著者
吉川 雅博 三河 正彦 田中 和世
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.93-103, 2009-01-01
被引用文献数
17

本論文では筋電義手を制御するための,筋電位を利用して意図する手の動作をリアルタイムで識別する手法を提案する.本手法では特徴量に積分筋電位信号と筋電位信号のケプストラム係数を用い,サポートベクターマシン(SVM)により学習と動作識別を行う. SVMは様々なパターン認識問題に有効であることが分かってきているが,筋電位を利用した動作識別においても有効かどうかは明らかになっていない. 8名の被験者によるオフライン動作識別実験の結果, SVMを用いた提案手法は線形判別分析, k-最近傍法,ニューラルネットワークを用いた手法よりも優れた識別性能を示した.また,リアルタイム動作識別実験を行った結果,動作識別が精度よく行われ,動作開始タイミングに遅れがなく応答性がよいことが示された.
著者
田中茂穂 著
出版者
田中茂穂
巻号頁・発行日
vol.第24巻, 1919
著者
三橋 俊雄 牧田 和久 宮崎 清 田中 みなみ
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.94, pp.67-74, 1992-11-10

本論文は,新潟県山北町における「地域特質を表現する図像」構築過程の観察を通して,内発的地域作り計画と実践の意義を考察したものである。第1段階として,町内外の人びとが地域に対して抱く心象に関するアンケート調査,町内においてすでに使用されている視覚媒体物の採集,図像のモチーフとなりえる各種地域資源の採集,地域住民からの図像アイデアの募集などを通して,地域特質に関する把握とその表現方策に関する検討を行なった。第2段階では,それらの結果に基づき,地域特質を表現する図像の実体化作業を展開し,地域住民による投票ならびに内外の人びとによる図像評価に基づき,「地域特質を表現する図像」として10点を策定した。第3段階としては,イメージカラーやロゴタイプと組み合わせ,策定された図像の具体的活用に関するマニュアルを作成した。最後に,「地域特質を表現する図像」の構築を内発的に展開する計画・実践は,当該地域の人びとが地域の有する種々の価値を再確認し,共同してそれを維持・発展させていくためのツールとして機能する点において今日的意義があることを指摘した。
著者
中村 広隆 原口 鈴恵 陳 偉中 田中 昌孝 小久保 秀之 張 トウ 古角 智子 河野 貴美子 相馬 隆朗 山本 幹男
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.159-163, 2001-03-01

著者らは生物フォトンと温度変化の測定から意識集中時に指先の温度低下の場合を以前報告している。本研究では、この意識集中による皮膚表面温度変化に着目し、意識と生体機能の特性を解明するため、ヒトの手から発する放射赤外線による皮膚表面温度の測定を行った。その結果、今回の実験の例でも、手の意識集中時において皮膚表面温度の低下、リラックス時には上昇が観察された。
著者
大坪雄平 三村守 田中英彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.16, pp.1-6, 2013-07-25

今日,標的型攻撃は増加傾向にあり,多くの組織にとって真の脅威となってきている.標的型攻撃には様々な手法があるが,受信者の興味を引くメールにマルウェアを添付する方式が最も一般的である.攻撃を秘匿するため,マルウェアが文書ファイルに埋め込まれた場合,一般に,受信者にはマルウェアを見抜く手段がない.われわれが実行ファイル形式のマルウェアが埋め込まれた悪性 MS 文書ファイル (Rich Text または Compound File Binary) を分析したところ,多くの悪性 MS 文書ファイルで通常の MS 文書ファイルとファイル構造に違いがあることが分かった.本論文では,悪性 MS 文書ファイルの検知手法として,ファイル構造検査をすることを提案する.具体的には,5 種類の新しいマルウェア検知法を提案する.提案の有効性を検証する実験を行った結果,98.4% の悪性 MS 文書ファイルを検知することができた.Today, the number of targeted attacks is increasing, and targeted attacks are becoming a serious threat for many organizations. There are various kinds of targeted attacks. Above all, a method to attach malware to interesting e-mail for the recipient is the most popular. In general, there is no way to distinguish a malicious document file from a normal one, because malware is embedded in a document file to hide oneself during an attack. We analyzed malicious MS document (Rich Text or Compound File Binary) files containing malware. Then, we found that there are differences in file structure between normal MS document files and malicious ones. In this paper, we propose detection methods of malicious MS document files using file structure inspection. Specifically, we propose five novel malware detection methods. The experimental result shows the effectiveness of the methods. The methods could detect 98.4% of the malicious MS document files in the experiment.
著者
田中 蕃
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
日本鱗翅学会特別報告 (ISSN:05495210)
巻号頁・発行日
no.6, pp.527-566, 1988-09-30
被引用文献数
7

1)ZELINKA&MARVAN(1961)が底生動物相による河川の水質汚濁度を調査するために開発した手法を応用し,蝶類群集を指標とする新しい環境評価の一方法を提示した.すなわち,群集を構成する種群とその生息数を調査し,これに種別生息分布度と指標価を導入した式によって環境階級存在比(ER)を算出する.本法による評価方法の特徴は,この式によって調査地内に不均質に分布する環境階級要素を抽出し,その比率からその地の環境を綜合的に判定するところにある.2)環境は,人類営力のかかわりの深浅によって,四つの階級に分類した.また,日本産蝶類各種がどの環境階級をどの程度選択して生息しているかによって「生息分布度」を提示した.ついで,この生息分布度の偏り方を基準として「指標価」を種ごとに定めた.3)1983年に愛知県猿投山において,本法による実践的な研究を行い,本法が環境の相観的な把握による評価とよく一致した評価を与えることを証明した.4)本法を既存の個体数調査資料を用いて,その汎用性と妥当性を検討した.その結果,ER値と環境階級の関係グラフに,環境状況に応じて一定の型があることがわかり,その特徴から環境判定のためのモデルグラフを提示した.これにより,評価を視覚的かつ直観的に行えるようにした.5)環境の判定に常用される優占度指数および多様度指数によって,本法の有効性を検定した.本法による評価はこれら指数とは整合的な関係にあり,生態学的な裏付けを確認した.6)精度については,まだ事例が少なく明確ではないが,既存資料を適用した場合の結果から考察すれば,環境の人工的改変が徐々に行われた場合のモニタリング的な評価方法としてはかなり有用と思われる程度と判断される.7)本法において誤差をもたらすと思われる諸要素(生息分布度,指標価,個体数補正,調査時刻,調査回数,個体数年次変動)について考察を加えた.8)水域という閉鎖系で成立したZELINKA-MARVAN法の陸域という開放系での適用について,諸々の問題点をあげて検討した.
著者
山田 峰彦 柿崎 藤泰 渋谷 まさと 中山 秀章 廿楽 裕 田中 一正 鈴木 一 本間 生夫
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 = The Japanese journal of thoracic diseases (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.646-652, 1996-06-25
被引用文献数
12

呼吸筋ストレッチ体操 (RMSG) プログラムを作成し, 肺機能, 運動能力, 呼吸困難感, 生活の質 (QOL) に与える効果について4週間のトレーニングの前後で検討した. 13名の慢性閉塞性肺疾患患者 (平均FEV<sub>1</sub>: 1.24L) を対象とし, 4週間にわたりRMSGを1日3回実施した. 12名が検討終了した. FRC (前4.19±1.27, 後3.88±1.03L), TLC (前5.98±1.35, 後5.66±1.20L), RV (前3.29±1.16, 後2.89±0.89L), 残気率 (前53.9±11.2, 後50.6±9.74%) はそれぞれ有意 (p<0.01) に低下した. 6分間歩行距離 (6MD) は平均43±30m (+15%, p<0.01) 延長した. 6MD終了時の呼吸困難感 (150mm VAS) は (前65.1±40.8, 後36.1±36.8mm) と有意 (p<0.05) に低下した. QOLは Guyatt らの The Chronic Respiratory Disease Questionnaire により評価し, 有意な改善が認められた. RMSGは呼吸リハビリテーションとして有用性があると考えられた.