著者
川合 康央 池田 岳史 益岡 了
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

本研究は,地域の歴史的文化を伝えるための街並み景観シミュレーションシステムを開発するものである.対象地区として,旧東海道における藤澤宿(現在の神奈川県藤沢市)を選定し,開発環境としてゲームエンジンであるUnreal Engineを採用した.建築物や都市施設などの空間構成要素のモデルデータを3DCG制作環境で作成するとともに,会話可能なキャラクターも再現することとした.宿場町を自由に行動可能なようなインタラクションとして,直感的な動作可能なようゲームパッドによる操作を実装した.本システムは,藤沢市ふじさわ宿交流館において,2016年5月より常設展示され,これまでに3回のシステム更新を行っている.本研究は,江戸時代後期の旧東海道「藤澤宿」を市民に分かりやすく伝え,地域の歴史文化に興味関心を持たせることで,地域の文化継承を支援するシステムを開発することであり,およそ当初の目的を達成したと考えられる.今後,他の宿場町でも自由に再現可能なプラットフォーム化を計画している.
著者
池田 宗彰
出版者
立正大学
雑誌
経済学季報 (ISSN:02883457)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.51-99, 2005-01

力学的物理現象を統一的に説明するものがシュレーディンガー方程式である。物理現象(連続的時間に関する変化曲線で表される:因果性)が粗視化されて跳び跳びに観測されて一時点に重ね合わされると確率分布に変換される。これはシュレーディンガー方程式の波動関数の確率性である。しかしこの確率化は不完全である。この確率分布には系列相関(因果性)が残るからである。これが繰返されるプロセスで確立は純化されてゆく。これは、一定の視野への粒子の時空値の参入と粗視化の繰返しを伴いながら、階層を上ってゆくプロセスであり、シュレーディンガー方程式の階層上げである。それが、物理現象→生命現象→心理現象、と派生・移行してゆくプロセスを誘導構成する。何となれば、粒子の因果性が確率に変換されることで、粒子に自発性・任意性が出てくる。分子が"自発的"だということは、分子が"確率的"だということと等価である。因果性が不完全に確率化されるある段階で分子に目的概念が出て来、ここが生命の発生点となる。ここはRNAレプリカーゼ分子が発生した時点に対応する。それがさらに確率化されると任意性が出てくる。ここが心理の発生点である。これはヒトの大脳新皮質の発生時点に対応する。以上の一連を統一的に説明するものがシュレーディンガー方程式を構成する波動関数の確率性の"純化"のプロセスである。(加えて、生命現象を表現する連立差分方程式系が、粒子の確率性を表現するシュレーディンガー方程式と等価となることが証明される。又、シュレーディンガー方程式は階層上げに従い、マクロの"粒子"を説明するニュートン力学とも整合的である。)
著者
古武 弥三 池田 小夜子 柴田 満里子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.355-365, 1981-08-10 (Released:2009-11-16)
参考文献数
23
被引用文献数
1

亜鉛は多くの酵素の成分として重要な作用を果たしている。年少者に亜鉛欠乏があると成長発育の停止, 性機能不全症などが起こることがアラブ連合共和国, イランなどで明らかにされているが, 遺伝性の乳児疾患である腸性先端皮膚炎 (Acrodermatitis enteropathica) では亜鉛の欠乏によって四肢, 顔などに水胞性, 膿胞性の湿疹様皮膚炎, 脱毛, 下痢などを起こさせることが知られている。同様な症状は中心静脈カテーテル挿入法によって長期間にわたって高カロリー輸液を送り込む非経口的栄養において, 微量栄養素として亜鉛の添加が行なわれない場合にも起こることが明らかにされている。したがって亜鉛の所要量の決定はきわめて重要であって可及的早期に行なわれる必要性のあることを述べ, われわれの実験成績から次のような点を結論としてあげたい。1) 日本人はたん白源を魚に求める人達が多いが, 魚たん白は獣鳥肉に比べると概して亜鉛含量が多くないので, 成人1日の亜鉛摂取量はそれほど高くならない。神戸市在住者の代表的な献立10例を選んで, 成人1日の亜鉛量を調べたところ, その平均値±標準偏差は8.9±2.5mgであった。この値はアメリカ, イタリア, デンマーク等の推奨所要量15mgに比べるとかなり低い値であるが, チェッコスロバキアの推奨所要量8mgには十分達している。2) 人工栄養児の哺乳に使用されるわが国の特調製粉乳の亜鉛含量はいずれも100g中0.7~0.9mgであって, これらの粉乳は13~14%の濃度で使用されるので, たとえば生後4~6か月児に1回180mlの哺乳がなされたとしても, 約0.2mgの亜鉛含量にしかならない。その結果1日量としては2mgに達しない。アメリカ, イタリア, デンマーク等の推奨所要量では亜鉛は生後6か月までは3mg, 7か月から12か月までは5mgとされており, チェッコスロバキアでは生後6か月までは4mg, 7か月から12か月までは5mgとされている。人工栄養児の亜鉛摂取量をこれらの国々の推奨所要量に比べると少ないので, 特殊調製粉乳中の粉乳含量を増加させ亜鉛含量を多くする必要があろう。3) 離乳期の幼児の毛髪中の亜鉛量を測定したところ, 毛髪中の亜鉛量の平均値±標準偏差は10.2±2.5mg/100gと低く, 成人の毛髪中の亜鉛量平均値±標準偏差30.2±5.8mg/100gに比べると危険率0.001以内の有意差を持って離乳期の幼児の毛髪中の亜鉛含量の少ないことが明らかとなった。このことから亜鉛の体内保有量は生後しだいに増加するものと考えられる。
著者
池田 光優 三上 真人 小嶋 直哉
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.64, no.625, pp.3126-3132, 1998
被引用文献数
1

Attempts have been made to improve exhaust gas characteristics of the direct injection diesel engine under dual-fuel operation with gas oil and LPG. In dual-fuel operation with LPG as a sub-fuel, two kinds of LPG mixing methods can be employed. One is LPG mixing in gaseous state with the intake air, which is so-called "fumigation". The other is LPG mixing in liquid state with gas oil prior to injection. The experimental results show that the mixing method in liquid state is better than the fumigation method in terms of NO and THC emission and specific energy consumption. In the mixing method in liquid state, NO is reduced in comparison with the base engine without the increase in THC, smoke and specific energy consumption if a proper squish intensity is employed.
著者
三輪 滋 筒井 雅行 本山 寛 池田 隆明 沼田 淳紀
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_1250-I_1265, 2012 (Released:2012-07-26)
参考文献数
42
被引用文献数
2

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は,日本国内で観測史上最大のマグニチュード9.0を記録し,津波により多くの人命が奪われた.また,東日本の広範囲にわたり地震による被害が発生した.関東地方では,東京湾岸の埋立て地だけではなく,内陸部においても各地で液状化による被害が発生した. 今後の地震防災対策を考える場合,被害の全貌を工学的に把握する必要がある.そこで,地震被害の記録を残すことを目的に,海岸埋立て地の東京都江戸川区,千葉県浦安市,および江戸川区に隣接する内陸部の葛飾区,さらに千葉県野田市から埼玉県幸手市,久喜市,加須市,その周辺について液状化被害調査を行った.その結果,沿岸部では,比較的年代の新しい埋立て地で液状化が発生したこと,また,液状化の程度が激しい地域が広範囲にわたっていることがわかった.内陸部における液状化については,多くは,旧河道,湿地帯を造成した場所で発生したことがわかった.
著者
池田 眞理
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.479-488, 1994-09-01 (Released:2008-05-30)

(社)海外広報協会が1985年にスタートした先端技術とニューメディアを活用した新しい海外広報プロジェクト構想は1994年4月現在, 海外における日本情報の発信拠点である在外公館と主要な日本研究機関等に対し最新の日本関連情報を英文で提供するJIN (Japan Information Network)として結実した。JINは主に政府の発表する情報を英文で提供するデータベースと, これを補完するアドホックベースの問い合わせに対応する電子メール機能を有したオンライン情報提供システムをメインフレームとするコミュニケーションのネットワークである。ここでは, 技術的側面からのシステムの紹介というより, 同ネットワークの目的である海外広報活動という観点からJINを紹介する。
著者
池田 光治
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.114-115, 2006-02-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
4
著者
池田 晶
出版者
佛教大学総合研究所
雑誌
佛教大学総合研究所紀要 = Bulletin of the Research Institute of Bukkyo University (ISSN:13405942)
巻号頁・発行日
no.27, pp.27-35, 2020-03

近世の日吉神事能は、日吉社(現日吉大社)の上七社の十禅師(現樹下神社)で行われた神事能である。毎年正月六日、十禅師で「翁」と六番の能・狂言が奉納されていた。本稿では、山門公人景山家に伝来した『観世改正神哥仝』に記載された翁詞章と、他の観世流の翁詞章との比較検討を通して、近世の日吉神事能における日吉の翁の復元をおこなった。この結果、近世の日吉の翁は、現行の直面の一人翁ではなく、千歳・三番叟・面箱持を伴っていたことを実証した。当然、千歳の詞章もあり、面箱を伴った翁面を着けた本格的な翁であった。日吉社神事能翁翁詞章片山九郎右衛門
著者
池田 智彦 馬 闖 新井 遼真 森迫 昭光 劉 小晰
出版者
公益社団法人 日本磁気学会
雑誌
日本磁気学会論文特集号
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.10-13, 2017

<p>  In this study, FeCo magnetic wires with different widths were fabricated by photolithography and facing targets sputtering. Specifically, the domain configurations in the magnetic wires were studied. Flux closure domains with both 90° and 180° domain walls were found in magnetic wire with uniaxial transversal magnetic anisotropy. Furthermore, when the uniaxial transversal magnetic anisotropy was increased, a dramatic increase of 180° domain walls was found in the magnetic wire. These results suggest there are potential for applications for magnetic wires in stress-induced magnetic domain wall motion devices.</p>
著者
池田 重人 志知 幸治 岡本 透 林 竜馬
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.128, 2017

<p>秋田ではかつて天然スギが広く分布し、豊富に存在していた「秋田杉」の資源がこの地域の経済基盤を支えてきた。演者らはこうした秋田杉の成立過程を古生態学的手法と歴史資料から調べており、山地帯上部の「桃洞・佐渡のスギ原生林」下方の湿原で行った花粉分析では、全体としてスギは分析試料最下部の約1500年前からブナなどとともに優勢であるものの、約600年前以降の一時期に衰退していたことを示した(第125回大会)。一方、古くからの林政史資料など森林管理を記録した記録によると、江戸時代以降になると全国的に木材資源が急速に枯渇していくことが示されているが、そのことは秋田地方も同様であった。それ以前の時代についての資料は乏しいため山林利用の詳細は不明であるが、これまでは大規模な伐採等の影響があるとは考えられていなかった。しかし、秋田周辺地域で行った複数の花粉分析結果を検討した結果、スギの衰退は江戸時代より以前に遡り、中世には生じ始めていた可能性が示唆された。</p>
著者
池田 大樹 久保 智英 松元 俊 新佐 絵吏 茅嶋 康太郎
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.51-59, 2019-02-28 (Released:2019-02-28)
参考文献数
28

本研究では,職場環境改善の取組み時における勤務時間外の仕事に関する行動(メール確認,自宅仕事)が,労働者の睡眠や疲労,生産性等に及ぼす影響を検討した.製造業の中小企業において,組織体制の変更,勤務 開始時刻の多様化,勤務体制の多様化,作業環境の変更の4つの職場環境改善取組みが実施された.調査は,職場環境改善の約1か月前(事前調査),3,6,12か月後の計4回実施し,調査の同意が得られた36名を分析対 象とした.調査内容として,基本属性,睡眠の質,勤務時間外における仕事との心理的距離,生産性,疲労回復状況等を測定した.また,勤務時間外における仕事に関するメールの確認,自宅での仕事に関する設問を設け,その有無により,群分けを行った.線形混合モデル分析を行った結果,生産性に群と調査時期の交互作用が見 られ,自宅仕事が有った群のみ,職場環境改善前と比較して3か月後の生産性が低下したこと,無かった群と比較して3,6,12か月後の生産性が低かったことが示された.また,調査時期の主効果が睡眠の質と疲労回復 に見られ,職場環境改善後にそれらの改善及び改善傾向が生じたことが示された.また,群の主効果が心理的距離に見られ,勤務時間外にメール確認が無かった群は,有った群と比較して,勤務時間外に仕事との心理的距離が取れていたこと,一方,自宅仕事が無かった群は,有った群と比較して,心理的距離だけでなく,睡眠の質や疲労回復状況も良いことが示された.以上により,職場環境改善時における仕事関連の行動が労働者の生産性に影響を及ぼすこと等が示された.今後,職場環境改善の一環として,職場外・勤務時間外における働き方・休み方の改善も検討していく必要があると考えられる.
著者
喜多 一馬 池田 耕二 仲渡 一美
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.79-91, 2019-10-01 (Released:2019-10-02)
参考文献数
21

本研究の目的は,障がいを有した働き盛りの患者の理学療法への取り組みに対する意欲を向上させるための知見を得ることである.対象は,理学療法に積極的かつ意欲的に取り組んでいる40 歳代の男性入院患者である.方法は解釈学的現象学的分析とし,手順としては,本患者に半構造化面接を行い,理学療法を積極的かつ意欲的に取り組める理由について聞きとり,理学療法への取り組みに対する意欲を分析した.結果は,本患者の理学療法への取り組みに対する意欲を9 つのテーマから解釈することができた.テーマは,半年限定,家族や妻の存在,男のプライド,苦痛を意欲に変化させる力,関係性から構成される意欲等が示された.我々は,これらに着目した理学療法実践時の声かけや配慮,工夫が理学療法への取り組みに対する意欲の向上に大切になると結論づけた.
著者
池田 輝政 IKEDA Terumasa
出版者
名古屋大学高等教育研究センター
雑誌
名古屋高等教育研究 (ISSN:13482459)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.185-202, 2004-01

名古屋大学の高等教育研究センターは研究を通して内外の大学改革に対応する貢献をミッションとした。当センターを去るにあたり、専任教授としてそのミッションを託された5年間を自ら振り返り、その軌跡を内外の検証の目にさらすことにした。結論としては、Mission Driven Researchの領域におけるセンター独自の成果物を開発できた。The mission of CSHE (Center for the Studies of Higher Education) of Nagoya University is to make contributions corresponding to several agenda in higher education institutions through the mission driven research for both of Nagoya University and the others. When I am leaving CSHE for the other university, I like to make a self-study report on how to achieve the goals prescribed under the mission of CSHE during the period of 5-years in charge of the full professorship. In conclusion, I found myself in having developed the deliverable in the field of the mission driven research of which CSHE could take advantage.