著者
宗森 純 増野 宏一 伊藤 淳子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.527-537, 2019-02-15

本研究ではスマート端末からのユーザの状況情報(位置情報,心拍情報,歩行数)がある条件を満たした場合,小型冷蔵庫に飲料があるかどうかを確認し,ある場合は自動的にスイッチが入りユーザに知らせるIoTシステム“KADEN”を提案する.“KADEN”はスマートウォッチとスマートフォンのセンサにより各種状況情報を取得する.また小型冷蔵庫に飲み物があるかどうかもセンサにより自動的に検出できる.各種センサを用いて自動的に冷蔵庫を制御する場合と手動で制御する実験を行った.実験を行った結果以下のことが分かった.(1)システム全体の評価では状況情報を用いて自動的に小型冷蔵庫を制御する場合と手動で制御する場合では有意差はなかった.(2)状況情報で必要と思われるのは位置情報,歩行数,心拍情報の順である.(3)スマートウォッチのユーザビリティの評価は高かった.(4)飲み物があるかどうかが自動的に分かることの評価が必要性と便利さの面で高かった.
著者
小島 唯 村山 伸子 堀川 千嘉 田中 久子 森崎 菜穂
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.116-125, 2022-04-01 (Released:2022-05-24)
参考文献数
13
被引用文献数
1

【目的】新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言による学校休業を含む学校給食の実施有無と簡易給食の実施状況および簡易給食の提供内容の実態を把握する。【方法】全国の公立小学校および中学校から無作為抽出した479校を対象とした。2020年4~10月の学校給食実施状況を日ごとに回答,簡易給食期間の献立の提出を依頼した。【結果】解析対象校は205校であった(適格率42.8%)。簡易給食を1日以上実施していた学校は55校であった(実施率26.8%)。給食実施なし日数,簡易給食実施日数の中央値(25, 75パーセンタイル値)は各々50(43, 56)日,10(5, 16)日であった。緊急事態宣言の期間が長い地域で,給食実施なし日数が多かったが,簡易給食実施日数に差はみられなかった。解析対象献立は,延べ871日分であった。簡易給食実施初期の献立では調理された料理数が少なく,デザートなどの調理や配膳の不要な単品数が多く,主菜,副菜の出現頻度が低かった。【結論】新型コロナ感染拡大による学校給食の実施中断や簡易給食の実施により,子どもの食事状況に影響があった可能性が示唆された。簡易給食実施初期の献立では単品の提供が多く,簡易給食実施後期の献立では,主食・主菜・副菜を組み合わせた献立が提供されていた。
著者
森山 真稔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.I_39-I_46, 2022 (Released:2022-05-18)
参考文献数
45

PFIに関する経済学的研究の知見は我が国のPFIの政策,実務の双方に示唆を加えるものであり,特に近年その重要性が増している.このような背景を受け,本稿は我が国のPFIを分析対象とした経済学的研究の論点整理と展望を目指し,これらの研究の包括的レビューを行った.レビューの結果,(1) 理論研究は契約理論をベースに発展してきており,諸外国の著名な先行研究と整合的な結果を得ていること,(2) 実証研究は我が国のPFI事業の入札に関するデータを用いて競争入札に関する理論や契約理論の検証を行っており,これらの理論を支持するような結果が得られていること,の2点が明らかになった.その一方で,実証研究は主にデータの制約から分析内容が限定されており,この分野の研究のさらなる発展に向けては課題が残るといえる.
著者
吉田 慎 藤野 茂 森永 健次
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
資源と素材 (ISSN:09161740)
巻号頁・発行日
vol.120, no.8, pp.451-454, 2004 (Released:2006-04-27)
参考文献数
7
被引用文献数
2 3

Transparent pyrex glasses were obtained by sintering a green compact, which was fabricated by using CIP method for pyrex glass powder, in diverse atmosphere (air, Ar, He and vacuum (10-2Pa)) at 973-1173K. Effects of sintering conditions (temperature and atmosphere) on transmittance of sintered glasses were investigated. Devitrification resulting from crystallization of cristobalite arose in all atmosphere at temperatures over 1023K. Optimum sintering condition for fabricating transparent sintered pyrex glass was at 1003 K for 1hour in a vacuum (10-2 Pa) or He atmosphere in this work. The transparency was 15∼20% in visible region and was about 60% in infrared region. The relationship between transparency and condition of the sintered glasses was discussed in terms of permeation constant of gas species during sintering.
著者
河合 忠一 松森 昭
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.1115-1122, 2010 (Released:2012-03-23)
参考文献数
13

今でこそ心筋症の研究が進み, さまざまな診断や治療法が行われるようになりましたが, その心筋症の原因と病態の解明に大きな足跡を残されたのが河合忠一先生です.本日は, その河合先生をゲストに, そして京都大学で河合先生に師事し, 心筋症研究をさらに発展させている松森 昭先生をホストに, 心筋症との出合いから心筋炎との関係, 感染・免疫説などさまざまな研究の現在に至るまでの進展について, そのときどきのエピソードを交えながらお話しいただきました.
著者
森 義則 水谷 修太郎
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.857-864, 1968-10-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
19
被引用文献数
6 7

Two cases of true hermaphroditism were experienced in two-year- and three-year-old siblings. Exploratory laparotomy and histological examination revealed that each sibling had ovary on the left side and ovotestis on the right side and that each had a fallopian tube on the ovarian side and maldeveloped spermatic cord on the ovotesticular side. They were both sex chromatin positive and their sex chromosomes consisted of XX. Their external genitalia were quite similar to each other.
著者
馬場 直義 森 篤志
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.BbPI1196, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 ジストニアは姿勢異常や捻転、不随意運動など日常生活動作を行う上で大きな阻害因子となる運動障害を主徴とする。梶はジストニアを「異常な反復性または捻転性の筋収縮により特定の動作や姿勢が障害される病態」と定義している。有病率はパーキンソン病の約1/5の頻度で、病変の広がりにより局所性・分節性・全身性に分類される。その特徴として特定部位への知覚入力やその変化が異常な筋収縮を改善させる知覚トリックが挙げられる。この知覚現象は運動の制御に際して固有知覚入力に対する運動出力の不適合が存在することを反映しており、外的な知覚入力により不適合が補正されると考えられている。 今回、パーキンソン病により分節性に右上肢下肢にジストニアを呈し、特に足関節に強い内反をきたし、知覚トリックによる即時的な補正が有効ではなかった症例を経験した。そこで即時的効果による補正ではなく、感覚の学習によって知覚入力に対する運動出力の不適合が補正され、ジストニアの異常な筋収縮が改善されるかについて検討した。【方法】 端座位をとらせた対象者の足底と床の間に素材や形状は同じだが硬さの異なる2種類のスポンジを挿入し、足底(一部、足背)と接触させ、足関節の底屈・背屈、内返し・外返しを自動運動で行わせることにより、スポンジの硬さを識別する課題を実施した。研究方法は課題介入期、通常の理学療法による非介入期がそれぞれ10日間のBA法とし、各40分間で週5回の介入とした。 課題において対象者はプラットホームにて端座位を保持し、左右の足底面は十分に床に接地可能な状態とした。スポンジの硬さを比較する部位の組み合わせは、左右の足底、右足足底の内側と外側、右足足底前足部と踵部、右足足底前足部と右足足背の4パターンとし、それぞれ20回、2種類のスポンジの硬さの違いを識別させた。スポンジは3種類(硬い・中間・軟らかい)の硬さの異なるものを用意し、段階的にその組み合わせを変え難易度を上げていった。 介入前、介入期後、非介入期後の3回、足関節の関節可動域測定(自動)、足底の二点識別測定、Mini Mental State Examination(以下MMSE)、自画像描写、内省報告の各測定結果を分析した。【説明と同意】 対象者とご家族には発表の趣旨と目的を説明し、書面にて同意を得た。【結果】 介入期後では介入前より関節可動域で右足関節背屈が10°改善。二点識別測定では1~3mmの認識距離の短縮。MMSEでは24/30点から30/30点と短期記憶に改善がみられた。自画像描写においては右上肢の書き損じがなくなり、四肢が描かれて具体的となった。内省報告では介入前は右下肢を「捨ててしまいたい足」といった内容であったが、介入後は「足の中からあぶくが出てくる」とより具体的な内省をされるように変化した。歩行に関しても介入前は内反足にて立脚時に前足部外側のみの接地しか出来なかったが、介入後はほぼ足底全面の接地が可能となった。 非介入期後では介入後より関節可動域で右足関節背屈が5°改善。MMSEでは26/30点と若干の短期記憶に低下みられた。内省報告は「大事にしなければね」などと愛護的な言葉が聞かれるようになった。二点識別測定、自画像、歩行には著明な変化はみられなかった。【考察】 ジストニアは姿勢異常や捻転、目的動作に対する不随意運動を主徴とし、本態は外界からの感覚情報や脳内の運動指令を統合して、適切な運動準備状態を作成する過程の異常であると考えられる。その特徴の1つに知覚トリックが挙げられる。知覚トリックは本来であれば必要でない感覚刺激を行うことにより、障害された運動感覚連関に何らかの補正が行われることで成立すると考えられている。本症例では知覚トリックによる即時的効果はなかった。しかし「特定部位への知覚入力やその変化が異常な筋収縮を改善させる」といった知覚トリックの知見をもとに、対象者に足底でスポンジの硬さの違いを識別させ、感覚の学習によりジストニアによる異常な筋収縮が改善するかという目的で理学療法介入を行った。その結果、足関節背屈可動域の拡大、二点識別測定での認識距離短縮、歩容の改善に繋がった。これは、学習により足部からの適正な情報入力が可能となったことで運動感覚連関の適正化が図られたことによるものと考えられる。また、非介入期後においても改善の持続が認められたことより、介入による学習効果が示唆された。【理学療法学研究としての意義】 ジストニアに対する先行研究は少ない。今回、即時的効果ではなく、感覚の学習によりジストニアの異常な筋収縮が改善する可能性が示唆された。今後は症例を重ねて検討していく必要がある。
著者
渋谷 園実 桐谷 圭治 村上 健 深谷 緑 森廣 信子 矢島 民夫 福田 健二
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.95-103, 2015-10-05 (Released:2019-04-25)
参考文献数
32

地表徘徊性甲虫のクロツヤヒラタゴミムシは,日本全国および東アジアに広く分布し,森林的環境に多く出現する.樹木の伐採や笹薮の刈り払いの後にクロツヤヒラタゴミムシの個体数が顕著に増加した例があり,本種の生息地変化に対する鋭敏な反応がうかがえたが,今後環境変化の指標種として活用していくためには,本種の生態的特質,とりわけ食性の解明が必要である.そこで,千葉県柏市の大青田の森(100 ha, 35°54’ N, 139°55’ E)で2012年の春期(5月~7月)と秋期(10月~12月)にピットフォールトラップで捕獲した1,273個体のうち112個体を解剖し,消化管内容物の顕微鏡観察を行った.112個体のうち,83個体から定型物が検出され,多種の節足動物を捕食していることがわかった.また同一個体から複数種と思われる餌生物の体片が検出されたことから,一度に様々な種類の餌を食べていることがわかった.本種は広食の捕食者(generalist predator)であり,数mm程度の小型の餌を丸飲みか噛み砕く程度で捕食していると考えられる.また複眼や2本爪が多く検出されたことから昆虫類の成虫も捕食していると考えられる.一方,種まで同定できたホソムラサキトビムシなど,トビムシ類は11個体から検出された.以上のように,消化管から餌の完全個体,あるいは定型の体片が検出できたので,解剖は本種の食性を推定する有効な手段であると考えられた.
著者
宮崎 慎一 野田 裕之 森田 照美 上萬 恵 岡田 睦博 守山 泰生 鈴木 一則 竹内 勤
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.104, no.9, pp.1359-1364, 2007 (Released:2007-09-05)
参考文献数
12

症例は64歳男性.前胸部痛および右下腿浮腫にて当院受診,精査目的に入院となった.両側胸水を認めたため,穿刺したところともに乳糜胸水であり,左胸水の細胞診で低分化型腺癌を認めた.精査にて4型胃癌が原発巣であると診断した.両側乳糜胸水を来す胃癌は極めてまれであり,また乳糜胸水から淡黄色の胸水への変化が認められ,乳糜胸水の成因を考える上で示唆に富む症例であると思われたため報告する.
著者
松田 勝敬 森 大毅 粕谷 英樹
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.477-487, 2000-07-01 (Released:2017-06-02)

ささやき声の低次のフォルマント周波数が, 通常発声に比べてわずかに高いことが知られている。本論文ではこの現象について, 声門下部系の結合を考慮した声道の電気回路モデルをもとに音響的に説明することを試みる。モデルにおける, 3次元声道形状は磁器共鳴画像(MRI)から測定した。その結果, 声門上部構造のせばめと, 声道と声門下部系との結合が低い周波数のフォルマントを上昇させる主な原因であることが分かった。
著者
森岡 一幸 李 周浩 橋本 秀紀
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.103-111, 2004-01-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
17
被引用文献数
5 5

In the environment that human and robots coexist, mobile robots have to approach human as much as possible in order to provide human with physical services. For friendly interaction with human, the robots should be able to afford human-affinitive movement. In this paper, human following, as one of human-affinitive movements, of robot is achieved. The human following robot requires several techniques; the recognition of the target human, the recognition of the environment around the robot, and the control strategy for stable human following. In this research, Intelligent Space, where many sensors and intelligent devices are distributed, is used for the recognition of the target human and the environment around the robot. The control law based on the virtual spring model is proposed to mitigate the difference of movement between the human and the mobile robot. The proposed control law is applied to Intelligent Space and its performance is verified by computer simulation and experiment.