著者
西尾 恵里子 森田 士郎 豊川 徹 富田 純史
出版者
日本環境変異原学会
雑誌
環境変異原研究 (ISSN:09100865)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.81-88, 2004 (Released:2005-12-21)
参考文献数
13
被引用文献数
5 5

The Ames Salmonella/microsome assay (Ames test) is a convenient method for screening mutagens in our diet including those in drinking water. In this study, we assayed the mutagenicity levels of tap water in Kitakyushu-city and of humic acid solutions treated with chlorine. The amount of chlorine added was calculated to maintain the residual chlorine level constant at 20°C as in city office tap water. The samples were concentrated with adsorbent (CSP800) and the mutagenic activity was assayed with Salmonella typhimurium TA100 and TA98 strains with or without S9 mix. The tap water was analyzed for volatile organic compounds and some factors in conventional water quality monitoring every two months from March 1998 to January 2000. The tap water samples tested showed mutagenicity on strain TA100 without S9 mix. The mutagenicity of the samples tended to be higher from winter to spring than that from summer to fall.Chlorine-treated humic acid solutions were used as a model to examine the effect of the concentrations of humic acid and chlorine, and the temperature on the mutagenicity. The descending order of sensitivity to mutagenicity was TA100 without S9 mix, TA98 without S9 mix, and TA100 with S9 mix; no mutagenicity was observed for TA98 with S9 mix. Mutagenicity seemed to increase with increasing concentrations of humic acid and chlorine, and with lowering the water temperature. The observed seasonal variation of mutagenicity of the tap water may be partly explained by the rainfall and the water temperature during the rainy season, from summer to fall, because the organic substances of river water decreased and the water temperature increased over that season.
著者
森田 裕人
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.18, no.7, pp.638-645, 1996
参考文献数
9
被引用文献数
2

リドカインは気管支鏡検査施行時の麻酔薬として広く一般に使用されている。しかしながら現状では, 検査中に使用されているリドカインの総量にはあまり注意が払われていない。我々は, ジャクソン型噴霧器による麻酔とテフロン樹脂製のカテーテルを気管支鏡の生検鉗子チャンネルに挿入し麻酔することによって, 少量のリドカイン(患者1人あたり平均240mg)で1124症例に生検やブラシ, 洗浄等の気管支鏡検査を施行した。リドカイン中毒を呈した症例は認められなかった。しかし, シースカテーテルを使用しないで麻酔を行う一般的な気管支鏡検査では, いくらかのリドカインは吸引に流入されており, 実際にはリドカインの使用量に差はあるが, 有効に, 気管や気管支への麻酔に使用されたリドカイン量は同じかもしれない。そこで, 我々は, 37歳から81歳までの検査の同意を得た22人について, 同量のリドカインが現実に有効であることを否定するために, 使用されたリドカイン総量とその血漿中濃度について検討した。結果は, 使用されたリドカイン総量, 血漿中リドカイン濃度, ともにシースカテーテルを使用して麻酔した方が使用しない場合より有意に低い結果を得た。テフロン樹脂製のシースカテーテルは気管支鏡麻酔施行時のリドカイン使用量の減量に有効であると結論づけられた。加えて, 気管支鏡検査時の出血やくもりもシースカテーテル先端を気管支鏡内に数mmおさめ, 少量の生理食塩液とリドカインをシースカテーテルより注入することで, 洗い流すとともに咳嗽をおさえ, 新たなる出血を予防し改善される。エピネフリン等の止血薬注入が必要な場合でもシースカテーテルを通して注入すれば, シースカテーテルを使用しない場合よりも, より少量の使用量ですむ。
著者
荻原 洋晶 窪田 聖一 森 介計
出版者
東京昆蟲學會
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.451-457, 1995-06-25
参考文献数
13
被引用文献数
3

ヒメエグリバを卵期から成虫期(産卵開始時)まで, 長日条件下の16, 19, 22, 25, および28℃恒温で飼育し, 各発育段階ごとの所要経過日数を記録した.その結果, 発育速度はいずれの発育段階でも, 高温になるほど速やかであった.19℃以下の低温下では発育の遅延がみられるばかりでなく, 発育速度の個体変動が大きくなり, また幼虫期の死亡率も高かった.計算された発育零点は12∿13℃とやや高く, 全発育を完了するに必要な有効積算温度は556日度であった.短日条件下で飼育すると, 21および25℃いずれの恒温下でも, 幼虫期後半にいちじるしい発育の遅延がみられた.この遅延は発育速度の低下と経過齢数の増加の結果であり, 休眠状態に入ったためとみなされる.休眠誘導の臨界日長は13∿13.5時間であった.
著者
井上(吉川) 久幸 石井 雅男 松枝 秀和 吉本 誠義 森田 良和
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.829-839, 1998-12-25

1996年1月〜2月にかけて日本-オーストラリア、7月〜8月にかけて日本-アメリカ間を航行した大成丸(運輸省 航海訓練所)で中空糸膜モジュールを用いて海水と平衡になった乾燥空気中の二酸化炭素混合比(xCO_2^S)の測定を試みた。中空糸膜モジュールは、全容積が300cm^3と現在用いているシャワーヘッド型平衡器(設置に110dm^3必要)に比べて小さく、設置が容易である。中空糸膜モジュールを用いて測定したxCO_2^Sは温度計測を行うことにより従来のシャワーヘッド型平衡器の結果と良い一致を示した。14分離れて測定したxCO_2^Sの差は、0.1ppm(n=732)であり標準偏差は3.7ppmであった。このことは二つの平衡器間にシステマティックな差がないことを示しており、中空糸膜が平衡器として将来使用できることが分かった。
著者
貞森 紳丞 濱田 泰三 安部倉 仁
出版者
広島大学歯学会
雑誌
広島大学歯学雑誌 (ISSN:00467472)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.152-155, 2002-12-01
被引用文献数
1
著者
赤藤 克己 山県 弘忠 森 重之
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.82-87, 1964-07-05

1.1957年キバナコスモスの種子に5kr,10krおよび20krのX線照射を行ない,20kr区の後代より大輪型,矢車型および八重咲型など実用的価値が高いと考えられる二,三の変異体を育成しえた。
著者
岡村 均 原田 攻 森川 博史 大島 正義 西村 敏雄
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.811-816, 1977-07-01

ヒトにおいて,排卵時に卵胞腔内から放出された卵が卵管内に移行する機構については,一般的に卵管采によるpick-up mechanismがいわれているが,いまだ詳細に検討されていない点が多い.この問題解明のため,われわれは卵巣と卵管采の間に存在する卵管間膜,mesotubarium ovarica (MTO)を超微形態学的に検索し、このMTOに微細構造上典型的な平滑筋細胞が束状に存在し,しかも卵巣と卵管采を機能的に連絡しているかのごとき配列を呈していることを観察した.MTOの構成成分はこの平滑筋の他に血管とcollagen fibersでありmast cellのような遊走細胞も観察された.卵管間膜表面被覆上皮細胞にはciliaは全く観察されない.従つて排卵時に卵胞壁の収縮により卵胞腔から排出される卵は卵管間膜表面構造によつて移送されるのではなく,この卵胞の運動と同調したMTOの収縮により卵巣に近接する卵管采によつて直接pick-upされるものと考えられる.
著者
森 博明 北田 敏廣 弥田 賢次
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.515-530, 1998-07-31
被引用文献数
1

移動性高気圧が本州中央部を通過した1991年4月21日〜23日の3日間について, 伊勢湾-濃尾平野を含む領域及び松本盆地で行われた立体気象観測データをもとに, 気流の鉛直構造の日変化を調べた.その結果, 1)広域海陸風日における海陸風の発達高度は, 陸風及び伊勢湾海風が層厚200〜400m, 遠州灘海風が層厚500〜700mを示す.2)伊勢湾海風が出現する以前の午前10時頃に, 高さ700〜1100m(港区)で濃尾平野周辺の山岳地形効果に基づくと考えられる平地→台地風が吹き始める.3)遠州灘海風の上層には, 15〜23時頃にかけて, 中部山岳に発達する熱的低気圧(山岳上空の暖気に基づく低圧部)に向かうと考えられる厚さ1000〜1400m, 風向S〜SWの大規模な平地→台地風が出現すると共に, さらにその上層には, 平地→台地風の反流と考えられるN〜Eの風系が見られる.4)この領域における海陸風は, 伊勢湾-濃尾平野-中部山岳という大きなスケールでの地形効果の影響を強く受けていると考えられる.等の特徴が見られた.
著者
横森 励士 近藤 和弘 大畑 文明 井上 克郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.150-158, 2003-03-01

影響波及解析とは,プログラム変更の影響を受ける部分を識別する手法で,回帰テストでのテストケース選択に利用されてきた.我々はプログラム理解,保守といったより広い範囲でも影響波及解析が利用できると考えているが,既存の手法は被影響部分の探索ルールがテストケース選択用に特化されているため,利用目的に応じて探索ルールを定義できる仕組みが必要となっている.また近年のソフトウェア開発環境では,オブジェクト指向言語が多く利用されており,それらに対応した解析手法及びその実装が求められている.本論文では,ユーザの利用目的に応じて様々な影響波及ルールが定義できる影響波及解析手法を提案する,提案手法では,オブジェクト指向言語JAVAを対象に,クラスメンバ間の関係を表す二つのグラフに基づき解析を行う.また,提案手法をJAVA影響波及解析システムとして実装し,その有効性を検証する.
著者
森 正樹 石田 正行
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.704-709, 2003-11-25

出版社の情報システムには,企画編集に係わるデータベース類,制作に際してのDTPシステム,印税・原稿料管理システム,財務会計システム,販売流通管理システム,Web管理システムなどがある.限られた大手の出版社以外は,中小規模の出版社が多い出版界は,多品種少量生産の上,委託販売制度のもとで,出荷,返品,再出荷を繰り返すのが特徴で,その複雑さゆえに経験ある社員の勘に頼る部分も多く,情報システム化は遅れているといってよい.しかしながら昨今にいたって,執筆者がワープロソフトで原稿を作成し,入稿がメール送信での送稿を希望し,編集制作がDTPへと急速にインターネットを利用した情報環境が進展するにつれ,一定の情報システム化も実施せざるを得ない状況にあるといえよう.また,出版関連産業をみると,出版販売会社(取次)がもつ商品流通管理システム,出版社と書店を結び在庫情報を提供する出版VANシステム,Web利用による直販システム,著作権を管理する複写権管理システムなどの大型システムがある.ここでは,比較的多くの中堅出版社に共通な編集現場でのサーバーの利用とDTP制作の現状を概観し,主として販売流通システムのうち,出版VANシステムとオンライン販売システムについて述べる.