著者
鈴木 滋夫 武田 鉄郎 金子 健
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.39-48, 2008
被引用文献数
1 3

本調査の目的は、特別支援学校<病弱>におけるLD・ADHD等で適応障害のある生徒の実態把握および実際の支援の状況を調査することであり、全特別支援学校<病弱>94校に在籍するLD・ADHD等で適応障害のある生徒を対象とした。特別支援学校<病弱>の60.5%にLD・ADHD等(もしくはその疑いがある)で適応障害のある生徒が在籍し、生徒数の11.4%が該当の生徒であった。3年間でほぼ倍増している。彼らは多くの困難を抱えて転入してくる(前籍校では、85.7%が登校状況に問題あり等)が、特別支援学校におけるさまざまな支援を通して、改善の状況(担任の85.5%が「かなり改善」「一部改善」と回答)にあることが明らかになった。しかし、進路指導については、制度上の問題も含め、多くの課題を抱えている。これら調査結果をふまえ、在籍状況、生徒の実態、指導上の困難とその支援、進路指導の視点から考察を行った。
著者
神田直之 武田龍 大淵康成
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2013-SLP-97, no.8, pp.1-6, 2013-07-18

本稿では Deep Neural Network (DNN) を用いた日本語音声認識に関する検討結果を述べる.DNN とは多数の階層を持った人工ニューラルネットワークモデルである.近年,多層のネットワークでも効率的に最適化できる手法が発表され,各種の認識タスクで従来法を上回る性能を示したことから,再び大きな注目を集めている.音声認識分野においても DNN に基づく音響モデルに関して既に多数の研究が行われ改善が進む一方で,日本語のテストデータを用いた検討結果は限られた学習データを用いた小規模な実験に限られていた.本稿では日本語話し言葉コーパス (CSJ) をテストセットとし DNN に基づく音響モデルに関する各種の評価を行った結果について述べる.特に 270 時間の学習データを用いた評価において,音素誤り最小化 (MPE) 学習された Gaussian Mixture Model に基づく音響モデルと比較して最大 28.2 %の認識誤りが削減され,DNN の認識性能の高さを日本語においても確認した.また DNN に基づく音響モデルにおいて,学習用の言語リソースが限られた状況でデータを擬似的に増加させる手法について新たに検討を行い,認識精度がさらに向上することを確認した.
著者
尾崎 晃 草川 高志 西脇 由博 マルタ ルーカス 宮島 千代美 西野 隆典 北岡 教英 伊藤 克亘 武田 一哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.10, pp.2118-2128, 2010-10-01
被引用文献数
3

人間の行動を真に理解するためには,行動を記録すると同時に心的状態を知る術も同時に記録する必要がある.更にこのようなデータが大量に必要となる.そのような研究のための第一歩として,自動車実走行環境における自動車挙動を含む運転操作信号,生体信号などのデータを同期測定・記録する機器を作成した.様々な運転環境の負荷を調査するため,平静の運転をはじめ,標識や看板などを見る,イヤホンを通じて英数字を聞いて発音する,携帯電話でナビゲータと会話をする,そしてコンピュータと音声対話を行う4種類のタスクを自動車走行中に実施している.運転行動を測定するため,アクセルペダル踏力,ブレーキペダル踏力,ステアリング操作角,走行位置,車速,加速度,車間距離を収録する.また生体信号を測定するため,心拍数,皮膚電位,発汗量のセンサを搭載している.運転手と交通状況は,四つのビデオカメラと全方位カメラによって動画として記録する.運転手とナビゲータの声は,携帯電話と車内に配置されたマイクロホンで計12チャネル録音する.これらのマルチモーダルデータは同期して収録できる,2008年末までに,357名の被験者を募集して実験走行を行った.走行環境,運転行動,発話内容などに応じて詳細なラベルを定義し,実験後に運転データへ手作業で付与した.更に,このデータベースを用いた研究例を挙げ,データベース活用による今後の人間行動理解の可能性を示した.
著者
武田 文男 竹内 潔 水山 高久 池谷 浩
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.16-05, 2016-06

平成24・25年の災害対策基本法改正は,制定以来の大改正であり,改正法等の適切な運用を図るため自治体に求められる実務的課題は多いのではないかと考えている。災害対策基本法等の主たる運用を担う自治体における実務的課題等について,関係自治体の現状や取組み,認識等の実態を明らかにし,今後のあるべき対応を提言するものである。
著者
海野 隆哉 大植 英亮 岩田 敏雄 村上 生而 武田 寿一 入沢 賢一
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, 1984-03-15

橋梁のスパンの長大化などにより, 基礎構造も大規模なものが要求されてきている。ケーソン基礎を用いる場合が多くなっているが, その欠点を補うため, 地下連続壁井筒が開発されてきている。地下連続壁井筒は継手に不安があったが, ここでは, 鋼製函型継手の実験による信頼度と地下連続井筒について, そして設計と施工の紹介をしている。掘削の精度の進歩, 鉛直継手の試験項目, 載荷方法またその継手の, 総曲げ, 曲げせん断, せん断などの試験の結果を示している。次に, 地下連続壁井筒について, これは東北新幹線福島市内での工事例について述べている。設計の基本的な考え方について示し, 設計計質の結果を示している。そして配筋についても述べている。次に施工について, 施工順序を図に示し, 掘削については, 写真を用いて示している。掘削機としては, ロッド式クラムシェルバケット掘削機を用いている。鉄筋かごは, 基礎形からL形になっている。その組立て, 建込みについて述べ, 最後にコンクリートの打設について述べている。工期も短縮できるとしている。
著者
小谷 康弘 桜井 宏紀 照屋 匡 伊藤 嘉昭 武田 享
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.51-57, 1991-12-25

ウリミバエのガンマー線照射による不妊化の機構を組織学的に検討した。電子顕微鏡による精巣の観察では,照射虫の精原細胞,精母細胞は崩壊し,自由精子のみが存在していた。照射虫と交尾した雌の産下部の胚子発生過程の光学顕微鏡による観察では,卵割異常,胚盤葉形成阻害など発生初期の段階での異常がみられ,それ以降の胚子発生過程は認められなかった。ガンマー線照射により雄の生殖細胞は大部分が崩壊するものの,残った精子は受精には関与した。しかし,受精に関与した精子は胚子発生過程を停止させる異常精子であり,このことがほぼ100%の不妊化率を引き起こすものと推定された。光学顕微鏡による中腸の観察では,照射虫の中腸上皮細胞の萎縮や崩壊がみられた。このことから,ガンマー線照射により中腸組織に阻害を生じ,消化機能が阻害されることが,成虫の寿命低下の一因になっていると思われる。
著者
武田 英明 小出 誠二
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.586-587, 2016-06-15

セマンティックWebはWeb上のデータの意味的な構造を記述する,より高度な Web を実現するための技術であり,リンクト・オープン・データ(LOD)はセマンティックWeb技術をオープンデータに適用したもの, すなわち意味的な構造を持ったWebデータとしてオープンデータを提供するものである.本特集では,最近の3〜5年間における我が国のLODの進展を反映し,本格的なLODの3つの応用事例を取り上げるとともに,最近顕著な動きのあるLODに関する周辺動向も取り上げる.
著者
武田 行生 舟橋 宏明 中嶋 一貴
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.65, no.630, pp.844-849, 1999-02-25
被引用文献数
6

This paper proposes a new index for performance evaluation of robotic manipulators from the point of view of high speed positioning. The proposed index is defined by the ratio of the positioning time realized by a manipulator for a set of starting position and desired position under a certain load condition and the minimum positioning time which is determined by the capacity of the actuators equipped with the manipulator. The results of computer simulations and experiments of evalution of the spatial inparallel actuated manipulator with six degrees of freedom developed by the authors have been presented. Comparisons of the proposed index with the transmission index and the adept motion cycly time have been presented. Through these results, effectiveness of the proposed index has been clarified.
著者
松本章代 坂本泰伸 松澤茂 武田敦志 櫻井優 柏葉俊輔 柴田美夏
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.71-72, 2014-03-11

我々は,認知症の早期発見を目的として,高齢者の起床・就寝時刻や外出時刻などを記録するタブレット端末用アプリおよびデータ蓄積サーバを開発した。このシステムによって長期的に収集されたログから,認知症の初期症状を検知するための解析手法を提案する。認知症が進行していくと起こりうる変化として,入力を忘れる回数や外れ値の回数の増加などが推測される。そこで,ログ収集開始直後の一定期間を「正常値」とみなし,直近の一定期間との入力傾向(データの分散や入力忘れの頻度,外れ値の頻度,など)の差を比較して違いを判定する。判定にあたり,曜日による生活リズムを加味する工夫を施す。
著者
不破 泰 Aguirre Hernan 織田 浩敬 武田 智博 不破 かおり 本山 栄樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.402, pp.91-96, 2007-12-13
被引用文献数
13

現在,児童が所持する子機端末から特定小電力無線を用いて送信されるパケットを各所に設置した中継機が受信してサーバへ送り,その情報から児童の位置を推定するシステムを用いた地域見守りシステムを開発している.本システムでは,アクセスプロトコルとしてARIB STD-T67を用いている.このプロトコルでは学校内等児童が多く集まる箇所に設置されている中継機において,多くの子機が発するパケットのコリジョンによるパケット損失が多発する.本研究では,多くの子機が集中した場合においてコリジョン発生を抑えるアクセスプロトコルを提案する.方式の提案にあたっては,コリジョン発生のモデルを作成し,そのうえでコリジョンを出来るだけ回避するプロトコルを考察し,さらに求めたプロトコルの有効性をシミュレーションにより評価することとした.
著者
古川 忠延 松澤 智史 松尾 豊 内山 幸樹 武田 正之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.7, pp.1258-1266, 2005-07-01
被引用文献数
2

最近注目を集めているWeblog(以下Blog)では, ブックマーク(ユーザが自身のBlogページ内からリンクしているお気に入りのBlog)やコメント, トラックバックなどによりBlog同士の関係性を把握することができる.このようなBlogのつながりは全体としてBlogネットワークを構成し, ユーザへの情報推薦に有用な情報源であると考えられる.本論文では, Blogネットワークにおいて, ユーザがどのようなページを頻繁に閲覧しているのかを, Blog間の関係性に着目して分析し, その把握を試みた.機械学習アルゴリズムを用いてユーザが閲覧する要因を分析した結果, Blogネットワークにおいてはブックマークを経由しての閲覧が大きな割合を占めていることが分かった.また, ユーザが閲覧している先のBlog運営者がコメントやトラックバックといったアクションを起こしている先のBlogも, ユーザにとって興味深いBlogとなっている可能性が高いことを裏づけるデータを得ることができた.
著者
三輪 誠 三村 治夫 阿部 晃久 西尾 茂 武田 実
出版者
The Japan Institute of Marine Engineering
雑誌
Marine engineering : journal of the Japan Institution of Marine Engineering = マリンエンジニアリング : 日本マリンエンジニアリング学会誌 (ISSN:13461427)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.470-476, 2009-05-01
被引用文献数
2

Pathogenic and fecal bacteria, such as Vibrio cholerae and Escherichia coli, possibly invade via seawater. This may expose marine engineers to an intrinsic risk of infection when they carry out routine maintenance. We therefore investigated, following the voyage, the seawater taken into a ship's engine-room. As for the populations, they varied from 102.9 to 105.9 colony-forming units (cfu) ml-1. A correlation coefficient between the population and the in situ seawater temperature was 0.71, 0.30, and 0.068 for the samples taken from calls facing to the ocean (n = 6), the Inland Sea (n = 12), and the coastal area around the Pacific Ocean (n = 16), respectively. An occupational ratio of Vibrio sp. population increases when the seawater was retained for more than three months in the condensers for the air conditioner and the drain cooler. Although three strains were detected from the drain cooler, those of which had ability to make yellow-colored colonies on a selective plate at 37°C and left for 6 months. It was identified as to be Aerococcus viridans. In that species, the lobster pathogen is included, but nothing human. So far examined is pathogenic V. cholerae, which was not detected in all the samples taken from the engine-room. These results indicate that the possibility of infection of marine engineers to be quite low when they do the maintenance on board in the coastal area and the Inland Sea of Japan
著者
矢用 健一 武田 眞記夫 局 博一 菅野 茂 土井 邦雄
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.341-342, 1993
被引用文献数
10

DBA/2およびBALB/cマウスを用いて, 脳心筋炎ウイルスD変異株(EMC-D)が, 水迷路における運動能, 方向認知記憶能および作業記憶能に及ぼす影響を検討した. 全個体において, 作業達成までの潜時は漸次短縮されたが, テスト初日と比べて有意な短縮がみられたのは, 両系統とも対照群に比べて感染群の方が遅かった. 従って, EMC-D感染マウスにおける水迷路学習の阻害には, 脊髄病巣起因の後肢麻痺による運動能の低下の他に, 海馬病巣起因の方向認知記憶及び作業記憶の障害が関与していることが示唆された.
著者
濱崎 雅弘 武田 英明 大向 一輝 市瀬 龍太郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.389-398, 2004 (Released:2004-07-06)
参考文献数
21
被引用文献数
2 4

In this paper, we discuss importance and utilization of personal network in a community system through the result of management and analysis of the scheduling support system for academic conferences. The important feature of the system is generation and utilization of personal network to support information exchanging and information discovery among participants. We applied this system to the academic conference called JSAI2003. We obtained 276 users and their personal networks. We found that (1) most participants were willing to contribute to form personal networks, (2) personal networks can promote information exchanging among participants since personal network showed existence of participants to the others and (3) the formed networks can was useful for them in information recommendation.