著者
岩本 健嗣 杉森 大輔 松本 三千人
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.739-749, 2014-02-15

今日,ユビキタス技術の研究,開発が進み,様々な認識,推定技術に関する研究が行われている.本論文では,行動的特徴を用いた個人認識技術に着目する.人が行う動作には様々あるが,今回は人が日常的に行っている歩行動作を利用した歩行者推定手法を提案する.また,歩行動作を検知する手段として3軸加速度センサを搭載した携帯電話を用いる.携帯電話を用いた歩行者推定を行うためには,状態推定,携帯電話の所持位置推定,ユーザ推定をそれぞれ行う必要がある.本論文では,携帯電話を用いてユーザの移動データから特徴量を抽出し,歩行者を推定する実験とその評価を行い,提案する歩行者推定手法が有効であることを示した.
著者
池羽田 晶文 後藤 剛喜 森澤 勇介 東 昇 尾崎 幸洋
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.19-31, 2011 (Released:2011-02-23)
参考文献数
48
被引用文献数
2 2

120~200 nmの遠紫外(Far Ultraviolet, FUV)領域には分子の外殻電子に関する遷移吸収バンドが観測される.これらは吸収係数が非常に大きいため,これまでは気体や固体表面の反射分光に用途が限られてきた.著者らはこれに対して減衰全反射(Attenuated Total Reflection, ATR)法を利用して液体試料の遠紫外分光が可能な装置を開発した.また,装置の簡便化のために光学系を真空にするのではなく,窒素パージを選択した.これによって液体試料の遠紫外スペクトル測定が容易となり,今まで未知であったスペクトルが次々と明らかになっている.水の第一電子遷移吸収帯もこれによって簡便な測定が可能となったが,その変化は水素結合状態に対して系統的な変化を示すことが明らかになってきた.本論文では水の遠紫外スペクトルの基礎からオンライン分析応用の可能性まで,これまでの成果を幅広く紹介する.
著者
森山 雅 幸 篤武
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.257-268, 2021-08-01 (Released:2021-07-15)
参考文献数
29
被引用文献数
3

The aims were to investigate the changes in physical activity of university students after the COVID-19 emergency declaration was lifted, and to determine whether there were any differences in these changes between academic years. The subjects were 81 students attending university or graduate school in Kochi Prefecture who completed a baseline survey (May 2020). Analysis 1, included 51 subjects who responded to both the baseline survey and the retrospective survey (October 2020) on physical activity at 1 year prior. In Analysis 2, 71 subjects who participated in at least one follow-up examination (August 2020, November 2020) were included. The International Physical Activity Questionnaire – Long Form was used to assess physical activity and sitting time per week. Between October 2019 and May 2020, the total (-47.7%), vigorous (-59.3%) and moderate (-42.1%) physical activity decreased, and sitting time (+36.9%) increased. The interaction between the time of the survey and year of university (first-year, ≥second-year), analyzed using a generalized linear mixed model, on total, vigorous, walking physical activity and sitting time was significant. Especially, the estimate of least squares mean after inverse square root transformation of total physical activity in first-year students was higher in November 2020 (8192.4 METs·min/week) compared to baseline (3388.5 METs·min/week). Vigorous physical activity in first-year students was also higher in November 2020 (4773.3 METs·min/week) compared to baseline (1060.3 METs·min/week). The emergency declaration in April 2020 inhibited physical activity among university students, and the impact was particularly strong among first-year students.
著者
阿部 雅子 小澤 好夫 森光 康次郎
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成17年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.115, 2005 (Released:2005-09-13)

【目的】ショウガ科植物であるミョウガ(Zingiber mioga Roscoe)は特有の香りとさわやかな辛味を有し、薬味や漬物、汁の実として広く利用されてきた日本古来の香辛野菜である。これまでに演者らはミョウガの辛味関連化合物としてMiogadial(aframodial)及び新規Miogatrialを同定し、これらの化合物が抗菌活性、血小板凝集阻害活性などを有することを報告してきた。本研究ではミョウガを調理することにより、これらの化合物がどのように変動するのか精査した。【方法および結果】市販の新鮮ミョウガを洗浄後、加熱調理としてスライスしたミョウガを試料とし、茹でる・炒めるなどの調理、また非加熱調理(漬物)として2分割したミョウガを試料とし塩漬け・酢漬け・味噌漬け・糠漬け・粕漬けなどの加工を施した。漬物は60日間を貯蔵期間として、それぞれ定期的に一定量を酢酸エチルで抽出しHPLCにてMiogadial 及びMiogatrialの定量を行い、新鮮ミョウガとその含有量を比較した。加熱調理においては5分以内の短時間の加熱では茹で操作、炒め操作ともにミョウガ花蕾中におけるMiogadial 、Miogatrialは約60%残存していた。調理中のミョウガからの溶出も検討するため茹で汁、炒め油について同様に分析した結果、油中への溶出が一部認められた。非加熱調理においては60日後のMiogadial 、Miogatrialの残存率が最も高いものは酢漬けであり、著しく減少したものは糠漬け、粕漬けであった。Miogadial 及びMiogatrialの変動に及ぼす要因について、現在検討中である。
著者
森本 賢治 久々湊 靖 朝倉 光司 形浦 昭克
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8, pp.1087-1094, 1989-08-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
31
被引用文献数
2 2

The authors present five cases of mucormycosis of maxillary sinuses treated at Ebetsu City Hospital from May 1987 to November 1988, including a very rare case bilateral maxillary sinus involvement.The patients were treated surgically, the prognosis appeared to be good. The pertinent literature is reviewed.
著者
斎藤 育江 大貫 文 戸高 恵美子 中岡 宏子 森 千里 保坂 三継 小縣 昭夫
出版者
一般社団法人日本リスク研究学会
雑誌
日本リスク研究学会誌 (ISSN:09155465)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.91-100, 2011
被引用文献数
1

In the 1990s, the so-called ‘sick house syndrome’ became an area of public concern. Consequently, the Ministry of Health, Labour and Welfare of Japan established Indoor Air Guidelines for 13 compounds as a preventive measure against sick house syndrome. In recent years, lower concentrations of the 13 chemicals in newly built houses diminished the health risk from those chemicals. As a result, instead of the regulated chemicals, unregulated chemicals such as methylcyclohexane, dichloromethane and acetone became common in building materials. These chemicals have also been found to cause sick house syndrome. Thus, in addition to the regulation of individual chemicals, it is now believed that it is necessary to minimize the total amount of volatile organic compounds (VOCs) in order to diminish the health risk from indoor air chemicals.
著者
新森 昭宏 奥村 学
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 = Journal of natural language processing (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.111-128, 2005-07-10
参考文献数
16
被引用文献数
2 4

特許明細書には, 特許請求項と「発明の詳細な説明」が記述される.特許請求項は特許明細書において最も重要な部分であるが, 構成的または結合的に記述されるため, 可読性が低い.「発明の詳細な説明」と, 特許請求項を対応付けることにより, (1) 特許請求項に対する作用 (機能) と効果を明確化する, (2) 特許請求項の重要箇所を明確化する, (3) 特許請求項で使われている表現に関する言い換えを取得する, 等の効果が得られ, 特許請求項の読解支援につながる.本稿では, 特許請求項を構造解析し, その結果を用いて, 「用言文節を起点としたローカルアラインメント」を行うことにより, 「発明の詳細な説明」との対応付けを行う手法を提案する.NTCIR3の特許データコルクションからランダムに抽出した100件のうち88件の特許明細書を対象として評価を行い, その有効性を確認した.
著者
中路 重之 坂本 十一 菅原 和夫 岩根 覚 太田 昌徳 森 文平
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.628-637, 1993
被引用文献数
2 4

Based on the result of the Aomori Nutrition Survey, we have calculated daily dietary fiber (DF) intake using modified Southgate and Prosky methods. Result obtained were as follows: DF intake in Aomori was 23.7±8.4g by the modified Southgate method, and 22.2±8.5g by the modified Prosky method. As for supply sources of DF, 32.3% was from grains; 22.7%, vegetables; 15.6%, beans; and 7.8%, fruits calculated by the modified Southgate method, and 31.3%, vegetables; 19.0%, grains; 18.0%, beans; and 11.6%, fruits by the modified Prosky method. As to types of DF, intake of hemicellulose was 11.5±4.2g, cellulose 7.8±3.0g and lignin 4.4±2.3g. In the group with DF intake below 10.0g, DF came mainly from grains and fruits, while the group with DF intake above 30.0g took DF from various foods.
著者
森 太郎 村松 昂樹 羽山 広文 石垣 祐里奈 濱田 靖弘
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.81-84, 2019

<p>2018/9/6に発生した北海道胆振東部地震は最大震度7を厚真町鹿沼で記録し,札幌市内でも多くの箇所で震度5強,6弱が記録されている.震源に近い厚真町では土砂崩れによって36名の方が亡くなっており,倒壊した家屋も多い.また,液状化現象が多数発生しており,液状化によって被害を受けた住戸は震源から距離のある札幌市において多い.さらに,北海道内のほぼ全域で電力供給がとまってしまう,ブラックアウトが発生した.本報告では北海道胆振東部地震における住宅に関する建築設備,環境性能の被害実態について報告する.</p>
著者
森井 亙 尾上 謙介 中村 佳重郎 大谷 文夫 細 善信 和田 安男
出版者
京都大学防災研究所 / Disaster Prevention Research Institute Kyoto University
雑誌
京都大学防災研究所年報. B (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.B, pp.245-251, 2006-04-01

京都大学防災研究所付属地震予知研究センターの地殻変動観測所のうち近畿地方に分布する3観測所(屯鶴峯・阿武山・天ヶ瀬)で,1989年終盤から1995年初頭にかけて顕著な地殻歪の変動が記録され,その後1995年兵庫県南部地震が発生した。上記3観測所の記録は,何れも1989年終盤から約3年の間南北方向の圧縮が増大したことを示し,その後約2年の間は南北方向の圧縮の増大が沈静化したことを示している。さらに1994年半ばからは,逆に南北方向の伸長が急激に増大したことを示している。この様に圧縮と伸長が入れ替わる変動を震源断層のプレスリップで説明することは困難である。我々は,1989年終盤から始まった地殻歪の変動を紀伊半島下に潜り込むプレートと地殻下部の部分的な固着によって引き起こされた変動と考え,単純なモデル計算を行った結果,観測記録をよく説明できることが分かった。当該の地殻歪変動は,兵庫県南部地震の準備過程を捉えたものではなく,それとは独立に生じた現象であり,むしろ,この急激な地殻歪の変動が兵庫県南部地震を誘発したものであると考えられる。
著者
森井 亙 尾上 謙介 中村 佳重郎 大谷 文夫 細 善信 和田 安男
出版者
京都大学防災研究所 / Disaster Prevention Research Institute Kyoto University
雑誌
京都大学防災研究所年報 = DPRI annuals (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.49, pp.245-251, 2005

京都大学防災研究所付属地震予知研究センターの地殻変動観測所のうち近畿地方に分布する3観測所(屯鶴峯・阿武山・天ヶ瀬)で,1989年終盤から1995年初頭にかけて顕著な地殻歪の変動が記録され,その後1995年兵庫県南部地震が発生した。上記3観測所の記録は,何れも1989年終盤から約3年の間南北方向の圧縮が増大したことを示し,その後約2年の間は南北方向の圧縮の増大が沈静化したことを示している。さらに1994年半ばからは,逆に南北方向の伸長が急激に増大したことを示している。この様に圧縮と伸長が入れ替わる変動を震源断層のプレスリップで説明することは困難である。我々は,1989年終盤から始まった地殻歪の変動を紀伊半島下に潜り込むプレートと地殻下部の部分的な固着によって引き起こされた変動と考え,単純なモデル計算を行った結果,観測記録をよく説明できることが分かった。当該の地殻歪変動は,兵庫県南部地震の準備過程を捉えたものではなく,それとは独立に生じた現象であり,むしろ,この急激な地殻歪の変動が兵庫県南部地震を誘発したものであると考えられる。