die menschliche Vernunft das vernünftliche Gesetz der Welt erkennen. Es scheint, daβ diese rationalistische menschliche Vernunft sich auf den naturwissenshaftlichen Gedanken und die technische Entwicklung stützt, aber quälen sich viele Denker seit 17 jahrhundert mit dem Dasein Gottes und der Unsterblichkeit der Seele. Decartes Dualismus spielt eine groβ Roll bei der Verhältnis zwischen Leib und Seele. Durch die Untersuchung der philosophische Gedanken danach möchten wir den Begriff des Todes in der Kantischen Philosophie.
著者
森田 貴己
出版者
水産総合研究センター
雑誌
水産総合研究センター研究報告 (ISSN:13469894)
巻号頁・発行日
no.13, pp.35-77, 2004-12

ある種の深海魚は水圧が600気圧にも及ぶ深海に生息している。その高水圧適応機構については古くから関心が持たれてきたが、タンパク質構造と高水圧下での機能との関係を明らかにした報告はこれまでにない。本研究では、深海性ソコダラ類のヨロイダラCoryphaenoides armatusおよびシンカイヨロイダラC. yaquinaeの骨格筋α-アクチンを対象に高水圧適応機構を分子レベルで解明した。本論文の構成は次の通りである。第1章では、ホカケダラ属(Coryphaenoides)の分子系統樹の作成を行った。ホカケダラ属のソコダラ類は、浅海から深海と幅広い水深に生息する同属種が存在することから、深海魚の特性を探る様々な研究に用いられている。比較生化学研究を行う対象魚を選択することを目的として、ミトコンドリア12S rRNAおよびcytochrome oxidase subunit I(COI)遺伝子の部分配列を決定し、本属の分子系統樹を作成した。本系統樹から深海性および浅海性ソコダラ類がホカケダラ属の進化の初期の段階で分岐したことが示された。得られた系統樹を参考に、深海性ソコダラ類であるヨロイダラおよびシンカイヨロイダラの比較対象魚として、浅海性ソコダラ類からイバラヒゲおよびカラフトソコダラを選択した。第2章では、深海性ソコダラ類α-アクチンの高水圧下での性状変化を検討した。深海性ソコダラ類2種、浅海性のソコダラ類イバラヒゲ、淡水魚のコイおよび陸上動物のニワトリの骨格筋からα-アクチンを精製し、高水圧下で重合に要する時間、臨界濃度及び重合に伴う体積増加量を調べた。いずれの分析においても深海性ソコダラ類のα-アクチンは、大気圧下とほぼ変わらぬ性状を示した。第3章では、深海性ソコダラ類α-アクチンのcDNAクローニング及び高水圧適応に必須のアミノ酸の同定を行った。深海性ソコダラ類と浅海性ソコダラ類の骨格筋からα-アクチンのcDNAクローニングを行った結果、それぞれ2タイプずつのα-アクチンcDNAが単離された。ノザンブロット解析、定量RT-PCR法及び2次元電気泳動法から、これらα-アクチンmRNA及びタンパク質のいずれも骨格筋中に存在していること、その存在量は高水圧に適応しているタイプがいずれの形態でも多く存在していることが示された。演繹アミノ酸配列において、深海性ソコダラ類に特異的なアクチンのタイプは、浅海性ソコダラ類に特異的なタイプと比べてQ137K、A155SおよびV54AまたはL67Pの計3カ所にアミノ酸置換を示した。幾つかの生化学的実験から、Q137KおよびA155Sの両置換はα-アクチン分子内にCa2+とATPが高圧によって押し込まれるのを防ぎ、深海性ソコダラ類に高水圧適応を付与していることが示唆された。さらにdeoxyribonuclease I(DNase I)とアクチンの結合実験から、深海性ソコダラ類のα-アクチンが高水圧下で重合するためには、V54AまたはL67Pの置換が重要であることが推測された。第4章では、高水圧適応と低水温適応との関連などを含む総合的考察を行った。
著者
菊地 英一 小泉 明正 荒西 康彦 森田 義郎
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会誌 (ISSN:05824664)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.360-363, 1982
被引用文献数
2

鉄を触媒活性成分として含む, 一連のグラファイト層間化合物 (LCG) を用いて, 一酸化炭素の接触水素化反応を研究した。反応は固定床流通反応装置を用いて400&deg;C, 20atmの条件で行った。鉄LCG触媒は低級炭化水素の合成に活性があり, 二酸化炭素の生成が少なく, 一酸化炭素を有効に炭化水素に転化する2)。この反応における触媒活性中心は層間内の鉄であると考えられるが2), グラファイト表面に析出した鉄であるとの反論3)もある。著者ら4)は炭化水素合成に活性を示した鉄LCG触媒の磁化率測定を行って, 強磁性を示す鉄粒子が存在しないことを示し, 活性点はグラファイト層間にあることを主張した。<br>本報ではまず塩化第二鉄 (FeCl<sub>3</sub>)LCG触媒を水素還元して得た触媒の活性と選択性を比較して, 還元条件の影響を調べた (<b>Table 1</b>)。塩化第二鉄を還元すると主に塩化第一鉄 (FeCl<sub>2</sub>) に還元され, 一部は金属鉄まで還元される。還元温度の上昇,還元時間を長くすることにより層間内の塩化第一鉄の量が減少し, それにともなって活性が低下し, 生成物分布が低分子量側に移行することがわかった。塩化第一鉄はグラファイトの層間を広げ, 反応物や生成物の拡散を容易にするスペーサーとして作用することが示された。この結果は活性中心がグラファイトの層間に存在するとする著者らの結論を支持する。<br>グラファイトの層間に鉄以外の, もう一成分の金属塩化物を挿入したLCG触媒を調製して, その活性と選択性を調べた (<b>Table 2</b>)。調製方法は Croft5) の方法に準じた。まず第二成分の塩化物を400&deg;Cで挿入し, ついで塩化第二鉄を300&deg;Cで挿入した。塩化マンガンは生成物分布を高分子量側に移行するとともに, オレフィン生成を促進することが示された。他の添加物ではむしろメタンの占める割合が増加した。塩化マンガンのLCG自体は活性が低く, 硝酸マンガンを鉄LCGに担持しても効果がないことから, 塩化マンガンが効果を示すにはグラファイト層間に鉄と共存させることが必要であると結論された (<b>Table 3</b>)。鉄と塩化マンガンが共存したLCG触媒を高温還元すると, 活性は低下したが高分子量炭化水素の生成が抑制された。その結果生成物分布の幅が狭くなり, C<sub>2</sub>~C<sub>4</sub>炭化水素の合計は Schulz-Flory 分子量分布から予測される最大値 (55%) よりわずかではあるが大きくなった。
著者
森田 脩
出版者
三重大学生物資源学部
雑誌
三重大学生物資源学部紀要 (ISSN:09150471)
巻号頁・発行日
no.4, pp.p1-72, 1990-03
被引用文献数
9

Sod- and over-seeding methods have been considerabty employed on grassland development, especially in mountainous area of Japan. On the surface of untilled land, however , seed germination and seedling establishment seem variable depending on the ecosystematically combined conditions of vegetation, soil, and weather. In the present study the germinating process and behavior of surface-sown seeds of temperate grass species was, on a laboratory scale, investigated in relationship to thefunction of coleorhiza hairs in seedling establishment under several different conditions of soil and temperature.I. Characteristics of Germination and Establishment of Surface-sown Grass seeds1) Germination process and behavior In the germination process of tall fescue seed placed embryo downward on the soil of the seedbed, the coleorhiza appeared at the basal portion of the lemma and developed numerous hairs around the tip of that organ first. The coleorhiza hairs adhered to the soil surface, entered the soil and thenbound soil particles. This anchoring action of the coleorhiza and its hairs was followed by the appearance and penetration of the seminal root. The germination process of the coleorhiza phase was identical for different conditions of soil and environment, while the process of seminal root penetration was variable depending on the adhering strength of coleorhiza hairs equivalent to the maximum tensile load to pull seed out of the soil surface. To measure these values, an apparatus was devised in the present study. Germinating behavior was classified as three different types as follows:TYPE I (Lying type); Coleorhiza hairs of the seed adhered to, and were anchored in the soil, and theseed germinated in the same lying posture as it was placed.TYPE II (Rising type); Coleorhiza hairs grasped the soil well, and seed germinated in rising posture.TYPE Ⅲ (Exposed-root type); Colerohiza hairs failed to grasp the soil particles, and the seminal root could not directly penetrate into the soil adequatly. Seminal roots in most of the seeds were heldup and exposed over the soil surface.\n2) The variations in germinating behavior and adhering strength of coleorhiza hairs of six temperate grass species Orchardgrass, tall fescue, and Kentucky bluegrass had a relatively higher percentage of rising typein germinating behavior and of penetration of seminal root than did meadow fescue, perennial ryegrass and Italian ryegrass. The adhering strength of coleorhiza hairs was higher at the level of 2 gr per seedfor orchardgrass, tall fescue, and Kentucky bluegrass than at that of 1 gr per seed for the other grass species tested. Within each of grass species, the adhering strength of coleorhiza hairs was found to beclosely related to the percentage of rising type in germinating behavior (r=0.96, p<0.01). Overall six grass species examined, however, there was not relationship between those two measurements, probably reflecting in their differences in the shape and weight of seeds. Coleorhiza hairs, and especially their adhering strength, are a very important factor associated with seedling establishment of surface-sown seeds. From this perspective, there were some advantages insod- and over-seeding were for tall fescue, orchardgrass and Kentucky bluegass. Ⅱ. Effects of Environmental Conditions of Temperature and Soil on Germinating Behavior and Adhering Strength of Coleorhiza hairs1) Temperature The germinating behavior and the adhering strength of coleorhiza hairs of the surface-sown tall fescue were investigated under different temperature conditions. The best germination process wasobserved at the temperatures of 15- 25℃ which have been known as the favorable range of growthtemperatures for temperate grass species. Within that temperature range the coleorhiza hairsappeared,grew vigorously and adhered strongly to the soil surface,and the percentage of the rising type in germinating behavior was considerably higher as compared with other temperatures, such as5℃ and 35℃. At the unfavorable temperatures, the exposed root type was observed more frequently, reflecting the weak adherence of coleorhiza hairs which was associated with lower number andlength of the hairs. The lying type was infrequent throughout all temperature conditions tested. Theadhering strength of coleorhiza hairs was closely correlated with number and length of those hairs and with the percentage of rising type (r =0.89, p<0.01 and r=0.92, p<0.01).\n2) Soil type, moisture and hardness The germinating behavior and the adhering strength of coleorhiza hairs of surface-sown tall fescueseed in a yellow paddy field soil and in three different types (sampled from Takanoo, Kawatabi, and Nishinasuno areas) of Kuroboku soil treated with 7 or 6 moisture levels (40- 90%) were observed.With all soil types and moisture levels, the lying type was rernarkably dominant below the hardness value of 3 gr which was determined on the soil surface by the silk needle method. The percentages of the rising type and the exposed-root type were increased with increasing soil hardness related to the decreasing moisture content. The highest percentage of the rising type was obtained at 40% and 85%moisture contents for paddy field soil and for the Kuroboku soils respectivety,indicating that the adhering of coleorhiza hairs was very variable in different physical structures of soil.\n3) Forms of organic litter on the soil surface As for with the germination rate and percentage of tall fescue sown on the soil surface, thosevalues of that grass were not influenced by three different forms of organic litter placed on the soil surface (the leaf litter layer, the decomposed layer, and the ash layer), except for a lower germination ratewith the leaf litter layer. The rising type tended to be higher for the decomposed matter than the leaflitter form, although all percentages were considerably higher in the exposed-root type. The adheringstrength of the coleorhiza was, as the result of combining adhering potentiality of the hairs and physicalstructure of soil or organic matter, lower with the decomposed matter and ash layers as compared withthe yellow paddy field soils.\nIII. Effects of Soil Amendment matter and Seed Pressing on the Seed Germination and Seedling Establishrnent1) Application of soil amendment matter The germination behavior of surface-sown tall fescue was investigated at the different pH conditions of each of the yellow paddy field soils and the Takanoo Kuroboku soils treated with applications ofsoil amendment matter. The rising type in germinating behavior was dominant at the pH values of 5to 8 in the paddy field soils and at the values of 5 to 6 in the Kuroboku soils. An application of fused magnesium phosphate was more effective in improving the p.H value of the acid Kuroboku soils and the germinating behavior in that soil than was that of superphosphate.\n2) Seed pressing Cattle trampled surface-sown seeds into the soil induced more favorable germination, such as higher percentage and higher initial growth of plant. Without trampling, most of seeds were lost during unsettled conditions. The adhering strength of coleorhiza hairs of surface-sown seeds was increased by seed pressing to about 1.4-2.4 times as much as no pressing, showing a higher percentage of the rising type which was superior in the initial growth to the exposed-root type. By inserting the embryo part of the seed intothe soil to about 2 mm depth, or by pressing seeds at the force of about 1 gr, good penetration of the seminal root and good seedling establishment were highly achieved even for the Kuroboku soils in which the exposed-root type was normally dominant.\n In the present study adhesion of coleorhiza hairs to the soil surface was found to aid favorablepenetration of the seminal root and thereby to induce favorable seed germination and seedling establish-ment because such anchoring action could protect seeds from being held by the penetration of the semi-nal root, The strength of coleorhiza hairs was found to be positively related to the percentage of therising type in germinating behavior observed during such initially critical stage of germination. The rising type in germinating behavior resulted in good seedling establishment, while the exposed-root typedid not survive. With the sod- and over-seeding establishment tested here, the percenhge of the rising type was variable depending on grass species, soil type and moisture level, hardness of soil surface,form of organic litter, application of soil amendment matter, and seed pressing. Frorn the viewpoint ofthe adhering function of coleorhiza hairs, application of soil amendment matter and seed pressing werefound to be effective methods to improve seed germination and seedling establishment, especially foracid Kuroboku soils which weakened the adhering strength of coleorhiza hairs.
著者
唐澤 健太 春原 則子 森田 秋子
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.242-249, 2015-06-30 (Released:2016-07-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1

仮名一文字や仮名単語の音読は比較的良好だが, 仮名非語の音読に著明な障害を示す音韻失読の 1 例を経験した。単語音読では同音擬似語効果を認め,転置非語において語彙化錯読を多く認めた。音韻操作課題ではすべての検査において成績の低下を認め, 特に単語の逆唱のような音韻操作に負荷がかかる課題で誤りが多くみられた。また, 単純動作を指示された通りに素早く繰り返す課題では, 異なる順序に誤る傾向を認めた。訓練として, 文字を使用しない音韻操作課題と順序情報処理課題を約 3 週間実施した。 その結果, この間音読訓練はまったく実施しなかったにもかかわらず非同音非語の音読が有意に改善し, 音韻操作課題,順序情報処理課題ともに成績が向上した。本例における非語音読の改善は, 音韻操作と順序情報処理のいずれか, あるいは双方へのアプローチによる可能性が大きいと考えられた。
著者
森田 悠基 松井 藤五郎 大和田 勇人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.1B21, 2009

<p>本論文では構築したWeb上のブログ空間から、評判ブログを抽出し、検索できるようにするためのシステムに対し、適切な分類アルゴリズムを比較検討する。ブログを個人ブログと非個人ブログに分けるという観点に基づいた分類に対し、Naive Bayes, Support Vector Machineといった教師あり学習とEMといった半教師学習を組み合わせた手法について比較実験を行う。</p>
著者
柏田 良樹 森田 益史 野中 源一郎 西岡 五夫
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.856-860, 1990-04-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
13
被引用文献数
11 15

A chemical examination of the polyphenolic constituents of the fern, Dicranopteris pedata HOUTT., has led to the isolation of eight new proanthocyanidins possessing a doubly-linked (A-type) unit, together with known flavan-3-ols and proanthocyanidins. On the basis of chemical and spectroscopic evidence, they are characterized as epiafzelechin-(4β→8, 2β→O→7)-eniafzelechin-(4α→8)-epiafzelechin(8), epicatechin-(4β→8, 2β→O→7)-epiafzelechin-(4α→8)-epiafzelechin(9), epiafzelechin-(4β→8, 2β→O→7)-epizfzelechin-(4α→8)-epicatechin(10), epiafzelechin-(4β→8, 2β→O→7)-epicatechin-(4α→8)-epicatechin (11), epicatechin-(4β→8, 2β→O→7)-epiafzelechin-(4α→8)-epicatechin (12), epicatechin-(4β→8, 2β→O→7)-epicatechin-(4α→8)-epiafzelechin (13), epicatechin-(4β→8, 2β→O→7)-epicatechin-(4α→8)-epigallocatechin (14) and epiafzelechin-(4β→8)epicatechin-(4β→8, 2β→O→β→7)-epicatechin-(4α→8)-epicatechin (15).
著者
森田 康之 石黒 孝知 巨 陽
出版者
The Japanese Society for Experimental Mechanics
雑誌
実験力学 (ISSN:13464930)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.88-92, 2013-03-28 (Released:2013-09-28)
参考文献数
20

High-efficiency technology to the photodiodes has become a critical issue. Surface plasmon resonance (SPR) would be one of the means for solving the problem. Photocurrent of photodiodes is enhanced by metal nanoparticles, which induce the localized SPR, deposited on light-receiving surface of the photodiodes. Most previous studies had been focused on the photocurrent enhancement effect around maximum absorption wavelength of the nanoparticles. The effect except the wavelength has not been paid attention yet. For instance, in case of a solar cell, metal nanoparticles which have maximum absorption wavelength at around 500nm, have been widely employed since solar light has higher illuminance around 500nm. However, the photocurrent enhancement effect of the nanoparticles has not studied around near-infrared light though illuminance of the near-infrared light is quite valuable. Therefore, in this study, experimental investigation of photocurrent enhancement effect was conducted using Au nanoparticles with 100 and 150nm in nominal diameters, which have maximum absorption wavelengths at around 500nm. As a result, the photocurrent enhancement effect was obtained at near-infrared wavelengths. In addition, higher enhancement effect was achieved when the two Au nanoparticles were mixed. This would be ascribable to obtaining wider bandwidth of maximum absorption wavelengths due to mixing of different-size nanoparticles.