著者
木原 健 武田 裕司
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

怒りを感じていても作り笑いを浮かべるなど、我々は頻繁に本当の感情とは異なる表情を作っている。また、そのような偽りの表情を本当の表情と区別することもできる。しかし、その区別にどのような視覚情報を利用しているかは不明である。表情の認識には空間周波数情報が重要であることから、それが偽り表情の認識にも関与している可能性がある。これを検討するため、低・高空間周波数(LSF・HSF)情報で構成された顔画像の表情の強さを変化させて、教示された表情の作成を求める実験を行った。表情の強さは、明確な笑顔(+10)から明確な怒り顔(-10)まで21段階に変化できた。教示された表情は、本当の笑顔、本当の怒り顔、怒りを偽った笑顔、笑いを偽った怒り顔の4種類があった。実験の結果、偽りの笑顔はLSFが中立表情、HSFが弱い笑顔で構成されることが分かった。これは、LSFとHSFの表情の違いを利用して偽りの笑顔を認識していることを示唆する。
著者
夏秋 優 武田 裕美子 矢野 倫子
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.255-259, 2000-09-20
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

顔面の皮疹に対して紫雲膏, 太乙膏を外用していたところ, 激しい皮膚炎を生じた50歳の女性症例を報告した。皮膚炎はステロイド療法にて約2週間で略治し, 以後, 再発を認めていない。パッチテストの結果, 紫雲膏, 太乙膏, およびそれらの成分である紫根とミツロウで陽性反応を認めた。このことから, 自験例はこれらの外用剤によるアレルギー性接触皮膚炎と診断した。漢方外用薬による接触皮膚炎は少ないものの, 使用中に皮膚症状が悪化した場合はその外用剤による接触皮膚炎を疑う必要がある。
著者
武田 裕吾 武田 はるか 渡邉 菜月 楊箸 隆哉 古川 勉寛
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.369-373, 2020 (Released:2020-12-25)
参考文献数
26
被引用文献数
1

While there are reports on the reliability of the universal goniometer (UG) and smartphone application goniometer (SG), there have been no reports on user impressions when using these devices. In this study, impressions of users of UG and SG that are used in clinical practice were clarified and reliability was compared. Questionnaires on user impressions were administered to 13 staff members who work in the clinical field. Measurements in the hip and knee joints of seven participants were taken by three testers, and intraclass correlation coefficients (ICC) were obtained to assess reliability. Results showed that SG was superior in terms of appearance, weight, texture, portability, usability, versatility and readout. SG was inferior in terms of setting up measurement axes. However, SG demonstrated high reliability even when compared to UG. The intra-and inter-rater ICC were 0.51 to 0.89 and 0.65 to 0.75, respectively.
著者
武田 裕子
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.326-237, 2016-10-25 (Released:2017-08-10)
被引用文献数
1

医学教育の研究論文には, 研究に用いた概念的枠組み (conceptual framework) が不可欠である. しかし, "概念的枠組み (conceptual framework) " と聞いて説明できる医療者は少ないのではないだろうか. 本誌への論文投稿後, 査読者から様々な指摘がなされるが, 研究計画段階でこの "概念的枠組み" が意識されていたら, クリアできたと思えるものが多い. 医学教育における概念的枠組み (conceptual framework) について, Georges Bordageの論文は分かりやすく解説している. そのポイントを以下に紹介する.
著者
松村 泰志 中野 裕彦 楠岡 英雄 朴 勤植 松岡 正己 大嶋 比呂志 早川 正人 武田 裕
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.19-26, 2002 (Released:2017-08-14)
参考文献数
13
被引用文献数
2

ネットワークを利用した医療機関の連携を実現するために,ADSLによる地域IP網上にPKIをのせたネットワークインフラの上に,電子診療情報提供書システムとASP型の電子カルテシステムを稼動させ評価した.電子診療情報提供書システムは,センターのメッセージ交換サーバを中心に,18診療所と4病院の間を結び,診療情報提供書情報(J-MIXのXMLフォーマット)を交換するシステムである.病院側では地域医療連絡室を中継点として,各診察室との間で,配信・収集を行う方式とした.77人の患者を本システムで紹介したが,医師,患者ともに高い評価を得た.ASP型電子カルテシステムは,センターにサーバ,診療所に端末を置く構成で,病院用に開発されたシステムを診療所用に応用するものである.本システムは,message queuの非同期通信を基本とし,端末側にも患者データベースを置く構成であり,遅いネットワークででも,患者データの送受信については,応答速度を遅延させる要因とならなかった.画面等の設定データの受信に負荷がかかるなど,いくつかの改良すべき点が明らかとなったが,技術的には解決可能であり,この方式の電子カルテシステムが実現可能であると考えられた.
著者
亀谷 哲治 高野 誠一 寺沢 弘文 武田 裕光
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.92, no.7, pp.868-870, 1972-07-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
6
被引用文献数
3 4

In order to obtain 2, 6-dicyano-7-ethoxycarbonyl-1, 5-dioxo-1, 2, 3, 5-tetrahydroindolizine as an intermediate for the synthesis of camptothecin, Michael condensation of methyl 3-cyano-4-ethoxycarbonyl-1, 2-dihydro-2-oxopyridine-6-carboxylate (V) with acrylonitrile was carried out but failed to afford the objective substance. A similar condensation of V with t-butyl acrylate also resulted in failure. Ethyl 5-cyano-4-ethoxycarbonyl-5-oxo1, 6-dihydro-2-pyridine glyoxylate (VIII) was synthesized by the reaction of 3-cyano-4-ethoxycarbonyl-1, 2-dihydro-2-oxopyridine-6-carboxylic acid chloride with ethyl t-butylmalonate. Although cyclization of VIII to ethyl 6-cyano-1, 2, 3, 5-tetrahydro-1, 3, 5-trioxo-7-indolizine carboxylate (IX) was unsuccessful, Friedlander reaction of VIII with 2-aminobenzaldehyde gave the expected 8-cyano-7-ethoxycarbonyl-9, 11-dihydro-9, 11-dioxoindolizino[1, 2-b]quinoline (X) in one step.
著者
湊 正雄 橋本 誠二 陶山 國男 武田 裕幸 鈴木 淑夫 木村 昭二 山田 一雄 垣見 俊弘 市川 輝雄 末富 宏
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.60, no.708, pp.378-387, 1954-09-25
被引用文献数
2 3

Die machtige permische Formation des Setamai-Gelandes im Kitakami-Gebirge ist in zwei Subsystem teilbar; das obere ist das Toyoma-Untersystem, das lithologisch meistens aus Tonschiefern und granitfuhrenden Konglomeraten besteht und verhaltnismassig fossilarm ist, wahrend dagegen das untere Untersystem, d., i., das Yukisawa-Untersystem, ortlich sehr reich an kalkigen Tonschiefern bzw., Kalkschichten ist und bestehend fossilfuhrend., Hinsichtlich der vielen Gliedrungstiere kann das Yukisawa-Uutersystem wieder in zwei Serien gegliedert werden, in die Sakamotosawa- und Kanokura-Serie., Wir sind dabei der Ansicht, dass eine stratigraphische Lucke zwischen beiden vorhanden ist., Die wichtigsten Ergebniss in Bezug auf die Dauerzeit der Gattungen bzw., Spezies sind folgende: 1., Pseudoschwagerina erscheint bald nach dem Basiskonglomerat der Sakamotosawa-Serie und dauert bis zur J_0 Horizonte (Siehe Abb., 2)., 2., Dagegen erscheint Parafusulina in der I_2 Horizonte und dauert bis zur L_0., 3., Lepidolina zeigt eine Dauerzeit zwischen L_0 und L_1., 4., Lophophyllidium suetomii MINAT0 sind die wichtigen Gliederungstiere der I_0 Horizonte; Yatsengia Kabayamensis MINATO und Michelinia (Michelinopora) multitabulata YABE et HAYASAKA tritt besonders in der Horizonte J_1 auf; Waagenophyllum indicum var., usuginuensis MINATO, Wentzelella kitakamiensis YABE et MINATO charakterisieren die Horizonte L_0., 5., Die sogenanten Lyttonia-Faunen HAYASAKAS trenten nur im unteren Teile der Kanokura-Serie auf.,
著者
武田 裕紀
出版者
聖トマス大学
雑誌
紀要 : 人間文化 (ISSN:13450131)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.23-47, 2008-03
著者
木村 元洋 武田 裕司 大平 英樹 ERICH Schroger
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

我々の脳は, 視覚的なオブジェクトの時間的文脈 (動きや変化のパターン)からルールを抽出し,そのオブジェクトが次にどのように変化するかを意図に関わらず自動的に予測している:"非意図的な時間文脈ベースの予測" 。本研究は,この非意図的な予測の脳内情報処理メカニズムを解明することを主目的とした。脳波の一種である事象関連脳電位を用いた実験を通し,この予測を反映する二種類の脳活動の同定に成功した:(1)予測された事象と実際の事象が不一致の際に生起する,視覚皮質-前頭前野に発生源をもつ視覚ミスマッチ陰性電位,および(2)予測された事象と実際の事象が一致した際に生じる,視覚皮質に発生源をもつ視覚誘発電位の増強および抑制。これらの結果は,この非意図的な予測が視覚皮質-前頭前野間の双方向性のネットワークにより達成されている可能性を示唆している。
著者
内藤 元男 高橋 弘晏 畠山 章一 武田 裕 一條 幹夫
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.539-542, 1974-10-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
8

小岩井農場ホルスタイン種牛群の1953年より1968年までに得られた初産より3産までの連続記録をもつ119頭について初産次体重,初産への補正FCM量平均値およびFCM/K[{FCM/2(6W+FCM)}×100]相互間の関係を検討した.主な成績は次のごとくである.1) 初産後5ヵ月時の体重および体高の平均値はそれぞれ558kg,体高139.0cmであり,初産への補正FCM量平均値4,479kg,FCM/K28.5%であった.2) FCM/Kの母娘相関により推定した遺伝率は0.51であった.3) FCMとFCM量との相関は-0.045で,両者の間には関係がなかった.4) FCM量とFCM/Kとの相関は0.895***であった.5) 体重とFCM/Kへの単純相関は-0.466***であったが, FCM量を一定とした偏相関では-0.955***となった.6) 個体によって異なるが,一般に550~630kgの中型の牛はFCM量の多い傾向があり,またFCM量が多くなくてもFCM/Kで優れている場合が多く,比較的に有利であるといえる.
著者
岡田 益吉 小柳津 広志 田中 雄二郎 武田 裕 家 泰弘 及川 昭文
出版者
筑波大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1992

科学研究費補助金は,その発足以来,大学等の研究機関における学術研究を,基礎研究から試験的研究まで幅広く支援してきている。また,分野も文学,歴史,法学などの人文・社会科学から理学,工学,医学などの自然科学までのすべての専門分野にまたがっており,今や日本の学術研究を支える基盤的経費として位置付けることができる。近年,学術活動を支える研究環境の整備,とりわけ,学術研究の振興の要となる科研費の拡充が緊急の課題となっており,これに伴い学術審議会等から科研費の配分審査体制の一層の改善・充実が求められている。これらを受けて研究種目の改編や分科・細目表の改正等が行われてきているが,科研費における学術研究の進展に寄与するためには,科研費による学術研究の実態を分析しその動向等について詳細な基礎データの整備・収集・分析を行うことが必要である。このため,平成5年度は下記のとおり調査研究を行った。(1)科研費の審査員に対するアンケート調査科研費の一般研究等の審査は書面による第一段審査と合議による第二段審査の二段審査制により行われているが,平成5年度の審査に携わった第一段審査員及び第二段審査員並びに平成6年度の審査に携わった第二段審査員に対して,配分審査方法と実際に審査を行った際の問題点等について,アンケート調査を行った。(2)各大学の研究者に対するヒアリング調査メンバーが手分けをして,大学等の研究者から,科研費における学術研究の実態,科研費に関する要望,本研究課題で検討中の配分審査方法の改善案等に対する意見等について,ヒアリング調査を行った。(3)アンケート調査・ヒアリング調査の集計・分析2年間のアンケート調査・ヒアリング調査等の結果を集計・分析し,研究成果報告書を取りまとめた。
著者
小柳 公代 本多 秀太郎 武田 裕紀
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

我々は、科学思想上でのデカルト、パスカルのこれまでの位置づけに疑問を提出し、通説成立のゆえんを当時の時代状況の中へ置きなおして検討し、それを広く内外の研究者に発信することを目的として2年間の研究活動をおこなった。具体的には次の7項目:(1)実験や科学史での専門的知識をもつ研究協力者をまじえた研究会、(2)海外協力研究者を招聘してのワークショップ、(3)海外調査研究、(4)公開実験会、(5)デカルト、パスカル科学、思想関係書誌作成、(6)科学史学会年会での報告、(7)成果報告集(欧文)の刊行、を挙げた。このうち(2)が海外研究分担者の来日とりやめによって実現できなかったほかは、すべて実行し、多くの稔りをえた。研究会での討議から、デカルトでは17世紀のネーデルランド、イギリスをも含む生理学の発展に注目すべきことを発信し、パスカルについては、計算機の考察から単位数の研究を深め、『パンセ』のパスカルとの有機的関係なども議論できた。とりわけ、数種の真空中の真空実験の復原公開実験と科学映画のプロ撮影者による図解つき記録映画DVD作成は、予期した以上の反響をよび、大きな成果をあげた。ブレーズ・パスカル国際センター主催のDVD上映会では、我々の研究報告に対して、フランス・イタリアの研究者たちから多くの意見が寄せられた。我々もまた20年前に詮議した「実行可能性」「思考実験」の問題から、空気の弾性についてのパスカル、ロベルヴァルの認識の違いを討議するところへと進んた。また、装置のガラス管端をふさぐ「膀胱膜」の正体を追求し、パスカルの風船の実験との関連などで研究を進捗させた。実際に膀胱膜、膀胱風船を作って実験することが今後の課題である。収集したデカルト・パスカル書誌は、近々にWEB搭載して、内外の研究者の供覧に付する。
著者
小柳 公代 武田 裕紀 内田 正夫 永瀬 春男 野呂 康 デコット ドミニック ジュスラン オリヴィエ
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

パスカルの自然学を、我々がこれまでの研究によって位置づけた科学史的な評価に加えて、彼が探求成果を論文としてまとめるさいに投入したさまざまな技巧という観点から検討し、実験の実行者というよりも、レトリックを駆使する論証の天才としてのパスカル像を提示することに成功した。またこの過程で、パスカル研究の完璧な底本として流通しているメナール版のテクスト・見解にもいくつかの変更を迫ることができた。