著者
松岡 紘史 森谷 満 坂野 雄二 安彦 善裕 千葉 逸朗
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.152-157, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
17

頭頸部領域の心身症に対する認知行動療法では, 症状を悪化・維持させている習慣行動や症状に対する認知的評価が中心的な治療ターゲットであり, その有効性が明らかにされている. 舌痛症およびドライマウスに関しては, 認知的要因の重要性を指摘する研究は存在するものの, 回避行動や安全行動の重要性についての報告はこれまで存在してないが, 症状を悪化・維持させている習慣行動を治療要素に取り入れることで, 良好な結果が得られた. 舌痛症およびドライマウスに対しては, 認知的要因への介入に加えて, 回避行動や安全行動などの習慣行動を治療対象とすることで, より効果的な治療の提供が可能になると考えられる. また, 舌痛症やドライマウス以外の頭頸部の心身症に対しても, 症状を悪化・維持させている習慣行動や症状に対する認知的評価に基づく認知行動療法が効果的な治療法となる可能性があるといえる.
著者
松本 珠希 後山 尚久 木村 哲也 林 達也 森谷 敏夫
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.1011-1024, 2008-12-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
50
被引用文献数
3

月経前症候群(premenstrual syndrome; PMS)は,身体・精神症状から社会・行動上の変化に至るまで広範囲にわたる症状が,黄体期後半に繰り返し出現し,月経開始後数日以内に軽快するという特徴をもつ.種類や程度,継続する期間を問わなければ,性成熟期女性の大半が何らかのPMS症状を自覚しているといわれているが,その成因はいまだ明らかにされていない.本研究では,PMS症状のレベルが異なる女性を対象に,"体内環境の恒常性維持に寄与し,心の状態にも影響を及ぼす"とされる自律神経活動の観点から月経前の心身不調の発症機序について探求することを試みた.正常月経周期を有する20〜40代の女性62名を対象とした.実験は卵胞期と黄体後期に各1回行った.月経周期は,月経開始日,基礎体温および早朝第一尿中の卵巣ホルモン・クレアチニン補正値を基準に決定した.自律神経活動は,心拍変動パワースペクトル解析により評価した.月経周期に伴う身体的・精神的不定愁訴および行動変化は,Menstrual Distress Questionnaire (MDQ)により判定した.MDQスコアの増加率に応じて,被験者をControl群,PMS群,premenstrual dysphoric disorder (PMDD)群の3群に分け,卵胞期から黄体後期への不快症状増加率と自律神経活動動態との関連を詳細に検討した.PMS症状がないあるいは軽度のControl群では,自律神経活動が月経周期に応じて変化しないことが認められた.一方,PMS群では,卵胞期と比較し,黄体後期の総自律神経活動指標(Total power)と副交感神経活動指標(High-frequency成分)が有意に低下していた.PMDD群では,黄体後期の不快症状がPMS群よりもいっそう強く,自律神経活動に関しては,他の2群と比較すると卵胞期・黄体後期の両期において心拍変動が減衰,併せて,すべての周波数領域のパワー値が顕著に低下していた.PMSは,生物学的要因と・心理社会的要因が混在する多因子性症状群であり,その病態像を説明するさまざまな仮説が提唱されてはいるが,統一した見解が得られていないのが現状である.本研究からPMSの全貌を明らかにすることはできないが,得られた知見を考慮すると,黄体後期特有の複雑多岐な心身不快症状の発現に自律神経活動動態が関与することが明らかとなった.また,PMDDのようなPMSの重症例では,月経周期に関係なく総自律神経活動が著しく低下しており,黄体後期にいっそう強い心身不調を経験するとともに,月経発来後も症状が持続するのではないかと推察された.
著者
小玉 幸助 森谷 就慶
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部保健福祉学科
雑誌
保健福祉学研究 = Journal of health and social services (ISSN:13484567)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.19-25, 2016-03-31

保育士国家資格を取得するためには、保育相談支援(以下、保育ソーシャルワーク)の必修科目を取得しなければいけない。保育ソーシャルワークでは保護者対応を中心に相談援助を図る科目であるが、最近では精神疾患や虐待への対応を保育士に求めている。保育ソーシャルワーク研究では、社会福祉援助技術あるいは保育士固有の相談援助技術などの主張がある。しかしながら、精神保健福祉援助技術に関する指摘がない。保護者支援をするうえで、精神的不健康な保護者を支援するならば、精神保健福祉援助技術の必要性は高い。結論、本研究では先行研究及び育児不安を抱く保護者の現状を調査し、精神保健福祉援助技術の重要性を考察していく。
著者
森谷 渕
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.905-915, 1993-10-30 (Released:2010-04-19)
参考文献数
15

The safety of CIS and Eastern Europe Nuclear Power Plants is a serious concern throughout the world. The features of design and operation of the Soviet PWR (VVER) have been recently revealed. This paper is to introduce the technical characteristics, together with the issues and background of safety countermeasures for the operating VVER. The reference data is taken mainly from IAEA technical documents.The safety of VVER-440/V-230 plants is a major concern, since these plants do not possess enough safeguards against fire, redundancy of ECCS, embrittlement of reactor pressure vessels and plant operational management. Therefore, an urgent response to secure safety features is strongly anticipated, based upon international practice and principles.In order to establish safety features for CIS and Eastern Europe NPPs, international cooperation has been progressed utilizing multiple frameworks; such as G-7, G-24, ECC, IAEA, OECD and WANO. Among them, IAEA has made considerable contributions by making design reviews of NPPs in those countries after 1990. Japan is also participating on cooperative activities through organization of training programs in Japan for nuclear specialists from those countries and the dispatch of specialists.
著者
飯野 友里恵 森谷 友昭 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 35.14 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.49-52, 2011-03-04 (Released:2017-09-21)
参考文献数
2

モーションキャプチャシステムを用いて取得されたデータを利用して,ストリートダンスの動作解析を行った.ダンス経験者と初心者のモーションデータを取得し,その違いが数値的に表れているか,特徴抽出を試みた.解析結果によれば,上級者との違いを初心者へ伝達し,練習効率を高めるための処理とシステム化を検討したので,報告する.
著者
たら澤 邦男 藤森 研司 森谷 就慶 尾形 倫明 千葉 宏毅 三澤 仁平
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

日本は超高齢・多死社会を迎え、国民が希望する場所で最期を迎えるための条件整備が急がれる。国民の55%は自宅で最期を迎えることを希望する一方、死亡場所の74%は病院であり、がんによる病院死は83%とさらに高い。がん患者について、病院死症例を多く含む病床機能と終末期医療の実態は明らかにされておらず、在宅看取りが多い地域にはどのような病院機能があるか解明されていない。そこで本研究は、在宅看取りの高低に対し同一地域の病院機能が与える影響を明らかにすることを目的とする。目的達成のためNDBレセプトデータ、官公庁公開データを併用した分析を行い、地域で実現可能な在宅看取りの普及啓発のあり方を検討する。
著者
永井 成美 坂根 直樹 森谷 敏夫
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 = Journal of the Japan Diabetes Society (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.761-770, 2005-11-30
被引用文献数
12

本研究は, 朝食欠食や食事中の三大栄養素の比率が食後の血糖値, 満腹感, エネルギー消費量, および自律神経活動に及ぼす影響を肥満関連遺伝子多型とともに比較検討したものである. 若年健常者8名に, 各被験者の体重1kgあたり22kcalに調整した総摂取エネルギーが等しい4試行の朝食と昼食の組み合わせ (CC : ご飯を主食とする高糖質食+高糖質食, SC : 欠食+高糖質食2食, FF : パンを主食とする高脂肪食+高脂肪食, SF : 欠食+高脂肪食2食) を4日間でランダムな順序で負荷し, 朝食前および朝食後6時間まで30分間隔で, 血糖値, Visual analog scaleによる満腹感, 呼気ガス, 心拍変動解析による自律神経活動を測定した. CC試行ではFF試行よりも朝食後3時間の血糖値, 満腹感, エネルギー消費量が有意に高く, 6時間の熱産生も4試行中最も高値であった. 高い満腹感や熱産生には有意差はなかったが自律神経系の関与が推察された. 朝食欠食 (SC, SF) 試行では熱産生が低く, 昼食後に心拍数の著増を認めた. また, UCP 1遺伝子のhomo変異 (GG) を有する者では熱産生が低い傾向が認められた. 以上の結果は, 耐糖能正常者において糖質を主体とする朝食の摂取が肥満予防に寄与する可能性とともに, 遺伝的背景へ配慮した予防の必要性を示唆するものである.
著者
森谷 武男 茂木 透 高田 真秀 山本 勲
出版者
北海道大学大学院理学研究院自然史科学部門(地球物理学) = Department of Natural History Sciences (Geophysics), Graduate School of Science, Hokkaido University
雑誌
北海道大学地球物理学研究報告 (ISSN:04393503)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.269-285, 2009-03-15

A new observation system established in Hokkaido, northern Japan to confirm a suspected relationship between anomalous radio-wave propagation and impending earthquakes has been documenting anomalous VHF-band radiowave propagation beyond the line of sight prior to earthquakes since December, 2002. During such events, radio waves transmitted from an FM radio station were scattered, such that they could be received by an observation station beyond the transmitting station's line of sight. A linear relationship was established between the logarithm of the total duration time of the anomalous transmissions (Te) and the magnitude (M) or maximum seismic intensity (I) of the impending earthquake for M4- to M5-class earthquakes that occurred at depths of about 50 km beneath the Hidaka Mountains in Hokkaido, Japan in June 2004 and March 2008 as reported in the previous paper (Moriya et al., 2005). Similar linear relationships are also valid for earthquakes that occurred at other depths. Te is longer for shallower earthquakes and shorter for deeper ones. Numerous parameters seem to affect Te, including hypocenter depths and epicentral surface conditions (i.e., sea versus land). This relationship is important because it means that pre-seismic, anomalous transmission of VHF-band waves may be useful in predicting the size of an impending earthquake. To avoid misidentification of FM stations that have identical frequencies, three 64 MHz band transmitters were established, each with a unique frequency. Earthquakes that occurred in and around eastern Hokkaido scattered waves from FM-band and 64 MHz-band stations and provided quantitative relationships between Te and M, and between Te and I. Using the interferometer at the TES observation site, the incident azimuth of the scattering waves from the Hiroo station was measured. Prior to two earthquakes that occurred beneath almost the same part of the Tokachi region at depths of 86 km and magnitudes of M 4.9 and 4.0, the interferometer yielded incident azimuths of S18W and S34W. The true azimuths from TES to the hypocenters of the two earthquakes were S35W and S38W, respectively. These two measurements, therefore, suggest that anomalous transmission of VHF waves is caused by scattering at the epicenters of impending earthquakes.
著者
森谷 裕美子
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 文学研究篇 = The Bulletin of The National Institure of Japanese Literature (ISSN:18802230)
巻号頁・発行日
no.45, pp.183-200, 2019-03-15

狐は歌舞伎と浄瑠璃によく登場する動物である。近世演劇において、狐はどのように登場し、どのような役割を果たしているのであろうか。拙稿では元禄期(宝永期を含む)を中心として、狐の関わる作品を概観しその特徴を考察する。狐の登場する作品は、元禄期を通じて頻繁に舞台にかけられている。作品を概観すると狂言の「釣狐」系統の作品が多いことに気づく。「釣狐」は、観客にとっても馴染み深く、話の筋にもあまり影響をもたらさずに一場面に取り入れることができ、利用しやすかったのではないか。役者評判記の評文を見ると、狐は滑稽な場面によく登場している。所作、軽業で演じられることも特徴の一つである。そして、日本古来の狐ではない「殺生石」以外においては、悪い狐は少ない。歌舞伎役者、大和屋甚兵衛は、狐の演者として評価が高く、甚兵衛により、狐の演技の基盤が作られたと言えるかもしれない。一方、浄瑠璃作品においては、善狐が多いものの、滑稽な場面が少ない。「丹州千年狐」、「天鼓」においては、狐の親子の情愛が描かれ、それは人間の感情とは変わることがない。神の使いでもあり動物でもある狐は、聖俗の両面があり、観客はいろいろな狐の姿を楽しんだ。The Fox is an animal that often appears in Kabuki and Jōruri plays. How fox appears in the early modern theater and what kind of roles did he played?In this article, we stepped back and looked at the big picture of works performed in the Genroku period (including the Hōei period) in which fox appeared. The works in which fox appeared were frequently performed during the Genroku period. We noted that Tsuri-gitsune (one of the works of Kyōgen) have been adopted in many works. Tsuri-Gitsune would had been easy to use perhaps because the work could be incorporated into a scene without affecting the story and since the audiences back then were familiar with the work. According to a review in the Yakusha-hyoban-ki (Reputation notes of Kabuki actors), foxes are commonly appearing in ridiculous scenes. They are also characterized by poses and movements almost danced as well as acrobatics. The bad foxes are few, except Sessho-seki which is not an ancient Japanese fox. A kabuki actor, Yamatoya Jinbee had a high reputation as actor playing a fox. Jinbee might had laid the groundwork of the fox's acting.On the other hand, in Jōruri works, there are many good foxes, but there are less ridiculous scenes. In Tanshu-sennen-gitsune and Tenko, the affections of the fox parent and child are depicted which no difference from human sentiments.Since fox had double sides as a secular animal and as a holy creature, the audiences must had enjoyed the various appearances of the fox in those days.
著者
侘美 靖 森谷 きよし
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.145-157, 2005 (Released:2006-02-18)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本研究は,中高年者が多数参加し,2月から約4ヶ月間にわたって週2回の踊り練習を継続する北海道のYOSAKOIソーランチームを対象に,踊りの運動強度としての心拍数(HR)と腰部位の合成加速度,また踊り練習への参加による運動量や体力向上を検討した.中年踊り子の演舞時HR最高値が180拍/分を超えるほど踊りの運動強度は高く,HRと腰部位加速度値は正相関していた.また,演舞中HR最高値は,練習時に比べ祭り時は20拍/分ほど高くなる場合もあり,緊張感と気象条件の影響が推察された.被験者NR(50歳女性)の練習日の1日当たりの歩数と運動によるエネルギー消費量は,非練習日に比べ有意に増加した.YOSAKOIソーラン祭り参加者の体力レベルは,約4ヶ月の間に改善していた.YOSAKOIソーラン踊り練習と祭りへの参加により,冬期に運動不足になりがちな寒冷地域に住む人々の健康増進に効果のあることが示唆された.
著者
宮島 成江 森谷 〓 阿岸 祐幸
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.131-138, 1997-12-01 (Released:2010-10-13)
参考文献数
13
被引用文献数
3

湯温37-39℃の入浴 (微温浴) とラベンダー精油の経鼻腔吸入はそれぞれ鎮静作用を持つことが確かめられてきている.しかし, ラベンダー湯入浴 (ラベンダー精油の混入された微温浴) のリラクセーション効果に関しては, 実証的な研究がなされていなかったので, 本研究で, 青年男女を対象とし, 39℃, 15分間のラベンダー湯入浴中及び出浴後の変化を, 同じ温度と時間の対照湯入浴における変化と比較し, 検討した.2入浴条件の差は特に出浴後に認められた.出浴後, ラベンダー湯入浴では対照湯入浴に比べて, 男性の心拍数が有意に低下し, 女性の心電図R-R間隔変動係数 (CVR-R) 並びにNowlisの質問紙を基にして評価した快適性の気分が高まり, リラックスした状態にあったことが示された.
著者
小玉 幸助 大竹 伸治 森谷 就慶 若林 真衣子
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部保健福祉学科
雑誌
保健福祉学研究 = Journal of health and social services (ISSN:13484567)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-8, 2018-03-31

2017年度に内閣府が公表した『平成29年版子供・若者白書』によると、不登校児童・生徒数は、小中学生で12万5,991人、高校生は₄万9,563人であった。小中学生の不登校は増加傾向にある。不登校児童・生徒の解消には、学校と関係機関との連携が必要不可欠な状況であり、この役割を担うのがスクールソーシャルワーカー(以下、schoolsocial worker:SSW)である。SSWは小中学校および高等学校で導入されており、効果検証も行われてきている。しかしながら、スクールソーシャルワーク活用事業に関しては経済分析が行われておらず、経済効果が明らかにされていない。本研究では不登校児童・生徒解消数を公表する北海道、山形県、東京都、長野県、鳥取県、島根県、広島県、福岡県、佐賀県(以下、₁都₁道₇県)の不登校児童・生徒を対象にSSWにおける経済効果を算出することを目的に、所得を中心に経済学的視点からシミュレーション分析を試みた。
著者
岩崎 輝雄 岩崎 洋一 矢崎 俊樹 森谷 〓 阿岸 祐幸
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.147-152, 2002 (Released:2010-08-06)
参考文献数
20

We plotted the distribution of long-lived persons derived from the national register of long-lived persons as of fiscal years of 1980 (N=1, 349) and 2000 (N=17, 740) prepared by the Ministry of Health and Welfare to investigate various factors such as medical climatology and geography on healthy aging. The data were plotted on a map of Japan classified into various living environments, such as coastal areas, forests, and mountainous areas. In addition, we investigated universal elements and transforming elements through year-by-year comparisons over a period of 20 years. Japan was divided into nine climatic districts Hokkaido, the Japan Sea area, the Pacific Ocean area, the Sanriku district, the Tokai district, the inland district, the Seto Inland Sea district, the Northern Kyushu district, the Nankai district, and the South-western Islands.Consequently, we found a common trend that relatively warm climates and climates in coastal areas are favorable for longevity. However, the following trends were also recognized as transforming elements that cannot be ignored: 1. A remarkable improvements in the rate (number of long-lived people per 100, 000 population) in cold climate regions, i.e., the Japan sea area, inland area, and Hokkaido; 2. A remarkable shift of higher rates from coastal areas, which are contaminated by industrial plants, to inland flat areas.As a result, it has become clear that research on factors of healthy aging, especially in cold climate regions, have to be made in the future.
著者
森谷 博之
出版者
中央大学企業研究所
雑誌
企業研究 (ISSN:13479938)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.77-105, 2019-02-28

Strong computation power and the age of big data have enabled us to apply artificial intelligence, machine learning and genetic algorithms to financial markets. In the 1950’s, Harry Markowitz invented the portfolio optimization technique that changed the concept of investment opportunities from highest return, ignoring risk, to the balance between risk and rewards. However, this innovative idea has presented many obstacles. But, over the years innovative people have been inventing mathematical solutions for these various constraints. Even though this has been challenging historically, practitioners prefer the simple heuristic methods based on their experience due to difficulty to estimate expected returns and volatility. Finally, new solution is developed and called a Risk Parity policy and enhanced version, Hierarchical Risk Parity introduced by de Prado in 2016.This paper first introduces the history of Modern Portfolio Theory and Risk Parity portfolio and then explains how to develop hierarchical risk parity. In conclusion, a hedge fund portfolio is constructed by using hierarchical risk parity to compare the results with those of an equally weighted portfolio and a minimum variance portfolio.
著者
森谷 敏夫
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.470-476, 2011-10-31 (Released:2014-11-11)
参考文献数
13

肥満は, 食べ過ぎ, 運動不足, 遺伝, 食事の偏り, 熱産生障害 (体温維持や食後のエネルギー燃焼低下), 自律神経機能の低下などが複雑にからみあった結果であると考えられます. ですから, 太る原因は人さまざまなのです. でも, この地球上の多くの人々は実際には飢餓と毎日戦っており, 「肥満」という文字は存在しないのです. 肥満が目立つのは機械文明が発達した国の飽食と運動不足社会だけといっても過言ではないでしょう. 日本も例外ではなく, 40歳以上の男性の二人に一人がメタボリックシンドローム (内臓脂肪症候群) に罹っている可能性が強く示唆されているのが現状です. 戦後の激変した食環境, 運動不足環境が生み出した産物であると理解したほうが妥当なのです. 肥満はほとんどすべての生活習慣病 (糖尿病, 高血圧, 脳・心臓血管系疾患など) の温床になっています. ただこれらの生活習慣病と関係が深い肥満症, 高血圧症, 高脂血症, 糖尿病などの「死の四重奏」は病魔への序曲を音もなく奏でるので, 病気が発生するまでほとんど「無自覚, 無痛」なのです. 運動不足を意図的に再現した7日間のベッドレスト実験で, 骨格筋の糖取り込み能力やインスリン作用の低下が劇的に起こることが証明されました. 世界でも最も健康管理ができているNASAの宇宙飛行士が, 2週間の無重力飛行で超運動不足を強いられて地球に帰還すれば, 糖尿病患者よりも血糖コントロールが悪くなっているのは容易に理解できるでしょう. 筋肉はわれわれの体の約4割を占め, 糖質・脂質エネルギーを最も多量に使う“臓器”なのです. この“臓器”筋肉の収縮はインスリンとは別の細胞内シグナル伝達機構を介して, 糖輸送を活性化できるので, インスリン抵抗性の存在下においても, 運動により糖輸送は通常正常に機能します. また, 運動により記憶などをつかさどる海馬での脳由来神経栄養因子が増加することが明らかにされており, 学習能や記憶力の増加, 認知症の予防, 自律神経活動や脳諸機能の保全のみならず, IGF-1, インスリン, GLP-1などのホルモンを仲介してエネルギー代謝や食欲調節にも大きく関与している可能性が示唆されています. 「生涯現役, 死ぬまで元気」に生きるためには, それなりの努力が当然必要になってくるでしょう. 一生涯の習慣的な運動の継続や賢い食生活が肥満や生活習慣病の予防や豊かな老後への免罪符になるのです.