著者
藤森 立男
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.108-116, 1989-03-20 (Released:2016-11-23)
被引用文献数
1

The present study aimed at: (1) clarifying the structure of conflict resolution strategies used in interpersonal conflict situations; (2) examining the relationship between the attribution and meta-attribution for conflict and the types of conflict resolution strategies; (3) investigating the relationship between the types of conflict resolution strategies and the outcomes of the conflict. Eighty-two male students living in university dormitories were asked to answer about conflicts they had experienced with other dormitory residents. The survey comprised three parts: a checklist of interpersonal conflicts, an interview on the subject's strategy to solve the conflict, a questionnair pertaining to the subject's cognition of the conflict and conflict outcome. The main results can be summarized as follows: (1) Conflict resolution strategies could be rated along two dimensions as restrained-unyielding, restrained-reconciliatory, promotive-unyielding and promotive-reconciliatory according to the subject's attribution and meta-attribution for conflict and their respective power. (2) The Conflict outcomes (resolution of the conflict, duration of the conflict, satisfaction with the outcome, attraction for the partner after the conflict) were determined by the types of conflict resolution strategies. The restrained-unyielding type and the restrained-reconciliatory type were less effective than the other two types, in that the subjects were likely to be dissatisfied with the conflict outcome. Moreover, the restrained-unyielding type was less likely to provide with a resolution to the conflict.
著者
村松 恵多 河合 佑亮 恒川 祐太 大森 鮎子 神戸 美樹 山田 幸子 髙井 亜希 眞野 惠好 西田 修
出版者
一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会
雑誌
日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 (ISSN:1884233X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.Supplement, pp.S1-S8, 2022 (Released:2022-06-06)
参考文献数
15

目的:人工呼吸器管理下で長時間腹臥位療法を受ける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症患者に対する包括的褥瘡予防策の効果、褥瘡発生のリスク因子を検証した。 方法:人工呼吸器管理下で1日あたり16時間以上の腹臥位療法を受けたCOVID-19重症患者を対象に、後ろ向き観察研究を行った。包括的褥瘡予防策の効果検証のため、顔面へのドライポリマー製マットと皮膚接触部位への体圧分散ウレタンフォーム製マットなどを使用した介入前期と、それに加えて顔面への保護用ヘルメットシステムと前胸部への低反発弾性ウレタンフォームを追加した介入後期を比較した。リスク因子の検証のため、褥瘡発生の有無で比較した。 結果:介入前期と後期の対象者は各8名であり、Intensive Care Unit(ICU)在室中の褥瘡発生率は75%vs 50%であった。褥瘡発生部位は頬骨部位が3件vs 5件で最も多く、顎部位は2件vs 0件、仙骨部位は1件vs 1件、踵部位は0件vs 0件であった。褥瘡発生患者ではICU在室中の最大Sequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコアが高かった(中央値19.5 vs 14.0、p=0.034)。 結論:本研究の包括的褥瘡予防策は、顔面の褥瘡発生率の改善には影響しない可能性が示された。リスク因子として最大SOFAスコアが明らかになった。
著者
森元 隆文 横山 和樹 池田 望
出版者
札幌医科大学保健医療学部
雑誌
札幌保健科学雑誌=SAPPORO MEDICAL UNIVERSITY SAPPORO JOURNAL OF HELTH SCIENCES = SAPPORO MEDICAL UNIVERSITY SAPPORO JOURNAL OF HELTH SCIENCES (ISSN:2186621X)
巻号頁・発行日
no.10, pp.13-24, 2021-03-01

本研究では,統合失調症に対する作業療法,および作業療法士が実施している心理社会的介入の内容と有効な側面を概観し、今後の実践と研究の方向性を検討するために,英語論文のレビューを実施した。3種類の検索データベースとハンドサーチにて論文を収集し 2 段階のスクリーニングを経た結果,34 編が分析対象となった。その内訳は,「作業活動・作業療法マネジメント」9 編,「手段的日常生活活動訓練」2 編「認知機能リハビリテーション」9 編,「運動療法」2 編,「心理教育・技能訓練」4 編,「就労支援」5 編,「地域生活支援」3 編であった。各介入の主な治療標的に加え精神症状や QOL など様々な側面への効果が示されていたが,特に認知機能は作業療法士による多くの介入で効果を示す重要な治療標的であることが示唆された。さらに,今後の実践や研究で作業に関する指標を扱うことで,作業療法の独自性やさらな効果を示すことにもつながると考える。
著者
森川 和則
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.11-16, 2016-01-20 (Released:2016-04-20)
参考文献数
7

人間の視覚により知覚される主観的現実が物理的現実とは異なる場合がある。この現象は錯視と呼ばれる。この論文では日常生活に潜む錯視を視覚心理学の観点から論じる。錯視を積極的に活用している文化の代表格は化粧と服装(ファッション)であり,この分野での実証的・定量的研究を解説する。また,服装におけるバイカラー錯視,大きさ対比の錯視,アモーダル補完の錯視など,および服装以外の商品・製品における同化のデルブーフ錯視の例を紹介する。
著者
森脇 克行 Syafruddin GAUS 須山 豪通 弓削 孟文
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.127-136, 2003-04-25 (Released:2009-12-21)
参考文献数
51

複合性局所疼痛症候群 (CRPS) では, 疼痛, 温度上昇, 浮腫, 関節可動域制限などの症状に伴って骨関節病変がしばしば認められる. 組織損傷後の骨病変として歴史的には Sudeck の骨萎縮と Charcot 関節が知られているが, これらの骨病変はCRPSの骨病変と同一の発生メカニズムによる可能性がある. 近年, 骨代謝の分子生物学が進歩し, CRPSの骨病変を分子生物学的に解明する糸口が見えてきた. 本稿では, 新しい知見をもとに, 骨病変と感覚神経から神経原性に放出されるニューロペプチド, 交感神経活動, 組織障害後に放出されるサイトカインや不動化との関係について考察した. 骨病変のメカニズムの解明はCRPSの病態生理学の理解と治療法の開発に有用と思われる.
著者
森田 学 鶴見 真由美 平岩 弘 坂田 真理子 岸本 悦央 近藤 充宏 渡邊 達夫
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.205-210, 1987-03-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
21
被引用文献数
3 2

歯口清掃による歯の動揺度の改善を, より客観的に評価することを日的として, 動揺度測定装置 (TMC-01) を考案し, 臨床応用を試みた。この装置は, 歯を水平方向に移動させるのに必要な荷重を連続量 (g) で表示するものである。外来患者20名 (被検歯総数216本) を対象に, 来院時毎に, 徹底した歯口清掃と歯間部の清掃を主日的とした刷掃指導を行った。動揺度は, 初診時, 2週, 4週, 8週後にTMC-01を用いて測定し, 同時にプラーク付着状態も診査した。その結果, (1) 動揺歯の荷重平均は, 初診時101g, 2週後141g, 4週後147g, 8週後157gであり, 短期間のうちに著明な改善が認められた。 (2) 2週後で74%, 8週後で85%の動揺歯に改善が認められた。 (3) 初診時, 79g以下の力で動揺を示した歯は, 2週以後の改善傾向が減少したが, 809以上の力で動揺を認めた歯は, 期間全体を通じて改善した。以上より今回用いた装置は, 動揺度の測定に応用できる可能性が示唆された。
著者
中村 節子 森田 佐加枝 井上 浩一 広田 保蔵 小林 瑛児 磯山 恵一 山田 耕一郎 石川 昭
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.481-488, 1992-10-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
28

未熟児貧血の存在はよく知られているがその成因は充分に解明されたとは言い難い.赤血球系造血因子であるエリスロポエチン (Epo) がいかに未熟児貧血に関与しているかを知る目的で早期新生児の血清Epo濃度の測定を行った.被検対象は成熟児42例 (出生体重2, 558~3, 9469, 在胎日数245~295日) , 未熟児28例 (出生体重1, 450~2, 4509, 在胎日数224~266日) であり, 検体採取は日齢5に行った.また, 貧血発症を早期新生児期のEpo濃度より予測し得るか否かを知る目的で, 日齢6以内の未熟児38例について生後12週までに貧血 (Hb<10g/dlとする) を発症した群17例と非発症群21例に分けてEpo濃度を測定し, 検討した.臨床的に明らかな異常の認められるものは対象から除外した.Epo測定はラジオイムノアッセイにより行い, Epoと同時にヘモグロビン (Hb) , ヘマトクリット (Ht) も測定した.日齢5の成熟児群のHb値は17.02±1.739/dl, Ht値は52.41±5.33%であり, 未熟児群のHb値は15.96±2.359/dl, Ht値は48.80±6.99%であった.Hb値, Ht値いずれも未熟児で有意に (P<0.05) 低値を呈した.これに対して, 日齢5のEpo値は成熟児群で9.83±3.14mU/ml, 未熟児群で10.02±3.48mU/mlでありいずれも健康成人の正常値下限に分布したものの, 両群問において有意差は認められなかった.すなわち, 未熟児群では成熟児群に比し, Hb, Htが低値にもかかわらず, Epo値は高値を示さなかった.また, 日齢6以内の未熟児で貧血発症群のEpo値は11.37±4.92mU/ml, 非発症群は9.17±3.10mU/mlであり, 貧血発症群でやや高値を示したが, 統計学的有意差は認められなかった.したがって, 早期新生児期のEpo値から将来の貧血発症を予測することは, 今回の結果からは困難であった.未熟児のHbとEpo濃度の関係についても検討したが, 相関は認められなかった.未熟児における赤血球系計測値は出生体重や在胎期間の影響をうけ, 一般に成熟児より低値を示す.Epoについてこれらの影響を検討したが出生体重, 在胎期間いずれとも相関を示さなかった.
著者
井澤 美砂 大行 莉乃 堀内 蓮太郎 神生 凌我 佐藤 和紀 森下 孟
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.130-135, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

本研究では,教員養成学部生の情報モラル指導力育成に対する有効性とICT活用指導力への影響を明らかにすることを目的とした.学校現場で児童生徒に指導を行っている外部講師による講義後,受講生を対象に情報モラルの意識及びICT活用指導力に関するアンケート調査を実施した.その結果,本講義を通じて情報モラル教育について学ぶ良い契機となったことが窺えたが,実践的なICT活用指導力の向上にはつながらなかった.
著者
齊藤 陽花 金松 萌々花 南條 優 下﨑 高 小泉 遥香 佐藤 和紀 森下 孟
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.96-101, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

本研究では,X大学の教員養成学部1年生を対象に,高校時のオンライン授業の経験の有無が,ICT活用指導力にどのような影響を及ぼすのか検討することを目的として,それらに関するアンケートを実施した.その結果,①オンライン授業の経験をしていた学生の割合は,高校2年次が最も高く,次いで高校3年次,また,高校1年次はオンライン授業の経験はほとんどなく,②オンライン授業の経験により,オンライン授業に対する肯定的な意見や情報モラル指導に関する意識を持つことができると示唆された.
著者
本田 和也 森塚 倫也 伊藤 健大 松尾 彩香 日宇 健 川原 一郎 小野 智憲 原口 渉 牛島 隆二郎 堤 圭介
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10802, (Released:2020-08-31)
参考文献数
40

要旨:日本における脳卒中診療は,患者数増加・高齢化等,多様な問題に直面しており,専門医不足に伴う過重労働や燃え尽き症候群が危惧されている.医師以外の人的資源を有効活用した診療システムが必要であり,高度実践看護の能力を持つ nurse practitioner(NP)はこの診療分野に貢献し得る.NPは医師の指導・協働下に,専門性の高い特定行為や医師業務の代行が可能であり,脳卒中チーム内の多職種ならびに患者・家族間をコーディネートする中核的存在としても活躍している.米国ではすでに半世紀前より,医師の過重労働を予防・緩和する解決策のひとつとして,NP制度が多方面の医療現場で積極的に導入されてきた.NPの能力・技量や果たし得る業務の可能性は,未だ医師の間で十分に認識されている状況ではない.日本版NPは,今後の本邦脳卒中診療システムを改革する医療職として期待される存在である.
著者
木村 和孝 皆川 輝彦 森田 真理 長谷部 行健
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.2106-2110, 2016 (Released:2017-02-28)
参考文献数
16

症例は79歳,女性.現病歴:BMI36と肥満のある患者.排便をしようといきんだところ,右側臍部から便が出たとのことで,近医を受診し入院加療,手術目的に当院紹介となった.臍部に手拳大の膨隆を認め,一部皮膚壊死を起こした部位より便汁の流出が認められた.腹部CT上,臍部にヘルニアを認め,ヘルニア門は35×80mm,ヘルニア内容は小腸,大腸,および大網で,ヘルニア嚢内にfree airを認めた.ヘルニア嵌頓に伴う消化管穿孔の診断にて手術となった.手術は皮膚瘻の創を延長するように正中切開を行った.ヘルニア嚢を皮下より全周性に剥離し,開放すると大網がヘルニア嚢に癒着しており,大網の間隙から横行結腸が脱出し嵌頓,穿孔していた.小腸は虚血の所見なく,臍ヘルニア自体による絞扼は認めなかった.穿孔部位を切除し,end GIAを用いてfunctional end-to-endにて吻合した.汚染創であるためメッシュは用いず,単閉鎖にてヘルニア修復とした.術後経過は良好で20病日目に退院となった.
著者
森 信介 長尾 眞
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.27(1995-NL-112), pp.37-44, 1996-03-14

入力文を単語に分割し品詞を付加する形態素解析は、日本語処理における基本的な処理である。英語の品詞タグ付けと異なりコーパスに基づく形態素解析の試みはあまり行なわれていない。本論文では、コーパスに基づく形態素解析の新しい手法を提案する。我々の提案は次のように要約される。)各形態素の語彙化、)附属語列の登録、)マルコフモデルの重ね合わせ。これらのアイデアは形態素解析に特有ではなく、他のコーパスに基づく手法に応用できる。以上のアイデアに基づく形態素解析器を作成し、EDRコーパスに対して実験を行なった結果、非常に高い精度を得た。
著者
鈴森 康一
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.53-56, 2019 (Released:2019-01-15)
参考文献数
3
被引用文献数
5 2
著者
森 光輝
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.699-701, 2022 (Released:2022-07-01)
参考文献数
13

認知症ケアチームおける薬剤師の活動は用法調整などの適正使用、副作用マネジメントだけでなく、新規追加の処方提案が行われていた。それにより抗認知症薬の使用割合を増加させる効果があった。抗認知症薬はアルツハイマー型認知症の治療において重要な薬剤である。そのため、薬剤師が認知症ケアチームに参加することにより、薬物療法を介して認知症治療に貢献できると考える。
著者
林 陽子 森本 美智子 神原 千比呂 中村 珠恵 谷村 千華
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.2_49-2_56, 2011-06-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
36

本研究の目的は,自覚症状ならびにストレス認知と心理的状態の関係を明らかにすることであった。対象は満20歳以上の入院患者81名であった。自覚症状の測定にはIPQの12項目にCMIを参考にした13項目を組み合わせて用い,ストレス認知の測定には病気関連不安認知尺度,心理的状態の測定にはHADSを用いた。まず自覚症状の因子妥当性と信頼性を確認し,自覚症状,ストレス認知,心理的状態の相関関係を確認した。次に従属変数を心理的状態とし,自覚症状が直接的またはストレス認知を介して影響するとする因果モデルを設定し,関連性を検討した。結果,自覚症状はストレス認知および心理的状態に影響を与えており,ストレス認知は心理的状態により強い影響を与えることが明らかになった。これは,看護師が入院患者の心理的な健康状態を維持するうえで,自覚症状のマネジメントのみならず,ストレス認知についても把握し,介入することの重要性を示唆している。