著者
森田 愛子
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.417-427, 2006 (Released:2008-11-13)
参考文献数
27
被引用文献数
1

The purpose of the present study was to examine pseudo-homophone effect in a sentence verification task in which sentences included a two-kanji compound nonword in the case that the target was identified by an underline. In a sentence verification task, participants asked to judge whether the presented sentence was acceptable or not. Previous studies showed that participants responded more quickly when sentences included a pseudo-homophone than when they included a non-homophonic nonword. However, participants responded more slowly to pseudo-homophones than to non-homophonic nonwords when a context of the sentence (a sentence without a target) was presented first, and a target followed which required judgment. The current experiment showed that participants responded more quickly when sentences included a pseudo-homophone, even if an underline was added at the target. Thus, the pseudo-homophone facilitation effect was observed even when the participant did not need to search where a target was. The result suggested that the main factor of the pseudo-homophone facilitation effect would be simultaneous processing of the target stimuli and sentence meaning.
著者
長野 勇 木村 磐根 岡田 敏美 山本 正幸 橋本 弘蔵 鶴田 浩一郎 川口 正芳 杉森 明志
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.77-91, 1991-03

EXOS-D衛星は1989年2月21日に打ち上げられ, その後伸展物の展開, 高圧電源の投入を経て, 観測態勢に入った。VLF装置によるプラズマ波動の観測は, 一部他の搭載機器との電磁干渉が見られるが, 概ね良質のデータが取得されており, PFX装置で観測されたオメガ信号及びホイスラ空電のk及びPoynting vectorの解析に成功している。また, WB受信機やMCA装置により, オーロラに関連したHissやfunnel typeのエミションのスペクトラムが観測されている。この様に, 概ね良質な波動データを取得できたのは, 次のようなEMI対策によるところが大きい。すなわち第1次噛み合わせにおいて, 全てのサブシステムを衛星に組み込んだ後に各サブシステムからの放射磁界雑音特性を測定し(システム全体により構成されるループからの放射も含む), その雑音強度がVLF班の測定対象としている波動のレベル(磁界センサーが検出できる最小レベルを基準にすることが望ましいが)を越えている場合, そのサブシステムについてEMI対策をお願いした。改修後, 単体によるEMI測定を行なった。更に, 第2次噛み合わせにおいて, 組み上げ後再度EMIテストを行なった。このようにして, 各サブシステムのPIのご協力により, 放射磁界干渉雑音強度を減少させることが出来た。しかし, 一部の搭載機器においては, その改修によるシステム全体に与える影響を避けるため, そして改修にかかる時間的制約のもとで, 干渉を減らす為の装置の改修を諦めざるを得なかった。本報告では, EXOS-Dの干渉試験を通して得られたいくつかのEMI対策方法や資料について述べる。また, 打ち上げ後の軌道上におけるVLF装置と他サブシステムとの干渉結果についても述べる。そして, これらの経験を通して作成された1992年打ち上げ予定の科学衛星(GEOTAIL)に於けるEMC規制値についても触れる。
著者
森脇 喜一
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.300-320, 1998-11-30

第39次南極地域観測隊(第39次隊)は1997年11月14日東京港を出発した。フリマントル寄港中に第38次越冬隊に緊急患者が発生したため昭和基地に直行し12月15日に到着した。患者収容と物資輸送後, 患者を送還するため「しらせ」はケープタウンまで往復した。「しらせ」は1月23日にアムンゼン湾トナー島に地学調査隊を送り込んだ後, 1月27日に昭和基地に戻った。昭和基地での建設等は12月中旬∿2月中旬に行われた。昭和基地方面での野外調査は12月下旬∿1月上旬と1月末∿2月上旬にかけて, ドームふじ観測拠点への旅行は12月下旬∿2月上旬になされた。大気採集実験は1月3日に実施された。第39次夏隊と第38次越冬隊は2月15日に昭和基地を離れ, 海底地形測量の後, 2月下旬にアムンゼン湾地域での観測を実施した。3月1日アムンゼン湾発, 同21日シドニー入港, 同28日, 空路成田に帰着した。海洋観測は東京からシドニーまでの「しらせ」航路上で実施した。
著者
森岡 孝二
出版者
金曜日
雑誌
金曜日
巻号頁・発行日
vol.7, no.48, pp.18-20, 1999-12-10
著者
森田 桂 小林 栄
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.10, pp.111-117, 1966-09-15

Lenthionine, a highly sulfur-containing odorous substance, has been isolated from Lentinus edodes (Berk.) Sing [Shiitake Mushroom]. The compound represents the characteristic odor of the mushroom and the structure was established to be 1,2,3,5,6-pentathiepane (1) by physico-chemical measurements. 1,2,4,6-Tetrathiepane (II) and 1,2,3,4,5,6-hexathiepane (III) were also separated from the mushroom in minor quantities. All these cyclic methylene polysulfides from natural source were synthesized from simple starting materials. A precursor of lenthionine was isolated in a crystalline form. The compound was not stable and gradually decomposed into lenthionine and its analogs after being left standing at room temperature. The structure of this precursor (IV) is proposed on the basis of the conventional and high resolution mass spectral studies. Finally, the mechanisms of formation of lenthionine and its analogs from the precursor is discussed.
著者
安藤 雄一 高徳 幸男 峯田 和彦 神森 秀樹 根子 淑江 宮崎 秀夫
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.248-257, 2001-07-30
被引用文献数
14

成人を対象とした歯科健診は低受診率による選択バイアスが生じやすいことから,1999年度に行われた第4回新潟県歯科疾患実態調査では,従来の歯科健診のみによる方式から,あらかじめ調査対象者全員に質問紙を配布して歯科健診を行う方式に切り替えた。本論文では,歯科健診の受診率と質問紙の回答率,健診受診者と非受診者の特性を比較することにより,新たに採用した調査方式の有用性を評価することを目的とした。調査地区は,新潟県内14保健所に1〜2地区を割り当て,23地区を抽出した。調査対象者は,対象地区内に在住する1歳以上の全住民3,561名とした。歯科健診の受診率は35.3%と低く,年齢・性差が大きかった昿質問紙の回収率は83.2%と高く,年齢・性差は小さかった。質問紙の各項目について健診受診の有無別に比較した結果,自己評価による現在歯数は60〜70歳代で受診者のほうが多かった。これは,歯科健診のみによる従来型の調査方法を採用し,受診率が今回のように低い場合,高齢者の現在歯数が過大評価されることを示唆している。また,歯科健診の受診者は,非受診者に比べて,口腔の自覚症状を有する割合が高く,歯科医院を早めに受療し,歯石除去経験のある割合が高かった。以上より,今回新たに採用した調査方式は,対象集団の実態を正しく示すために有用と考えられた。
著者
湯 陵華 森島 啓子
出版者
日本育種学会
雑誌
Breeding science (ISSN:13447610)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.153-160, 1997-06-01
被引用文献数
4

雑草イネとは稲田の中や周辺に雑草として定着しているイネで,直播田で多く報告されている。世界各地で収集された雑草イネ24系統の各種形質およびアイソザイム変異を調査し,その遺伝的特性を明らかにしようとした。繁殖体系に関しては,自然脱粒・自然発芽する自生型と,形態・生態が栽培イネと非常に似ているためイネに混入したまま収穫・播種される作物擬態型の2つのタイプが認められた。また,インド型・日本型への分化が明瞭に認められた。供試系統はインド型的作物擬態型(I群),インド型的自生型(II群),日本型的自生型(III群)に大別されたが,これらは異なる起源を持つと考えられる。作物擬態型は,古い在来品種が持っていた多様な遺伝変異の中から雑草的なものが選抜されて残ったのであろう。野生イネの分布する熱帯の水田地帯で見出される自生型は,野生イネと栽培イネの自然交雑に由来するものと考えられる。野生イネの分布していない地域で見出される自生型系統の起源についてはよくわからないが,目印交雑のような遠縁品種間交雑の分離後代に由来する可能性や,過去に存在した野生イネと栽培イネとの自然交雑の結果生じた可能性などが考えられる。中国長江下流域に自生していた雑草イネ(III群)の成立には,この地域に存在していた可能性の高い日本型的野生イネが関与したと考えることもできる。
著者
竹久 達也 廣友 雅徳 伊沢 亮一 森井 昌克 中尾 康二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.206, pp.119-124, 2009-09-17
参考文献数
9

近年,インターネット上での各種サイバー攻撃の数が増加しており,サービス提供者および利用者にとって大きな脅威となっている.インターネット上でリモートアクセスVPNサービスを提供する場合,サービス提供サーバはDoS攻撃を初めとするサイバー攻撃に晒されることになる.このような攻撃への対策としてサービス提供サーバの着信ポート番号を特定不能にすることが有効である.筆者らはサービスの着信ポート番号を動的に変更するリモートVPNについて検討し具体的な実装方式を提案した.本稿では筆者らが提案したポートランダマイズドVPN方式の性能を評価することにより有効性および実現可能性を示す.
著者
本山 秀明 森本 真司 渡辺 興亜
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.101-110, 2003-07

水試料中の水素同位体比を,800度に加熱したクロムによって水試料を水素に還元する方法で測定した.測定精度は1.0‰以内であった.南極氷床上で採取された沿岸から内陸部にかけての表面積雪を測定した.測定範囲は-200‰から-400‰であった.沿岸から内陸へ気温が下がるとともにδDは小さな値となり,この変動はδ^<18>Oと一致した.また過剰重水素が沿岸では10‰以下の小さな値を示すことから,海が近いほど湿潤なところで生成した水蒸気が凝結して降り積もっている雪であると考えられる.地球環境を探るのに有効な水素同位体比の測定法を確立した.
著者
Kubo Erika B. 楳田 高士 吉田 宗平 森 一功
出版者
関西鍼灸大学
雑誌
関西鍼灸大学紀要 (ISSN:09129545)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.66-71, 2006-05-26

患者は2003年2月に左頚部神経鞘腫切除術を受けた28歳の女性で、術後、ホルネル症候群が出現、頚部の突っ張り、咀嚼時痛がひどくなり、肩凝りもひどくなった。さらに、不眠、月経困難とそれに伴う腰痛なども愁訴として認められた。2004年1月末に鍼治療を開始し、1か月にほぼ1回の割合で低周波鍼通電療法(3Hz、15分間)と皮内鍼貼付を行った。全身調整経穴を主としたが、鍼通電には主にTH-17(翳風)-LIと18(扶突)、ex-HN5(太陽)とST-7(下関)を頚部の突っ張りと咀嚼時痛の軽減のために用いた。数回の治療で、頚部の突っ張り、月経困難、不眠症、および腰痛はほとんど消失し、眼瞼下垂の症状も顕著に改善した。頸肩部の突っ張りや凝り、顔面部の咀嚼時痛の消失は低周波鍼通電療法と皮内鍼貼付による胸鎖乳突筋・斜角筋の弛緩と鎮痛作用と手術痕周囲の循環の改善もよるものと思われた。他のメカニズムとして鍼刺激により、多くのケミカルメデイエーターの放出が促進されたためと考えられた。この眼瞼下垂は頸部交感神経の傷害により起こったホルネル症候群であり、鍼治療による眼瞼の開大は鍼刺激(太陽穴)によりこの交感神経を刺激することによりおこる反射を改善させたものと考えられた。
著者
佐伯 謙吾 森田 昌嗣 岡 泰雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.54, pp.240-241, 2007-06-20

The multifamily housing, which is the subject of this plan in this research, has a criterion of being large-scale and occupying more than 200 households. It is a large-scale housing development compared to its surroundings. In the formulation of this plan, emphasis is placed on the realization of the development theme of "universal design for wellbeing." The emphasis is not just on functional universal design, but also on providing value from a universal perspective by contributing to the wellbeing of the many people who will live together in the housing. The plan calls for sales to begin in 2007 and the completion of construction in the winter of 2008. Through investigations of the original plan after completion, the goal is to reflect its lessons in future multifamily housing development plans.
著者
森村 尚登 櫻井 淳 石川 秀樹 武田 宗和 泉 裕之 石原 哲 有賀 徹
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.9, pp.921-929, 2008-09-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
8

背景:市民が傷病の緊急性を判断するにあたり医学的な観点で看護師及び医師が24時間体制で相談に応じ,救急車要請適応の判断や症状に応じた口頭指導や受診科目・医療機関情報を提供するため,2007年 6 月に救急相談センター(受付番号#7119,以下救急相談センター)が開設された。目的:本研究の目的は,緊急度判断のプロトコールに基づく電話救急医療相談の現状と課題について検討することである。方法:予測し得る相談対象者の主訴ごとに90のプロトコールを作成した。緊急度のカテゴリーは,(1)救急車要請を必要とする病態(赤),(2)救急車要請の必要はないと判断できるが,少なくとも1時間以内の緊急受診を必要とする病態(橙),(3)6 時間以内を目安とした早期受診を必要とする病態(黄),(4)当日ないし翌日日勤帯の病院受診を必要とする病態(緑)の 4 段階とした。開始後 3 か月間の交信記録を集積して検討した。結果: 3 か月間の相談件数6,549件中プロトコール使用率は75.7%で,小児の発熱,小児の頭頸部外傷,異物誤飲の順に使用頻度が高かった。プロトコールに従った緊急度判断は,赤 24.6%,橙 29.4%,黄 23.7%,緑 22.4%であった。諸因子を勘案して最終的に赤と判断した925例中救急車搬送は786例で,うち病院初診時重症度が判明した673例中の30.9%が緊急入院していた。結論:赤カテゴリー以外の判断は結果として救急車需要増加の対応に寄与したと考えられ,他方赤カテゴリーと判断した症例のうち緊急入院を要した症例が存在したことから,プロトコールに基づく緊急度判断が緊急性の高い患者の早期医療機関受診に寄与したといえる。プロトコール導入によって対応が標準化され,相談者の受診行動に影響を与えたと考えられるが,今後はデータ集積を継続し更なる検討が必要である。
著者
足立 満 森川 昭廣 石原 享介
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.411-420, 2002
参考文献数
10
被引用文献数
25

本邦における喘息患者の実態を調査するために,2000年9月から12月にかけて全国に無作為に電話によるインタビューを行った.協力世帯は38,132世帯,このうち喘息患者は1,326世帯で確認され,最終的に成人401名,小児402名の喘息患者を解析対象とした.この1ヵ月間の喘息の症状は成人,小児ともに日中で半数以上,夜間で4割で認められた.この1年間の通院は成人で4割,小児で6割が経験した.日常生活・社会活動上で何らかの制約を感じたのは成人で7割,小児で6割に及んだ.肺機能検査を受けたことが無い患者は成人で半数,小児で8割に上った.喘息の病態を「気道炎症」と回答した患者は成人で6%,小児の保護者で7%,吸入ステロイド薬使用頻度は成人で12%,小児で5%と低くかった.重症の患者では客観的重症度と白己評価の重症度に大きなギャップが認められ,自分を実際よりも軽症と判断している場合が多かった.本調査より,有効な治療法が存在するにもかかわらず,本邦の喘息管理はガイドラインの目標に遥かに及んでいないことが判明した.全ての臨床医への正しい知識の普及,さらに喘息に対する社会認識を高めるためより一層の社会への教育,啓蒙の重要性が示唆された.