著者
壁谷 英則 藤田 雅弘 森田 幸雄 横山 栄二 依田 清江 山内 昭 村田 浩一 丸山 総一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.70-74, 2008-01-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

全国23都道府県のペットのグリーンイグアナについてSalmonella, PastemllaおよびStaphylococcusの保菌状況を検討した.Salmonellaは, 98頭中17頭 (17.3%) の糞便から分離された. 分離株49株中47株は, 生物群IVのS. enterica subsp. houtenaeであり, わが国のイグアナが原因と思われる乳児サルモネラ症の原因となった血清型45: g, Z51:-が3株, 生物群IのS. enterica subsp.entericaも2株分離された. 陽性個体17頭由来の17株中9株 (52.9%) はstreptomycin耐性株であり, また, すべての株は上皮細胞侵入因子 (invA) およびエンテロトキシン (stn) 両遺伝子を保有していた.P. multocidaは89頭中3頭 (3.4%) から, また, S. aureusは18頭 (20.2%) の口腔からそれぞれ分離された.
著者
森山 倭成 岸本 秀樹 木戸 康人
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.161, pp.35-61, 2022 (Released:2022-05-20)
参考文献数
46

肥筑方言における主語は,生起する環境が主節か埋め込み節かにかかわらず,ガ格の代わりにノ格で標示させることが可能である。先行研究では,肥筑方言のノ格主語が,ガ格主語とは異なり,主語移動(A-移動)を起こさず,vP内に留まると主張されてきた。しかし,本論では,肥筑方言のノ格主語は,vP内に留まるのではなく,TPとvPの間に挟まれたAsp(ect)Pの指定部位置へ主語移動を起こすことを論じる。このことを示すために,まず,未確定代名詞束縛とサー感嘆文に関する言語事実から,ガ格主語はTP指定部位置に移動する一方で,ノ格主語はガ格主語よりも低い構造位置で認可されることを示す。次に,vP分裂文に関するデータから,ノ格主語が主語移動を受けてvP指定部よりも高い位置に移動することを示す。特に,vP分裂文のデータはノ格主語が動詞句内に留まることができないことを示す強い経験的な証拠を提供する。
著者
森田 十誉子 山崎 洋治 湯之上 志保 細久保 和美 武儀山 みさき 藤井 由希 石井 孝典 高田 康二 冨士谷 盛興 千田 彰
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.255-264, 2012-08-31 (Released:2018-03-15)
参考文献数
34

目的:集団健診における歯周病のスクリーニングには,CPIが通常用いられているが,検査に時間を要し,受診者の負担も大きいことから,簡易な検査法が求められている.本研究では,検査紙を用いた唾液検査と自覚症状を尋ねる質問紙調査との組合せによる歯周病スクリーニング法の有効性を検討した.材料および方法:対象は,某事業所の歯科健診を受診した成人のうち,本試験への参加に同意が得られた468名(平均年齢36.6歳,男性362名,女性106名)とした.唾液検査に用いた試料は,蒸留水で軽く洗口した後の吐出液とし,検査指標はヘモグロビン,タンパク質,白血球および濁度とした.ヘモグロビン,タンパク質および白血球は,検査紙を用いて専用反射率計により測定し,濁度は660nmの吸光度により求めた.質問紙調査項目としては,自覚症状(12項目),喫煙習慣および年齢とした.歯周病の臨床検査はCPI測定により行い,歯周ポケットの有無により分類し評価した.各唾液検査指標については,t検定により歯周ポケット有無との関連性を検討し,さらに,ROC曲線から感度,特異度を算出して検出感度(感度+特異度)の高い唾液検査指標を検討した.自覚症状の項目については,χ2検定により歯周ポケット有無と関連がある項目を検討した.さらに,唾液検査と質問紙調査を組合せたときの感度および特異度を算出することにより,最適な組合せを検索した.結果:1.唾液検査指標のヘモグロビン,タンパク質,白血球および濁度のいずれにも歯周ポケット有無と有意な関連性が認められ,ヘモグロビンが最も高い検出感度を示した.2.自覚症状12項目のうち,「歯をみがくと歯ぐきから血がでることがある」「歯ぐきが赤っぽい,または黒っぽい」「歯と歯の間に食べものがはさまりやすい」「ぐらぐらする歯がある」「固いものが噛みにくい」の5項目を組合せることにより高い検出感度を認めた.さらに,喫煙習慣,年齢を加えることにより検出感度は高まった.3.唾液検査と質問紙調査の組合せでは,ヘモグロビンが陽性,または,自覚症状5項目,喫煙習慣,年齢の計7項目のうち,4項目以上該当の場合に最も高い検出感度を示した.結論:検査紙を用いた唾液検査と自覚症状を尋ねる質問紙調査の組合せは,産業歯科保健活動の現場で活用できる簡易な歯周病スクリーニング法として有効であることが示唆された.
著者
森 順子
出版者
河原学園 人間環境大学
雑誌
人間と環境 (ISSN:21858365)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.31-43, 2011-11-15 (Released:2018-04-23)

シェイクスピアは『ジョン王』、『リチャード三世』、『コリオレーナス』において未熟な母親を描いている。未熟さはわが子との関係において生じる。いずれも未熟さに対し無自覚に生きた母親たちである。自分のこころを省みることのない母親は、こどものこころを慮ることもできない。しかし、この未熟な母親をこどもは受けとめる。そのこどもの姿をとおして見えてくるものがある。シェイクスピアの視線である。未熟な母親を切り捨てず、一人の人間として見つめる視線である。愚かな生き方をしてしまった人間に対する憐憫のこもった視線である。母子関係の観点から未熟な母親像を考察する。
著者
森川 雄二
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.780-783, 1969-09-15 (Released:2011-11-04)

しょう油容器は遠からずワンウェイの合成樹脂の材質に変ることは間違いない。間違いないにしても現在足踏み状態であるのはどんな事情にあるのであろうか。このような問題について容器の有力販売会社であるヤマト硝子の森川常務に書いていただいた。同氏は全国各地をまわり, 業界のこれらの事情に詳しいので, 必ず読者を稗益するところがあるであろう。
著者
武内 寛子 辻野 直良 森本 裕二
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.36-45, 2017-04-20 (Released:2018-05-10)
参考文献数
9

我が国の鉄道のプラットホームで発生する鉄道人身障害事故やプラットホームからの転落の約60%は酔客が原因である.本研究の目的は,プラットホームに設置している防犯カメラ映像を分析し,プラットホームからの転落や列車接触に至った酔客の転落・列車接触時の行動パターンと転落前に見られる前兆行動を明らかにすることである.その結果,酔客の転落・列車接触時の行動パターンが3種類,転落前に見られる前兆行動が5種類あり,それぞれの行動の発生確率が判明した.また,酔客は転落・列車接触の直前までホーム上で静止しており,動き出してから数秒の間に転落・列車接触に至ったケースが全体の約90%を占めていた.このことから,駅員が前兆行動中の酔客を発見した場合は,速やかに酔客に声をかける等して,酔客の安全を確保することが重要である.
著者
寺本 大翼 潮田 悠一 佐々木 絢加 櫻井 佑樹 長濱 宏史 中村 麻名美 杉森 博行 坂田 元道
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.1146-1152, 2013-10-20 (Released:2013-10-21)
参考文献数
13
被引用文献数
1

Various custom-made phantoms designed to optimize magnetic resonance imaging (MRI) sequences have been created and subsequently reported in JSRT. However, custom-made phantoms that correctly match the T1-value and T2-values of human brain tissue (gray matter and white matter) cannot be made easily or quickly. The aim of this project was to search for alternative materials, such as fruits and vegetables, for optimizing MRI sequences. The following eight fruits and vegetables were investigated: apple, tomato, melon, apple mango (Mangifera indica), banana, avocado, peach, and eggplant. Their potential was studied for use in modeling phantoms of normal human brain tissues. MRI (T1- and T2-weighted sequences) was performed on the human brain and the fruits and vegetables using various concentrations of contrast medium (gadolinium) in the same size tubes as the custom-made phantom. The authors compared the signal intensity (SI) in human brain tissue (gray matter and white matter) with that of the fruits and the custom-made phantom. The T1 and T2 values were measured for banana tissue and compared with those for human brain tissue in the literature. Our results indicated that banana tissue is similar to human brain tissue (both gray matter and white matter). Banana tissue can thus be employed as an alternative phantom for the human brain for the purpose of MRI.
著者
森園 徹志
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.94, no.7, pp.938-948, 1991-07-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
52
被引用文献数
3 1

To investigate the influence of the cervical input to the equilibrium, the effect of neck vibratory stimulation on body sway was analyzed in 49 normal human subjects.Body perturbations during standing posture were recorded by a force platform with or without vibratory stimulus on the upper cervical region, and analyzed by computer.During the neck vibratory stimulation, the center of gravity was shifted to the forward, and the amplitude of the body sway was increased especially along the front-rear axis.These results indicate that the proprioceptive inputs from the cervical receptors largely modifies the body equilibrium in normal subjects.
著者
森田 渉 清水 武彦 前田 隆秀
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.511-516, 2008-12-25
参考文献数
18

EL/Seaマウスは100%の頻度で第三臼歯を欠如しており,ヒトにおける先天性欠如歯の原因解明に有用なモデルマウスである.EL/Seaマウスにおける歯の欠如は常染色体劣性遺伝性であると報告されているが,歯の欠如の原因遺伝子は未だ明らかにされていない.著者らは過去にEL/Seaマウスの第三臼歯先天性欠如の原因遺伝子を探求し,EL/Seaマウス第3番染色体の123.1から136.9メガベースペア(Mbp)間に野生型MSM/Msマウスの染色体を導入したコンジェニックマウスを作製し,当該領域に欠如歯の原因遺伝子が存在することをin vivoにて証明し,この遺伝子をabsence of the third molars(am3)としたことを報告している.今回,この第9世代のコンジェニックマウス(N9マウス)を用いて交配実験を行い,MSM由来の染色体の導入領域をさらに限局したマウスを作製し,第三臼歯の欠如率を評価することで,am3の存在領域をさらに狭い範囲まで限定し,候補遺伝子を選定することを目的とした.コンジェニックマウスの第三臼歯欠如の頻度と遺伝子型の結果から,マウス第3番染色体の130.7から131.7メガベースペア(Mbp)間の領域に第三臼歯欠如の遺伝要因が存在することが明らかとなった.この領域内に存在するLef1,Hadh,Cyp2u1,Sgms2,Papss1の5遺伝子が候補であることが示唆された.
著者
森田 慎一 杉谷 想一 小林 由夏 原 弥子 野中 雅也 藤原 真一 堀 高史朗 飯利 孝雄
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.104, no.4, pp.573-578, 2007 (Released:2007-04-05)
参考文献数
10
被引用文献数
1

症例は51歳女性。原発性アミロイドーシスにともなう著明な肝腫大により腹痛が出現。モルヒネの投与を行ったが効果不十分であったため腹腔神経叢ブロックを施行し、有効な除痛を得ることができた。腹腔神経叢ブロックは内臓痛の緩和を目的として施行されるが、手技的に簡便であり重篤な合併症も少ない。腹腔神経叢ブロックは良性疾患および腹部悪性腫瘍にともなう難治性疼痛に対し重要な除痛手段の1つであると考える。

2 0 0 0 OA 愛国行進曲

著者
森川 幸雄[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1940-12
著者
森川 亮
出版者
近畿大学経済学会
雑誌
生駒経済論叢 = Ikoma Journal of Economics (ISSN:13488686)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.43-78, 2016-07-31

[概要]本論では,原子の線スペクトルを包括的に理解しようとする試みが古典的な原子モデルの構築へと至り,それが徐々に量子の概念を取り入れようとする過程を論じる(もちろん,この試みは失敗する)。この過程は前期量子論へのプレリュードとでも呼ぶべき前段階であり,ここに古典力学の枠内で到達できる最高の到達点が顕現されている。しかし,同時にその困難も顕現されており,その困難さが,原子の物理学という観点からもまた件の不連続性に帰着するということが浮かび上がってくる。本論は,この不連続性という困難が,いかにして原子モデルの中から出現し,それがどのようにして量子論(前期量子論)の出現を準備したかを明確化するものである。[Abstract] We will discuss a process of the classical atomic model that tries to adapt to the notion of quantum in this article. These trials will absolutely fail. This is the process to create the inclusive understanding about the spectral line of the atom. This process can be referred to as the prelude to the old quantum theory. This prelude process is the highest reachable point of the classical mechanical theory of physics. However, we are able to see some manifestations of difficulty that are recognized in the aforesaid discontinuity. We will see how the discontinuity turns up from the atomic model based on the classical theory in this article. This process is able to clarify the appearance of the old quantum theory.