著者
玉井 那奈 松永 和秀 榎本 明史 村本 大輔 森川 大樹 向井 隆雄 内橋 隆行 土井 勝美 濱田 傑
出版者
近畿大学医学会
雑誌
近畿大学医学雑誌 = Medical Journal of Kindai University (ISSN:03858367)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.91-95, 2016-12-20

[抄録] 上顎正中過剰埋伏歯と同時に鼻腔内過剰歯を認めた小児の1例を経験した.【症例】患者:9歳,男児.主訴:歯列不正(無症状).既往歴:特記事項なし.【現病歴】近在歯科にて上顎正中過剰埋伏歯を指摘され,当科紹介となった.【現症】歯牙欠損および萌出に異常所見は認めなかった.CT画像にて,上顎右側中切歯歯根の口蓋側に逆生過剰埋伏歯ならびに,左側鼻腔底粘膜内に過剰歯を認めた.【処置および経過】歯科口腔外科および耳鼻咽喉科と共同で,全身麻酔下にて鼻腔内過剰歯は鼻腔から,上顎正中過剰歯は口腔からのアプローチで抜歯を施行した.鼻腔内過剰歯は犬歯様形態を呈していた.【考察】今回,1990年以降に報告された鼻腔内過剰歯の33文献46例と自験例を併せた47例について検討した.鼻腔内過剰歯の初発症状は鼻症状が多いため,耳鼻咽喉科領域からの報告が多く,歯科領域からの報告は比較的少ないとされているが,歯科・口腔外科からも耳鼻咽喉科とほぼ同数の報告がなされていた.10歳以下が最も多く,そのほとんどが鼻症状よるものであった.抜歯した鼻腔内過剰歯の過半数が犬歯様形態を呈していた.47例のうち上顎正中過剰埋伏歯と同時に鼻腔内過剰歯を認めた症例は自験例も合わせて4例であった.4例はいずれも口腔外科からの報告で,鼻腔内過剰歯は経鼻から,上顎正中過剰歯は経口からのアプローチで抜歯が施行されていた.
著者
本間 克明 酒井 律子 武島 晶子 島森 美光 早瀬 幸俊
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 = Journal of the Pharmaceutical Society of Japan (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.124, no.10, pp.693-697, 2004-10-01
参考文献数
5
被引用文献数
1

生活環境の改善や医学の進歩等により, わが国の平均寿命は平成13年では男性78.07年, 女性84.93年となり, 1)世界有数の長寿国となっている. そして, 65歳以上の高齢者人口は平成12年でおよそ2200万人と総人口の17.4%を占めており, 平成27年には26%台となり, さらに平成42年には29.6%, 平成62年には35.7%に達すると推計されている. 2)このような急速な高齢化の進展や疾病構造の変化等によりわが国の医療をとりまく環境は大きく変化しており, それに伴い国民医療費は年々増大し, 平成11年度には約30兆円に到達した. 年齢階級別国民医療費を平成12年度で見ると, 65歳以上の医療費が約12兆円で, 実に50%を占めるに至っており, これを1人当たりの医療費で見ると, 15歳から44歳が約7万円, 45歳から64歳が約19万円であるのに対して, 65歳以上では約54万円, 70歳以上では約63万円, 75歳以上では約70万円と15歳から44歳及び45歳から64歳の医療費に比べて, それぞれ約3倍から10倍高くなっている. 3)この原因としては高齢者は受診率が高く, また重症化し易く, かつ治療には長期間かかることなどが考えられている.
著者
森田 裕之 中原 孝信
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.7, 2006

小売業では競争の激化に伴い,商品の効率的な値段設定が望まれている.しかし大量の商品の中からどのような商品を値引きして販売すると効率的であるかを決めることは,POS データが蓄積されていても,その組合せの多さからそれほど単純であるとはいえない.本稿では,実際のPOS データを利用して,各商品の値引きの意思決定が総売上に対する影響を持つ1つのモデルを定式化する. その上で,回帰モデルを利用して値引きによる効用を算出し,ナップザック問題を解くことによって全体として最適になるようなプライシング戦略を提案する.
著者
久保 稔 金森 強 中山 晃
出版者
小学校英語教育学会
雑誌
小学校英語教育学会誌 (ISSN:13489275)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.4-18, 2012-03-20 (Released:2017-10-05)

本稿では,ICT (information and Communication Technology)を利用した特別支援学級における自立活動という枠組みでの英語活動の実践内容と,その際の留意点,及び平成23年度から必修化された「外国語活動」を特別支援学級で行う際の課題と可能性について報告する。平成22年度に,特別支援学級に在籍する児童(6名)を対象に,自立活動の枠組みで,情緒の安定を図るとともに,友だちとのかかわり方や集団での適応性を高めることめざし,「デジタル読み聞かせ」と「What's missing?」というICTを活用した2つの教材を作成し,英語活動の研究授業を行った。実践の成果として,スキャナで本を読み取りそれを大画面テレビに映し出して読み聞かせを行う「デジタル読み聞かせ」では,子どもたちの「本への興味関心を高める」とともに,「集中力の向上」を図ることができた。また,テレビ画面上に提示しているカードを1枚(または数枚)消し,消えたカードを答えさせるゲーム「What's missing?」では,参加児童は友だちと協力し合いながら勝敗を気にせず楽しく活動することができた。授業参観者からは,「集中力を持続させるのに効果的であった。」,「リハビリ的要素のある活動が含まれていた。」「教師の発音やイントネーションを真似するなど,英語に慣れ親しむ姿が見られた。」等のフィードバックを得られた。今後の特別支援学級における外国語活動では,ICTを利用することで,視覚優位である児童への理解支援や,児童の興味・関心をひきつけることができること,積極的な活動への参加が促せる等の利点があることが示唆された。
著者
鶴田 治雄 大浦 泰嗣 海老原 充 森口 祐一 大原 利眞 中島 映至
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.244-254, 2017-12-20 (Released:2018-01-12)
参考文献数
18
被引用文献数
2

The spatio-temporal distributions of atmospheric 137Cs concentrations in and around the Fukushima prefecture just after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (FD1NPP) accident were retrieved, by measuring radionuclides in suspended particulate matter (SPM) hourly collected on used filter-tapes of operational air quality monitoring stations. Analyzing a published dataset of radiocesium (134Cs and 137Cs) at around 100 SPM monitoring sites, 10 radioactive plumes/polluted air masses in which the maximum 137Cs concentrations were higher than 10 Bq m-3 were found in the period of March 12–23, 2011. In these plumes, 5 plumes were transported to the eastern and/or central parts of the Fukushima prefecture, and another 5 plumes were transported to the Kantou area located more than 100 km south of the FD1NPP, respectively. In the period, the maximum 137Cs concentration of about 575 Bq m-3 was observed in the east coast of the Fukushima prefecture on the evening of March 12, 2011, after a vent process and the hydrogen explosion of Unit 1. Furthermore, high 137Cs concentrations of around 10 Bq m-3 were found in the northern part of the FD1NPP on the morning of March 21 when a strong northerly wind began to blow. These results indicate that further study is expected on the relationship between the release of radionuclides and the events happened in the reactors of the FD1NPP, and on the effects of the vertical structure of the atmosphere on the surface concentrations of radionuclides.
著者
大森 誉紀
出版者
愛媛県農業試験場
雑誌
愛媛県農業試験場研究報告 (ISSN:03887782)
巻号頁・発行日
no.41, pp.51-55, 2008-03

愛媛県における農耕地土壌調査のあゆみと今後の課題。日本で土壌調査が始められたのは明治10年代で、農商務省が明治15年にドイツ人の農林地質学者マックス・フェスカを招聘し、その指導で旧国別の土性調査を開始した。最初に作成されたのが「大日本甲斐国土性図」(明治17年)で、最後に完成したのが「陸奥国土性図」(昭和23年)である。愛媛県の土性図は大正3年(1914年)に「大日本帝國伊予國土性圖」が刊行された。発行は農商務省農事試験場で、英文タイトルはAgronomic Map of IYO Provinceである。重信川を境に東北部と西南部の二部構成となっており、いずれも縮尺は百万分の一で、掛け軸に表装され、農業試験場本館展示室に保管されている。農業試験場では、大正13年(1923年)から「施肥標準調査」が開始された。これは、土性の種類ごとに作物を栽培し、肥料の種類や施用量、好適施用時期などを明らかにすることが目的であった。昭和6年に公表された報告書には、「結晶片岩風化土壌ハ腐植質ニ富ム生産力割合ニ強ク吸収力モ相当大ナリ」など、土壌の肥沃度についての記述がある。
著者
北沢 正彦 石崎 浩 江見 晋 西森 孝三
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.1990, no.422, pp.343-352, 1990
被引用文献数
2

This report deals with the seismic design of the Higashi-Kobe Bridge, which is a long-span cable-stayed bridge. In this bridge, the main girders are supported by all towers and piers in such a way that the girders are all movable (herein referred to as “all free”) in longitudinal direction. This supporting method was adopted with an aim to lengthen the fundamental bridge period to a reasonable long period. By using this supporting method, the effects of the inertial force of the superstructure on the bridge towers and the caisson foundations were greatly reduced, thereby resulting in a more rational and economical bridge design.
著者
青 雲 金森 平和 黒川 峰夫 宮村 耕一 伊藤 俊朗 衛藤 徹也 片山 義雄 前田 哲生 小寺 良尚 飯田 美奈子 鈴木 律朗 山下 卓也 福田 隆浩 大橋 一輝 小川 啓恭 鬼塚 真仁 近藤 忠一
出版者
一般社団法人 日本造血細胞移植学会
雑誌
日本造血細胞移植学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.6-14, 2012
被引用文献数
2

造血幹細胞(骨髄,末梢血)ドナーの実態を把握し,将来におけるドナーの安全性,満足度を更に向上させる目的で,日本造血細胞移植学会ドナー登録センターに2006年4月から2010年3月までの間に集積された血縁ドナー年次アンケート結果の一部であるドナーの意見(ドナーの声)を解析し,満足度および不満の内容を,骨髄ドナー,末梢血ドナー間で比較した。提供に際しての,満足度(不満度)は両提供法に差は無かったが,不満を表明したドナーにおいてその不満が身体的なものに起因する割合は,骨髄ドナーに多かった。身体的不満の内主要なものは各種疼痛,特に疼痛の遷延であり,採取手技,使用機器(採取針のサイズ等),採取に際しての説明等に対する採取チームの配慮により改善可能と思われた。
著者
荒牧 英治 増川 佐知子 森田 瑞樹
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 = Journal of natural language processing (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.419-435, 2012-12-14
参考文献数
23
被引用文献数
1

近年,ウェブの情報を用いて,感染症などの疾病状態を監視するシステムに注目が集まっている.本研究では,ソーシャルメディアを用いたインフルエンザ・サーベイランスに注目する. これまでの多くのシステムは,単純な単語の頻度情報をもとに患者の状態を調査するというものであった.しかし,この方法では,実際に疾患にかかっていない場合の発言を収集してしまう恐れがある.また,そもそも,医療者でない個人の自発的な発言の集計が,必ずしもインフルエンザの流行と一致するとは限らない.本研究では,前者の問題に対応するため, 発言者が実際にインフルエンザにかかっているもののみを抽出し集計を行う.後者の問題に対して,発言と流行の時間的なずれを吸収するための感染症モデルを提案する.実験においては,Twitter の発言を材料にしたインフルエンザ流行の推定値は,感染症情報センターの患者数と相関係数 0.910 という高い相関を示し,その有効性を示した.本研究により,ソーシャルメディア上の情報をそのまま用いるのではなく,文章分類や疾患モデルと組み合わせて用いることで,さらに精度を向上できることが示された.
著者
石田 多恵子 猪野 真純 仲野 敦子 有本 友季子 黒谷 まゆみ 森 史子 工藤 典代 笠井 紀夫 福島 邦博
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.29-36, 2012-03-01
参考文献数
11

&nbsp;&nbsp;聴覚障害児の日本語言語発達に関する全国研究として,厚生労働科学研究補助金事業「感覚器障害戦略研究&mdash;聴覚分野&mdash;」が実施され,日本語言語発達を評価するテストバッテリー ALADJIN(アラジン・<u>A</u>ssessment of <u>L</u>anguage <u>D</u>evelopment for <u>J</u>apanese ch<u>I</u>ldre<u>N</u>)が提唱されている。当院もこの研究に参加し,4 歳から12歳までの先天性高度聴覚障害児(平均聴力レベル70 dB 以上)計44名に対して ALADJIN を実施し,同事業による聴覚障害児全国集計平均値(平成22年 5 月・感覚器障害戦略研究中間報告)との比較検討を行った。<br/>&nbsp;&nbsp;言語力が高く,音声によるコミュニケーションが可能な児の多くは普通小学校(メインストリーム)に在籍していた。聾学校小学部低学年では言語力の低い児が多くみられたが,同小学部高学年になると全国集計値よりも高い言語力を有する児がみられ,各々の児に適した教育により言語力を伸ばせる可能性が示唆された。
著者
森本 忠嗣 會田 勝広 園畑 素樹 馬渡 正明 佛淵 孝夫
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.586-589, 2010
被引用文献数
1

【背景】変形性股関節症(以下,OA股)では腰椎側弯(以下,LS)合併が稀ではなく,脚長差が一因と考えられているが詳細な検討例は少ない.【目的】OA股における脚長差と腰椎側弯カーブの方向との関係について調査すること.【対象と方法】初回人工股関節置換術を行った片側OA股437例(男性56例,女性381例,平均年齢62歳)の脚長差とLSカーブの方向について調査した.脚長差は10mm未満,10mm代,20mm代,30mm以上の層に分類し,層別のLS頻度(Cobb角5°以上),LSカーブ方向と層別尤度比を調査した.【結果】LS頻度は40%であり,内訳は患側凸26%,健側凸14%であった.層別尤度比の検討からは,30mm以上の層のみでLS頻度,患側凸頻度は有意に高くなった.【考察】片側OA股では30mm以上の脚長差で腰椎への負荷は一定方向となり患側凸のLSが発生しやすいことが示唆された.
著者
森本 忠嗣
出版者
日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of spine research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.1, no.7, pp.1299-1302, 2010-07-25