著者
小山 照幸 笠井 督雄 吉田 和彦 武田 聡 小川 武希
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生: 日本蘇生学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.33-37, 2010

2007年3月と2008年3月に同じ中学校で,3年生を対象に心肺蘇生法とAEDの講習を行い,同時に講習前にアンケート調査を行った。<br> 心肺蘇生法の講習経験のある生徒は約6割で,ひとりで心肺蘇生ができると答えた生徒は約3割と,2年間で変化はなかった。2007年秋にこの中学校にAEDが設置されたが,2008年のアンケートで,AEDの設置を知っている生徒は約8割,AEDの使用法を知っている生徒は4分の1で,2年間で変化がなかった。AEDを設置する際には,同時にその施設の関係者への教育が必須と思われた。中学生への心肺蘇生教育は救命率向上につながる可能性が高く,本人達の意欲も高いので積極的に進めるべきであると思われる。
著者
武田 尚子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.486-503, 2015

本稿は, テレビ草創期のNHKドキュメンタリー・シリーズの2本の番組を取り上げ, 地域研究資料としての意義を考察した. これらの番組は, 1960年代に広島県因島の家船集落を取材したもので, 漁村の貧困と不就学児童の問題に焦点をあてている. このシリーズは, 民俗学の視点を参照して, 底辺層の生活に迫り, その人々が直面している社会的ジレンマを視聴者に問うという方針で制作された. これとほぼ同時期に, 同じ集落で, 宮本常一が参加した民俗学調査が実施された. これら2つの調査・取材は, いずれも民俗学的関心に基づいて実施されたものであるが, 見出した知見には相違がみられる.テレビ・ドキュメンタリーは, 階層的視点が明確で, 貧困地域という集落特性を映像で実証的に示している点に意義がある. これによって, ミクロな地域社会の事象をマクロな社会構造に位置づけてとらえることが可能になった. しかし, その一方で, 民俗学調査報告書と比較すると, テレビ・ドキュメンタリーは, 該当地域に居住していた非識字者を貧困の視点でとらえる傾向がつよく, 非識字者の集団が保持していた口承文化の豊かさについて, 理解が浅い面があったことがわかる.以上のように本稿は, 民俗学調査と比較することによって, テレビ・ドキュメンタリー番組を地域資料として利用する場合の長所および留意点を明らかにしたものである.
著者
武田 安弘 瀬戸 菜実子 篠田 一三 高瀬 光徳 東 徳洋
出版者
Japanese Dairy Science Association
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.115-126, 2015

LF を経口摂取した場合には,通常,胃の消化酵素であるペプシンで速やかに分解される。しかしながら,LF を直接小腸の細胞に作用させた多くの研究で,多様な免疫賦活作用が確認されている。本研究では,摂取された bLF を小腸まで未分解のまま到達させ,その生理作用を十分に発揮させることを目的として,bLF を胃内消化から保護する作用を有する食品タンパク質の探索を行った。bLF と 4 種類の食品タンパク質(CN, WPI, OVA, SP)をそれぞれ共存させて人工消化試験に供したところ,CN を共存させた場合のみ,bLF の分解が抑制された。また,その作用は bLF に対する CN の重量比が大きいほど強かった。CN の主要サブユニットである α<sub>s</sub>-, β-, κ-CN は,いずれも bLF の分解を抑制し,中でも β-, κ-CN に強い作用が見られた。CN 分解物を共存させた場合は,CN と比較してその作用は弱く,分解の度合いが低いものほど bLF の分解を抑制した。これらの作用は,bLF と CN を含む天然食品である生乳,及び,bLF と CN を配合した加工食品である bLF+CN 流動食においても確認された。さらに,bLF+CN 流動食を経口摂取させた <i>in vivo</i> 試験においても,摂取した bLF の一部は未分解のまま小腸で取り込まれることが確認された。したがって,CN を bLF と共に配合した食品の摂取は,bLF のペプシン分解が CN により保護されることから,bLF の機能性を小腸内で発揮させる手段として有効であると考えられた。
著者
林 隆子 川端 博子 石川 尚子 大久保 みたみ 大関 政康 大竹 美登利 唐沢 恵子 斉藤 浩子 高崎 禎子 武田 紀久子 山形 昭衛
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.361-369, 1992

高齢者を対象とする日常着についての調査より, 高齢者の衣服の着方について以下のような特徴がみられた.<BR>(1) 男性は, 上半身に肌着シャツ, 外衣シャツ, ジャケットかジャンパーの着用が一般的であるが, 5・6月ごろの気温の変化には, 肌着シャツの重ね着で対応していることがわかった.下半身には, パンツ, ズボン下にズボンを着用している.<BR>(2) 女性は, 上半身に肌着シャツ, ブラウス, セーター類を着用している例が最も多かった.上半身用衣服には前あき型で七分袖のものが多く, 肌着シャツの重ね着は男子と同様であった.また, 下半身には, パンツ, 長パンツやズボン下そしてズボンかスカートを着用している.夏に向けてスカート・ワンピースの着用が増すが, パンツ類の着用は依然として多く, 足腰の冷えと着衣の関連性をうかがわせる結果であった.また, 服種は男性のものにくらべ女性のほうが多い.<BR>(3) 高齢者用衣服の素材には, 下着類に綿, 外衣に化学繊維が多く使用され, 天然繊維を志向する若者と対照的である.素材に関する知識は一般に低かった.<BR>(4) 着衣の種類より推定した衣服の熱抵抗と衣服重量より, 高齢者は, 若者にくらべ厚着の傾向がみられるが, 衣服の着方に個人差が大きい.<BR>以上の結果より, 高齢者のよりよい衣生活をめざして次のような点が望まれる.<BR>服種の多様化 : 高齢者の日常着の種類をみるとき, 男性では, ジャケットやジャンパーの着用が多い.それにくらべて女性はカジュアルなセーター類の着用が多い.男性は, 習慣的に外出用としてこの種の衣服を着用していると考えられるが, 家庭内ばかりでなく近所等に出かけるときにも, 軽量で伸縮性に富む衣服の着用が勧められる.女性については, 若年者にくらべ衣服の種類が少ないが, 夏になるとスカートやワンピースの着用者も増えるなどおしゃれに無関心でないことが推察される.そこで, ファッション性を取り入れた衣服の供給が望まれる.たとえばキュロットスカートなどは活動がしやすい衣服の例として考えられる.<BR>衣服の着方と形・素材の工夫 : 男女とも, 体温調節のため厚着傾向の人が多数を占めていたが, 少ない枚数でも重ね着をすると同効果が得られるような衣服, とくに下着類の充実が求められる.すなわち, 腰, ひざやひじの冷えを防ぐよう局所的に厚手のものにするなど構成と形の工夫, 熱抵抗性の高い布素材の利用, また, 重ね着をしても活動に支障をきたさないような伸縮性素材の使用などが考えられる.一方で着衣の量に個人差が大きいことから, 季節を問わず, 保温性の高いものから低いものまで多種多様な衣服の供給が望まれる.<BR>表示の改善 : 素材についての知識は一般に低いので, 組成や洗濯表示を見やすく, わかりやすい大きさで表示されるよう改善を促す必要がある.
著者
大向 一輝 武田 英明
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J87-D1, no.11, pp.1020-1029, 2004-11-01

本研究では複数の個人による協調的なタスク管理手法モデルを提案し,これを実現するためのアプリケーションとして携帯電話用スケジューラの実装を行った.一般に,複数人がかかわる共同作業のようなタスクの管理コストを下げるためには,参加者がスケジュール情報を公開することが望ましい.しかしながら多くの個人は複数の組織に所属しており,すべての情報を公開することは難しい.しかも,それらの組織の一部はアドホックに形成されるためにグループウェアに代表されるトップダウンの管理モデルを適用することは難しい.そこで,本研究では個人同士がタスクの依頼及び受理を行った履歴より人間関係ネットワークを生成し,完全グラフとなる部分グラフをグループとみなす手法及び発見されたグループ単位での情報のアクセスコントロールを提供する手法によって,プライバシー侵害の問題を低減した上で情報公開を行うことを可能にする.また,本手法では明示的に記述されたプロファイルを必要としないために,ユーザの情報入力の付加を軽減することができる.これらの手法を日常的なスケジューリングに適用するために携帯電話アプリケーションを開発し,実証実験を行った結果,半自動的なグループ発見及びアクセスコントロールは有効であるとの結論を得た.
著者
山戸 美智子 江間 薫 武田 義明
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.119-126, 2013

1.近畿地方中部の孤立的に残存している半自然草原を対象に,面積と出現種数の関係,小面積化にともない欠落する種の特性などについて調査を行った.<BR>2.草原生植物の出現種数と草原面積の間には,Gleason(1922)とArrehenius(1921)の両モデルで高い正の相関が認められ,小面積化が半自然草原の種多様性低下に影響を及ぼすことが明らかとなった.<BR>3.面積に対して類似した出現パターンを示す種をまとめ,出現種を4つの種群に整理した.それらは,205000m^2以上の草原に分布が偏るA群,33000m^2以下の草原では欠落傾向を示すB群,1000m^2以下の草原において欠落傾向のあるC群,小面積化にともなう欠落傾向の認められないD群である.<BR>4.小面積化によって欠落傾向の認められた種は,総出現種数の約62%を占めていた.絶滅・絶滅危惧種は,面積の減少にともなう欠落が顕著であり,小面積化による影響を強く受けることがわかった.<BR>5.本調査地のなかで最も大面積を有していた曽爾高原においても,出現種数は総出現種数の約79%であり,地域の種多様性維持には不十分であった.また,錨山や市章山のように小面積であっても,これらの草原にしか出現していない種があることも確認された.<BR>6.半自然草原の保全・復元にあたっては,可能な限り大面積を確保することが重要といえる.さらに,本調査地域全体の種多様性を維持するためには,8カ所すべての草原の保全・復元が必要と考えられた.
著者
田村 直子 黒川 直樹 武田 士郎 山本 美和 横内 亜紀 金指 巌
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ed0829-Ed0829, 2012

【はじめに、目的】 本市では、介護保険制度の開始と並行して一次予防事業対象者に対する介護予防事業を地域で実施しながら、事業内容や展開方法等の検討を行ってきた。そして平成18年の地域支援事業創設に伴い高齢者運動支援事業(以下健康教室)を企画し、市内全域での事業展開を図ってきた。今回本市で実施するこれらの介護予防事業について紹介すると共に、行政機関の理学療法士が限られたマンパワーの中で地域においてどのような役割を果たすべきか、課題や今後の方向性について報告する。【方法】 健康教室は65歳以上の要介護認定を受けていない高齢者を対象に市内の公民館等で実施しており、血圧測定等の健康チェック、理学療法士による体幹・下肢を中心としたストレッチや筋力強化等の運動プログラムを地域の会場で継続的に実施している。当初は月2回の開催(隔週)であったが、参加者からの要望を受け週1回の開催に変更し、その際にマンパワーを増加しないまま実施回数を増やすために、参加者の運動グループ(以下自主グループA)を育成するとともに、音声媒体(CD等)と音響機器を準備し、理学療法士なしでも同様の運動が行えるように運動プログラムを作成した。さらに、参加者の増加で受け入れが困難になってきた会場は、開催時間を分けて二部制とし、より多くの希望者が継続的に参加できる状況を整備した。健康教室は参加者の大半を女性が占め、男性が参加し難い状況であったため、男性の要望を調査した上で、男性限定での会場を新たに設置した。事業を継続して実施する中で、公民館等よりもっと身近な、団地の自治会や町内会等の単位で運動を継続して行いたいとの要望を受けるようになってきたため、参加者自身が会場を確保し、そこに行政が側面から技術的な支援を行うというグループ(以下自主グループB)が誕生した。なお、本事業に従事している理学療法士の数は8名(常勤5名、雇い上げ3名)で、開始された平成18年度から現在まで増員はしていない。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究については参加者に目的等について口頭で説明し同意を得た。【結果】 健康教室の実績は、平成20年度:35会場、実人数1,609人、延人数31,236人、自主グループA数32、自主グループB数4、平成21年度:39会場、実人数1,877人、延人数33,788人、自主グループA数33、自主グループB数6、平成22年度:41会場、実人数1,945人、延人数36,664人、自主グループA数37、自主グループB数6であった。健康教室が開始された平成18年度は、25会場、実人数1,405人、延人数12,207人、自主グループA数10、自主グループB数1であった。【考察】 介護予防を目的として理学療法士が介入する最大のメリットは、高齢者の運動機能の維持・向上に対して専門的にアプローチできることであると思われる。そのためには、継続的に運動を実施する機会と場所を保障することと、具体的な運動方法を提供することが重要なポイントであると考えられる。健康教室は当初、行政主体で事業展開を図ってきたが、参加者の中から自主グループAが発生し、その育成支援を図るとともに、市内全域での事業展開へと拡大していった。自主グループBが誕生した要因は、住民が健康教室に参加することで運動の効果や介護予防の重要性を認識し、さらに自主グループAで培われた運営のノウハウを得たことで、会場まで来られない近隣の人にも運動を提供したいという意識が住民に芽生えたものと考えられる。このように自ら希望し教室を運営するグループが増加することは、移動能力の低い虚弱な高齢者への運動機会の提供にもつながり、本市の介護予防事業が地域社会の中に根差していく上で効果的な活動であると認識している。行政主体で開始した事業をきっかけに、住民のニーズに応じて理学療法士がその専門性を発揮しながら、事業形態を変化させ、住民と協働して事業を実施することによって、様々な形の自主的な活動が誕生している。さらにこのような活動を広げることで限られたマンパワーでも多くの高齢者に介護予防サービスを提供することが可能となり、医療費削減や介護給付費の抑制にもつながると考えられる。今後も、介護予防に対する住民の意識の向上を図るとともに、住民の声を事業に積極的に反映させることによって、行政と地域住民がそれぞれの役割を認識し、より効果的な介護予防事業が展開できると考えられる。【理学療法学研究としての意義】 理学療法士が従来の対患者という個々に対する関わりから、行政の実施する住民サービスの中で専門性をどのように発揮し、かつ効果をあげることができるか。介護予防に資する運動の定期的な実践や住民の意識啓発等の取り組みを通して、集団に対する具体的なアプローチを考える上で有用であると思われる。
著者
武田 榮夫
出版者
京大天文台アーカイブプロジェクト(京大総合博物館、理学研究科附属天文台、理学研究科宇宙物理学教室)
雑誌
第4回天文台アーカイブプロジェクト報告会集録
巻号頁・発行日
vol.4, pp.15-18, 2014-01-15

研究資源アーカイブ映像ステーションイベント : 京都大学映像ステーション, 2013/08/01
著者
高林 徹 本間 康文 武田 拓哉
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.42, pp.7-10, 2012-10-11
被引用文献数
1

赤坂サカス広場(TBSテレビ放送センター前広場)で実施した夏サカスイベントにおいて、コンテンツマネージメントシステムからIP回線で受けたサイネージ用コンテンツを他のサイネージ端末ヘエリア放送として配信するシステムの実施成果を報告する。このシステムは、通信とエリア放送を組み合わせて効率的にサイネージ用コンテンツを配信することができる。
著者
綾部 園子 平方 千裕 武田 明日香 藤間 美咲
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】米の需要拡大を目指して、米を用いた各種パンの製法が検討されている。微細な米粉を用いる方法と米を穀粒のまま用いる方法に大別されるが、家庭では精白米粒を用いる方法が受け入れやすく、その中で、米をペーストにする製法(米ペーストパン)と炊飯米を用いる製法(ご飯パン)が実践しやすい方法であろう。そこで、2法によりパンを調製して、物性および嗜好性を検討し、特徴とその要因について検討した。<BR>【方法】通常のパン(食パン)の配合に対し、小麦粉の30%を米ペースト、炊飯米または米粉(米粉パン)に置換して自動ホームベーカリー(SD-BH103、Panasonic)を用いてパンを調製した。製品の比容積、水分量、物性(TPU-2、山電)、色、全糖(フェノール硫酸法)と還元糖(ソモギ・ネルソン法)を測定し、官能評価(評点法)を行った。<BR>【結果】パンの比容積と高さは食パン>米ペーストパン>ご飯パン>米粉パンの順、水分はご飯パン>米粉パン=米ペーストパン=食パンの順となり、米を置換したパンは、色が白く、水分が多く、比容積の小さいパンであった。物性測定の結果、硬さはいずれのパンでも差がなく、凝集性はご飯パンと米ペーストパンで小さかった。官能評価の結果、ご飯パンは甘く、しっとり感ともちもとした弾力があり、総合的に好まれた。甘味の違いを明らかにするために、パンの糖量を測定したところ、全糖量はご飯パンが有意に多かったが、還元糖量には有意の差がなかった。ご飯パンでは炊飯中に生成したグルコースがイースト発酵時に優先的に利用され、結果的にスクロースの残存量が多なり、甘いパンとなったことが示唆された。