著者
荒井 隆行 田中 希美 片岡 竜太
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.338, pp.143-148, 2008-12-02
参考文献数
14
被引用文献数
2

軟らかいゲル素材を用いて,軟口蓋が動き鼻咽腔閉鎖をする声道の物理模型を製作した.その模型では,軟口蓋から咽頭壁に渡ってゲル素材を用い,鼻腔を含むその他の部分はアクリル素材を用いた.4つの鼻咽腔閉鎖パターン(Coronal, Circular, Circular with Passavant's ridge, Sagittal)を模擬するため,ゲル素材の軟口蓋部にひもを付けると共に,両脇と後方からアクリル棒を押し込むことで咽頭側壁と咽頭後壁を動かせるようにした.これらの動作によって鼻咽腔閉鎖の度合いを連続的に変化させた結果,鼻咽腔結合部の開存面積に応じて模型から生成される音声信号の開鼻声の程度が変化することを確認すると共に,スペクトル上に極零対などが現れることを確認した.
著者
深井 洋一 田中 廣彦 内藤 成弘
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.597-603, 2011-12-15
参考文献数
25
被引用文献数
1

市田柿の水分分布が関係するカビ発生について新たな知見を得る目的で,予め試験品として選別した健全品とカビ発生品の水分分布を磁気共鳴画像(MRI)法を用いて検討した.1個のカビ発生品を1個または3個の健全品と一緒にスピンエコー法を用いて,0.2テスラの永久磁石と1辺12 cmの開口部をもつソレノイド型検出器を備えた小型MRIで測定した.水分および水分活性に有意差が認められない(<I>p</I> > 0.05)健全品とカビ発生品のMR画像では,NMR信号の強さをMR画像の明るさで表現した場合,両者の明るさに明瞭な違いが認められた.カビ発生品は健全品よりも中果皮,内果皮ともに明るくなるが,内果皮が特に明るくなった.T<SUB>1</SUB>およびT<SUB>2</SUB>緩和時間測定の結果,MR画像の明るい部分では運動性の高い水が増えていた.この明るさの違いは,市田柿のへた側から尻側までのどの横断面でも見られたので,2次元MRIで任意の一断面を測定すれば健全品とカビ発生品の水分分布の違いをとらえることができた.MRIは水分や水分活性ではとらえられなかった市田柿の健全品とカビ発生品の水分分布の違いを,水の運動性の違いからとらえることができたため,品質管理の手段として実用化の進展が期待される.
著者
岡田 長保 住田 良夫 高島 康治 田中 徳太郎 明石 善久 大橋 高明 伊藤 一夫 絵野 幸二
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.143-150, 1997-04-20
参考文献数
10
被引用文献数
5

肺癌検診発見肺癌の特徴や検診が内包する問題点を考察するため, 1987年以降7年間に, 兵庫県津名郡に於ける老健法に基づく検診で発見された肺癌23症例(A群)について検証した.臨床病期は0,I期が13例(56%), 根治手術率48%, 5年生存率48.9%, 95年9月現在, 11例が生存中でその内10例までがI期発見であった.23例中, 発見前年には受診歴がない非経年受診群は12例, 前年にも受診歴がある経年受診群は11例でIIIB期以上の進行癌は前者に多かった.然しI期症例の62%が前者に属し, その原因は個々の肺癌症例の肺癌進展速度差にあり, 検診成績を支える予後良好なI期肺癌の多くは進展速度が緩やかな症例であった.又, 検診と同一期間, 同一地域での日常診療発見肺癌29症例(B群)との対比でも, length biasを始め種々のbiasが認められ, 進展速度が遅い肺癌はB群よりもA群に多かった.進展の速い肺癌をできるだけ早期に検診で発見するという困難な課題が残されている.
著者
田中 俊輔 市川 信一郎 川田 恭裕 池田 正文 峰 正弥 曽我 広志 山口 慶剛 棚町 健彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, pp.571-572, 1995-03-27

大型衛星バス技術確立を目的として開発された技術試験衛星VI型(ETS-VI)の姿勢制御系(ACS)は、国産衛星として初めての三軸トランスファ制御等、新しい機能の他、大型太陽電池パドル、大型アンテナ等の柔軟構造物を搭載し、従来衛星以上の高精度化(姿勢制御精度=ロール/ピッチ0.05(deg)、ヨー0.15(deg):3σ)、耐故障性の要求を満たすよう設計・製造され、サブシステム試験、及びシステム試験にて十分に検証されている。ETS-VIは、昨年(平成6年)の8月28日16時50分、H-IIロケット2号機で打ち上げられ、約28分後に計画通り第2段ロケットから分離され「きく6号」と命名された。ETS-VIは分離後、初期太陽捕捉モードにて正常に太陽捕捉、太陽電池パドル部分展開を予定通り実施し、ロール軸回りに0.2(deg/sec)のレートをもったクルージング状態が17時50分に確認された。衛星は、アポジエンジンの不調により、遠地点高度39000km、近地点高度7800km、周期14時間、軌道傾斜角13度という楕円軌道に投入されたが、バス/ミッション系機器のチェックアウトの結果、ACSを含め衛星機能は全て正常に動作していることが確認された。その後、各種通信実験を最大限に実施すべく、軌道上再プログラミング機能により姿勢制御系搭載ソフトウェアを変更して、この楕円軌道上での三軸地球指向制御、ハドル自動太陽追尾、及び通信実験時のアンテナ指向精度を向上させるための姿勢バイアス制御等を実現させた。又、実験の実施が容易になるように、ペリジ高度を700km上げる軌道修正を実施して、3日毎に同一地点の上空を通過する回帰軌道に衛星を乗せた。本報告では、これまでに得られている姿勢制御系フライトデータの速報を中心に報告する。ETS-VIの軌道上コンフィギュレーションを図1に示す。[figure]
著者
村田 順子 田中 智子 藤平 眞紀子
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、高齢者の在宅生活を地域の住民活動がサポートし得るのか、その可能性について検討し、在宅生活を支える地域における生活支援システムの構築について考察することを目的としている。調査対象地域は歴史的街道を有し、住民主体のまちづくり活動を行っている。住民たちはまちづくり活動を通して地域に対する理解や愛着を深め、地域の問題に関心を持ち、問題解決に取り組みたいと考えるようになっている人が多いことから、まちづくり活動が助け合い活動につながる関係構築に寄与しているといえる。
著者
田中 陽介 清水 康夫
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.79, no.804, pp.2874-2883, 2013 (Released:2013-08-25)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

We have been investigating small and high-strengthened single threaded worm gear. Previous our studies have shown that reducing thickness of worm tooth on addendum face enlarges elastic deformation of worm wheel. This proposed profile has advantages on improving contact ratio, gear efficiency, strength against impact force and fluctuation in torque. Though we have modified the profile of worm, we have not reported on a profile of worm wheel. In this paper, we propose the MUB theory that new profile of worm wheel improve contact ratio without increasing tip diameter of worm wheel. At first, we focused on meshing under base circle of worm wheel, and investigated geometrical shape on dedendum face manufactured by hob cutter. As a result, we derived formula of new profile of worm wheel for meshing under base circle. In addition, the MUB theory was verified by the experiment that used an actual worm wheel with MUB profile. It was shown that we obtained a new finding by the process of this research.
著者
木山 昇 楠田 純子 藤井 彩恵 内山 彰 廣森聡仁 梅津 高朗 中村 嘉隆 大出靖将 田中 裕 山口 弘純 東野 輝夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.1916-1929, 2010-09-15
被引用文献数
2

本論文では,大規模事故や災害時に発生する多数の傷病者の生体情報(バイタルサイン)をリアルタイムで一括監視し,現場での救命活動を支援する電子トリアージシステムの設計開発について述べる.本システムでは,IEEE802.15.4および生体センサを備えたセンサノードを傷病者に装着し,それらの間でアドホックネットワークを構築する.これを介して傷病者の生体情報をリアルタイムに収集すると同時に,センサノード間の無線通信情報を基にノードの位置推定を行い,%救命活動従事者医療従事者に対して傷病者の病状と大まかな位置に関する情報を提供することで救命活動を支援する.開発したシステムを大学附属病院で実施されたトリアージ演習などで使用し,システムの有用性を確認するとともに今後の改良に向けた情報収集を行った.In this paper, we consider situations where many persons are simultaneously injured in large accidents and disasters, and propose an advanced electronic triage system called e-Triage for sensing physical condition of those injured persons and collecting the sensed data in IEEE802.15.4-based wireless ad-hoc networks. The e-Triage system presents dynamic change of injured persons' location and physical condition on monitors in real time. We have evaluated our system through a triage training held in a hospital. From the experimental results, we have confirmed the effectiveness of the e-Triage system and obtained feedback from doctors and nurses.
著者
寶珠山 務 堀江 正知 筒井 隆夫 藤野 善久 田中 弥生 永野 千景 高橋 謙
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.367-376, 2005-12-01
被引用文献数
1

2002年にわが国で過重労働による健康障害防止対策の行政指針が示されてから3年が経過し, その成果が期待されている.本研究では, 長時間労働と心血管系疾患との関連について体系的文献レビューを実施し, 過重労働による健康障害の科学的根拠の最新の知見をまとめた.医学文献情報データベースPub Medを用いて, 関連キーワードによる検索および所定の条件による文献の取捨選択を行い, 原著論文12編を採択した.今回の結果から長時間労働と心血管系疾患の関連を強く支持する新たな科学的根拠は得られなかったが, 活力疲弊(Vital exhaustion)など心理社会的要因を扱ったものや交互作用項などを含む統計解析モデルを用いたものが認められ, これらの手法はわが国における今後の研究に応用できる可能性が考えられた.
著者
永井 正也 廣理 英基 田中 耕一郎
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.919-922, 2011-12-05
参考文献数
34

誘電体結晶にパルス面制御された高強度の超短光パルスを照射すると,100kV/cmを越える最大電場のピコ秒モノサイクルパルスが発生する.これを用いて物質中の電子や分子をコヒーレントに大振幅で運動させることで,新規な物性の発現が期待される.また準DC的強電場印加の手段として物質の内部電場を直接支配できる可能性がある.
著者
安梅 勅江 田中 裕 酒井 初恵 宮崎 勝宣 小林 昭雄 天久 薫 枝本 信一郎 伊藤 澄雄 篠原 亮次 杉澤 悠圭 澤田 優子 童 連 田中 笑子 冨崎 悦子 望月 由妃子 渡辺 多恵子 恩田 陽子 徳竹 健太郎 平野 真紀 森田 健太郎 AMARSANAA Gan-Yadam 川島 悠里 難波 麻由美 呉 柏良 丸山 昭子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

経年的な子どもの発達、社会適応、健康状態、問題行動の発現への影響を踏まえ、科学的な根拠に基づく「気になる子ども支援プログラム」の開発を目的とした。全国の0~6歳児と保護者約36,000組の12年間パネルコホート調査を用い、子どもの特性別に発達の軌跡と関連要因について分析した。その結果、家庭環境要因、子ども特性要因、家族特性要因、地域サポート要因の子どもの発達への影響の大きさと軌跡を明らかにした。
著者
近藤 あき 中越 明日香 山本 洋紀 田中 忠蔵 梅田 雅宏 江島 義道
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.100, pp.13-18, 2004-05-21
参考文献数
6

色対比効果とは、同じ色でも周囲に存在する色に依存して異なる色に知覚される現象を指す。この効果は色を空間的に比較する脳過程の存在を示している。本研究では色の空間比較過程に関与する脳部位を、fMRIを用いて検討した。視覚刺激は等輝度のテスト刺激と周辺刺激であった。テスト刺激と周辺刺激の境界が隣接する条件と間隙がある条件(0.5°または1°)を設けた。テスト刺激と周辺刺激は実験を通して常に赤緑変調されたが、同じ位相で変化する条件と逆相で変化する条件が交互に提示された。この時、色対比が生じて、テスト刺激の物理的な色変調は一定であるにもかかわらず、見かけの色変調は逆相条件で強まった。この間の脳活動をfMRIで測定すると、間隙がない場合には、見かけの色変調に相関した脳活動が低次から高次に至る多くの視覚野で観察された。間隙が大きくなると、低次の領野では脳活動が激減したが、後頭の背側と腹側の特定の高次領野では有意な活動が残った。これらの結果から、色比較の空間範囲は視覚経路の階層が上がるにつれて広くなると考えられる。
著者
奥田 裕規 井上 真 斎藤 暖生 土屋 俊幸 藤掛 一郎 三俣 学 八巻 一成 奥 敬一 垂水 亜紀 深町 加津枝 田中 求 大地 俊介 大久保 実香 横田 康裕
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

脆弱化した社会組織を活性化させるためには、地域社会に新しいアイ デンティティを形成する社会変化を促す必要がある。このような社会変化を促すためには、「内 発的発展」が重要な役割を果たす。「内発的発展」は、地域住民を結ぶネットワーク上に存在し、 ネットワークは、地域住民共通の「大切なもの」を守ろうとする「思い(紐帯)」で結ばれてい る。そして、地域の「大切なもの」を守ろうとする「思い」が強ければ強いほど、そのための 取組が活発化し、「地域資源(コモンズ)」に対する要求が高まる。