著者
片倉 浩理 畠中 陸郎 山下 直己 佐藤 寿彦 岩切 章太郎 尾崎 良智 長井 信二郎 岡崎 強 塙 健 松井 輝夫 美崎 幸平 桑原 正喜 松原 義人 船津 武志 池田 貞雄
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.281-284, 1999-05-25 (Released:2016-10-15)
参考文献数
14

症例は41歳, 男性。脇差しにより頸部正中刺創を受け, 近医で皮膚縫合を施行されたが, 頸部腫脹, 発声障害が進行するため, 受傷後約18時間後に当院を受診した。著明な皮下気腫を認め, 気管の損傷を疑い気管支鏡を施行した。第1気管軟骨輪に約2cm, 同レベルの膜様部に約1cmの損傷を認めた。同検査中再出血により緊急手術を施行した。出血は甲状腺左葉内の動脈性出血であり縫合止血した。食道の損傷はなかった。気管軟骨輪および膜様部の縫合を行った。術後経過は良好で退院したが, 肉芽形成の可能性もあり, 経過観察が必要である。
著者
楠 裕明 山下 直人 本多 啓介 井上 和彦 石井 学 今村 祐司 眞部 紀明 鎌田 智有 塩谷 昭子 春間 賢
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.949-954, 2010-10-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1

炎症性腸疾患であるクローン病や潰瘍性大腸炎は消化器心身症の代表的存在として扱われてきた.われわれは現在の炎症性腸疾患と心身医学の関係について総説した.潰瘍性大腸炎はその発症に心理社会的因子は高率に関与するとした報告もあり,患者本人のストレスを受けやすい強迫的性格もみられ,症状の増悪や再燃などの長期経過にも関連性が強い.クローン病も潰瘍性大腸炎より低率であるが心理社会的因子は発症に関連し,患者にストレスを受けやすい強迫的性格が多く,長期経過にも心理的因子は関連性が強かった.治療に関しては,潰瘍性大腸炎では心身医学的なアプローチが行われる症例もみられるが,クローン病ではあまり行われていない.
著者
益戸 智香子 小川 ゆかり 山下 直美 三原 潔
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.139, no.1, pp.113-122, 2019-01-01 (Released:2019-01-01)
参考文献数
41
被引用文献数
6

Benzodiazepine receptor agonists (BZDRAs) have been associated with an increased risk of falls in the elderly. However, the association between the elimination half-life (t1/2) of BZDRAs and the difference between benzodiazepines (BZDs) and non-benzodiazepines (Z-drugs) has not been clarified. By conducting a meta-analysis of observational studies, we compared the risk of falls with respect to 1) short-acting BZDRAs (t1/2<12 h) vs. long-acting BZDRAs (t1/2≥12 h) and 2) BZDs vs. Z-drugs in elderly patients. Data were retrieved from MEDLINE, the Cochrane Library, and Igaku Chuo Zasshi. In total, 13 observational studies from 12 articles were included in our study (short-acting BZDRAs, n=12; long-acting BZDRAs, n=9; BZDs, n=13; Z-drugs, n=7). The risk of falls was significantly increased by the use of short-acting BZDRAs [Odds ratio (OR) (95% Confidence interval (CI)): 2.00 (1.46-2.73)], long-acting BZDRAs [OR (95%CI): 2.16 (1.61-2.89)], BZDs [OR (95%CI): 1.67 (1.31-2.13)], and Z-drugs [OR (95%CI): 2.42 (1.35-4.34)] compared to the risk in BZDRAs non-users. The increased risk of falls in elderly patients was similar in each group and unrelated to t1/2. This study suggested that all BZDRAs including Z-drugs should be avoided in elderly patients.
著者
山下 直美 葛岡 英明 平田 圭二 工藤 喬 荒牧 英治 服部 一樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.981-993, 2017-05-15

本論文では,2つの調査に基づいて,うつ病患者の家族介護者を支援するための知見を述べる.1つ目の調査では,患者の気分の上下や予期せぬ振舞いなどに対処する家族介護者の介護活動の現状とニーズを把握する.その調査結果をふまえて介護記録Webアプリケーション「みまもメイト」を開発する.2つ目の調査では,家族介護者がみまもメイトを6週間にわたって利用することによって,家族介護者のうつ病患者に対する関わり方や患者との人間関係がどのような影響を受けたかを調べる.利用後のインタビュー調査から,家族介護者がみまもメイトを利用することによって,自身の介護活動を客観的に見つめ直す効果がある(第三者視点の導入)ことが分かった.さらに興味深いことに,みまもメイトは患者,病気,家族介護者の間の関係を変化させ,これによって,家族介護者とうつ病患者間のコミュニケーションを改善する効果があることも分かった.具体的には,みまもメイトを用いることによって,家族介護者単独で病気をかかえる患者に対処するという構図(家族介護者vs.患者+病気)から,患者と家族介護者が協調しながら病気に立ち向かうという構図(家族介護者+患者vs.病気)へと変化した.
著者
山下 直人 伊藤 淳子 宗森 純
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.31, pp.97-102, 2008-03-21

好きな曲目が演奏でき,かつ,セッションできるギターの魅力を体験でき,さらにエアギターのような自由な動きができる,"バーチャルバンド支援システム"を開発した.本システムは入力にテンキーパッドとジャイロマウスを使用する.数字表記の楽譜による読譜の支援に特徴がある.他のギターシミュレータのインターフェースの比較実験と,ネットワークを介したセッションの実験を行った.比較実験の結果,他のギターシミュレータと比べて楽しく,操作,楽譜がわかりやすいということがわかった.また,セッションの実験の結果,遅延が発生するが,1人のときよりも楽しいということがわかった.We have developed a virtual band support system. We can play favorite music and play coordinately by the system. We can also play freely like a "virtual guitar". The input of the system consists of a ten-key pad and a gyro mouse. The reading music with the score of the number notation is one of the characteristic of the system. We performed a comparison experiment about the interface of guitar simulators and a session experiment through the network. The results of the experiments indicated that the system was superior to other guitar simulators from the viewpoint of pleasure, operation and reading score. As a result of experiment of the session, a delay occurred, but we understood that we were more pleasant than a stand alone experiment.
著者
手丸 理恵 山下 直宏 松井 祥子 大田 亨 川崎 聡 小林 正
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.485-490, 1994-05-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
11

柴朴湯による薬剤性肺臓炎の1症例を報告した. 症例は60歳の女性で, 平成4年10月12日外来にて柴朴湯を投与され一包内服したところ, 約2時間後に悪寒, 呼吸困難が出現したため, 翌10月13日外来を受診, 著明な低酸素血症と胸部X線写真上両肺野にすりガラス様陰影を認めたため, 急性間質性肺炎を疑い, ステロイドパルス療法を施行し軽快した. その後, 成分が柴朴湯と近似した煎じ薬を3日間服用したところ, 再び発熱・呼吸困難が出現し, 胸部X線写真上も両肺野にすりガラス様陰影を認めた. 再びステロイドパルス療法を施行し軽快した. 薬剤によるリンパ球刺激試験および皮膚貼布試験では, 柴朴湯に対して陽性を示し, 経過とあわせ, 柴朴湯による薬剤性肺臓炎と診断した.
著者
関口 拓己 櫻井 隆 山下 直也
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学会年会要旨集 第96回日本薬理学会年会 (ISSN:24354953)
巻号頁・発行日
pp.4-B-P-301, 2022 (Released:2022-12-26)

Amyloid-beta (Aβ) aggregation has been believed to be the fundamental trigger of the development of Alzheimer's disease (AD). Therefore, elucidating the mechanisms that induce Aβ overproduction from its type I transmembrane precursor protein (APP) is one of the important issues in providing potential therapeutic targets for AD. Semaphorin3A (Sema3A), a secreted type of repulsive axon guidance molecule, is implicated in the development of various neurodegenerative diseases. It was previously reported that Sema3A and its signaling molecules accumulate and aggregate in AD patients' brain. However, the molecular link between Sema3A signaling and AD pathogenesis remains unknown. Here we show evidence that APP interacts with PlexinA, a Sema3A receptor component. APP and PlexinA interacted through the extracellular regions and we were able to narrow down these regions to less than 100 amino acids. Based on these findings, we are now investigating whether the APP-PlexinA interaction affects APP function and metabolism, which might provide new perspective that aberrant Sema3A signaling induces Aβ overproduction.
著者
山下 直生 栃谷 健太郎 岩本 伸紀 青木 一晃 元林 寛文 山本 舜悟 清水 恒広
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.1, pp.85-91, 2021-01-10 (Released:2022-01-10)
参考文献数
6

24歳,男性.コンゴ民主共和国に半年間滞在し,ドキシサイクリンを帰国後2週まで内服した.帰国後43日から72時間毎に発熱を認め,50日にアーテメター/ルメファントリン錠の内服開始,51日に当院を受診した.血液塗抹検査,迅速診断キットは陰性であったが,PCR(polymerase chain reaction)で四日熱マラリアと診断した.四日熱マラリアは潜伏期間が長く,検査で偽陰性が多いため,注意が必要である.
著者
山下 直美 葛岡 英明 平田 圭二 工藤 喬
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.1706-1715, 2014-07-15

本論文の目的はうつ病患者の家族看護者が直面する困難を明らかにし,家族看護者が生活の質を維持するために必要なICT支援について提案を行うことである.そのため我々は,家族のうつ病患者を看護した経験がある成人15名に対面インタビューを行い,分析を行った.その結果,家族看護者が抱える矛盾や葛藤,家族看護者が自身のストレス軽減のために取っている方策,そして情報技術が彼らの日常生活に果たしている機能が明らかになった.この調査結果に基づき,うつ病患者の家族看護者に対するICT支援方法を検討した.
著者
松本 孝朗 山下 直之 伊藤 僚 樊 孟 稲葉 泰嗣 渡辺 新大
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.130_1, 2018

<p> 2020東京オリンピックとパラリンピックが開催される真夏の東京の「高温・多湿」の暑さは、選手はもちろん、観客、スタッフやボランティアにとっても大きな問題であり、熱中症の大量発生も危惧される。【方法】2017年7・8月、東京オリ・パラのマラソンコース(国立競技場⇔浅草雷門)1km毎の21地点に、携帯型WBGT計(黒球式熱中症指数計、タニタ)を設置し、1分毎のWBGTを記録した。時間を横軸に、スタートからの距離を縦軸にとり、18℃~23℃(黄色)、23℃~28℃(褐色)、28℃~31℃(赤色)、31℃以上(黒色)の色スケールでWBGTを表し、「WBGT(時間×位置)マッピング」を作成した。【結果・考察】2017年の東京は涼夏であったが、実測した6日間のうち暑い方の2日においては、午前7時半(スタート予定時刻)~10時のコースほぼ全体が、WBGT28℃~31℃(赤色:熱中症リスク極めて高い、市民マラソン競技を行なってはならない)、31℃以上(黒色:原則運動中止)であった。スタート時刻を1時間繰り上げることで、大きく緩和できることが示された。【結語】スタート時刻の繰り上げを提言したい。</p>
著者
山下 直美 葛岡 英明 平田 圭二 工藤 喬 荒牧 英治 服部 一樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.981-993, 2017-05-15

本論文では,2つの調査に基づいて,うつ病患者の家族介護者を支援するための知見を述べる.1つ目の調査では,患者の気分の上下や予期せぬ振舞いなどに対処する家族介護者の介護活動の現状とニーズを把握する.その調査結果をふまえて介護記録Webアプリケーション「みまもメイト」を開発する.2つ目の調査では,家族介護者がみまもメイトを6週間にわたって利用することによって,家族介護者のうつ病患者に対する関わり方や患者との人間関係がどのような影響を受けたかを調べる.利用後のインタビュー調査から,家族介護者がみまもメイトを利用することによって,自身の介護活動を客観的に見つめ直す効果がある(第三者視点の導入)ことが分かった.さらに興味深いことに,みまもメイトは患者,病気,家族介護者の間の関係を変化させ,これによって,家族介護者とうつ病患者間のコミュニケーションを改善する効果があることも分かった.具体的には,みまもメイトを用いることによって,家族介護者単独で病気をかかえる患者に対処するという構図(家族介護者vs.患者+病気)から,患者と家族介護者が協調しながら病気に立ち向かうという構図(家族介護者+患者vs.病気)へと変化した.
著者
山下 直之
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.326-331, 2015

NASAのDawnミッションは,惑星誕生の鍵を探るべく小惑星ベスタと準惑星ケレスを周回して元素,鉱物の分布調査や地質学的,地球物理学的観測を行っている.Dawn衛星に搭載されたガンマ線及び中性子検出器(GRaND)はベスタ赤道域において,炭素質コンドライト起源と考えられる水素が濃集する領域を発見した.南極域ではダイオジェナイト的な下部地殻が露出していることが確認された.またベスタの平均元素組成から,HED限石のベスタ起源説を強く支持する結果が得られた.