著者
永井 純一
出版者
The Japanese Association for the Study of Popular Music
雑誌
ポピュラー音楽研究 (ISSN:13439251)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.96-111, 2006

近年、ロックフェスティバルをはじめとする音楽イベントが隆盛である。それらは、かつてのようにカウンターカルチャーの決起集会的なものではなく、レジャー感覚で楽しむものとして定着しつつある。そこでは、ポピュラー音楽の新たな受容のスタイルが生み出されている。このとき聴衆は「参加者」として新たな意味が付与され、主催者とともにフェスティバルを作り上げるような、積極的な存在として捉えられている。音楽受容が多様化するなか、こうした現象はポピュラー音楽研究のさまざまな観点から論じられるべき、興味深い現象であるといえよう。本報告では彼らのエスノグラフィ通じて、現代の積極的な聴衆としてのロックフェスティバルの参加者像を描くことを目的とする。
著者
永井 純一
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.109-125,220, 2002-02-28 (Released:2016-11-02)

This article is an ethnographical study of amateur comic writers. It is also a reconsideration of "otaku" as an audience of media from the perspective of Cultural Studies. "Otaku" is the name given to those who are self-absorbed in media-culture, such as animation, comics, video games, etc. They first appeared Japan in the late 1970's, increasing notably since the 1980's. This corresponds with the beginning of the information-oriented society. "Otaku" are frequently considered to be a pathological person who inhabits virtual reality. However, I treat "otaku" here as an active audience. The activity of an audience has been discussed in "Encoding and Decoding in Television Discourse" by Stuart Hall. We can encode a message in media and this can be read by an audience through the process of decoding. The message read can be diverse as a message encoded may be interpreted in a different way at the time of decoding. Hall suggests that the meaning of the message is decided at the point of decoding. "Otaku" is an audience of media-communication that receives a media message by alternative readings. For instance, amateur comic writers of home-grown publications write stories by appropriating a character and story from mainstream media and then, for example, reproduce this as a homosexual story. If they had read the original text in the way intended by the author then it would impossible for them to produce such an alternative story. This argument leads us to the next issue. Such readings are communicated and shared by others through the media of the widely read home-produced comics exchanged at over 1000 events held annually. The readers treat this media-communication as one experience. Considering the large number of "otaku" in Japan (estimated at some 100's of 1000's) , an understanding of their communication style is not only important but also necessary.
著者
永井 純一
出版者
神戸山手大学
雑誌
神戸山手大学紀要 (ISSN:13453556)
巻号頁・発行日
no.16, pp.159-165, 2014

本稿はポピュラー音楽と若者のコミュニケーションに関する考察である。具体的には愛好する音楽ジャンルがコミュニケーションや友人づくりの場面でどのように機能するのかを統計データによって読み解くことを目的としている。 分析の結果、生活のさまざまな場面で、音楽が人と人をつなぐ役割を果たしているが、場面によって有効に機能する音楽は異なっており、またその趣味集団の内実はジャンルによって異なることが示された。
著者
永井 純一
出版者
The Japanese Association for the Study of Popular Music
雑誌
ポピュラー音楽研究 (ISSN:13439251)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.96-111, 2006 (Released:2009-10-29)
参考文献数
29

近年、ロックフェスティバルをはじめとする音楽イベントが隆盛である。それらは、かつてのようにカウンターカルチャーの決起集会的なものではなく、レジャー感覚で楽しむものとして定着しつつある。そこでは、ポピュラー音楽の新たな受容のスタイルが生み出されている。このとき聴衆は「参加者」として新たな意味が付与され、主催者とともにフェスティバルを作り上げるような、積極的な存在として捉えられている。音楽受容が多様化するなか、こうした現象はポピュラー音楽研究のさまざまな観点から論じられるべき、興味深い現象であるといえよう。本報告では彼らのエスノグラフィ通じて、現代の積極的な聴衆としてのロックフェスティバルの参加者像を描くことを目的とする。
著者
永井 純
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.67, pp.10-12, 2004-06

私は現在筑波大学陸上競技部部長を務めています。筑波大学は皆さんもご存知のように、東京師範学校、東京高等師範学校、東京文理科大学、東京教育大学、筑波大学と名称を変えてきましたが、各運動部は茗渓の精神・伝統を ...
著者
永井 純子 植沢 芳広 加賀谷 肇
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.113-119, 2015 (Released:2015-02-03)
参考文献数
30
被引用文献数
1 4

強オピオイドは,がん疼痛などの高度な痛みに適用される鎮痛薬である.強オピオイドを用いた疼痛緩和療法には多様な副作用が付随することから,適切な副作用管理を達成するための客観的根拠に基づくデータの解析が望まれる.そこで,本邦の副作用データベース(JADER)から,モルヒネ,フェンタニル,およびオキシコドンにおける副作用発現傾向を解析した.JADERから疼痛治療に用いた強オピオイドにより生じた副作用症例を抽出し,副作用の種類とその発現頻度を解析した.強オピオイドに共通する副作用の発現頻度は,薬物間で大きな相違が認められた.さらに,これらのオピオイドの副作用発現傾向を俯瞰する目的で主成分分析を行った結果,モルヒネはフェンタニルとオキシコドンの中間的な副作用の発現傾向を示すことが示された.以上の知見は,患者の副作用に応じた適切な薬剤選択による安全な薬物治療の確立に有用であると考えられる.
著者
勝野 眞吾 鬼頭 英明 西岡 伸紀 三好 美浩 和田 清 吉本 佐雅子 尾崎 米厚 永井 純子
出版者
岐阜薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

若者の喫煙,飲酒を含む薬物乱用は変化するので繰り返し調査をしてモニタリングを行うことが必要である.本研究では,日本とアジアの青少年の薬物乱用の実態を調査し,データ・アーカイブを構築した.得られた結果は以下のようである.(1) 日本の青少年の喫煙,飲酒経験は連続して低下しており,2009年の時点でのこれまで1度でも喫煙経験した者の割合は13.1%,飲酒生涯経験率は56.7%であった. (2) 何らかの違法薬物を一度でも経験した者は2009年,男子1.1%,女子で0.6%であった. (3) 日本を含むアジア諸国の青少年の違法薬物乱用経験は欧米に比べて著しく低い. (4) 日本の高校生のほとんどは,薬物乱用の危険性をよく理解し,乱用に拒否的な態度を もつ. (5) 以上をまとめデータ・アーカイブを構築するとともに,その重要性を指摘した.
著者
宮本 俊和 濱田 淳 向井 直樹 永井 純 鍋倉 賢治
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

[目的]円皮鍼が、陸上競技中・長距離選手の合宿中のトレーニングによって起こる疲労に対して好影響を与えることができるか円皮鍼と装丁を同じにした針先のない円皮鍼(プラセボ)を作成して無作為化二重盲検法により検討した。[対象]大学陸上競技部に所属する中長距離選手で夏合宿に参加し、実験の同意を得た選手を対象とした。第1実験は、円皮鍼群16例とプラセボ群16例に割り付けし無作為化二重盲検法により検討した。第2実験は、円皮鍼群13例と無処置群14例について検討した。なお、円皮鍼(Pyonex:セイリン製)またはプラセボ鍼は、左右の下腿と大腿部の経穴に貼付し合宿期間中は、貼付したままにした。[測定項目](1)疲労の自覚的程度(2)練習状況(3)筋硬度(4)立位体前屈(5)POMS(6)クレアチンキナーゼ値を合宿初日の夕方から8日目の朝まで毎日朝・夕の2回測定した。これらのデータを二元配置の分散分析により統計処理した。また、合宿後に(1)鍼治療効果に関する調査(2)鍼の形状に関する調査を行った。[まとめ]1.自覚的疲労感は、合宿日数が増えるにつれ増強した。円皮鍼群は、無刺激群に比べ疲労感が少なかった。円皮鍼とプラセボ鍼との差はみられなかった。2.練習状態と立位体前屈は、経時的変化の差も治療法の差も見られなかった。3.筋硬度は、測定部位により差がみられた。4.クリアチンキナーゼ値は、合宿前に比べ8日目では高値を示したが、円皮鍼、プラセボ鍼との差はみられなかった。5.合宿後に行った鍼治療効果では、円皮鍼は、プラセボ鍼より効果がみられた。6.鍼の形状に関する調査から二重盲検法が成立していることがわかった。以上のことから、皮内に留置した円皮鍼は、合宿中の自覚的疲労感を軽減させることが示唆された。
著者
永井 純也
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.135, no.1, pp.34-37, 2010 (Released:2010-01-14)
参考文献数
8

臨床において,患者に薬物が単独で投与されるよりも,複数の薬物が投与される場合の方が多い.したがって,薬物治療を受けている患者において,程度の差はあるものの,少なからず薬物相互作用が生じているものと予想される.また,医薬品が市販後に市場から撤退を余儀なくされる場合,薬物相互作用による重篤な副作用が原因であることが少なくない.したがって,薬物相互作用をいかに回避あるいは予測できるかは,安全性に優れた医薬品を開発していく上で重要である.これまで代謝酵素が関与する薬物相互作用については数多くの報告がなされてきた.一方,近年,薬物の生体膜透過を担うトランスポーターが分子レベルで解明されるとともに,代謝過程の阻害のみでは説明できない薬物相互作用にトランスポーターが関与することが明らかになってきている.本稿では,腎臓および肝臓におけるトランスポーターを介した薬物相互作用を中心に概説する.
著者
湯元 良子 田川 茉希 永井 純也 酒井 正彦 桑田 直治 木平 健治 石野 岳志 平川 勝洋 高野 幹久
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.951-955, 2008 (Released:2010-02-07)
参考文献数
19

Burow’s solution,a hospital preparation,exhibits antibacterial activity against methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) and other microorganisms that are commonly observed in chronic supprative otitis media.However,it takes several days to prepare Burow’s solution by the method commonly employed in Japan and it is difficult to ensure constant quality.With this in mind,we examined the pharmaceutical and pharmacological characteristics of Burow’s solution and developed a new prescription for it (Neo-Burow’s solution) having an aluminum acetate base.The new prescription takes only a few hours to prepare,is convenient,and ensures a solution of constant quality.In this study,we examined the clinical effects of Neo-Burow’s solution in external and internal otitis.We prepared NeoBurow’s solution in the Department of Pharmacy and used it for 13 patients in whom commercially available antibiotics had had no effect,in the Department of Otorhinolaryngology of Hiroshima University Hospital.Nine of the patients completely recovered after treatment with Neo-Burow’s solution,and it had some effect in 1 patient but was completely ineffective in the remaining 3 patients.No adverse reactions were observed.Our results indicated that Neo-Burow’s solution was effective and safe in the treatment of chronic suppurative otitis,even that accompanied by MRSA.We have received a lot of inquiries about Neo-Burow’s solution from pharmacies and other hospital facilities,most of them relating to its preparation and preservation.Our manuscript includes a summary of the inquiries and the answers given to them.
著者
満園 良一 勝田 茂 金尾 洋治 田渕 健一 永井 純
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.182-191, 1986-08-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
35
被引用文献数
1

本研究は, 中・長距離ランナー23名 (年齢19~25歳) を対象として, 外側広筋からニードル・バイオプシー法により筋組織を採取し, 骨格筋線維の諸特性を明らかにすること, およびこれら諸特性と, トレッドミル走行により測定された最大, 最大下運動時の有酸素的作業能との関係について検討した.結果は, 以下のように要約される.1) 外側広筋におけるST線維の比率は, %STが61.3%, %area STが63.4%の平均値であり, ST線維寄りの傾向にあった.また, ST・FT線維の平均横断面積は3, 000~13, 000μm2の範囲にあり, ST線維の方がFT線維よりも大きい傾向にあった.2) 外側広筋におけるCapillary supplyは, CDが279±51/mm2, C/F ratioが1.62±0.15, CC (/ST) が5.7±0.9, CC (/FT) が4.5±0.7であり, CCについてはST線維の周りの毛細血管数がFT線維のそれより有意に多かった (p<0.01) .3) 外側広筋におけるSDH活性は, 2.98~12.35μmoles/g/minの範囲にあり, %STおよびCC (/ST) との間にそれぞれr=0.480 (p<0.05) , r=0.640 (p<0.01) の有意な相関関係が認められた.4) トレッドミル走行により測定した有酸素的作業能は, VO2maxが68.5±7.3ml/kg/min (4, 066±329ml/min) , VO2@ATが45.9±5.1ml/kg/min (2, 756±313ml/min) であった.この有酸素的作業能と骨格筋線維の諸特性との関係については, VO2max, VO2@AT (ml/min) と%STとの間にr=0.583, r=0.537 (いずれもp<0.01) , VO2max, VO2@AT (ml/kg/min) とCC (/ST) との間にr=0.534, r=0.430 (いずれもp<0.05) , さらにVO2max, VO2@AT (ml/kg/min) とSDH活性との間にr=0.612 (p<0.01) , r=0.450 (p<0.05) の相関関係がそれぞれ認められた.以上の結果は, 中・長距離ランナーにおいて, ST線維や毛細血管などの構造的特性がSDH活性などの機能的特性を規定する一要因であること, および骨格筋線維の構造的・機能的特性が有酸素的作業能に大きく影響する可能性を示唆している.
著者
永井 純子 植沢 芳広 加賀谷 肇
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.161-168, 2015 (Released:2015-08-12)
参考文献数
43
被引用文献数
2 6

オキシコドンの薬効および体内動態は性差等の患者背景に依存することから,副作用と患者背景因子の関係の把握は臨床上重要な知見を与える可能性がある.そこで,独立行政法人医薬品医療機器総合機構・医薬品副作用データベース (JADER)を用いた解析を試みた.オキシコドン投与患者において,主要な副作用症例の年齢・性別による発現傾向の変化を観察した.オキシコドンに関連する重要な有害事象は,モルヒネおよびフェンタニルと共通して臨床的に認知されている譫妄,悪心・嘔吐等の症状であった.女性において悪心,下痢などの消化器症状が,男性においては間質性肺疾患が報告の多い有害事象であった.一方,非高齢者と比較して高齢者における有害事象は傾眠,譫妄等の報告が多かった.以上の結果は,オキシコドン投与時の副作用マネジメントの個別化において有用な知見となるものと期待される.
著者
永井 純也
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.126, no.5, pp.327-335, 2006 (Released:2006-05-01)
参考文献数
14
被引用文献数
5 13

Aminoglycoside antibiotics, such as gentamicin and amikacin, are a class of clinically important antibiotics used worldwide in the treatment of infections caused by Gram-positive and Gram-negative bacteria. However, nephrotoxicity and ototoxicity are serious problems in the use of aminoglycosides and are the major dose-limiting side effects. Most of the intravenously administered dose is excreted into the urine, whereas some of the aminoglycoside injected (about 10% of the dose) is selectively accumulated in the renal cortex, leading to renal injury. Aminoglycosides are taken up into the epithelial cells of the renal proximal tubules by an endocytic pathway. Acidic phospholipids, broadly distributed in the plasma membranes in various tissues, were considered to be the binding site of aminoglycosides. Recently, megalin, a giant endocytic receptor abundantly expressed in renal proximal tubules, has been reported to bind aminoglycosides. Therefore we first examined whether megalin plays an important role in the renal accumulation of aminoglycosides under in vivo and in vitro conditions. We then attempted to develop new strategies for preventing the nephrotoxicity of aminoglycosides based on the molecular mechanisms of aminoglycoside accumulation in the kidney. This review summarizes our recent findings ol the role of megalin in the renal accumulation of aminoglycosides and our approach to develop nonnephrotoxic aminoglycoside therapy.
著者
高野 幹久 永井 純也 湯元 良子 永井 純也 湯元 良子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

初代培養ラット肺胞上皮II型・I型細胞を用いて、アルブミンの輸送について比較解析したところ、取り込みはII型のほうがI型に比べて高く、またクラスリン介在性エンドサイトーシスによることが明らかとなった。一方、インスリンの取り込みは両細胞で同程度であり、クラスリンの関与は小さかった。ラット肺胞上皮II型由来のRLE-6TN細胞においてもインスリンはエンドサイトーシスによって取り込まれ、その取り込みはカチオン性ポリアミノ酸によって促進された。カチオン性ポリアミノ酸の効果は、ラットを用いたin vivoインスリン経肺投与実験でも認められた。これらの知見は新たな経肺投与製剤の開発のための情報として重要である。