著者
三浦 春水 金本 東学 森田 達志 柵木 利明
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.701-705, 2001-09-20
参考文献数
9
被引用文献数
2

両後肢不全麻痺を呈する猫が来院後, 時間経過とともに後弓反張を呈し, 昏睡状態に陥った.血液検査, ウイルス検査, X線検査, CT検査などの各種検査および対症療法を実施したが, 原因不明のまま死亡した.剖検において, 脳底部に長さ13cmの虫体1隻, ならびに三尖弁の腱索に絡み付いた長さ9.5cmの虫体1隻が認められた.また, 病理組織検査において左側脳室から側頭葉を経て髄膜下にいたる虫道が確認された.検出された2隻の虫体は, ともに雄の犬糸状虫<I>Dirofilam immitis</I>であり, 総排泄腔より交接刺が突出していることから未成熟虫から成虫のステージの虫体であると同定された.以上ヒの所見より, 後弓反張を呈した神経症状は犬糸状虫の脳内迷入が原因であると考えられた.
著者
的場 康徳 村田 久行 浅川 達人 森田 達也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.321-329, 2020

<p>【目的】がん患者の終末期医療に携わる医師のスピリチュアルペイン(SPP)を明らかにする.【方法】医師の臨床体験レポートを記述現象学と3次元存在論で分析した.【結果】すべてのレポートで医師のSPPが抽出され,時間性,関係性,自律性に分類された.とくに医師の意識の志向性が,がん治療や症状緩和の限界や患者の訴えるSPPに対応できないことに向けられ,それが医師としての無力・無能として現れる自律性のSPPが大多数を占めた.自律性のSPPの体験の意味と本質は,[治療(キュア)の限界に直面している自己が無力として現れる][患者のSPPに対応できない自己が無力として現れる][自分を取り巻く外的な環境の問題(過重労働や教育の不備など)が原因で自己の無力が生じる]という三つの構造で示された.またキュアの限界で医師が患者に会いづらくなる,避けるという体験は医師の自律性のSPPへの対処(コーピング)の可能性が示唆された.</p>
著者
大川 裕行 坂野 裕洋 梶原 史恵 江西 一成 田島 文博 金森 雅夫 緒方 甫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.E0782, 2005

【はじめに】車いすマラソンは障害者スポーツの中でも過酷な競技の一つである.選手のコンディションを把握できれば安全な競技運営に加え,高いパフォーマンスの発揮を可能にすることが考えられる.そこで,マラソン競技の前後で選手の疲労度とストレス,免疫機能を調査し若干の知見を得たので報告する.<BR>【方法】第23回大分国際車いすマラソン大会出場選手中,協力の得られた選手59名を対象とした.その中でデータの揃っている者46名(平均年齢37.3±10.4歳,フルマラソン出場選手22名,ハーフマラソン出場選手24名,男性44名,女性2名,クラス2;7名,クラス3;39名)の結果を検討した.調査項目は,心拍数,血圧,主観的疲労度,コルチゾール,免疫グロブリンA(IgA),競技順位とした.心拍数と血圧は競技前日に測定した.競技前日,競技開始直前,競技終了直後,競技翌日に主観的疲労度をvisual analog scaleで測定し,同時に採取した唾液からコルチゾール,IgAを測定した.調査実施に際しては十分な説明を行い,文書による同意を得て行った.<BR>【結果】測定期間中にコルチゾール,IgAともに正常範囲から逸脱した選手はいなかった.選手の競技前日の心拍数と競技順位,コルチゾールには有意な相関関係が認められた(p<0.05).競技前日を基準として競技直前,競技直後,競技翌日の変化率を求めたところ,主観的疲労度は45.6%,214.1%,58.7%,コルチゾールは73.5%,91.0%,30.0%,IgAは2.0%,5.0%,10.0%に変化していた.競技前日の主観的疲労度,血圧,IgAと競技順位には関係を認めなかった. <BR>【考察】選手の主観的疲労度は競技終了直後にピークを示し,競技翌日にも競技前日の値に戻っていなかった.選手は競技翌日にも中等度の疲労を感じていた.一方,ストレスホルモンであるコルチゾールは競技翌日に競技前日の値に戻っていた.選手の主観的疲労度と客観的なストレス指標には乖離があることが分かった.競技前日のコルチゾールが競技前日の心拍数と有意に相関し,競技順位と有意に相関したことは,トレーニングにより一回拍出量が増加し安静時心拍数が低下している選手,競技開始前に落ち着きを保っている選手は競技成績が優れているという結果を示すものである.IgAの値は競技翌日にピークを示した.選手の主観的疲労度とは異なり車いすマラソンにより高まった選手の免疫機能は運動後にさらに向上していた.選手にとって車いすマラソンは免疫機能を高める適度な運動強度である事が示唆された.さらに詳細な調査を続けることで選手の安全管理と競技力向上へ有益な情報が提供できる可能性がある.
著者
荻野 雅宏 中山 晴雄 重森 裕 溝渕 佳史 荒木 尚 McCrory Paul 永廣 信治
出版者
一般社団法人 日本脳神経外傷学会
雑誌
神経外傷
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.1-34, 2019

<p><b>【解説】</b></p><p>「スポーツにおける脳振盪に関する国際会議」は2001年にウィーンで第1回会議が開かれたのち,近年は夏季オリンピックの年の秋に開催されており,第2回 (プラハ, 2004年),第3回 (チューリッヒ, 2008年),第4回 (チューリッヒ, 2012年) を経て,2016年にベルリンにて 「第5回国際スポーツ脳振盪会議」 が開催された。この国際会議の目的は選手の安全を確保することと,選手のコンディションを改善することであり,プロフェッショナル,アマチュアを問わず,スポーツで脳振盪を負った選手の状態を正しく評価し,安全にスポーツに復帰させることを目指すものである。さまざまな分野のエキスパートが討論を重ね,最終的に以下の共同声明 (consensus statement) を公開するとともに,声明の根拠となった系統的なレビュー12編<sup>24,25,i–x)</sup>を発表した。</p><p>脳振盪を負った選手を評価する標準的ツールSport Concussion Assessment Tool (SCAT),5歳から12歳までの小児に用いるchild SCAT,非医療従事者が脳振盪を疑う際に用いるConcussion Recognition Tool (CRT) はそれぞれ,SCAT5,child SCAT5,CRT5へと改訂された。</p><p>この共同声明 (McCrory P, Meeuwisse W, Dvoraket J, et al. Consensus statement on concussion in sport —the 5th inter­national conference on concussion in sport held in Berlin, October 2016. Br J Sports Med 51: 838–847, 2017) や上記のツールはすべてWeb上で自由に閲覧でき,ダウンロードも可能である。関係者は原文にあたり,その内容に精通していることが求められるが,一部から公式な日本語訳を強く望む声があり,本学会のスポーツ脳神経外傷検討委員会の有志が,前版<sup>xi)</sup>の訳者らとともにこれにあたった。</p><p>次回の改訂は2020年の秋以降に予定されているので,本稿が来る東京オリンピックならびにパラリンピックにおけるこの領域の基本的な指針となる。しかし本文中にもある通り,この共同声明は臨床的なガイドラインを目指すものでも,法的に正しい対処を示すものでもない。現時点における総論的な指針と考えるべきであって,個々のケースへの対応には,現場の裁量が認められていることを強調したい。</p>
著者
陶山 久司 上田 康仁 松波 馨士 中崎 博文 松本 慎吾 中本 成紀 重岡 靖 小西 龍也 清水 英治 牧野 晴彦 千酌 浩樹 龍河 敏行 小谷 昌広 森田 正人 倉井 淳 武田 賢一 澄川 崇
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.403-405, 2009
参考文献数
4

背景.内視鏡的腫瘍切除に先行して経皮的動脈塞栓術(TAE)を行った気管原発腺様嚢胞癌の1例を報告する.症例.84歳,男性.気管内腫瘍の切除目的で当院に紹介となった.気管内腫瘍は前医で既に腺様嚢胞癌と診断されていた.胸部造影CTでは造影剤に濃染する腫瘤だったこと,前医での生検時に出血の制御が困難だったことから処置前にTAEを追加した.腫瘍の栄養血管は右内胸動脈の縦隔枝で腫瘍濃染を認めた.右内胸動脈縦隔枝を塞栓した後,全身麻酔下で硬性鏡を用いて腫瘍を摘除した.結語.今回の報告例では,呼吸器インターベンションに先行して行うTAEは大量出血制御目的のオプションになりうると考えられた.
著者
木下 源一郎 高瀬 国克 森 政弘
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.25-30, 1971-02-28 (Released:2009-03-27)
参考文献数
9

This paper proposes an artificial-tactile pattern recognition which is composed of the recognition by touching the object surface with the artificial-tactile sense and the recognition by grasping the object with the artificial-hand.The hint of this proposition was found in the function of the tactile sense of a human hand.The fundermental principle of the artificial-tactile pattern recognition is to process a stress distribution that the unknown object produces in the artificial-tactile sense elements.In the proposed method, the 3-dimensional stress distribution is partitioned into the 2-dimensional peripheral pattern and the threshold decrement by an analogy with the threshold phenomena in the living body. The object surface is recognized as a sequence of the peripheral processing at each threshold decrement.A simple experiment classifying cylinders and square pillars was performed by the artificialhand with on-off switches instead of the presure sense elements. As the result, a high reliability of recognition is obtained.
著者
堀野 洋 森 信彦 松木 明好 鎌田 理之 平岡 浩一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101509, 2013

【はじめに、目的】眼球運動時に安静にある第一背側骨間筋、小指外転筋、橈側主根伸筋の運動誘発電位(MEP)振幅が減少することが報告されている(Maioli et al. 2007)が、目と手の協調を必要とする眼球・腕運動同時実施時に眼球運動が上肢筋支配の皮質脊髄下降路に及ぼす影響は明らかでない。本研究では目と手の協調を必要とする眼球・腕同時の標的運動時に眼球運動が上腕二頭筋・三頭筋支配皮質脊髄下降路興奮性に及ぼす影響を検証した。【方法】健常成人11 名(23-35 歳)に椅子座位をとらせ、右肘関節を屈伸できるペンデュラムに右上肢を乗せた。ペンデュラム前腕部に前腕運動を壁面に投影するレーザーポインターを設置し、頭部固定装置で頭部を固定した。右上腕二頭筋と右上腕三頭筋に記録用表面電極(EMG)を取り付けた。角膜反射光法による眼球運動計測装置を取り付けた。被験者の1m前方の壁の正中線上に開始位置マークと、その20°左側に終了位置マークを設置した。開始位置マークにレーザービームを合わせて右肘関節屈曲35°の開始肢位を取らせ、警告音の1000ms後の開始音を合図に右肘関節屈曲55°の位置にある終了位置マークにレーザービームを一致させる課題を行わせた。眼球運動は、開始音(500Hz)を合図にレーザービームを眼球で追従させる条件(円滑追従眼球運動;SP)、開始音(143Hz)を合図に開始位置マークを凝視させる条件(眼球静止;EM)、開始音(84Hz)を合図に視線を終了位置マークに急速に移動させる条件(衝動性眼球運動;S)の3 条件とした。double cone coilを使用し、運動閾値の1 倍で上腕二頭筋hotspotに経頭蓋磁気刺激(TMS)を行った。TMSのタイミングは、右肘関節屈曲運動前の開始音時、開始音後200 ms、腕運動初期相・中間相・最終相)で実施した。【倫理的配慮、説明と同意】実験は大阪府立大学研究倫理委員会の承認を得て実施した。被験者には実験の目的・方法及び予想される不利益を説明し同意を得た。【結果】眼球運動のreaction time(RT)は各条件において有意差を認めなかった。上腕二頭筋EMGのRTはS条件において他の条件に対して有意に延長した。SP・S条件において眼球運動RTと上腕二頭筋EMGのRTの間で有意な相関を認めた。肘関節運動時間はSP条件において他の条件に対して有意に延長した。上腕二頭筋のbackground EMG振幅は初期相においてSP条件で他の条件と比較して有意に低下したが、それ以外の相では3 条件間で有意差を認めなかった。上腕二頭筋・上腕三頭筋のMEP振幅は3 条件間で有意差を認めなかった。開始音後200msの上腕二頭筋・上腕三頭筋の上腕二頭筋・上腕三頭筋のbackground EMG振幅は3 条件間で有意差を認めなかった。開始音後200msの上腕二頭筋・上腕三頭筋のMEP振幅は3 条件間で有意差を認めなかった。【考察】円滑追従眼球運動・衝動性眼球運動における上腕二頭筋EMGのRTに対する有意な相関は、眼球運動と腕運動が同一運動制御中枢のトリガーにより開始されることを示唆した。円滑追従眼球運動条件における腕運動時間延長と上腕二頭筋BEMG振幅低下は、眼球で追える程度の腕運動速度に低下させるためにEMG活動が減少したためであると考えられた。一方、皮質脊髄下降路興奮性は運動開始前・運動開始中とも眼球運動条件間で有意差がなかった。特に運動開始前には固有感覚や視覚フィードバックが生じないので、この相におけるMEPは腕運動および眼球運動命令の影響を純粋に反映するものと考えられる。したがって、本研究の知見は、目と手の協調を必要とする標的運動時であっても、眼球運動命令は腕筋支配皮質脊髄下降路興奮性に影響を及ぼさないものと考えられた。安静状態にある前腕・手指筋のMEP振幅は円滑追従眼球運動時に減少するが、これは眼球運動によって一部共有する眼球運動中枢からの腕・指運動命令中枢が眼球運動時に運動命令を生じて安静にもかかわらず腕・指運動が生じることを予防するために生じていると考えられている(Maioli et al. 2007)。本研究でこのようなMEP振幅減少が確認されなかった理由は、腕運動を同時に遂行したため、運動発現予防のための上腕筋支配皮質脊髄下降路興奮性抑制の必要がなかったためと考えられた。【理学療法学研究としての意義】目と手を同時に標的へ動かした時の運動制御機能について明らかにすることにより、様々な日常生活動作に関する上肢のリーチング動作やポインティング動作への理学療法アプローチに資する知見である。
著者
北山 千鶴 森田 健二 福地 広識 李 星愛 古米 弘明
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.59-68, 2021

<p>合流式下水道雨天時越流水の影響により水浴判定基準を超える糞便性大腸菌群数が観測される都市の水辺において, 安全性を確保して海水浴を行うためには糞便汚染状況の予測が求められる。そこで大腸菌を指標として糞便汚染状況を予測し, お台場海浜公園において海水へ顔をつけることの可否判断を行うシステム構築と試行運用を実施した。降雨の時空間特性を考慮して東京都区部の過去10年間の降雨イベントを類型化した。類型化した降雨毎に3次元流動水質モデルでお台場海浜公園における大腸菌濃度を計算し, 濃度経時変化データベースを作成した。任意の降雨を類型化降雨にあてはめ, 対応する大腸菌濃度のデータベースを包絡する濃度変化曲線は, 降雨後のモデル計算結果の濃度上昇を再現することを確認した。このデータベースを包絡する濃度変化曲線を用いる方法で2018年の海水浴イベントにおいて予報システムの試行運用を実施し, その有効性を検証した。</p>

1 0 0 0 OA 明治之細君

著者
大矢森之助 著
出版者
盛春堂
巻号頁・発行日
vol.上編, 1888
著者
吉永 泰周 長野 史子 金子 高士 鵜飼 孝 吉村 篤利 尾崎 幸生 吉永 美穂 白石 千秋 中村 弘隆 藏本 明子 髙森 雄三 野口 惠司 山下 恭徳 泉 聡史 原 宜興
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.154-161, 2014 (Released:2014-05-07)
参考文献数
23

目的 : 歯周病原細菌と考えられている細菌群はグラム陰性菌であり, 進行した歯周炎患者の歯周ポケット内ではグラム陰性菌が優勢である. しかしながら, 歯肉炎や初期の歯周炎ではプラーク中の細菌はグラム陽性菌が優勢であるため, 歯周ポケット形成の初発時にはグラム陽性菌が大きな影響を与えると考えられる. われわれの過去の実験では, グラム陽性菌であるStaphylococcus aureusとグラム陰性菌であるAggregatibacter actinomycetemcomitansの菌体破砕物で感作したラットの歯肉溝に各菌体破砕物を滴下すると, 両細菌ともに強い歯周組織破壊を誘導した. しかし歯周組織の破壊が著しく, どちらがより強い影響を与えるかについての判断はできなかった. そこで本研究では, グラム陰性菌とグラム陽性菌の歯周組織破壊への影響を比較するために, より低濃度の菌体破砕物を用いて実験を行った. 材料と方法 : S. aureusとA. actinomycetemcomitansの菌体破砕物にて感作したラットと非感作ラットの歯肉溝内に, 12.5μg/μlの菌体破砕物を頻回滴下し, 病理組織学的に観察した. 無滴下のラットを対照群とした. 結果 : A. actinomycetemcomitans感作群では対照群と比較して統計学的に有意なアタッチメントロスの増加と歯槽骨レベルの減少を認めたが, S. aureus感作群およびA. actinomycetemcomitans非感作群ではみられなかった. 両細菌の感作群では免疫複合体の存在を示すC1qBの発現が接合上皮に観察されたが, 非感作群では認められなかった. 結論 : グラム陰性菌であるA. actinomycetemcomitansの菌体破砕物のほうが, グラム陽性菌であるS. aureusのそれよりも歯周組織破壊への影響が強いことが示唆された. また, 歯周組織の破壊には免疫複合体の形成も重要であることも改めて示唆された.
著者
戎崎 俊一 西原 秀典 黒川 顕 森 宙史 鎌形 洋一 玉木 秀幸 中井 亮佑 大島 拓 原 正彦 鈴木 鉄兵 丸山 茂徳
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.129, no.6, pp.779-804, 2020-12-25 (Released:2021-01-18)
参考文献数
94
被引用文献数
2

Previously proposed hypotheses on the origin of life are reviewed and it is demonstrated that none of them can provide the energy flux of ionizing radiation (UV/X/γ photons, and high-energy charged particles and neutrons) required to synthesize organic materials as demonstrated by the experiments by Miller and Urey in 1953. In order to overcome this difficulty, Ebisuzaki and Maruyama, in 2017, proposed a new hypothesis called the “Nuclear Geyser Model” of the origin of life, in which high-energy flux from a natural nuclear reactor drives chemical reactions to produce major biological molecules, such as amino acids, nucleotides, sugars, and fatty acids from raw molecules (H2O, N2, and CO2). Natural nuclear reactors were common on the surface of Hadean Earth, because the 235U/238U ratio was as high as 20%, which is much higher than the present value (0.7%), due to the shorter half-life of 235U than 238U. Ebisuzaki and Maruyama further posited that aqueous electrons and glyceraldehyde play key roles in the networks of chemical reactions in a nuclear geyser and suggested that primordial life depended on glyceraldehyde phosphate (GAP) from the nuclear geyser system as energy, carbon, and phosphate sources, pointing to a possible parallelism with the anaerobic glycolysis pathway; in particular, the lower stem path starting from GAP through Acetyl Coenzyme A to produce ATP and reduction power. It is shown that microbes (members of candidate division OD1) inhabiting high alkali hot springs, a modern analogue of the Hadean Earth environment, do not possess genes associated with conventional metabolisms, such as those of the TCA cycle, but only have genes in the lower stem path of the glycolysis. This is named the “Hadean Primordial Pathway”, because it is believed that this striking result points to a plausible origin of metabolic pathways of extant organisms. Also proposed is a step-by-step scenario of the evolution of the metabolism: 1) Chemical degradation of GAP supplied from the nuclear geyser to lactate; 2) Catalytic reactions to produce reductive power and acetyl coenzyme A (or its primitive form) and self-reproductive reactions by ribozymes on the surface of minerals (pyrite and struvite), which precipitate in a nuclear geyser (RNA world); 3) Enzymatic reactions by proteins with pyrites and the struvite in their reaction centers (RNP world); and, 4) Metabolism of extant organisms with the full assembly of enzymes produced by translating molecular machines with information stored in DNA sequences (DNA world). It is further inferred that relics of primordial metabolic evolution in the Hadean nuclear geyser can be seen at the reaction centers of enzymes of both pyrite and struvite types, nucleotide-like molecules as a cofactor of the enzymes, Calvin Cycle of photosynthesis, and chemical abundance of cytoplasm.
著者
森賀 一惠
出版者
富山大学人文学部
雑誌
富山大学人文学部紀要 (ISSN:03865975)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.117-144, 2020-08-20