著者
島田 一雄 若林 良二 鈴木 弘 武藤 憲司 浅井 紀久夫 結城 皖曠 近藤 喜美夫 田中 健二 渡辺 正子 美濃 導彦
出版者
東京都立航空工業高等専門学校
雑誌
研究紀要 (ISSN:03871355)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.47-69, 1998-09

現在, 国内の大学, 高専等の高等教育機関が教育・研究に利用しているディジタル衛星通信システムは, 自主的に組織されたUnSAT(University's Joint Study Group for Digital Satellite Communications)と文部省が推進しているSCS(Space Collaboration System)の2つに分けられる.本論文では, 平成9年5月と10月に航空高専で開催された「高等技術教育フォーラム'97」と「第5回衛星設計コンテスト最終審査会」をUnSATとSCSの接続により, 終日, 全国の高等教育機関に配信する実験を行った結果をまとめたものである.最初にUnSATとSCSの概要を述べ, 続いてフォーラムの内容, 予備実験と本実験について述べる.さらに, コンテストの内容ならびに配信実験について述べる.次いで, 両実験の参加者へのアンケート調査で得られた主観評価結果を示す.さらに, 1ホップと2ホップの場合の画像劣化の比較を行うために試みたフォーラムの際に得られた画像の客観評価の結果についても言及する.最後に考察を行い, 問題点の分析ならびに解決の指針を示し, 衛星通信の教育利用に対する知見を示す.
著者
渡辺 正孝 児玉 亨 本多 芳子 小島 崇 桑波田 卓
出版者
財団法人東京都医学研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

最近は若者も老人もがまんができない、と言われる。かまんには、長期的な利益のために短期的な利益を放棄するというものと、ルールに従ってしたい行動をしない、というものの2種類がある。がまんには大脳前頭連合野が重要な役割を果たし、この脳部位には、どちらのがまんについても関係した活動が見られる。がまんをコントロールすることが知られる薬物(リタリン)を投与したところ、サルでもがまんがより良くできるようになること、リタリン投与により、前頭連合野や線条体でドーパミンの放出が増すことも明らかになった。
著者
劉 晨 王 勤学 渡辺 正孝
出版者
システム農学会
雑誌
システム農学 (ISSN:09137548)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.153-164, 2007-04-10
参考文献数
39
被引用文献数
1

農業生態系から三峡ダムに輸送された窒素負荷量の変化を分析するため、長江上流流域にある350 県について1980-2000年の5年毎の農業統計データや気象等の観測データを空間情報システムと結合し、窒素収支に関するデータベースを構築した。また、水域への窒素流出モデルにより、長江上流農業生態系から各主支流に輸送された窒素の量および空間的変化を解明した。その結果、農業生態系から長江に流入した窒素の量は長江上流全域流出量の83%を占め、1980 年の5.60×105t から、2000 年の1.61×106t まで、2.9 倍に増加したことが明らかとなった。河川における自浄作用等での減少率が37%とすれば、1980、1985、1990、1995 年、および2000 年に長江上流農村生態系から三峡ダムに輸送された窒素の総量は、それぞれおよそ0.35×10 6 、0.47×10 6 、0.59×10 6 、0.64×10 6 、および1.01×10 6t となった。農業生態系から水域への窒素輸送総量のうち、農業生産による水域に輸送される窒素の量は1980 年の3.45×10 5t から2000 年の1.39×106t まで、4 倍以上に増加した。一方、農村で発生した排泄物が水域へ直接輸送された窒素の量は2.14×105-2.67×105t であり、1980 年から1990 年の間には増加し、1990 年から2000 年の間には減少した。2000 年には、長江上流地域の各10 支流域への窒素輸送総量のうち、嘉陵江流域への輸送量が35%を占め、三峡ダム流域への輸送量は15%、烏江、沱江及び岷江流域への輸送量はそれぞれ11%を占めていた。1980 年の窒素排出源は主に成都市と重慶市の周辺農村地域に集中していたが、1990 年代には四川盆地の全範囲、及び四川盆地周辺の丘陵地に広く拡大した。化学肥料使用量の急増が肥料効率の低下や河川窒素負荷量の増加の主な要因であった。計算された各支流の窒素輸送量は先行研究で報告された観測値にほぼ一致していた。このように三峡ダム完成後には貯水池における藻類異常増殖などの富栄養化の顕在化が懸念される。
著者
木戸 秀明 久保 佳史 井上 理 林 一孝 成田 祐士 内田 武 渡辺 正弘
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.101, no.2, pp.79-91, 1993

イヌ急性心筋梗塞モデルを用いて,血栓溶解薬ナサルプラーゼ(plasminogen pro-activator)を静脈内に持続投与し,血栓溶解作用ならびに血栓溶解後急性期および慢性期の心機能の変化を検討した.冠動脈の閉塞により,循環動態においては心拍出量の減少,体血管抵抗および左心室拡張終期圧(LVEDP)の上昇が認められ,また左心室造影による解析の結果,左心室駆出率および左心室局所壁運動の低下等の心機能の低下がみられた.このモデルに,冠動脈閉塞30分後よりナサルプラーゼを8単位/kg/分の用量で静脈内投与した結果,78.6%(11/14)に再開通を認め,投与開始から再開通までの時間は平均37.4分であった.再開通時における血漿中フィブリノゲン量は薬物投与前と比較してほとんど変化しなかった.なお,再開通5~10分後より徐々に不整脈が出現した.再開通直後は左心室収縮機能がやや改善する傾向を示したものの,心機能全体としては改善をみなかった.しかしながら,1週間後にはナサルプラーゼによる再開通群で心機能,とりわけ収縮機能の回復がみられ,心臓に対する負荷が軽減されたのに対し,対照群(薬物非投与群)では回復を認めなかった.対照群では冠動脈の持続的な閉塞によって心臓が肥大し,左心室前壁から心尖部にかけて広範な心筋壊死が観察されたが,再開通群では梗塞サイズが対照群に比して有意に小さく,心肥大の進展が抑制された.以上のことから,イヌを用いた急性心筋梗塞モデルにおいて,ナサルプラーゼの静脈内投与による再潅流療法は有用であると示唆された.
著者
住 昌彦 渡辺 正秀 佐藤 慶二郎 清水 郁夫 植木 俊充 赤羽 大悟 上野 真由美 市川 直明 浅野 直子 小林 光
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1782-1787, 2011 (Released:2011-12-17)
参考文献数
14

75歳男性。2年前より間欠的な好中球減少を認め,貧血も伴うようになり紹介,高度な好中球減少,網状赤血球著減を伴う貧血,軽度の血小板減少を認めた。骨髄穿刺検査では高度な低形成であったが巨核球は保たれ,顆粒リンパ球が45.2%を占めていた。表面マーカー解析,T細胞受容体遺伝子再構成の結果からT細胞性顆粒リンパ球性白血病に合併した骨髄不全と診断した。抗胸腺細胞グロブリン,cyclosporine併用療法を開始し,16日目には血球は回復したが,29日目より発熱・リンパ節腫脹を認め,異型リンパ球が出現し,血中でEpstein-Barr virus (EBV) DNAが検出された。その後急激な肝機能障害・肝腫大が出現し多臓器不全で42日目に死亡した。剖検で肝,腎などにEBV陽性の大型異型Bリンパ球の浸潤を認めEBV関連リンパ増殖性疾患が死亡原因と考えられた。
著者
鈴木 一路 吉田 幸一郎 渡辺 正
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.158-163, 1996-03

小特集 バイオテクノロジー
著者
島津 善美 上原 三喜夫 渡辺 正澄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.628-633, 1982-09-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
27

日本, ドイツおよびフランス産高級ワインの酒石酸, リンゴ酸乳酸, コハク酸, クエン酸の含量, 総有機酸含量 (TOA) およびリンゴ酸/酒石酸および (MIT) 比とワインタイプの関係ならびにこれら8囚子間の相関関係について検討した。日本白ワイン, ドイツ白ワイン (Kabinett, Spatlese, Auslese, Beerenauslese, Tr0ckenbeerenauslese, Eiswein), フランスシャブリ白ワイン, フランス赤ワインのタイプ別試料106点について, 上記8因子の平均値, 標準偏差を算出した。各タイプの酒石酸リンゴ酸酢酸, TOAおよびM/T比にかなりの差異が認められた。日本ワインは, ドイツおよびシャブリワインよりTOAが少なく, MLFの発生は, ほとんどみられなかった。ドイツワインの上記6タイプのリンゴ酸含量は, 有機竣6成分のなかで最も多く, またそれらのMIT比は, 日本およびシャブリワインより高い値を示した。ドイツワインの乳酸含量は, 比較的少なかったが, フランスのシャブリと赤ワインの乳酸含量は, かなり多く, MLFの発生が高いことが認められた。さらに上記8因子問の相関関係を検討した。試料全体 について相関を求めた結果, リンゴ酸は酒石酸のほかに, MLFに起因する乳酸と酢酸およびコハク酸と1%危険率で相関関係があり, ワインの有機酸組成を決定する中心的役割を演じていることが明らかにされた。またタイプ別の相関分析の結果, ドイツワインの酒石酸とクエン酸, リンゴ酸と酢酸乳酸とクエン酸ならびにシャブリのリンゴ酸とクエン酸, 乳酸と酢酸との間にそれぞれ5%危険率で相関関係が認められた。酒石酸とクエン酸の相関関係は, 原料のブドウ果汁の有機酸組成の差異に, また他の4つの間の相関関係は, MLFによるものと考えられた。また各タイプの酒石酸およびリンゴ酸は, TOAと相関関係にあることが示された。
著者
柚口 貞夫 渡辺 正元
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.18, no.192, pp.273-278, 1961
被引用文献数
13

過マンガン酸カリーシュウ酸を酸化還元触媒に用い, アクリロニトリル (以下ANと略) の水系沈殿重合を行ない, 触媒濃度, 体単量初濃度および重合温度を変えて, その重合速度と数平均重合度との関係を求めた。その結果<BR>1.重合速度はシュウ酸を過マンガン酸カリの2.5倍モル以上用いた場合に次式で示される。<BR>2.重合温度を10-30℃ に変えてその活性化エネルギーを求めたところ<I>E</I>=9.3kcal/molなる値を得た。<BR>3.数平均重合度は触媒濃度が大きくなるほど低く, 単量体濃度が大きくなるほど高くなる。<BR>また重合温度が高くなるほど低くなる。以上の事実は, ANの重合体が重合系に溶解せず, 生長中のラジカルが重合体中に埋め込まれ1分子的に停止する反応 (burial reaction) を考えに入れると説明することができる。得られた結果について考察を加えた。
著者
窪田 隆裕 渡辺 正仁 森 禎章 相馬 義郎 竹中 洋 相馬 義郎 竹中 洋
出版者
大阪医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

(1)蝸牛内リンパ腔電位(endocochlear potential, EP)の発生源は辺縁細胞の側基底膜のNa^+拡散電位である。(2)EPの変化は、主として内リンパ腔周囲細胞における種々のCa^<2+>チャネル(主としてL型Ca^<2+>チャネルやTRPCチャネル)から細胞内へのCa^<2+>流入によって引き起こされる細胞間タイト結合の電気抵抗の低下によるものである。(3)EP変化の一部は辺縁細胞内のCa^<2+>濃度の上昇による側基底膜のNa+拡散電位の低下によって引き起こされている。以上、EPの発生機序とその調節におけるCa^<2+>の役割に付いて研究成果を得た。
著者
渡辺正也著
出版者
石の詩会
巻号頁・発行日
1979
著者
松本 幸夫 渡辺 正 河内 明夫 松本 堯生 加藤 十吉 森田 茂之 西田 吾郎
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1988

本研究の性格上、研究成果は多岐にわたるが、ここではその全般的特徴を述べ、特記すべき事項を挙げる。全般的には、低次元多様体に関連する分野で特に活発な研究が行なわれたことが目立つ。研究計画で述べた数理物理学と低次元多様体論の関連はその後も深く追求された。個別的な事項を掲げる、C^*環の研究の中で発見された結び目の新しい多項式(Jones多項式等)の位相幾何的統制力は河内の「イミテ-ション理論」によりかなり明らかになった。ゲ-ジ理論と4次元多様体論の共通の基盤であるインスタントンのモジュライ空間は、計量構造(松本堯生を中心とする広大グル-プ)と位相構造(東大グル-プ)が共に深く研究された。最新の成果として、2次元共形場理論に由来する新しい3次元多様体の不変量の発見(河野)が著しい。この不変量は、曲面の写像類群と本質的に関係するが、写像類群のコホモロジ-は、森田茂之の研究によって、その構造がかなり明らかになった。とくに、写像類群の特殊な部分群(Torelli群)とCasson不変量の関係の解明は深い成果と言える。ゲ-ジ理論の3次元版と言うべきFloerホモロジ-群の計算が吉田朋好によって精力的に遂行され、シンプレクティック幾何のマスロフ指数との関連が発見された。3次元双曲幾何の分野では、小島、宮本による測地境界を持つ3次元双曲多様体の最小体積の決定は特筆に値する。低次元多様体論以外の分野では、幾何構造の入った葉層構造(稲葉・松元)、Godvillon-Vey類(坪井)、同変sコボルディズム論(川久保)、複素空間への代数的群作用に関する上林予想(枡田等)、完全交差特異点(岡睦雄)、Approximate Shape理論(渡辺)がある。昭和63年〜平成元年に20余の研究集会と2つの合同シンポジウム(静岡大学・福島大学)を開催した。結論として、本研究は当初の目標を十分に達成し、更に新たな研究課題を見出したと言える。