著者
島津 善美 藤原 正雄 渡辺 正澄 太田 雄一郎
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.327-333, 2009-10-20
参考文献数
34
被引用文献数
2

清酒に含まれる有機酸の主要3成分(乳酸,コハク酸,リンゴ酸)および少量成分(クエン酸,酢酸)に着目して,飲用温度を変えて酸味の強さ(強度)および呈味質について,専門パネリストによる官能評価を行った。有機酸単独の評価は,20℃に比較して乳酸が37℃でコハク酸が50℃で,極めて有意に酸味を強く感ずることが認められた。さらに乳酸,コハク酸の呈味は,37℃,43℃において,ソフトでまろやかに感じられた。リンゴ酸は,10℃で爽快ですっきりしている呈味質が確認された。有機酸主要3成分混合の評価は,43℃での酸味が,極めて有意に強く感じられ,かつ呈味がしっかりとして調和が良いことが明らかになった。有機酸主要3成分+ブドウ糖+アルコール系の評価は,43℃での酸味が極めて有意に強く感じられ,さらに呈味がまろやかとなり,バランスが良かった。
著者
清水 純一 島津 善美 渡辺 正澄
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.203-209, 1979
被引用文献数
1

(1) 国産ワイン(18点)およびドイツワイン(28点)のミネラルおよび有機酸を分析し,両成分の相関および品質との関連について検討した.<br> (2) ドイツワイン中のカリウム,マグネシウムは,それぞれ平均, 1309, 150mg/<i>l</i>で,高級ワインほど多い傾向がみられた.カルシウムは平均109mg/<i>l</i>,ナトリウムで17mg/<i>l</i>であった.また鉄は平均3.0mg/<i>l</i>,マンガンは1.5mg/<i>l</i>で両者とも多く,銅は平均0.3mg/<i>l</i>,亜鉛は平均0.8mg/<i>l</i>で,少なかった.ケイ素は2~30mg/<i>l</i>の範囲であった.<br> ドイツワインの有機酸では,リンゴ酸(M)は平均3.5g/<i>l</i>,酒石酸(T)は平均2.6g/<i>l</i>であり,この2つの酸で全体の80%程度を占めている.また(M)/(T)は,高級ワイン程大きく1~5の範囲であった.<br> (3)国産ワインのカリウムは平均780mg/<i>l</i>,マグネシウム,カルシウムともに平均100mg/<i>l</i>で,いずれもドイツワインに比較してかなり少ない.ナトリウムは平均34mg/<i>l</i>で,ドイツワインの2倍程度多かった.その他,鉄;6.7,銅;0.4,亜鉛;0.2,マンガン;0.8mg/<i>l</i>程度であった.有機酸では,酒石酸が平均2.3g/<i>l</i>,リンゴ酸が1.5g/<i>l</i>であり,また(M)/(T)比は1以下で,ドイツワインに比較してかなり小さい値であった.<br> (4) ミネラル(カリウム,マグネシウム,カルシウム)と主要有機酸との相関を検討した.ドイツワインにおいては,カリウムに対して(M)/(T)が最も高い正の相関(&gamma;=0.770)を示した.酒石酸は高い負の相関(&gamma;=-0.752)を示した.また,リンゴ酸は低い正の相関(&gamma;=0.426)であった.マグネシウムは酒石酸に対し&gamma;=-0.538, (M)/(T)に対し&gamma;=0.585の相関が認められた.カルシウムはリンゴ酸に対してのみ正の相関(&gamma;=0.595)を示した.ドイツワインではとくにカリウム,マグネシウムが有機酸組成と高い相関を示し,ワインの品質に大きく関与していることが確認された.国産ワインでは,カリウムが(M)/(T)に対し, &gamma;=0.458の,カルシウムが(M)/(T)に対し, &gamma;=0.605の相関を示したが,ドイツワインで認められるような高い相関関係は見られなかった.
著者
樋口 寛 藤井 浩光 谷口 敦史 渡辺 正浩 山下 淳 淺間 一
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.222-232, 2018 (Released:2018-05-15)
参考文献数
21

This paper presents an effective 3D measurement method from the inside of large structures such as railway vehicles, elevators, and escalators. In our proposed method, images are captured by a moving measurement device, which is composed of a ring laser and a camera, from the inside of the target object. Structures of the target are reconstructed from these images by integrating cross-section shapes, obtained by the light-section method, into unified coordinate by pose changes estimated by Structure from Motion (SfM). We focus on the method to extract information necessary for the light-section method and SfM from the captured images which contain both laser light and texture information. A color filter used in the proposed method enables to extract areas irradiated by the laser for the light-section method. Further, a new block matching technique is introduced to avoid the influence of the laser light, which causes to detect wrong corresponding points. In experiments, we confirmed the validity of the proposed 3D measurement method.
著者
渡辺 正樹 新畑 豊 茂木 禧昌 出口 晃
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.293-297, 1993-08-25 (Released:2009-09-03)
参考文献数
21

急性期および慢性期の脳幹部ラクナ梗塞 (LI) 群におけるアンチトロンビンIII (ATIII) 値およびトロンビン-ATIII複合体 (TAT) 値をテント上ラクナ (LS) 群, 皮質枝血栓 (TH) 群, 心原性塞栓 (EM) 群と比較して, その凝固状態を検討した.ATIII値はEM群が急性期, 慢性期ともに最も低く, LI群はLS, TH群と同程度の値を示した.一方, LI群の急性期におけるTAT値はTH, EM群と同程度で, LS群より高値を示した.このことよりLI群はLS群と同規模の梗塞ながら, より凝固亢進状態にあり, 大血管病変も存在する可能性があるといえた.TATはATIIIより鋭敏に過凝固状態を表し, 両者の併用は凝固状態把握のため必要と考えられた.
著者
渡辺 正純 長岡 秀郎 印南 隆一 広岡 一信 船越 尚哉 藤原 明 淀縄 武雄
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.1528-1531, 1993-06-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
15

腹部大動脈瘤の破裂でも比較的稀とされている動静脈瘻を経験したので報告する.症例は67歳男性で突然血尿が出現し他院受診,腹部大動脈瘤の診断にて当科紹介となった.入院後,心臓カテーテル検査にて高心拍出量と左総腸骨静脈での酸素飽和度の上昇,また,動脈造影検査にて左総腸骨動静脈痩が認められた.手術は左側よりのretroperitoneal approachにて行い,左大腿動脈よりForgaty balloon catheterを挿入,左総腸骨静脈を遮断した.瘻孔は径約0.5cm程度と小さかったが静脈遮断前には多量の出血を認めた.瘻孔を直接閉鎖し,瘤をY graft人工血管にて置換した.術後経過は良好で溶血も改善し元気に退院となった.本疾患の予後向上のためには早期診断,早期治療が重要であると思われた.
著者
齋藤 健治 井上 一彦 渡辺 正和 細谷 聡 井上 伸一
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集; 医学・健康科学・スポーツ科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University; Medical, Health, and Sports Sciences
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.7-18, 2014-09-30

本研究の目的は,速球とカーブ投球時の上肢と体幹の動きの違いについて明らかにすることであった。大学野球選手の手首と上腕,および背部に計測器を装着して,速球とカーブ投球時の関節運動の角速度を計測した。そして,最大角速度とその時刻,およびボールリリース時の角速度を抽出し,両投球間で比較した。その結果,ボールリリース時の前腕回内角速度と肩内旋角速度は速球の方が大きく,それに対して,最大角速度には差はなかった。前腕回内と肩内旋の最大角速度の時刻は,カーブにおいて速球より遅かった。対照的に体幹運動の角速度には,速球とカーブの間で差は見られなかった。これらの結果から,カーブ投球ではボールリリース時に前腕を相対的に回外位に保つため,両投球種間に差が生じること,そして,カーブ投球では,その前腕回外位を保ちやすくするために,肩内旋の角速度を抑える必要があると考えられた。
著者
石山 美由紀 渡辺 正 黒澤 大樹 氷室 裕美 鈴木 久也 宇賀神 智久 中西 透 渡部 洋
出版者
日本産科婦人科内視鏡学会
雑誌
日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 (ISSN:18849938)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.345-351, 2019

<p><b>Objective:</b> To report our experience with the management of two cases of chronic tubal pregnancy by laparoscopic surgery.</p><p><b>Case 1:</b> A 37-year-old woman presented to our hospital with a small amount of genital bleeding at 10 weeks and 3 days of gestation, calculated from the date of her last menstrual period. Serum human chorionic gonadotropin level was elevated to 108.5 mIU/mL and transvaginal sonography (TVS) revealed a 52-mm diameter of irregularly shaped left periovarian mass. Magnetic resonance imaging (MRI) also showed a periovarian cystic mass with suspicion of an old hemorrhage. We performed laparoscopic left salpingectomy after the diagnosis of chronic left tubal pregnancy.</p><p><b>Case 2:</b> A 31-year-old woman was referred to our hospital with suspected left tubal abortion at 16 weeks and 1 day of gestation. Both TVS and MRI revealed a left periovarian mass with a diameter of 40 mm. After the mass was diagnosed as chronic left tubal pregnancy under laparoscopic vision, left fallopian tube was preserved by salpingotomy. She achieved twin pregnancy by ovulation induction with clomiphene 7 months after laparoscopic surgery.</p><p><b>Conclusion:</b> Although preoperative diagnosis of chronic tubal pregnancy is difficult, laparoscopic approach would be feasible, especially when salpingotomy would be performed for future fertility preservation.</p><p></p>
著者
鈴木 一路 吉田 幸一郎 渡辺 正
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.158-163, 1996-03

バイオセンサーは生体素材の持つ高度の分子認識機能を利用した物質センサーであり, 医療, 食品工業, 環境計測など広い分野での応用が期待されている. 最近, 導電性ポリマーを用いて酸化還元酵素を電極上に固定した電気化学バイオセンサーが注目されており, 電子メディエーターの同時固定, 電極一酵素間の直接電子移動などこれまでの固定化法になかった特徴を持つ. 本稿ではこのようなセンサーの研究小史, 計測原理などを解説し, 筆者らがこれまでに実施してきた研究の一部を紹介する.
著者
渡辺 正樹 浜田 健介 竹内 英之 真野 和夫 渡邉 英夫
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.393-399, 1998-08-25 (Released:2009-06-05)
参考文献数
20

視床内側部梗塞14例について,その成因と症候の関連をMRI, MR angiography所見も参考にして検討した.症候を起こすものは従来の報告通りMRIにおいて左側あるいは両側障害例であった.何らかの精神知的機能障害が恒常的にみられる例は14例中9例で,重症例で心原性塞栓が原因と考えられるものが多かった.精神知的機能障害軽症例,垂直眼球麻痺例,無症候例の中には低血圧や起立時血圧低下が発症の誘因と考えられる例も認められた.このような例ではMRIにて他領域に合併病変を認めず,MR angiography上でのWillis輪の形成不全(P1低形成)を伴う場合が多かった.視床内側部梗塞の成因は多彩で,治療法も大きく異なると考えられた.
著者
斉藤 貴宏 黒沢 規宏 渡辺 正義 岩崎 泰彦 石原 一彦
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.200-206, 1998-04-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
22
被引用文献数
1 2

グルコースセンサー用生体適合性高分子メディエーターを実現する目的で, 側鎖にリン脂質類似構造を有し, その重合体が優れた生体適合性を示すことが知られている2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン (MPC) とレドックス活性モノマーであるビニルフェロセン (VFc) の共重合体 (VFc-MPC) を合成した. 本共重合体表面にウサギの血小板多血漿 (PRP) を接触させて血小板粘着挙動を観察したところ, 本共重合表面への血小板の粘着は少なくMPCユニットの導入による血小板粘着抑制効果が顕著に現れた. さらに本共重合体をグルコースオキシダーゼ (GOD) を用いた酵素電極の高分子メディエーターとして適用し, グルコース溶液中で本共重合体のメディエーター特性について検討した. メディエーション反応による触媒電流が観測され, VFc-MPC共重合体はGOD/電極間の電子移動反応を媒介する高分子メディエーターとして機能することが見いだされた.
著者
渡辺 正
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.178-181, 1999
参考文献数
4

昨年5月から11月にかけ, 日本化学会・同化学教育協議会・「夢・化学-21委員会」は合同で, 初の試み「高校化学グランプリ」を企画実行した。今回は境界条件がきつくて「全国」の手前, 関東・東北大会に終わったが, 国際化学オリンピック(IChO)への参加を(まだ少し遠い?)射程内に置き, 大学入試レベルを超す部分もある筆記試験と, マニュアルがないに等しい実技試験(実験)で高校生の頭と腕を競ってもらった。企画のいきさつ, 現場の雰囲気, 将来展望などを紹介したい。